ありっこ だより 平成25年5月号 伊丹市立ありおか幼稚園 園長 田中 敬造 教頭 矢田 貴美代 5 月も中旬にさしかかろうとしています。先週は、幼年消防クラブ組替式で、年長組はクラブ員になり、年少組はそ の様子を見学に来ていました。また、母の日もありましたね。子どもたちは、どのような表情をしてプレゼントを渡し たのでしょうか?お手伝いを張り切ってしたのでしょうか?今週は、トライやるウィークが始まります。異年齢の人と のかかわりが、子ども達にとってまた新たな学びになることでしょう。楽しみな 1 週間です。 5 月 2 日の参観日では、保護者の皆さんに、子どもたちの遊んでいる様子を見て記録を取っていただきました。大変 な作業だったと思います。ありがとうございました。子どもの遊びの背景には様々な学びがあるということは、リーフ レットを参考にしながらお話をさせていただきました。では、この幼児期になぜ遊びが必要なのか、この幼児期に何が 育つのかということを、考えたいと思います。 右の図は「生涯学習の樹」です。幼児教育を木で例えるなら根を育てる教育 だと言われています。どういうことかと言いますと、 「心」や「意欲」や「態度」 を育てることで、人格形成の基礎を培う時期です。 様々なものを見て心を動かす感性や、身近な環境に見たい触れたい、やってみ たいという意欲や、自分でできることは自分でする、約束を守るなどの態度を育 てるのです。 これらは“遊びを通して” 、 “環境(人的環境、物的環境、事象)を通して”育 てます。教え込んだり、叱ったりして育つものではありません。 プラスの原体験を経て育つのです。例えば、 “友達っていいなぁ、仲良くするっ てすばらしいことだなぁ”という原体験があるからこそ、少々自分の気持ちを抑え えてでも人とかかわろうとするのです。 「仲良くしなさい!」と叱ったり教え込ん 「これからの保育~幸せに生きる だりしても、難しいでしょう。ですから、幼児期には言葉で教え込むよりは、 “楽し 力の根を育てる~」岸井勇雄 著 い” “面白い” “嬉しい”といったプラスの原体験がとても大切なのです。こういっ たプラスの原体験があってこそ、我慢をすること、問題を乗り越えることができるのだと思います。 幼児期に好きな遊びや好きな友達に出会い、とことん遊びこみ、人とかかわる力をつけ、知的好奇心を育むことで、 「心」 「意欲」 「態度」が育つのだと考えます。そしてそれは、やがて学校生活の基盤となります。そう考えると、遊び はやはり、幼児にとって無くてはならないものですね。遊んで、遊んでプラスの原体験を積み重ねてほしいと思います。 「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」 著:ロバート・フルガム 人間、どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々を送ればいいか、本当に知っていなくてはならない ことを、わたしは全部残らず幼稚園で教わった。人生の知恵は大学院という山のてっぺんにあるのではなく、日曜学校 の砂場に埋まっていたのである。わたしはそこで、何を学んだろうか。 何でもみんなで分け合うこと。ずるをしないこと。人をぶたないこと。使ったものは必ずもとの所に戻すこと。 ちらかしたら自分で後片づけをすること。人のものに手を出さないこと。誰かを傷つけたら、ごめんなさいと言うこと。 食事の前には手を洗うこと。トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。焼きたてのクッキーと冷たいミルクは体にいい。 つり合いの取れた生活をすること―毎日少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして少し働くこ と。毎日必ず昼寝をすること。おもてに出る時は車に気をつけ、手をつないで、離れ離れにならないようにすること。 不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。 (以下 省略)
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