PCA インド ウィークリー 2007年7月12日号 今週のインド動向 経済 対外債務は増加も、国際収支は改善 産業 上場企業の人件費総額が1兆ルピー超え 政治 米原子力空母「ニミッツ」、チェンナイに寄港 社会 ガンディー直筆原稿はインドのもとに 株式 インド株式ウイークリー・レビュー(7/2∼7/6) ※重要度に応じて以下の通りに分類しております。 最重要 重要 普通 今週のコラム――現代インド事情 “インドNOW!” 第126回 126回 困ったものだ、政治家のマッチポンプ 製作・著作 ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社 www.PCAasset.co.jp 掲載記事の無断転載を禁じます。 〔当資料に関しご留意いただきたい事項〕 当資料は、ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社が、インドの政治、経済、文化等にかかる一般的な情報をご紹介するために株式会社インド・ビジネ ス・センターの協力により任意に作成した資料であり、証券取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、特定のファンドへの投資勧誘を目的としたも のではありません。当資料は信頼できると判断される材料を使い、十分な注意を払って作成しておりますが、弊社及び株式会社インド・ビジネス・センターは 、その正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたもので あり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、弊社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。当資料に記載したコメントは 、当資料作成時点における当社の見解や予想ですが、今後予告なしに変更することがあります。 1 PCA インド ウィークリー 2007年7月12日号 経済 対外債務は増加も、国際収支は改善 インド中央銀行(RBI)は6月29日、2007年3月末時点の対外債務および2006年度の国際収支 を発表しました。それによると、2007年3月末の対外債務残高は1,550億ドルと、2006年3月末 (1,264億ドル)から286億ドル、+22.6%の増加となりました。債務項目のうち最も金額が大きかっ たのは、ECB(対外商業借り入れ)の428億ドルで、2位は非居住インド人預金の396億ドル。貿易 信用は189億ドルでした。公的債務は、国際機関向け債務が356億ドル、二国間債務が161億ド ル。また、債務総額に占める短期債務(償還期間1年以下)の割合は7.7%と06年3月期の6.9% より若干拡大しています。 一方、2006年度の国際収支は、貿易収支の赤字が前年度に比べて130億ドルほど拡大したも のの、ソフトウェア・サービスなどを含む貿易外収支の黒字が126億ドル増加して、赤字拡大分 がほぼ帳消しとなり、経常収支は4億ドル程度の赤字拡大で収まりました。また、資本黒字が +90%(219億ドル)の大幅増となり、結果、総合収支は黒字が前年に比べて約215億ドル増加し、 366億ドルを記録しまた。増減比で見ると、実に143%のアップとなりました。 [解説] 2007年3月末の外貨準備高(金、SDRを除く)は1,991億ドルで、対外債務を441億ドル上回っています。また、 短期債務は増加しているものの、総債務に占める割合はまだ1割にも満たず、懸念材料とはなっていません。ちな みに、1997年に起きたアジア通貨危機の際のタイの短期債務比率は45%程度あり、そのかなりの部分がいわゆる ホットマネー(短期のサヤ取り資金)といわれるものでした。インドの場合、対外債務の92.3%が長期で取り入れられ ており、資金繰り面では良好な状態といえます。 産業 上場企業の人件費総額が1兆ルピー超え 労働人口の増加と給与水準の上昇を背景に、インドの上場企業の人件費総額が2007年3 月末時点で1兆ルピーを超えたことが、上場企業が発表した決算資料により明らかになりま した。2006年度(2006年4月∼2007年3月)の人件費総額は前年度(8,500億ルピー)比+35% 増の1兆1,490億ルピー。一方、売上高総額は、前年度(12兆6,735億ルピー)比+13%増の14 兆3,121億ルピーと、人件費の伸び率は売上高のそれを大幅に上回りました。 人件費総額のトップは国営インドステイト銀行で1,060億ルピー。2位はITコンサルティング 最大手、タタ・コンサルタンシー・サービシズの770億ルピー。全体の傾向として、政府系企業 やIT大手が上位を占め、IT業界トップ3の残る2社、インフォシス・テクノロジーズとウィプロは、 それぞれ631億ルピー、577億ルピーを計上しました。 製作・著作 ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社 www.PCAasset.co.jp 掲載記事の無断転載を禁じます。 〔当資料に関しご留意いただきたい事項〕 当資料は、ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社が、インドの政治、経済、文化等にかかる一般的な情報をご紹介するために株式会社インド・ビジネ ス・センターの協力により任意に作成した資料であり、証券取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、特定のファンドへの投資勧誘を目的とした ものではありません。当資料は信頼できると判断される材料を使い、十分な注意を払って作成しておりますが、弊社及び株式会社インド・ビジネス・センター は、その正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたも のであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、弊社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。当資料に記載したコメ ントは、当資料作成時点における当社の見解や予想ですが、今後予告なしに変更することがあります。 2 PCA インド ウィークリー 2007年7月12日号 政治 米原子力空母「ニミッツ」、チェンナイに寄港 米海軍の原子力空母「ニミッツ」が7月2日午前6時45分、タミル・ナドゥ州チェンナイ港の沖合 5キロメートルの地点に停泊しました。船上ではこの日、マルフォード駐印米国大使が出席し て米独立記念日を祝うレセプションが予定されていましたが、強風のため中止されました。そ のため、乗組員4,600人は、はしけで上陸、チェンナイ市内の児童養護施設で催された慈善行 事に参加、市内見物などを楽しみました。タイムズ・オブ・インディア紙によれば、「ニミッツ」停 泊と乗組員接遇でチェンナイにもたらされる経済効果は1日100万ドルに達するとしています。 一方、チェンナイ港の外では、原子力空母の寄港に反対する団体やインド共産党左派 (CPI-M)の代表が、「反人民活動に加わる米艦艇のインド水域への立ち入りを許したインド政 府」を非難する抗議集会を行いました。また、CPI-M政治局は声明を発表、その中で「『ニミッ ツ』のチェンナイ沖停泊は、マンモハン・シン首相率いる統一進歩同盟(UPA)政権が、インドを 米国との軍事同盟に一歩ずつ近づけていることを意味する」として、UPA政権を非難しました。 なお、インド国防省と在印米国大使館は事前に、「ニミッツ」に原子力兵器は搭載されていな いことを発表しましたが、2日、「ニミッツ」の責任者は記者団の質問に対し、原子力兵器の搭 載についてのコメントを拒否、否定も肯定もしませんでした。 社会 ガンディー直筆原稿はインドのもとに ロンドンのオークションハウス、クリスティーズは7月2日、マハトマ・ガンディーの直筆原稿が3 日の競売に出品されないことを発表しました。インド政府は、ガンディー信奉者からの強い求め により、同原稿をインドに取り戻すべく、在英インド大使館を通じてクリスティーズに働きかけて いました。 7ページにわたる直筆原稿は、ガンディーが暗殺される19日前の1948年1月11日、自身が主 宰していた新聞「ハリジャン」紙に宛てて書かれ、同月18日付けの同紙に掲載されたものです。 個人収集家、故アルビン・シュラム氏の「著名人の直筆書簡コレクション」の1つとして7月3日の 競売に出品される予定でしたが、同氏の遺言執行者がインド政府に原稿を譲ることで合意、出 品は急きょ中止されました。クリスティーズ側は、「重要な歴史的文書をインドに戻すための交 渉がスムーズに進んで、嬉しい」とコメントしています。今後、在英インド大使館が原稿の取得 手続について関係者と協議していくことになります。 情報は、インド国内外の情報を総合して掲載しております。 製作・著作 ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社 www.PCAasset.co.jp 掲載記事の無断転載を禁じます。 〔当資料に関しご留意いただきたい事項〕 当資料は、ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社が、インドの政治、経済、文化等にかかる一般的な情報をご紹介するために株式会社インド・ビジネ ス・センターの協力により任意に作成した資料であり、証券取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、特定のファンドへの投資勧誘を目的とした ものではありません。当資料は信頼できると判断される材料を使い、十分な注意を払って作成しておりますが、弊社及び株式会社インド・ビジネス・センター は、その正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたも のであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、弊社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。当資料に記載したコメ ントは、当資料作成時点における当社の見解や予想ですが、今後予告なしに変更することがあります。 3 PCA インド ウィークリー 2007年7月12日号 インド株式ウイークリー・レビュー (7/2∼7/6) 株式会社インド・ビジネス・センター 代表取締役社長 島田 卓 SENSEX初の15,000台突破。海外機関投資家の買い。 SENSEX指数は、前週末14,650.51から週末6日終値で14,964.12と300ポイント以上上昇した。6日 には一時初の15,000ポイント台に到達した。牽引したのは、セメント大手のACC、建設・プラント最 大手のラーセン&トゥブロなど。また、来週から始まる2007年4∼6月決算発表を控えた思惑から、 IT関連にも押し目買いが入った。 海外機関投資家の動きは積極的で、5日連続の買い越し、週間で854.76億ルピーの買い越しと 記録的な数字を出した。中でも海外機関投資家の注目を集めたのは、インドで最大のIPOとなる不 動産最大手DLFの上場で、これは公募価格を約8.5%上回る初値を付けた。 SENSEX指数推移 15,500 15,000 14,500 14,000 13,500 13,000 5/7 (注) 5/14 5/21 5/28 6/4 6% 2% 0% 油 ・ガ ス 耐 久 消 費 財 ケ ア 石 ス 銀 行 ヘ ル IT 金 属 自 動 車 -2% 財 6/18 6/25 7/2 銘柄 リライアンス・インダストリーズ インド石油天然ガス公社 バルティ・エアテル タタ・コンサルタンシー・サービシズ インフォシス・テクノロジーズ リライアンス・コミュニケーションズ ICICI銀行 インドステイト銀行 ウィプロ リミテッド バーラト・ヘビー・エレクトリカルズ 4% 資 本 6/11 断り無き限り、株価はムンバイ証券取引所 SENSEX指数を指す。 産業 石油化学 石油開発 通信 情報技術 情報技術 通信 金融 金融 情報技術 電子部品 騰落率 0.5% -3.2% 3.6% 0.8% 2.2% 6.3% 2.7% 1.6% 0.2% 1.1% 製作・著作 ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社 www.PCAasset.co.jp 掲載記事の無断転載を禁じます。 〔当資料に関しご留意いただきたい事項〕 当資料は、ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社が、インドの政治、経済、文化等にかかる一般的な情報をご紹介するために株式会社インド・ビジネ ス・センターの協力により任意に作成した資料であり、証券取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、特定のファンドへの投資勧誘を目的とした ものではありません。当資料は信頼できると判断される材料を使い、十分な注意を払って作成しておりますが、弊社及び株式会社インド・ビジネス・センター は、その正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたも のであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、弊社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。当資料に記載したコメ ントは、当資料作成時点における当社の見解や予想ですが、今後予告なしに変更することがあります。 4 PCA インド ウィークリー 2007年7月12日号 今週のコラム 現代インド事情 インドNow! ネルー大学日本語学科教授 プレム・モトワニ博士 第126回 困ったものだ、政治家のマッチポンプ 先月、政府が大学教授の定年を62歳から65歳に引き上げることにした。また待遇面でも近々 大幅に見直されることも予定されている。大学に残って研究を続けようという優秀な学生が 急減しているためである。そもそも優秀な学生ほど教職を狙わず、大学よりはるかに待遇の いい多国籍企業を志望する傾向がある上に、大学教員の口は一定の割合で指定カースト・ 指定部族向けの留保制度の一環として留保されているため、優秀な学生が集まりにくくなっ ている。 能力が劣る教員を採用することが誤った政策であるということは政府もよく理解している。 しかし、選挙民の機嫌を取るために「留保枠」を続けてきただけではなく、現在その枠をさら に拡大しようとしている。その一方で、今回の定年引き上げの動きである。定年を引き上げ ることは失業率の高い(10%前後だと言われる)インドでは贅沢だと言わざるを得ないし、こ れがさらに優秀な若い人材を教職から遠ざけることになるに違いない。 真の原因を突き止め、適切な解決策を見出そうとせず、このような機嫌取りに終始する政 治家の「マッチポンプ」には全く困ったものである。 製作・著作 ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社 www.PCAasset.co.jp 掲載記事の無断転載を禁じます。 〔当資料に関しご留意いただきたい事項〕 当資料は、ピーシーエー・アセット・マネジメント株式会社が、インドの政治、経済、文化等にかかる一般的な情報をご紹介するために株式会社インド・ビジネ ス・センターの協力により任意に作成した資料であり、証券取引法に基づく開示資料ではありません。当資料は、特定のファンドへの投資勧誘を目的とした ものではありません。当資料は信頼できると判断される材料を使い、十分な注意を払って作成しておりますが、弊社及び株式会社インド・ビジネス・センター は、その正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたも のであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、弊社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。当資料に記載したコメ ントは、当資料作成時点における当社の見解や予想ですが、今後予告なしに変更することがあります。 5
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