74期 報告書

証券コード 6246
第74期
報 告 書
平成19年4月1日から平成20年3月31日まで
井上金属工業株式会社
「塗る」
「乾燥する」で
経 営 理 念
モノづくりの新たな可能性を切り拓く
『INOKIN』
真心をこめて一流の製品を作り、お得意
誠 実
様の発展と地域社会への貢献ならびに
我々社員の幸せの為に献身しよう。
INOKIN の手がける塗工機・乾燥機はなぜ優れ
ているのか? それは、お客様のニーズを的確に
行 動
全社員の英知と総力を結集し世界的
な会社の創造に邁進しよう。
読み取り、具現化する力に長けているからです。
当社は、独自の塗工・乾燥技術と最新鋭の設備、
優秀な人材を駆使し、お客様の期待のさらに上
常に開拓者精神を培い、いかなる時勢
転 回
の試練にも冷静かつ進取不屈の精神
で事業永遠の繁栄に努力しよう。
をいく製品をお届けいたします。
準クリーン組立工場 完成
現滋賀工場内に第三組立工場(延床面積2,400m2)が完成し、
昨年10月より稼動しました。新工場稼動により滋賀県内の2つ
の分工場を閉鎖し、集約することで25%以上の生産能力向上が
期待されます。
工場内は、微細なほこりを排除する準クリーン環境を実現しま
した。納入先の光学フイルム生産のクリーン環境に対応するため、
一昨年完成のクリーンコーター実験機に続き、新工場を準クリー
ン工場として稼動し、営業展開したいと考えています。
1
株主の皆様へ
株主の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申しあげます。
当社第 74 期(平成 19 年4月1日から平成 20 年3月 31 日まで)の事業の概況に
つきましてご報告申しあげます。
昨年、米国で低所得者向けのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融
機関の信用不安や株価下落の傾向は、現在も世界経済に深刻な影響を及ぼし続けて
おります。さらに、米国を始め国内の個人消費の落ち込みにより、景気の後退が懸
念される状況になりました。これらの影響を受け、わが国経済は、原油価格の高騰
を筆頭に産業資材、穀物、食品価格の値上げなど、景気回復に対して様々な逆風が
吹いております。
一方、液晶およびプラズマテレビ向け、光学フイルム用製造装置における設備投
資意欲は、漸く手応えが感じられるようになってきました。
このような状況下で当社は、昨年9月に2,400㎡の準クリーンレベルの組立工場を、
当社滋賀工場敷地内に新築し、生産能力の向上が 25%以上期待できるように対応い
たしました。また、自動車の内装、携帯電話の外装および家電製品などの装飾分野
への機能性フイルムも徐々に受注を伸ばしております。
次に、研究開発分野におきましては、二酸化炭素削減など環境問題にテーマを置
いた太陽光発電、風力発電、ハイブリッドカー、電気自動車における二次電池向け
電極製造装置や有機ELなど新規分野への研究開発投資をしてまいります。
また、新規開拓分野におきましては、当社の川上に位置するフイルム製造装置の
中で、今後の製品であるフイルムに特殊な特性を持たせるために必要な同時二軸延
伸装置に関し、総合商社の丸紅㈱とフランスの DMT 社と業務提携いたしました。年
内を目途に当社滋賀工場内に新たなテスト機を設置し、光学系フイルムや特殊な機
能性フイルムメーカー向け機器分野への開拓を行う予定であります。塗工技術だけ
ではなく、塗工基材になるフイルムの製造に対しても、技術開発の目を向けていく
方針であります。
株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよ
うよろしくお願い申しあげます。
平成 20 年6月
2
事業紹介
1 薄型表示部品関連機器
5 化工機器
液晶・プラズマ用表示装置に代表される光学用途
フイルム塗工装置および関連する乾燥・熱処理装置。
高機能性繊維・不織布関連の製造装置および乾燥・熱処理装
置ならびに関連する付属機器。ポリマー樹脂等化工品の乾燥・
熱処理装置。各種エンプラフイルム用製膜関連製造装置。
2 機能性紙・フイルム関連塗工機器
6 その他
一般産業資材用の紙・フイルム用塗工装置および
関連する乾燥熱処理装置。
各種関連機器の部品製造ならびに改造・修理。
機械別売上高構成比率
3 電子部品関連塗工機器
半導体、FPC等電子部品関連用塗工装置および
4 二次電池用
■
5 化工機器 0.3%
■
6 その他 1.2%
■
関連機器 5.2%
関連する乾燥・熱処理装置。
3 電子部品関連
■
塗工機器 6.5%
4 二次電池用関連機器
二次電池用塗工装置および関連する乾燥・熱処理
装置。塗工機以外の二次電池用製造装置および関
連機器。
1 薄型表示部品
■
関連機器 56.3%
2 機能性紙・フイルム
■
関連塗工機器 30.5%
■ 液晶技術のご紹介
偏光板・反射防止フ
イルム・TACフイル
ム・PVAフイルムの
製造ラインに当社製
品が組み込まれてい
ます 。
(当社売上高
構成比 約56%)
偏光板
PVAフイルム カラーフィルター
反射防止フイルム
TACフイルム
ガラス基板
配向膜
液晶層
着色レジスト
偏光板
ガラス基板
バックライト
偏光板(偏光フイルム)/特定の振動方向の光だけを通過させ、他の光を遮断させる。
反射防止フイルム/反射防止層による光干渉を利用して画面の表面反射・映り込みを抑え、反射光を低減する効果を持つ。
TACフイルム
(偏光膜保護フイルム)/不燃性・透明性・電気絶縁性などに優れ、偏光板の保護膜として使用される。
PVAフイルム
(偏光膜)/光を当てると揃った分子軸方向の光を吸収し、直角方向だけの光を透過する光シャッター機能を持つ。
3
■ 主力製品のご紹介
INVEXクリーンパイロットコーター
当社の開発技術力で「オーダーメイドの塗工機械」
を提供します。
コーターの選定は、お客様が計画される塗工条件
に応じた塗工テストを行ったうえで決定します。
INVEXクリーンパイロットコーターは、
クリーン度
クラス100対応のクリーンコーターです。各種の
カセットチェンジ式の塗工ヘッドを備え、薄塗り
から厚塗りまで可能な最新鋭のマルチテストコー
ターです。
INVEXクリーンパイロットコーターラインナップ
PICK UP
●
デジタルコーター
ナノコーター
● VCDコーター
● ダイコーター
(CED・ULTRA DIE)
● FKGコーター
● マイクロバーコーター
● 各種グラビアコーター
新コーティング技術 INVEXデジタルコーター
●
デジタルコーターは、印刷分野でプリンターヘッドとして多く採用さ
れているインクジェット技術をコーティングに応用した装置です。
従来のコーターでは困難な薄膜塗工や任意パターン塗工が可能に
なりました。新しい分野での用途開発、塗布液開発に利用でき、今後
のコーティング業界に新たなステージを提供していきます。
上記コーターは「カセットチェンジ方式」を採用しており目的に
より交換することができます。
任意パターン塗工 デジタル画像処理によるパターン処理
基材速度〔m/min〕
500
VCD
コーター
100
ダイコーター
マイクロ
バーコーター
FKGコーター
ナノコーター
10
1
デジタル
コーター
1
10
100
1,000
塗工量〔g/m2 wet〕
全面連続塗工
任意パターン塗工
印刷とコーティングの違い
印刷……………視覚的な精細性が必要
コーティング…機能性を重視(均質性と定量的な精度が必要)
4
技術開発
■「ファインテック・ジャパン」に出展
「第18回ファインテック・ジャパン(フラットパネルディスプレイ研究
開発・製造技術展)」が平成20年4月16日から3日間東京ビッグサイト
で開催され、当社も出展いたしました。期間中の来場者は5万人近くに
のぼり当社ブースにも数多くの方にご来場いただきました。
■ 丸紅(株)
、
フランスDMT社と
「同時二軸延伸装置」の業務提携
当社は、今年に丸紅㈱、フランスDMT社と業務提携をいたします。
この業務提携の「同時二軸延伸装置」は、フイルムを縦・横同時に延伸
する工程で、従来のロール式の縦延伸工程をなくすことにより、フイルム
に細かい傷がつかないようにして、品質向上が可能となります。
新装置は、クリップでフイルムをつかむ手法で縦方向と横方向に同時に
延伸することにより品質を向上させます。当社は、加熱・
冷却工程部分を担当し、DMT社がクリップやレールなど
クリップで
フイルムをつかむ
クリップの
移動方向
ます。
5
冷却
加熱
準備
フ
イ
ル
ム
樹
脂
巻
き
取
り
クリップの
移動方向
同時二軸延伸装置のイメージ図
多数のクリップがついたチェーン
加熱
の延伸装置を担当します。
フイルム塗工乾燥貼合装置に加えた新しい装置であり
チェーンでクリップ
を引っ張り延伸
加熱
準備
プレヒート
ゾーン
延伸ゾーン
加熱
冷却
ヒートセット 冷 却
ゾーン
ゾーン
財務ハイライト
売上高・輸出売上高
営業利益・営業利益率
(百万円)
25,000
売上高 (百万円)
4,000
輸出売上高
20,000
営業利益 営業利益率(%)
20.0
3,000
15.0
2,000
10.0
1,000
5.0
15,000
10,000
5,000
0
0
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
期 末
期 末
期 末
期 末
期 末
当期純利益・1株当たり当期純利益
(百万円)
4,000
200
150
2,000
100
1,000
50
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
期 末
期 末
期 末
期 末
期 末
受注高
(百万円)
25,000
0
(百万円)
10,000
純資産額 自己資本比率(%)
50.0
8,000
40.0
6,000
30.0
4,000
20.0
2,000
10.0
0
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
期 末
期 末
期 末
期 末
期 末
0.0
受注残高
受注高
(百万円)
25,000
20,000
20,000
15,000
15,000
10,000
10,000
5,000
5,000
0
0.0
純資産額・自己資本比率
当期純利益 1株当たり当期純利益 (円)
3,000
0
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
期 末
期 末
期 末
期 末
期 末
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
期 末
期 末
期 末
期 末
期 末
0
受注残高
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
期 末
期 末
期 末
期 末
期 末
6
財務諸表
貸借対照表 (平成 20 年 3 月 31 日現在)
科 目
(単位:千円)
金 額
資産の部
流動資産
科 目
負債の部
10,769,457
流動負債
7,361,471
現金及び預金
1,711,442
支払手形
受取手形
2,666,105
買掛金
888,843
売掛金
4,873,248
一年以内償還予定の社債
220,000
棚卸資産
1,297,148
短期借入金
824,256
未払法人税等
129,453
その他
固定資産
有形固定資産
建物
機械及び装置
土地
その他
無形固定資産
221,512
5,285,377
前受金
1,437,630
その他
461,564
固定負債
284,528
1,103,860
再評価に係る繰延税金負債
627,650
退職給付引当金
534,662
427,494
1,836,929
201,705
55,668
投資有価証券
1,221,505
その他
負債合計
85,264
8,893,576
純資産の部
株主資本
資本金
6,078,919
1,003,125
456,713
資本剰余金
515,858
△ 18,500
利益剰余金
4,574,824
自己株式
△ 14,888
評価・換算差額等
1,082,338
その他有価証券評価差額金
土地再評価差額金
純資産合計
資産合計
1,532,105
長期借入金
1,659,719
貸倒引当金
3,399,724
3,569,989
投資その他の資産
その他
7
金 額
16,054,834
負債・純資産合計
137,735
944,602
7,161,257
16,054,834
損益計算書 (平成 19 年 4 月 1 日から平成 20 年 3 月 31 日まで)
科 目
(単位:千円)
金 額
構成比(%)
構成比(%)
金 額
当 期
前 期
100.0
20,693,335
100.0
13,391,736
82.6
16,801,477
81.2
益
2,812,460
17.4
3,891,858
18.8
販 売 費 及 び 一 般 管 理 費
799,108
5.0
738,921
3.6
益
2,013,351
12.4
3,152,936
15.2
収
益
60,390
0.4
70,366
0.3
費
用
40,088
0.2
53,978
0.3
益
2,033,654
12.6
3,169,324
15.2
売
上
売
上
売
上
営
原
総
利
業
利
営
業
外
営
業
外
経
常
利
高
16,204,196
価
特
別
利
益
2,622
0.0
90
0.0
特
別
損
失
45,366
0.3
8,978
0.0
益
1,990,910
12.3
3,160,437
15.2
法 人 税 、住 民 税 及 び 事 業 税
793,646
1,313,390
額
39,168
△ 20,524
益
1,158,095
税
引
法
前
人
当
期
当
期
税
等
純
純
利
調
整
利
7.1
9.0
1,867,571
株主資本等変動計算書 (平成 19 年 4 月 1 日から平成 20 年 3 月 31 日まで)
(単位:千円)
株 主 資 本
株主資本合計
評価・換算
差額等
純資産合計
△ 12,129
5,128,868
1,376,834
6,505,703
△ 205,285
―
△ 205,285
―
△ 205,285
―
1,158,095
―
1,158,095
―
1,158,095
―
―
―
△ 2,758
△ 2,758
―
△ 2,758
株主資本以外の項目の
事業年度中の変動額(純額)
―
―
―
―
―
△ 294,496
△ 294,496
事業年度中の変動額合計
―
―
952,809
△ 2,758
950,051
△ 294,496
655,554
1,003,125
515,858
4,574,824
△ 14,888
6,078,919
1,082,338
7,161,257
資本金
資本剰余金
利益剰余金
1,003,125
515,858
3,622,014
剰余金の配当
―
―
当期純利益
―
自己株式の取得
平成19年3月31日残高
平成20年3月31日残高
自己株式
8
株式の状況
(平成 20 年 3 月 31 日現在)
発行可能株式総数
25,000,000株
発行済株式の総数
10,821,720株
株主数
1,373名
所有者別株式分布
所有数別株式分布
金融機関
22.87%
個人・その他
47.01%
1,000株未満
0.22%
1,000株以上
15.60%
5,000株以上
6.41%
証券会社
5.30%
外国人
6.40%
その他国内法人
18.42%
500,000株以上
7.68%
10,000株以上
9.70%
50,000株以上
11.15%
100,000株以上
49.24%
当社株価と出来高
(株)
3,000,000
2,500,000
(円)
3,000
出 来 高(月間)
2,500
当社株価(月間終値)
2,000,000
2,000
1,500,000
1,500
1,000,000
1,000
500,000
0
H15.3
9
500
H15.9
H16.3
H16.9
H17.3
H17.9
H18.3
H18.9
H19.3
H19.9
0
H20.3(年/月)
会社概要
(平成 20 年 3 月 31 日現在)
社 名
井上金属工業株式会社
役員(平成 20 年 6 月 25 日現在)
創 業
1912年6月15日
資 本 金
10億312万円
本社所在地
〒541-0056
大阪市中央区久太郎町二丁目5番28号
久太郎町恒和ビル2階
取 締 役 会 長
神 田 喜代藏
代表取締役社長
高 橋 進
専 務 取 締 役
中 川 昌 宏
常 務 取 締 役
宮 澤 洋 聴
電 話
06-6253-7200㈹
従 業 員 数
254名
上場取引所
大阪証券取引所 第2部
取 締 役
松 木 九 郎
証 券 コ ード
6246
取 締 役
森 重 司
事 業 所
東京支店(東京都中央区)
取 締 役
高 橋 史 郎
常 勤 監 査 役
広 瀬 浩 次
監 査 役
桜 井 征三郎
監 査 役
工 藤 隆 幸
滋賀工場(滋賀県野洲市)
滋賀工場
ホームページ
大阪本社
東京支店
http://www.inokin.co.jp
当社ホームページではIR情報、製品情報
など最新の情報がご覧いただけます。
どうぞご利用ください。
10
株主メモ
事
業
年
度
毎年4月1日から翌年3月31日まで
定時株主総会
6月
基 準 日
定時株主総会の議決権 3月31日
期 末 配 当 3月31日
中 間 配 当 9月30日
*その他必要がある場合は、
あらかじめ公告する一定の日
単 元 株 式 数
1,000株
株主名簿管理人
株式会社だいこう証券ビジネス
同事務取扱場所
〒541-8583 大阪市中央区北浜二丁目4番6号
株式会社だいこう証券ビジネス 本社証券代行部
(各種お問い合せ)
電話 0120-255-100
*株式関係のお手続き用紙のご請求は次の電話番号および
インターネットで24時間承っております。
手続き用紙請求電話 0120-351-465
インターネットホームページ http://daiko-sb.co.jp
同 取 次 所
株式会社だいこう証券ビジネス 各支社
公 告 方 法
日本経済新聞に掲載する
INOUE KINZOKU KOGYO CO., LTD.
この報告書は、環境に
配慮し、大豆油インキ
を使用しております。
この報告書はユニバーサルデザイン
(UD)書体を使用し、弱視・老眼
等視力の低下にお悩みの方にも
見やすいよう配慮をしています。