平成17年度 外因性内分泌かく乱化学物質調査結果について - 岡山市

平成17
平成17年度
17年度 外因性内分泌かく
外因性内分泌かく乱化学物質調査結果
かく乱化学物質調査結果について
乱化学物質調査結果について
1 調査の
調査の目的
人や野生生物の内分泌作用をかく乱し、生殖機能阻害、発ガン作用を引き起こす可能性のある
外因性内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)による環境汚染は、科学的には未解明な
点が多く残されているものの、世代を越えた深刻な影響をもたらす恐れがあることから環境保全上
の重要課題となっている。
岡山市では、水環境における外因性内分泌かく乱化学物質の存在状況を把握し、今後の適切な対
応策の検討に資することを目的とし、平成11年度から調査を開始し、平成17年度においても、継続
調査を実施した。
2 調査対象河川及び
調査対象河川及び調査期日等
河川水質について、足守川、笹ヶ瀬川、妹尾川及び砂川を対象に、図1に示す6地点で調査を
実施した。
河川名
調査地点名
調査年月日
調査項目
調査区分
葵橋
足守川
高塚橋
入江橋
(表1)
平成17年11月29日 30物質群
笹ケ瀬川
比丘尼橋
妹尾川
国道30号線下
砂 川
舟橋
水質(1回)
3 調査対象物質(
調査対象物質(詳細は
詳細は表1)
内分泌かく乱作用が疑われている30物質群を調査した。
4 調査結果(
調査結果(詳細は
詳細は表2)
調査を実施した30物質群のうち、次の3物質が検出された。
岡山市調査結果
(参考) 岡山県調査結果
(参考) 全国調査結果
単位
検出頻度
検出範囲
検出頻度
ポリ塩化ビフェニール類
ng/ç
6/6
0.01~0.40
3/23
N.D.~0.3
54/75
N.D.~63
ビスフェノールA
µ g/ç
2/6
N.D.~0.02
8/23
N.D.~0.16
52/75
N.D.~0.40
ベンゾフェノン
µ g/ç
1/6
N.D.~0.07
7/23
N.D.~0.026
13/75
N.D.~0.06
物質名
検出範囲
検出頻度
検出範囲
※「N.D.」とは、検出限界値未満を示す。
※ 岡山県の調査日:平成16年10月7日~平成16年11月10日
※「全国調査結果」とは、環境省が実施した「平成15年度内分泌攪乱化学物質における環境実態調査」
における結果。
※
µg
※ ng
: マイクログラム、 0.000001g
100万分の1グラム
: ナノグラム、 0.000000001g
10億分の1グラム
5 岡山市環境保全審査会・
岡山市環境保全審査会・公害対策検討専門部会による
公害対策検討専門部会による評価
による評価
今回の調査において検出された3物質については全国調査結果においても検出割合の高かった物質
であり、また、濃度レベルにおいても、今までの調査結果とほぼ同じレベルであり、全国調査結果の
範囲内または同レベルである。
今後の調査については、平成17年3月に環境省が策定した「化学物質の内分泌かく乱作用に関す
る環境省の今後の対応方針について
-ExTEND2005-」の内容等も加味し、環境省、岡山県等の動向
を踏まえながら、過去の調査で検出された物質を中心に調査を行う必要がある。
○ 調査地点ごとの検出状況(平成15年度~平成17年度)
葵橋(足守川)
(単位 : µ g/ç、 ※ ポリ塩化ビフェニール類の単位 ng/ç)
平成15年度
全て検出されず
平成16年度
ビスフェノールA:0.02
平成17年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.01
高塚橋(足守川)
平成15年度
全て検出されず
平成16年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.07
平成17年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.02
入江橋(足守川)
平成15年度
全て検出されず
平成16年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.02
ビスフェノールA:0.01
平成17年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.03
比丘尼橋(笹ヶ瀬川)
平成15年度
メソミル:0.07
平成16年度
平成17年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.11
ポリ塩化ビフェニール類:0.10
ビスフェノールA:0.01
ビスフェノールA:0.01
国道30号線下(妹尾川)
(※平成15,16年度は第一内尾橋りょう下で調査)
平成15年度
平成16年度
平成17年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.05
ポリ塩化ビフェニール類:0.18
ポリ塩化ビフェニール類:0.40
4-t-ブチルフェノール:0.01
ビスフェノールA:0.15
ノニルフェノール:0.10
4-t-オクチルフェノール:0.01
ノニルフェノール:0.12
ビスフェノールA:0.01
ビスフェノールA:0.02
ベンゾフェノン:0.07
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル:0.4
舟橋(砂川)
平成15年度
-
平成16年度
-
平成17年度
ポリ塩化ビフェニール類:0.02
6 今後の
今後の対応について
対応について
今後とも環境省、岡山県等の動向を踏まえながら、過去の調査で検出された物質を中心に調査を行
い、データを蓄積することにより実態把握に努める。
(参考)
参考)
・分析方法 : 「外因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル(水質、底質、水生生物)
」
(平成10年10月環境庁水質保全局水質規制課)
・分析機関 : 中外テクノス株式会社
表-1
平成17年度調査対象物質一覧
No.
SPEED'98
調
査
対
象
物
質
用
途
1
2
ポリ塩化ビフェニール類(1塩化物~10塩化物)
熱媒体、ノンカーボン紙、電気製品
2
4
ヘキサクロロベンゼン
殺菌剤、有機合成原料
3
7
2,4ジクロロフェノキシ酢酸
除草剤
4
11
CAT
除草剤
5
12
ヘキサクロロシクロヘキサン
殺虫剤
6
13
NAC(カルバリル)
殺虫剤
7
14
クロルデン
殺虫剤
8
18
DDT
殺虫剤
9
20
ケルセン
殺ダニ剤
10
27
マラチオン
殺虫剤
11
28
メソミル
殺虫剤
12
33
トリブチルスズ
船底塗料や漁網の防汚剤
13
34
トリフェニルスズ
船底塗料や漁網の防汚剤
14
35
トリフルラリン
除草剤
15
36
アルキルフェノール類(C4)
界面活性剤の原料、分解生成物
アルキルフェノール類( C 5 ~ C 9 )
界面活性剤の原料、分解生成物
4-オクチルフェノール
界面活性剤の原料、分解生成物
ノニルフェノール
16
37
ビスフェノールA
樹脂の原料
17
38
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)
プラスチックの可塑剤
18
39
フタル酸ブチルベンジル (BBP)
プラスチックの可塑剤
19
40
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
プラスチックの可塑剤
20
41
フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)
プラスチックの可塑剤
21
42
フタル酸ジエチル(DEP)
プラスチックの可塑剤
22
43
ベンゾ(α)ピレン
(非意図的生成化学物質)
23
45
アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル
プラスチックの可塑剤
24
46
ベンゾフェノン
医療品合成原料、保香剤、紫外線吸収剤
25
52
マンゼブ(マンコゼブ)
殺菌剤
26
59
ペルメトリン
殺虫剤
27
61
ジネブ
殺菌剤
28
62
ジラム
殺菌剤
29
-
17- β-エストラジオール
人畜由来の女性ホルモン
30
-
エチニルエストラジオール
経口避妊薬
備考①SPEED'98とは、「外因性内分泌撹乱化学物質問題への環境庁の対応方針について-環境ホル
モン戦略計画SPEED'98」(環境庁、平成10年5月)
表-2 平成17年度外因性内分泌かく乱化学物質調査結果(H17.11.29)
(単位:μg/L ※ ポリ塩化ビフェニール類の単位:ng/L)
笹ヶ瀬川水域
No. SPEED
'98
物 質 名
足守川
葵橋
高塚橋
倉敷川水域 旭川水域
笹ヶ瀬川
妹尾川
入江橋 比丘尼橋 国道30号線下
砂川
検出
下限値
舟橋
1
2
ポリ塩化ビフェニール類(1塩化物~10塩化物)
0.01
0.02
0.03
0.10
0.40
0.01
0.01
2
4
ヘキサクロロベンゼン
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
3
7
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
4
11
CAT
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
5
12
ヘキサクロロシクロヘキサン
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
6
13
NAC(カルバリル)
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
7
14
クロルデン
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
8
18
DDT
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
9
20
ケルセン
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
10
27
マラチオン
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
11
28
メソミル
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
12
33
トリブチルスズ
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.002
13
34
トリフェニルスズ
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.001
14
35
トリフルラリン
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.05
15
36
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.01
0.02
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.07
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.01
0.01
0.01
0.01
0.01
0.05
0.01
0.01
0.01
0.3
0.1
0.3
0.1
0.1
0.01
0.01
0.01
0.2
0.05
0.2
16
37
17
38
18
39
19
40
20
41
21
42
22
43
23
45
24
46
25
52
26
59
27
61
アルキルフェノール類(C5~C9)
4-t-ブチルフェノール
4-n-ブチルフェノール
4-n-ペンチルフェノール
4-n-ヘキシルフェノール
4-n-ヘプチルフェノール
ノニルフェノール
4-t-オクチルフェノール
4-n-オクチルフェノール
ビスフェノールA
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)
フタル酸ジエチル(DEP)
ベンゾ(a)ピレン
アジピン酸ジ-2ーエチルヘキシル
ベンゾフェノン
マンゼブ(マンコゼブ)
ペルメトリン
ジネブ
28
62
ジラム
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.2
29
-
17-β-エストラジオール
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.001
30
-
エチニルエストラジオール
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
0.001
N.D. :
検出下限値未満
表-3
水質(河川)検出頻度及び検出範囲(平成17年度)
(単位:μg/L ※ ポリ塩化ビフェニール類の単位:ng/L)
岡山市調査結果(*1)
No. SPEED
物 質 名
98
検出
頻度
検出
範囲
検出
下限値
岡山県調査結果(*2)
全国調査結果(*3)
検出
頻度
検出
範囲
検出
頻度
検出
範囲
54/75
N.D.~63
1
2
ポリ塩化ビフェニール類
6/6
0.01~0.40
0.01
3/23
N.D.~0.3
3
6
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸
0/6
N.D.
0.05
4/23
N.D.~0.03
4
11
CAT
0/6
N.D.
0.05
3/23
N.D.~0.01
5
13
NAC(カルバリル)
0/6
N.D.
0.05
3/23
N.D.~0.04
6
27
マラチオン
0/6
N.D.
0.05
0/23
N.D.
12
33
トリブチルスズ
0/6
N.D.
0.002
0/23
N.D.
13/75
N.D.~0.005
13
34
トリフェニルスズ
0/6
N.D.
0.001
0/23
N.D.
0/75
N.D.
14
35
トリフルラリン
0/6
N.D.
0.05
0/23
N.D.
15
36
アルキルフェノール類(C5~C9)
4-t-ブチルフェノール
0/6
N.D.
0.01
16/75
N.D.~1.9
4-n-ブチルフェノール
0/6
N.D.
0.01
4-n-ペンチルフェノール
0/6
N.D.
0.01
4-n-ヘキシルフェノール
0/6
N.D.
0.01
4-n-ヘプチルフェノール
0/6
N.D.
0.01
ノニルフェノール
0/6
N.D.
0.05
5/23
N.D.~0.07
25/75
N.D.~2.9
4-t-オクチルフェノール
0/6
N.D.
0.01
0/23
N.D.
33/75
N.D.~0.47
4-n-オクチルフェノール
0/6
N.D.
0.01
16
37
ビスフェノールA
2/6
N.D.~0.02
0.01
8/23
N.D.~0.16
52/75
N.D.~0.40
17
38
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)
0/6
N.D.
0.3
7/23
N.D.~1.4
33/75
N.D.~9.1
18
39
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
0/6
N.D.
0.1
0/23
N.D.
19
40
フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
0/6
N.D.
0.3
2/23
N.D.~2.0
4/75
N.D.~0.5
20
41
フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)
0/6
N.D.
0.1
0/23
N.D.
21
42
フタル酸ジエチル(DEP)
0/6
N.D.
0.1
0/23
N.D.
3/75
N.D.~0.2
22
43
ベンゾ(a)ピレン
0/6
N.D.
0.01
0/23
N.D.
2/75
N.D.~0.02
23
45
アジピン酸ジ-2ーエチルヘキシル
0/6
N.D.
0.01
0/23
N.D.
0/75
N.D.
24
46
ベンゾフェノン
1/6
N.D.~0.07
0.01
7/23
N.D.~0.026
13/75
N.D.~0.06
29
-
17-β-エストラジオール
0/6
N.D.
0.001
3/23
N.D.~0.001
54/75 N.D.~0.0069
30
-
エチニルエストラジオール
0/6
N.D.
0.001
0/23
N.D.
*1 調査日 平成17年11月29日
*2 調査日 平成16年10月7日~11月10日
*3 平成15年度内分泌攪乱化学物質における環境実態調査結果 (平成16年12月 環境省)
8/75
N.D.~0.0065
図 1
平成17年度 外因性内分泌かく乱化学物質 調査地点
凡例
岡山市調査地点
県
岡山県調査地点
足
葵橋
笹
ヶ
守
高塚橋
旭
県
砂
乙井手堰
比丘尼橋
川
百
新橋
県
井
川
入江橋
川
川
県
引舟橋
間
今保通学橋
県
相生橋
川
県
笹ヶ瀬橋
川
県
国道30号線下
県
倉
敷 倉敷川橋
613
606
県
川
吉
舟橋
瀬
湖心
607