講義内容の詳細

日本語日本文学専攻 開講科目概要
●印の科目は各年度とも、前期開講の1と後期開講の2(いずれも2単位)に分かれています。
○印の科目は各年度とも、前期のみ又は後期のみの開講(いずれも2単位)です。
●日本語学特殊講義Ⅰ(偶数年度開講)
日本語の文法にかかる個別的な問題について、古代語・現代語を問わず、深く掘り下げて
考察していきます。これまでに取り上げたテーマは、「主語・主題・主格」「『は』と『が』」
「文の分類」「疑問表現」などです。
●日本語学特殊講義Ⅱ(奇数年度開講)
Ⅱ-1では、現代の全国共通語(標準語)がいかにして成立したかを江戸時代から明治大
正時代を通して考察します。
標準語を作らねば、欧米列強に負けてしまうという気持ちは明治政府が強く感じていたこ
とで、それにより教育を普及させて、産業を発展させようという意欲を持っていました。し
かし、実際には江戸時代から続く言葉を整理・淘汰して標準語に近い言葉というものが、明
治時代の階層社会を元に自然に形成されていったというのが、実情でした。さらに、江戸後
期の社会においてその原型となる言葉がかなりできあがっていたということも事実です。
そのような標準語(全国共通語)というものがいかにしてできあがっていったかを、幕末
期の資料など参考にしながら考えてゆきます。
Ⅱ-2では、方言研究の歴史と方法について学んでゆきます。
方言が研究の対象となったのは明治期からです。それ以前はもの慰みや興味の対象として
の記述しか見受けられません。
いかにして方言研究が始まったか、どのように展開していったか、現在の研究方法にはど
のようなものがあるか、それらについて順次、見てゆきます。
明治期の方言研究はその動機が標準語を造るために全国の方言を広く集めて、その中から
言葉を選んでゆこうという考えでした。しかし、明治末頃にはすでに共通語らしきものが出
来上がっていたというのが事実です。それ以降は、大規模に行われた全国調査をもとにして
の「方言を方言としてとらえ」て、その記述、その自律的な変化、全国規模での比較などに
研究が移っていきました。また、戦後は国立国語研究所の設立もあり、さらに研究の進展が
見られました。そのような方言研究の進展と今後の課題について考えてゆきます。
●日本語学特殊講義Ⅲ(偶数年度開講)・Ⅳ(奇数年度開講)
古代から近代の文献について、主に語彙研究・表記研究の面から言語史資料としての価値
を確認しつつ、研究上の新たな問題の設定とその解決の手がかりを探ります。
日本語史の資料とされる文献は後代の私たちに当時のことばを伝えようとして記された
ものではありません。どのような目的で、誰が読むことを想定して記されたのかを明らかに
した上でなければ、史的変化の証拠として用いることはできません。年によって対象とする
文献(群)は異なりますが、1(前期)においては当該文献の研究史上の価値と課題を確認
することを主とし、2(後期)においては、先行研究を踏まえて各々が見つけ出した課題に
関する調査発表を主とします。近年はキリシタン資料・抄物・『かたこと』等を、主な対象
としています。
●日本語史特殊講義(奇数年度開講)
古代から現代へと続く日本語の歴史を、テーマをしぼって検討・考察していきます。日本
語の歴史にかかる事実、および、研究成果は膨大なものですが、授業では「文字」「文章」
「音韻」「語彙」の問題を論点の中心にします。
●日本文法特殊講義(奇数年度開講)
日本語の構文において重要な役割を担っている「係助詞」について考察します。係助詞の
研究は、我が国の文法研究の初期段階から問題とされてきたテーマであり、日本語のさまざ
まな問題に、広く、深く関わっています。古代語・現代語の文法を考える上で欠くことので
きないものが「係助詞」であることを学んでいきます。
●日本語学史特殊講義(奇数年度開講)
歴史的に見て日本語研究が如何に行われてきたか。研究とは言えないその萌芽的な時代
から江戸時代までの、西洋近代の手法による研究が起こる明治以前の日本独自のもしくは
中国の影響を受けた日本語研究について見てゆきます。
西洋近代以前の東洋の中の日本においてどのような研究が進展してきたか、和歌の権威
であった藤原定家の定家仮名遣いをはじめ、行阿仮名遣い、契沖仮名遣いなどに見るとお
り、仮名遣いは発音が変化することが分かっていなかった時代には大きな問題であり、そ
れをめぐって、多くの識者が疑問と解決方法を投げかけてきました。仏書・悉曇学・漢学・
歌学の研究とあいまって日本語論・言語学的考え方が芽生えてきたのです。
ここに日本語研究の大いなる進展がありました。こうしたことを資料をたどりながら見
てゆきます。
●日本語学特別演習Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
「文法」「文体」「表現」「語彙」など、さまざまな研究論文を読み、その記述から先
行研究の動向を知るとともに、問題点を発見し、その解決の道を探っていきます。研究の
良し悪しを見抜く「審美眼」と、問題意識の向上、問題解決能力の養成が目的です。
●日本語学特別演習Ⅲ(奇数年度開講)・Ⅳ(偶数年度開講)
中世から近代の日本語における言語変化を対象とした先行の論考と著書を精読し、論証
の組み立てと現在の研究水準を確認します。併せて、研究史上において、定説とされてき
た考え方が転換していった事例から、新資料の発掘や新しい概念の導入がどのように研究
を進展させてきたかを学びます。個々の受講生が、それらの知見を援用しつつ、自らの論
考を構成・執筆できるようになることを目的とします。概ね、Ⅲにおいては表記法に関わ
る内容を、Ⅳにおいては、語彙に関わる内容を取り上げる予定です。
●日本文学特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
日本古代文学から和歌ないし漢詩文をとりあげ、受講生の問題意識に関連する研究論文
を収集し、それらに批判を加えながら、今日的な研究上の問題点を探ります。
周知のように、原始日本人は文字をもっておらず、中国から漢字がもたらされてからは
その文字を巧みに利用しながら表現の幅を広げていきました。古代文学の研究において
は、中国文学との比較文学的視点を欠くことはできません。2007 年度は新撰萬葉集を、2008
年度は古今集を、2009 年度以降は萬葉集を取り上げ、和漢比較の立場から分析を加えてい
ます。
●日本文学特殊講義Ⅲ(奇数年度開講)・Ⅳ(偶数年度開講)
学部で学んできた事柄を前提に、近代文学の領域でより発展的に研究を進めるための手
法、必要となる知識を学んでいきます。個人主体としての<作者>・それによって担われる
ところのオリジナルの<作品>という概念が確立し、文明の発展、種々の思想の流入・樹立
などによって文字通り<世界>の拡充を見た近代の文学を研究するにあたっては、何よりも
まず研究者がその対象(作品・テクスト)に深く沈潜してその内部<世界>を改めて分析・
再構築することが必須であると同時に、広い意味で影響圏にあるであろう内外の種々の文
献、状況についても概要を把握・調査を行う必要が出てきます。
基本的に1(前期)では近代文学史上の重要な位置を占める作品もしくはそれらに言及
した研究書を取り上げ、講読・演習形式で進めていき、2(後期)においては受講者各人
が選定した対象・テーマについての発表に対して、総員で検討を加えるという授業形態を
考えていますが、受講者の人数や学年の構成・専門領域の分布によっては、例えば前述二
つのプログラムを前期から平行で進めていくなど、適宜変更することもありえます。
●日本文学特殊講義Ⅶ(奇数年度開講)・Ⅷ(偶数年度開講)
主に中世後期(南北朝以降)から近世初期の文芸作品をとりあげ、作品を読み進めなが
ら、その成立の背景や形成の基盤となる知識・教養を解き明かしていきます。年により取
り上げる題材は変わりますが、連歌、連歌論、和歌、歌論、お伽草子などを対象とするこ
とが多いと云えましょう。できるかぎり、活字化したものではなく影印や写真から読む訓
練をします。2009 年度は歌論書『詠歌大概』の注釈を、2010 年度は百人一首注釈を取り
上げました。
●日本文学特別演習Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
日本古代文学に関する研究論文執筆のための演習で、最新の研究論文を読み、批判を加
えながら、今日的な問題点を探っていきます。
ここ数年は、萬葉集や古今集に関する論文を、受講生の問題意識に即して取り上げ、そこ
に引用された用例が適切かどうか、また論旨は説得力を持っているかなどの観点から、批
判的に読み込んでその成果を発表しています。このような作業を通して、受講生は自ら設
定した課題の解決に向けて、分析力や批判力を身につけていきます。
●日本文学特別演習Ⅶ(奇数年度開講)・Ⅷ(偶数年度開講)
中世後期(南北朝以降)から近世初期の文芸作品をとりあげ、訓詁註釈を基礎とした精
密な読解をめざします。一語一語の読み方から始まり、用例の指摘、語義の認定、そして
語釈といった手順をふみ、典拠の解明という註釈的読解の技術を身につけ、考証の方法を
身につけてもらいます。そうした、精密な読解の上に立って、受講者の必要に応じ論文作
成のための問題の探索をも援助します。近年では、お伽草子『幻夢物語』、『伊勢物語闕
疑抄』などを取り上げました。
●日本語教育特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
日本語を教えるためには、現代日本語を分析する能力を身につけなくてはいけません。
現場での毎日は、新たな発見の連続で、いつどのような質問を学習からなげかけられるか、
予測がつきません。そこにある知識を覚えただけでは授業はできないのです。
私たちが日頃使っている現代日本語を客観的に分析できる能力をみがくため、音声と文
法に大まかに分け、論文を読み、そして、具体的な言語現象の分析に取り組みます。もち
ろん、教授法も取り上げます。授業で取り上げた事柄は、文章にまとめ、学会で発表する
よう指導します。
●日本語教育特別演習Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
修士論文の指導をします。修士論文のテーマは、現代日本語の音声、文法、そして、日
本語教授法にかかわるものとします。各自の論文のテーマにそった論文、文献を演習形式
で読み、理解を深めます。その上で、論文の中間発表をしてもらって問題点を共有し、議
論を深めます。
○日本語教授法実習Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
外国語を母語とする日本語学習者に対し、実際に教壇に立って日本語の授業をします。
近年は、毎年6月終わりから7月はじめにかけて来学する韓国祥明大學校からの短期研修
団のための日本語コースを企画運営しています。学習者は 13 名ほどで5日間、60 分授業
が全部で 10 コマのコースです。大学院生だけでは足りないときには、学部生にも手伝っ
てもらい、チームでコースを運営します。
○言語学特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
理論言語学の知見を生かしながら様々な言語現象を観察し、分析する能力を養う。具体
的には、日本語に軸足を置きつつも、英語など他言語と比較しながら認知プロセスの反映
のされかたの違いがどのように個別言語の特性の違いに影響するのかを考察する。また、
この個別言語の特性が言語一般の特性とどう関わるのかについても考察の対象とする。
授業は次の形態を取る。Ⅰでは、受講生の理論的知識の不足を補うため、認知言語学そ
の他の理論の概説をしたり、文献の読み合わせを行う。Ⅱは、特定の言語現象を取り上げ、
受講生自らが、1)データ収集する、2)データを観察する、3)仮説を立てて一般化す
る、4)反証作業を行うといった科学的な研究プロセスを実践するものとする。
○言語文化特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
本講義では、日本文化の形成に古来から大きな影響を与えてきた中国文化の、特にその
思想面に焦点を当てて考察していきます。
日中比較文化・思想研究の場合、書籍等の輸入による間接的影響と、渡来人という直接
的影響の双方を視野に入れた研究を行う必要がありますが、本講義では、中国民衆の意
識・精神史形成に大きな影響を与えた文献資料を材料に、日本文化・思想の形成にも影響
を与えた中国の思想・文化を、具体的文献を通して探っていくことを目指します。
○言語文化特殊講義Ⅲ(奇数年度開講)・Ⅳ(偶数年度開講)
日本と日本語、フランスとフランス語、イギリスと英語などというように、言語と国家
が一致するという近代国民国家の理念型と、それらと平行して近代に生み出された日本文
学、フランス文学、イギリス文学などの国名を冠した文学、あるいは文化を、その成立の
過程に立ち戻って検討し、そうした近代の虚構を対象化した後にどのような言語、文化の
ありかたが展望できるかを考える。
そのために、そうした主題と関連する最近の注目すべき研究書、あるいは論文(日本語、
あるいは英語)をとりあげ、それらの著作の問題意識を理解し、批判的に検討することを
目指す。同時に、文献資料を読み、内容を整理し、批判的に検討することを通じて、自ら
の考えを発表するという、人文学研究の基本的な能力の育成を目指す。
○人間文化特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
深層心理の内容や機能についてのアプローチの方法として、精神分析学、分析心理学、
催眠学、臨床心理学などがあります。深層心理を示すものとして夢がよく取り上げられま
すが、それ以外にも詩・小説・童話・児童文学など文学や芸術作品などもあります。それ
らの作品にはその作者の深層心理が現れ、心の普遍性について示唆することも少なくあり
ません。本講義では日本や諸外国の文学作品などを深層心理学の手法によって分析した研
究を取り上げて、心の理解を深めることを目ざします。
○人間文化特殊講義Ⅲ(奇数年度開講)・Ⅳ(偶数年度開講)
上古から現代まで、どのような時代の語学や文学であっても、「歴史性」を抜きにして
語ることはできません。すなわち、歴史に関する知識や学問方法は、語学や文学を支える
基盤となりえます。
本講義では、17 世紀から 19 世紀における日本の歴史を対象として考察します。
史料は、主に未翻刻の一次史料(古文書や写本)および版本類を用います。特に最新の
研究状況や地域性を考慮しながら、文学、思想史といった隣接分野との架け橋となるよう
なものであることを念頭に置いて史料選定します。
英語英米文学専攻 開講科目概要
英語学特殊講義Ⅰ~Ⅵ、英語学特別演習Ⅰ~Ⅳ
英語学では、文法論、意味論、語用論、レトリックを中心に現代英語を考察します。また、
言語分析に必要な言語学、英語学の諸理論について講義します。各論的には具体的な語彙や
構文の意味と形式の対応関係について諸文献を精読し、論理的立論のしかたや研究方法の習
熟を目指します。
英語学特別演習Ⅴ~Ⅷ
認知言語学を中心に、理論言語学の手法を用いて分析された研究論文を読み、言語理論の
深い理解と共に、分析に対して批判し、代案を模索する能力の養成を目指します。
イギリス文学特殊講義Ⅰ~ Ⅳ
16・17 世紀の詩・劇・散文、および 19 世紀以降の小説を中心とした様々な英国作家の諸
ジャンルにわたる作品をOEDなどの大きな辞書を絶えず参照しながら精読し、各作品が書
かれた時代の歴史・文化・社会背景との関係を視野に収め、多彩な現代文学批評理論、とり
わけ < New Historicism>と<Feminist Theory>の観点を援用して、諸作品が提示する多様な
読みの可能性を探求します。授業では、受講生の発表とディスカッションを中心に進め、論
理的に議論できる力を身につけることを目指します。
イギリス文学特別演習Ⅰ~ Ⅳ
受講者の研究テーマに直接関係する文学作品及びそれに関連する様々な文献を精読しま
す。その際に、多様な現代文学批判論の中から、当該作家・作品に最もよく該当すると思わ
れる批評文献を読み、それを援用して、修士論文を初めとする学術論文作成に繋げていくこ
とを目指します。授業では、受講者の発表を基にして、受講者間でのディスカッションを中
心に進めます。学期末にはタームペーパーを作成します。
アメリカ文学特殊講義Ⅰ~ Ⅳ
近・現代のアメリカ小説を中心に詩や戯曲を含めた分野から、作品を取り上げます。取り
上げたテクストの精読を基盤とし、それに関連する文学上の大きな問題点や技巧の分析の他
に、作品の背景となる文化・歴史・思想等についての理解も深めます。授業は受講者とのデ
ィスカッションを基に進めます。最終的には、その作品に関する研究論文を数本読み、受講
者はタームペイパーを作成します。
アメリカ文学特別演習Ⅰ~ Ⅳ
受講者の研究テーマに直接関係する文学作品やそれに関連する歴史学、心理学、ジェンダ
ー学、
哲学、その他の文化的資料、研究書や研究論文を読み、学術論文作成に繋げます。授業は受
講者の発表を基に受講者間でのディスカッションを中心に進めます。学期末にはタームペイ
パーを作成します。
英語教育特殊講義Ⅰ~ Ⅳ
言語習得に関する理論を学び、第二言語習得の過程や習得に影響を及ぼすさまざまな要因
について研究します。また、今日の英語教育に係わる諸問題について、第二言語習得の見地
から考察します。過去に提唱された技能別教授法や統合的教授法の実践と背景にある理論を
概観し、学習者のみならず指導者をも研究対象にした学際的な研究手法を学びます。
英語教育特別演習Ⅰ~ Ⅳ
英語語彙習得に関する論文を読み、第二言語習得の研究方法を学びます。また、受講者の
研究テーマに関する論文を読み、学術論文作成に繋げます。授業は受講者の発表を基にディ
スカッション形式で進めます。
英語教育特別演習 Ⅴ ~ Ⅷ
英語教授法と応用言語学に関わる英語で書かれた研究論文を批判的に読み、口頭発表及び
ディスカッションを行う中で、各論文にみられる論理構造、調査・研究の手法、結論の導き
出され方等を考察する。また、授業外において、履修者は、単独で取り組む研究テーマ(学
位論文のテーマに関連するもの)を設定し、そのテーマについて書かれた研究論文・学術図
書を収集し、研究計画を立て、データの収集・分析を行い、研究成果を論文として纏めるこ
とが求められる。
言語文化特殊講義Ⅴ・ Ⅵ
現在、「英語圏」とされている地域を主な対象として、歴史的・文化的に「英語圏」が形
成される過程を考察し、そこでの、自己と他者を表象する言説について、様々な視点から検
討します。ステレオタイプな表現はどのように成立するかを理解することは、そのおもしろ
さと罠とに気づかせてくれるでしょう。「英語圏」における他者表象のあり方は、日本やア
ジアにおける他者表象とも比較することが可能です。テクストを新たな視点で読むことで問
いを発見し、豊かな表現で問題を構築することを目指します。
言語学特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
言語文化特殊講義Ⅲ(奇数年度開講)・Ⅳ(偶数年度開講)
人間文化特殊講義Ⅰ(奇数年度開講)・Ⅱ(偶数年度開講)
人間文化特殊講義Ⅲ(奇数年度開講)・Ⅳ(偶数年度開講)
については、日本語日本文学専攻のページを参照してください。
授業科目の講義内容について
授業科目の名称
講義等の内容
日本語学研究 Ⅰ
日本語助詞の構文論的研究。日本語の文の構成に関わる助詞の問題を、
述語形式との関係性を重視しながら分析する。特に、助詞の関係構成機
能の観点から、それぞれの助詞の本質的機能と、用法上の展開を探り、
日本語教育上の有効性や他言語との対照研究の可能性をも考慮し、用法
分類までをたどるものとする。助詞の本質的機能にあっては、日本語史
上の変化・変遷を重視し、用法上の展開と用法分類については、分析手
法の選択、および、開発に力点を置く。分析対象の資料としては、古典
語から現代語までを広範囲に扱うが、基本的に実例に基づくものとする。
日本語の語彙や表記の変遷を検討する上で重要な文献の記述を吟味し
つつ、史的変化の実態と変化を促した要因について考察する。語彙史の
面では、語種、語構成や造語法、意味領域の推移、各語が使用される文
化的背景等を、表記史の面では、各時代の辞書が示す規範性のあり方等
を手がかりとして、個々の記述が示唆する状況を、体系的かつ自然な史
的変化の中に位置づけて説明する作業を課す。各時代について、残存す
る文献とその資料性を確認しつつ、先行研究の成果を批判的に再検討す
る能力の育成を目指す。
日本語母語話者、外国人日本語学習者の生成した言語音声を録音、分
析し、語アクセント、文末イントネーション、文全体の発話の音調、ま
た、日本語母語話者の持つ拍感覚の本質などを明らかにしていく。外国
人日本語学習者が書いた日本語作文における誤用を取り上げ、どうして
その誤用が生じたか、日本語の言語内の構造、体系をもとに考察、また、
母語の影響を対照言語学的に考える。日本語母語話者による日本語の誤
用も取り上げ、どうしてその誤用が生じたか考えることにより、日本語
の言語構造を解明する。
各自がとりあげる古代文学諸作品の諸本・諸注に可能なかぎり目を通
し、索引・古辞書等を駆使して用語・作品の分析を行うと同時に、各自
の問題意識に関連する研究論文を集め、それぞれに批判を加えながら、
自説を確立させる。なお、必要に応じて研究史にも触れ、残された課題
が奈辺にあるかをも考える。受講者は、批判力・分析力・論文執筆能力
を高めることをめざす。文献学的アプローチを基本に据えるが、同時に
文化的な広い視野を持ち、膨大な研究情報を処理する力を高めていきた
い。
日本中世の文学作品および各種の文献資料を扱い、その研究法ならび
に資料操作について講じる。主に扱う対象は、中世後期の作品、和歌・
連歌・説話・軍記・お伽草子などである。文献学的方法を基礎とした本
文研究の技術から始まり、現在の文学研究の水準をふまえ絵画なども含
めた多様な資料による実証学を身につけさせるよう努める。そして、さ
らには、研究対象を既存のジャンルの枠組みから解放した多様な観点か
ら読み解く広い視野の獲得を目標とする。
日本近世初期の学芸・思想を中心とした、文学史の諸問題を講義する。
近世初期は、江戸開幕という政治体制の変容とともに、朱子学を中心に
据えた文治政治が本格的に行われ始め、思想・文芸界においても前時代
とは異なる様相が現出する時期である。特に儒学者たちの言説は、古今・
和漢の広い領域にわたり、従来のような単なる「儒学」という枠取りで
は正確に掬い取ることができない。彼らの伝記・思想研究の最新の成果
を紹介しつつ、その言説が後代へどのような影響を与えたかという視点
でこの問題を考える。
日本語学研究 Ⅱ
日本語教育学研究
古代日本文学研究
中世日本文学研究
(近世日本文学研究)
授業科目の名称
日中文化特殊研究
特 別 研 究
講義等の内容
本講義の主題は、三教(儒教、仏教、道教)思想交流の具体的な事例
研究にある。
日本の思想文化の形成に多大な影響を与えた中国の思想・宗教と言え
ば、儒教と仏教を挙げることが出来るであろう。但し、この二教は中国
に於いては、常に三教の相互交流の枠組み内で発展してきたものである。
従って、儒教・仏教の実体を理解するためには、常に三教の枠組みで考
えなければならないのである。
三教思想は、儒教が最も早く成立し、後漢に至って仏教が伝来し、在
来思想が儒教・仏教を吸収して後漢以降に道教が発生した。しかし、こ
の三教が互いに影響し合い批判し合いながら発展したのは、中国中世(六
朝~唐)以降に於いてである。中世以降清朝末期に至るまで、常に思想
界の中枢に位置し、知識層に多大な影響を与え続けたのはこの三教思想
の交流と言える。
こうした状況を見据え、本講義では、三教交流の具体像を伺うことが
出来る文献資料を材料に、中国に於ける三教思想交流の実体の把握を目
指す。中世以降の儒教思想、仏教思想、道教思想のそれぞれを年度ごと
に取り扱い、複数年度受講することで三教思想の全体像を理解すること
を目指す。
博士論文作成にかかるものとして、個別的に学生の研究テーマに即し
た指導を行う。特に研究態度、研究方法等、博士論文に直結する問題に
関し、研究指導教員が直接、指導を行う。
授業科目の講義内容について
授業科目の名称
英語学研究Ⅰ
[教授 三木悦三]*
英語学研究Ⅱ
[教授 村尾治彦]
英語教育学研究 I
[教授 吉井誠]*
講義等の内容
現代英語に関するさまざまな現象を主として語用論 (pragmatics) の見地か
ら研究し、英語の、引いては人間言語の、深い理解に到達することを本授業は狙
いとする。その場合、語用論が言語の表す「意味」に係るかぎりにおいて研究は
意味論 (semantics) にも踏み込むことになる。また、対人的・実践的な働きか
けという面に焦点を当てればレトリック (rhetoric) の研究ともなる。より具体
的には、直示を含む指示の問題、遂行性、ポライトネス、メタファー、時制、否
定、さらには、フィクションの言語と語りの構造、等の諸テーマを言語哲学、認
知言語学、関連性理論、あるいは翻訳理論からの最新の知見にも拠りつつ探究す
る。
本授業では、理論言語学の知見を生かしながら様々な英語の現象を観察し、分
析する能力を養う。また、英語という個別言語の特性が言語一般の特性とどう関
わるのかについても考察の対象とする。具体的には、認知言語学やその他機能言
語学の枠組みに基づいて、人間に一般に備わる認知プロセスや英語の背景にある
文化的発想がどのように英語という個別言語の特性に影響するのかを考察する。
さらに、英語に軸足を置きつつも、英語のみを見ることによってかえって英語の
本質を見失わないように、日本語など他言語と比較しながら考察を進め、より広
く一般言語学的立場から英語を眺める訓練をする。これによって、「英語学」領
域の目標の1つである、英語を分析対象として人間言語の本質を解明することを
志向させる。
授業は次の形態を取る。認知言語学を中心とした研究論文や本など文献を読み
進め、認知言語学の最先端の研究成果や動向について知識を深める。また、使用
した文献の内容から各自の論文のテーマに関連する題材を取り上げ、データを収
集し、分析した結果をレジュメにして発表し、その内容に関して討議を行う。
受講生の研究対象分野に関するこれまでの重要論文や最新の論文を読みなが
ら、第二言語習得・英語教育研究方法について理解を深め、多角的な研究アプロ
-チが取れるよう研究指導を行う。国内、海外の論文を批判的に読みながら、第
二言語習得に影響を与える様々な要因や習得理論を検証し、受講生の研究対象分
野に使用可能な研究デザイン・研究手法について理解を深める。授業は受講生の
発表を中心としたゼミ形式で行い、論文に掲載された実験研究などについて受講
生独自の研究発表を行う。最初の数回は、担当教員が論文を指定しそれを基に議
論を進めるが、それ以降は、受講生が論文を選び、その論文を基に議論を行う。
本授業では、英語教授法及び応用言語学に係わる高度な専門知識、特に英語教
育の実践に不可欠な理論や最新の知見を学び、課題を適切に探求するための研究
英語教育学研究Ⅱ
手 法 の 習 得 を 目 指 す 。 研 究 手 法 に 関 し て は 、 主 に 質 的 研 究 ( Qualitative
[准教授 長嶺寿宣]
Research ) の メ ソ ッ ド を 中 心 に 議 論 す る が 、 定 量 分 析 研 究 ( Quantitative
Research)のあり方や質的研究との兼ね合いにも触れる。
また、研究テーマの設定と、そのテーマについての研究遂行プロセス(研究計
画、文献資料収集、データ収集、及びデータ分析、研究論文執筆まで)をすべて
網羅することとする。具体的には、Creswell の Research Design についての主
要文献を批判的に読み、理論とは何なのか、研究デザインとは何なのかを明らか
にする。研究手法や研究デザインについての知識を深めると同時に、各自で設定
した研究テーマについて文献資料を収集し、各文献資料の内容についての口頭発
表及びディスカッションを行う。適宜、補足資料等を用いて、最新の研究事例の
理論的背景・概念的側面について、知識の強化と定着を図る。最終的には、設定
した研究テーマを基に履修者各自が実施した研究・調査についての口頭発表、及
び執筆した研究論文を評価対象とする。
(注)*印は、論文指導教員
授業科目の名称
社会言語学研究
[教授 砂野幸稔]
英米文学研究Ⅰ
[教授 村里好俊]*
英米文学研究Ⅱ
[准教授 水尾文子]
英米文学研究Ⅲ
[教授 徳永紀美子]
講義等の内容
かつて国民国家の形成と国語の創生が消滅させるかに思われた言語問題
は、再び諸国と諸国間において無視できない位置を占めつつある。そうした
現代世界における言語の問題を、単に「多言語主義」等のスローガンに流さ
れるのではなく、歴史的、社会的コンテキストに注目しつつ、対象化してと
らえることを目指す。とくに、主に欧米諸国から現れた「多言語主義」をめ
ぐる議論の背景を掘り下げ、そうした議論の限界とそれが抱える諸問題を、
とくに世界のさまざまな多言語状況について具体的な事例を参照しながら考
えていく。同時に、最新の研究書、研究論文を通して、社会言語学の最新の
トピック、議論も把握する。
イギリス・ルネサンス期の詩・劇・散文という多様なジャンルに及ぶ主要
な諸作品を年度ごとに取り上げ、絶えずOEDを参照して精読し、難解な作
品を緻密に読みこなせる英語力を身に付けることを、第一目的とする。その
際、CD、DVDなどを活用して、聴覚と視覚とで作品を立体的に理解する
ことを目指す。また、作品精読終了後は、当該作品に関する主要な批評文献
を読み、それに関して議論したうえで自らの批評的スタンスを身につけ、文
学批評の鋭いセンスを養い、自らの解釈を構築できるようにする。
女性作家によって書かれた小説を中心に20世紀以降の英国小説、特に
1920,30 年代に書かれた Virginia Woolf 小説と現代英国女性小説を読むこ
とにより、その歴史、文化、社会的背景を理解し、作品が提示する人種・階
級・ジェンダーの複雑に入り組んだ問題に対して、多角的な読みの可能性を
探ることを目指す。また、取り上げる作品に関係する批評、文学理論の文献
を読み、受講生が自身の批評眼に基づいた作品解釈をする力を身につけるこ
とを目的とする。授業では、各自の論文のテーマに合わせて、作品解釈、関
連する批評・文学理論の読解を進めていく。
1950 年代以降の現代アメリカ小説、特に 1980 年代以降に活躍が目覚まし
いニュー・リアリズム系作家やマイノリティーの作家を中心に幅広く取り上
げる。その関係上、女性作家(Anne Tyler, Bobbie Ann Mason, Louise Erdrich,
Maxine Hong Kingston, Toni Morrison など)の作品を取り上げる頻度は高
くなる。それらの作品研究の中にジェンダー研究やアメリカ文化研究も取り
込みたいと考えている。キーワードとしては、
「文学作品における女性表象」、
「母性」、「周縁性」、「歴史と記憶」、「アイデンティティの多様性と主
体」など。
また、演習を通して、文学研究に必要な読解力、思考力、表現力を磨き、
口頭での研究発表に必要な能力も養成する。
英語を分析対象として、語用論、意味論、レトリックに関する諸問題(否
定、遂行性、ポライトネス、指示、時制、メタファー、ナラティブ、ジョー
特別研究(英語学) ク等)について、語用論研究の基本となるグライスの理論、さらに関連性理
[教授 三木悦三]* 論、認知言語学、認知意味論、メンタル・スペース理論等の手法を批判的に
取り入れ、言語哲学からも最新の動向を加味して、論文指導を行う。併せて、
現代の言語理論の根幹に係わる言語習得に関しても研究指導を行う。
特別研究(英語教育学)
[教授 吉井誠]*
英語教育学、第二言語習得に関して、研究の実践、指導を行い、受講生の
研究テーマについての研究指導、論文指導を行う。受講生は各自の研究テー
マに基づいて研究を深め、博士論文の作成に向けての基礎作りを行う。最初
の数回は、博士論文作成について、研究デザイン・研究手法の重要点につい
て講義とディスカッションを行い、それ以降は受講生の発表を中心として授
業を展開する。受講生は各自の研究の進行状況を教員ならびにその他の受講
生と確認しあい、お互いに研究デザイン、研究手法などについて意見交換を
行い、自らの研究を改善していく機会とする。受講生は発表に向けて十分な
準備を行い、発表後は質問や討論を行う。
(注)*印は、論文指導教員
授業科目の名称
講義等の内容
特別研究(英米文学)
[教授 村里好俊]*
主として、イギリス・ルネサンス文学(16 世紀、17 世紀の文学)を研究対
象とする。詩人としては、シドニー、スペンサー、ドレイトン、ダニエル、
シェイクスピア、ダン、ミルトンその他、劇作家としては、シェイクスピア
を筆頭にマーロウ、ベン・ジョンソン、ウェブスターその他、散文は、シド
ニー作『アーケイディア』に的を絞って、現代文学批評理論、とりわけ、ル
ネサンス文学研究に威力を発揮すると思われる New Historicism、Cultural
Materialism を援用して、それぞれの作家・作品の斬新な解釈を実践できる
ように研究指導を行う。
(注)*印は、論文指導教員
その他
1
昼夜開講制の実施
社会人のリカレント教育(再教育・高度化教育)の要請に応える開かれた大学院をめざし、
学生の多様化に伴う研究環境の整備のため、昼夜開講制を実施します。
2
長期履修制度について
社会人の様々な学習需要に対応するために、長期履修制度を導入しています。この制度は、
職業を有している、あるいは育児、長期介護等のために、年間に修得できる単位数や研究活動・
学習活動への時間数が限られるため、標準の修業年限で修了することが困難な学生を対象に、
事情に応じて、標準の修業年限を超えて計画的に教育課程を履修し修了することにより学位を
取得することができる制度です。
長期履修を希望する場合は、入学願書に希望調査欄がありますので、そこに記載をしてくだ
さい。また、入学者選抜試験前であっても、この制度について質問などがある場合は、教務入
試課(教務班 TEL:096-321-6609)に御相談ください。
また、新入生だけでなく、入学後に学習環境が変化した学生も長期履修を申請することがで
きます。
(1) 対象となる方
① 職業を有している方
② 育児・介護等により標準の修業年限で修了することが困難な方
(2) 修業年限
博士後期課程においては標準の修業年限3年を、最長6年までの範囲内で認められた年限
(3) 授業料
標準の修業年限に支払うべき授業料総額(博士後期課程では3年間分)を、あらかじめ認
められた修業年限で除した額をそれぞれの年(納期)に支払うことになります。
(4) 申請後の変更
在学中1回に限り可能
(5) 申請手続
申請を希望する場合は、指導教員に相談のうえ、入学手続の際に配付する申請書を教務
入試課に提出してください。
〔申請書類に添付する証明書等〕
・勤務状況を証明するもの。あるいは、内定通知書等の写し
・育児・介護の必要性を証明するもの(例えば、母子手帳の写しや介護保険被保険者証
などの写し)
・その他長期履修が必要であることを示すものがあればその写し
※長期履修の希望の有無は、入学者選抜試験の合否に影響するものではありません。
3 大学院生の入学後の制度について
本学の大学院生として入学した場合、下記のような制度があります。
(1) TA(ティーチング・アシスタント)
大学院に在籍する学生に、本学の学部生等に対する教育の補助業務を行ってもらうこと
により、大学教育の充実を図り、併せて大学院生の将来の教育研究者としての資質を向上
させるために、教育訓練の機会を提供することを目的としています。
主に、授業(実験、実習、演習等)に関して授業担当教員の指導のもとに教育補助業務
に従事します。
主な従事業務:レポートの整理、学生への指導補助 等
単価:1時間あたり 1,000 円(平成 22 年度実績)
(2) RA(リサーチ・アシスタント)
大学院の学生に本学教員の研究補助業務を行ってもらうことにより、研究活動の効果的
推進をはかり、研究体制の充実及び若手研究者の研究遂行能力を育成することを目標とし
ています。(原則として、大学院の博士後期課程の学生が対象となります)
(3) 科目等履修制度
① 科目等履修制度とは
大学または大学院に科目等履修生として入学し、特定の授業科目を履修し、単位を取
得する制度です。
詳しくは、86 ページを参照してください。
② 本学の大学院生が科目等履修生となるメリットについて
本学に在籍する大学院生が科目等履修生として入学する場合にも、別途入学金及び授
業料が必要となりますが、下記のようなメリットがあります。
ⅰ 他の研究科の授業を受講することができます。
ⅱ 学部の授業を受講することができます。また、教職課程に関する授業(実習など
も含む)も受講可能です。
(4) 学会発表支援制度
大学院生が、学術団体開催の学術集会などで発表や報告をするときの支援のため、支援
金を支給する制度です。
国内で開催される学会の場合は3万円(年1回)、国外で開催される学会の場合は5万
円(年1回)が支給されます。
申請は、指導教員及び研究科長が内容を確認し署名を付して学長に申請します。