飲料における品質表示基準 - 農林水産消費安全技術センター

〈本資料の構成〉
飲料における品質表示基準
【一括表示事項と強調表示】
独立行政法人
農林水産消費安全技術センター
Food and Agricultural Materials Inspection Center
【ファミック】
加工食品の品質表示【概要】
加工食品の品質表示【飲料】
加工食品の品質表示【強調して表示する場合】
実際の表示例【一括表示・強調表示】
食品表示行政の体制
表示違反事例・自主回収情報
FAMICによく寄せられる相談事例
(その1)【加工食品品質表示基準との関係】
例:果実飲料品質表示基準
第1条(趣旨)
加工食品の品質表示【飲料】
(個別品質表示基準のポイントについて
一部抜粋)
果実飲料(容器に入れ、又は包装されたものに限る。)の品質
に関する表示については、加工食品品質表示基準(平成12年3
月31日農林水産省告示第513号)に定めるもののほか、この基準
の定めるところによる。
第4条(1)名称
加工食品品質表示基準第4条第1項第1号本文の規定にかか
わらず、次に定めるところにより記載すること。
※加工食品品質表示基準を基本としつつ、独自の規定がある。
(その2)【原材料表示】
例:果実飲料品質表示基準
第4条(2)原材料名
加工食品品質表示基準第4条第1項第2号(エを除く。)の規定にかかわらず、使
(その3)【その他の表示事項】
例:果実飲料品質表示基準
「義務表示事項」
とは一括して表示す
べき事項のこと
第5条(その他の表示事項及びその表示の方法)
製造業者等は、義務表示事項のほか、次に定める事項を次に定めるところ
用した原材料を、・・・により記載すること。
により表示しなければならない。
ア(ア)
使用した果実にあっては、その最も一般的な名称を記載し、果粒入り果実ジュー
(1) 果汁入り飲料以外の果実飲料のうち、砂糖類又ははちみつを加えたもの
にあっては、商品名の近接した箇所に括弧を付してJISZ8305に規定する14
ポイントの活字以上の大きさの活字により、「加糖」と記載すること。
スの果粒にあっては、「果粒」の文字の次に括弧を付して使用した果実の最も一
(2) 果実・野菜ミックスジュース及び果汁入り飲料以外の・・・
般的な名称を記載すること。
※果実飲料の原材料は果実名を記載する。
※りんご濃縮果汁を希釈してりんごジュースを製造した場合であっても、「りん
ご濃縮果汁」ではなく「りんご」と記載する。
※「その他の表示事項」とは、一括表示外に表示すべき事項を規定している。
※「容器包装の見やすい箇所に○○を記載すること」と規定している場合もあ
る。これは、一括表示外の見やすい箇所に表示することを指している。
1
(その4)【表示禁止事項】
例:果実飲料品質表示基準
第6条(表示禁止事項)
加工食品品質表示基準第6条各号に掲げるもののほか、次に掲げる事項は、
これを表示してはならない。ただし、(3)に掲げる事項については、果実ジュー
スであって、かつ、原材料に果実の搾汁及び天然香料以外のものを使用して
いないものに表示する場合は、この限りでない。
実際の表示例
【一括表示・強調表示】
(1) 生、フレッシュその他新鮮であることを示す用語
(2) 天然又は自然の用語
(3) 純正、ピュアーその他の純粋であることを示す用語
(4) 第3条の規定により表示すべき事項の内容と矛盾する用語
※品目の特性に応じた表示禁止事項が規定されている。独自の事項なので
注意が必要。
1 実際の飲料の表示について
飲料の一括表示についての共通事項
賞味期限
・ガラス瓶入りのもの(紙栓をつけたものを除く。)又はポリエ
チレン製容器入りのものについては、省略することができる。
保存方法
・ガラス瓶入りのもの(紙栓をつけたものを除く。)又はポリエ
チレン製容器入りのものについては、省略することができる。
・常温で保存すること以外に留意すべき特段の事項が無い
場合は省略することができる。
内容量
・質量又は体積を記載する。 (アルコールを含むものは体積
を記載する。)
原材料名、原料原産
地名、内容量、賞味
期限(消費期限)、保
存方法
・一括して表示することが困難な場合には、記載箇所を明記
すれば他の箇所に記載することができる。
・他の箇所に記載する場合は「枠外下部に記載」「キャップに
記載」など具体的に明記する。
2 一括表示の例(緑茶飲料)
加工食品品質表示基準に基づく表示をする製品
名称
緑茶(清涼飲料水)
原材料名
緑茶、茶葉抽出物、酸化防止剤
(ビタミンC)、香料
原料原産地名
国産
内容量
500ml
賞味期限
容器上部に記載
保存方法
直射日光、高温多湿を避けて保
存
製造者
○○飲料株式会社
△△県□□市××町1-1
緑茶飲料は原料原産地表示が必要。
原料原産地は、原材料名の後に記載することも可能。
例「原材料名
3-1 一括表示の例(果汁入り飲料)
果実飲料品質表示基準に基づく表示をする製品
名称
20%ぶどう果汁入り飲料
原材料名
ぶどう、砂糖類(果糖ぶどう
糖液糖、砂糖)、酸味料、
香料、カラメル色素、ブドウ
色素
内容量
350ml
賞味期限
缶中央に記載
保存方法
高温、直射日光を避けて保
存してください。
製造者
○○飲料株式会社
△△県□□市××町1-1
果実飲料品質表示基準に基
づく名称を記載する。
果実飲料品質表示基準に基
づき原材料を記載する。
【果汁入り飲料とは】
濃縮果汁や果実の搾汁を希釈したも
ので、果汁分が10%以上100%未満
のもの。
(その他、詳細な条件があります。)
緑茶(国産)、酸化防止剤(ビタミンC)」
一般的な名称を記載する。
(清涼飲料とわかるように)
なお、名称規制のある名称は
記載できない。
原材料は、食品添加物とそれ
以外に区分して、それぞれ重量
の割合の多い順に記載する。
食品添加物以外の原材
料は、最も一般的な名称
で記載する。
食品添加物は食品衛生法
に基づく表示の基準に関す
る内閣府令の規定により記
載する。
3-2 一括表示の例(果汁入り飲料)
 【名称の記載方法】
 「○○%△△果汁入り飲料」とする。(○○は果汁の割合、△△は果実の
名称)
 2種類以上の果実を使用した場合は、「○○%混合果汁入り飲料」とする。
 果汁の割合(「○○%」)は、
 果実の搾汁を希釈した製品の場合は、希釈した割合から算出する。
 「還元果汁」「還元果汁と果実の搾汁」を使用した製品は、果実飲料品質表
示基準別表3の糖用屈折計示度の基準をもとに算出する。この場合、加え
られた砂糖類は除いて算出する。(レモンやライムなどは酸度をもとに算出
する。)
例:ぶどうの糖用屈折計示度の基準 11゜Bx
 果粒を加えたものは「(果粒入り)○○%△△果汁入り飲料」と、二酸化炭
素を圧入したものは「○○%△△果汁入り飲料(炭酸ガス入り)」とする。
2
3-3 一括表示の例(果汁入り飲料)
4 強調表示する際の留意事項
 【原材料名の記載方法(主なもの)】
 食品と食品添加物に区分(グループ分け)して、それぞれ重量の割合の多
い順に記載する。

 使用した果実は、最も一般的な名称で記載する。(例:りんご果汁を使用し
た場合であっても「りんご果汁」ではなく「りんご」と記載する。)
特定の原材料や製造方法を強調して表示するということは、
基本的に製品の品質を高める等の効果がある場合において、
そのことをPRする目的を持つものと考えられます。

強調表示を行う場合、事業者はその表示を行う根拠につい
て明確に説明できることが必要です。
 「果実、野菜、砂糖類」以外の原材料は最も一般的な名称で記載する。

法令やガイドラインが定める表示禁止事項、公正競争規約
が規定する不当表示などに該当しない場合であっても、実際
の品質よりも優良であるとの誤認が生じないよう留意して表示
しなければなりません。

法令を遵守するとともに、消費者の目線に立って、わかりや
すく訴求(訴えかけること)するこが大切です。
 2種類以上の砂糖類を使用した場合は、「砂糖類」又は「糖類」の文字の後
に括弧を付して重量の割合の多い順に記載する。
 食品添加物は食品衛生法に基づく表示の基準に関する内閣府令の規定
により記載する。
 栄養強化目的で使用した食品添加物も記載する。(省略できない。)
1 表示違反事例(名称)
りんごジュースについて、原料の一部に濃縮果汁を使用し
て製造していながら、「りんごジュース(ストレート)」と表示し
て販売していた。
食品表示違反事例・回収情報
 【本違反の根拠】
果実飲料品質表示基準第4条第1項第1号 (名称の表示)
「果実ジュースであって、果実の搾汁のみを使用したもの・・・にあっ
ては「○○ジュース(ストレート)と、還元果汁を使用したものにあっ
ては「○○ジュース(濃縮還元)」と、・・・記載すること。」
 【本違反事例のポイント】
★「(ストレート)」と表示できない製品に「(ストレート)」と表示してい
た。
2 表示違反事例(産地表示)
果実飲料について、輸入した濃縮果汁を使用していたにも
かかわらず、「青森県産りんご果汁使用」と表示して販売した。
 【本違反の根拠】






加工食品品質表示基準
第6条(表示禁止事項)
次に掲げる事項は、これを表示してはならない。
(1)
【略】
(2)
【略】
(3) その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示
 【本違反事例のポイント】
★果実飲料は原料の原産地を表示する義務はない。強調して表
示する場合は、事実に即して正しく表示しなければならない。
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