低温プラズマ窒化 プロセスの開発

先端材料技術研究センター
低温プラズマ窒化
プロセスの開発
100µm
低温プラズマ窒化を施した純チタン表面組織
メカニカルミリングを施した純チタンの低温プラズマ窒化挙動
研究の内容
微細結晶組織
チタン粉末
不動態皮膜
メカニ カルミリング
焼結
微細結晶組織
窒化層
低温窒化(500~700oC)
硬い窒素化合物層
Ti粉末断面組織(MM後)
図1 低温プラズマ窒化プロセス
の概念図
ビッカース硬さ, HV (0.098N)
本研究では、強加工プロセス(Mechanical milling: MM)を施した純チタン粉
末の焼結体に対して『低温プラズマ窒化プロセス』を施し、高強度かつ優れた
摩耗特性を示す純チタンの創製を目的としている(図1)。プラズマ窒化プロセ
スを低温域(500∼700℃。通常は約900℃)で施すことにより、チタン結晶粒の
粗大化を抑制できるため、さらなる高強度化が期待される。
微細結晶組織の存在により、プラズマ窒化工程において窒素の高速拡散
が生じるため、純チタン焼結体の表面に高硬度な窒化層を形成することがで
きる(図2)。また、低温プラズマ窒化プロセスにより形成される窒化層の硬さ
は、メカニカルミリング時間の増加に伴い上昇する。
2000
窒化温度
窒化処理時間:20h
600℃
700℃
1500
1000
微細結晶粒の創製
500
★窒化層硬さの上昇
10µm
0
0
(粗大粒)
25
50
75
メカニカルミリング時間, h
100
(微細粒)
Ti表面組織(MM100h+600℃窒化)
図2 窒素の高速拡散を利用した高硬度窒化層の創製
将来構想
900
?
90%冷間圧延材
800
引張強度, MPa
MM+焼結プロセスにより作製した純チタンは
ネットワーク状の微細結晶組織を有するため、
高強度・高延性を示す(図3)。低温プラズマ窒化
プロセスを施すことにより、さらなる高強度・高延
性チタンの創製が期待される。
700
微細結晶組織の
ネットワーク化
600
500
90%熱間圧延材
立命館大学 理工学部・機械工学科 助教 菊池 将一
連絡先 リサーチオフィス(BKC) TEL:077-561-2802
従来チタン
0h
10h
15h
20h
25h
※窒化なし
溶製材
400
300
0
※ 文部科学省 科学研究費補助金(若手研究(B)課題番号24760090)、
社団法人日本チタン協会研究助成 を用いて実施
MM時間
+低温窒化
10
20
破断伸び, %
30
40
図3 MM+焼結Tiの機械的特性
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