高C 圧力容器鋼 高Cu圧力容器鋼 照射速度 鋼の脆化に及ぼす 度の影響

高Cu圧力容器鋼
高C
圧力容器鋼
鋼の脆化に及ぼす
照射速度
度の影響
材料科学研究所 原子力材料
料領域 上席研究員 土肥 謙次
■研究の目的
軽水炉の高経年化により、原子炉圧力
力容器鋼の中性子照射脆化は高精度な
評価や予測が求められており 本質的な
評価や予測が求められており、本質的な
な脆化メカニズムの理解が必要である
な脆化メカニズムの理解が必要である。
本研究では、初期型プラント相当の高C
Cu鋼材を対象にカリフォルニア大学サン
タバーバラ校と共同して試験炉照射(図1)後、三次元アトムプローブ観察を行っ
て高照射量領域でのミクロ組織変化に及
及ぼす中性子照射速度の影響を調べた。
■主な研究成果
1. 照射によって形成される溶質原子クラ
ラスターは、極めて高い照射速度で明瞭
な影響が現れる(図2)。
な影響が現れる(図2)
2. 溶質原子クラスターを形成するCu原子の割合は、照射量に伴って増加する
が、高い照射速度ではむしろ減少する
る(図3)。
3. 溶質原子クラスターの熱的安定性(3550℃、5時間焼鈍)を調べると、高い照射
速度ほど熱的に不安定な溶質原子クラスターが形成される(図4)。
■研究成果の使われ方
本 究 び関連 究 成果を総合す
本研究及び関連研究の成果を総合す
する と
することにより、以下のような課題に貢献
り
うな課題 貢献
できるものと期待される。
 高照射量領域での照射速度影響を考
考慮した脆化予測式の改良
 加速照射試験による高照射量領域(6
速照射試験
高照射 領域(60年超運転など)の脆化評価
年超 転
) 脆 評価
Copyright © 2010 CRIEPI
4
商用炉
クラスターの平
平均直径 (nm)
Neutron f
fluence 中性子照
照射量
19
2
E>1MeV)
(x1019n/cm
n/cm2,, E>1MeV)
(x10
100
G1
10
G5
T16 T5
G3
1
T24 T14 T3
01
0.1
G5
T16
T14
3
照射速度
12
2
( 10 n/cm
(x10
/
-s))
T24
T3
100
3
0.8
0.3
0.08
G3
2
0.01
0.1
1
10
0.1
100
1
概ね 種類の中性子照射量に対して、幅
概ね二種類の中性子照射量に対して、幅
広い照射速度の影響を見ることができる。
0.50
0 45
0.45
T16
T5
0.40
0.35
0.30
T24
G1
T14
G5
0.25
T3
0.20
0.15
0.10
0.05
G3
2 2
19n/cm
low t: 3.5~4.8x1018 n/cm
低照射量:0.35~0.48x10
19n/cm
2
18
中照射量:1.4~2x10
medium t: 3.5~4.8x10 n/cm2
19n/cm
2
18 n/cm
2
高照射量:13.3x10
high t: 3.5~4.8x10
図2 異なる照射速度におけるクラスターの平均
直径の照射量依存性
13n/cm2-s以下では
照射速度が1×10
射速度が
照射量依存性は殆ど変化しないが、
1×1014n/cm2-sでは大きく異なる。
0
T16
-0.1
-0.2
T5
-0.3
G5
G3
-0.4
0.00
1E+10
0.01
100
2
中性子照射量 (10 n/cm )
焼鈍に
による体積率の変化
化
[(焼鈍後
後-焼鈍前)/焼鈍前
前]
図1 試験炉の照射速度と照射量の関係
10
19
2‐s, E>1MeV)
Neutron flux (x101212n/cm
n/cm2-s,
中性子照射速度(x10
E>1MeV)
Fraction o
of Cu atoms in clusters
クラスター
化している銅原子の割s合
G1
T5
1E+11
0.1
1E+12
1
1E+13
10
1E+14
100
0.1
1
10
12
2
12n/cm
Nutron flux (n/cm
‐s) 2-s)
中性子照射速度(x10
100
2
中性子照射速度 (x10 n/cm -s)
図3 全Cu原子中でクラスター化しているCu
原子の割合
図4 焼鈍熱処理前・後のクラスター体積率の変化
何れの照射量でも照射速度が大きくなると
クラスター化に使われたCu原子は少なく
なっている。
高い照射速度ほど熱的(350℃、5時間焼
鈍)に不安定なクラスターが形成される。
■お問い合わせ [email protected]
or.jp
■関連報告書番号 Q09021
Copyright © 2010 CRIEPI