電力中央研究所フォーラム2010 研究成果発表会 火力部門 「低炭素化と安定供給の両立を目指して」 超々臨界圧火力ボイラ配管の 設備診断技術の高度化 材料科学研究所 屋口 正次 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔1〕 報告内容 背景と目的 検査技術 予測技術 実証試験と現場適用 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔2〕 火力発電プラントにおける蒸気条件の推移 熱効率43%達成 620℃ 蒸気温度(℃) 蒸気温度 350 600 300 550 250 500 200 蒸気圧力 450 150 400 100 超臨界圧 350 300 1945 1955 1965 1975 1985 西 暦 Copyright © 2010 CRIEPI 蒸気圧力(kgf/cm2) 650 超々臨界圧 50 1995 2005 0 2015 高クロム鋼の適用 2010/10/27 〔3〕 ボイラ配管への高クロム鋼の適用 高クロム鋼:9%~12%クロムを含む耐熱鋼 低合金鋼(超臨界圧材料)より高温強度に優れる 超々臨界圧(USC)ボイラ配管に適用 2004年:想定よりも短い時間で高クロム鋼溶接部で 不具合(クリープ損傷*)が発生 低合金鋼と比べて、母材と溶接部のクリープ強度の 差異が大きい (*高温下で荷重を受けた場合、長時間の間に材料が徐々に傷んでいく現象) Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔4〕 高クロム鋼溶接部のクリープ損傷 USCボイラ配管 高クロム鋼溶接部において、 クリープ損傷がその後も発生 高クロム鋼溶接部に対する設備診断技術の高度化 内 部 損 傷 高クロム鋼溶接部クリープ 損傷の特徴 母材 母材 表面ではなく内部で損傷が 発生・成長する場合が多い 溶接金属 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔5〕 ボイラ配管に対する設備診断技術 ボイド(空洞) 金属組織観察: ボイド密度、ボイド面積率等 硬さ測定: 初期状態からの硬さの低下率等 非破壊検査 浸透探傷法、磁粉探傷法 20μm クリープ損傷が生じた材料 配管表面のクリープ損傷が評価対象 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔6〕 本研究の目的 高クロム鋼ボイラ配管に対する設備診断技術 ---配管内部のクリープ損傷も評価対象-- 定検時にクリープ損傷を検出 ⇒ 検査:超音波を用いた非破壊検査法 非破壊検査部位の選定、クリープ損傷の予測 ⇒ 解析:ボイドに基づく損傷予測法 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔7〕 超音波フェーズドアレイ法による非破壊検査 アレイ探触子 超音波ビーム ボイドの連結に よる微小き裂 溶接部 Copyright © 2010 CRIEPI 表面 40µm 2010/10/27 〔8〕 小型自動探傷システムの開発 ステッピングモータ 任意の曲面に追従できる 小型スキャナを開発 エルボ配管等の検査にお いて高精度化・高効率化お よびコストダウンが可能に 重量:2.1kg Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔9〕 【ポスターセッションA32】 実機ボイラ配管への適用 主蒸気管 周溶接部 高温再熱蒸気管(エルボ部) スキャナ レール Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔10〕 形状不連続部への対応 溶接部 アレイ探触子 探傷面 適合型ウェッジ 欠陥 ビーム制御可 画像化領域 ビーム制御不可 ビーム路程方向 電子走査方向 欠陥エコー 欠陥エコー 従来手法 Copyright © 2010 CRIEPI 開発手法 2010/10/27 〔11〕 配管溶接部の損傷予測への適用 応力 低 高 高損傷箇所 高応力部 ボイラ配管 粒界 ボイド 10cm 10μm 配管系統応力解析 Copyright © 2010 CRIEPI 溶接部応力解析 ボイドシミュレーション 2010/10/27 〔12〕 配管系統解析プログラムの開発 余寿命診断を目的とした 専用の配管系統解析プロ グラムを開発 ・内圧と熱膨張による両方 の負荷を考慮できる ・定常運転時の配管系統の クリープ変形の影響を考 慮できる Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔13〕 実機プラントの解析:境界条件の高精度化 ハンガー類による拘束 スプリングハンガー コンスタントハンガー レストレイント 等 リジッド ハンガー タービン入口固定 ボイラ出口 水平移動+ コンスタントハンガー レストレント 境界条件 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔14〕 ボイラ配管の計算結果例:システム荷重の影響 A側 応力 A側 高 評価断面 A B側 内圧のみ 低 B B側 システム荷重+内圧 ボイラ配管 の解析 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔15〕 ボイド成長のシミュレーションプログラム 応力 応力 ボイド個数密度(1/mm2) 計算機の中で、ボイドの成長を再現 応力 ボイド成長シミュレーション 800 実測結果 600 400 最大応力部 外表面 最大応力部 計算結果 外表面 200 計算結果 0 0 2000 4000 (hr) 6000 時間(hr) 実測結果と計算結果の比較 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔16〕 【ポスターセッションA12】 光ファイバAEセンサによる損傷の監視 セラミック板 金コートファイバ 到達時間差 金コートファイバ 高温用センサ 時間 常温用センサ き裂の発生・成長に ともなう弾性波 光ファイバケーブル システムの構成 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔17〕 実規模配管の内圧曲げクリープ試験設備 主な仕様 負荷ジャッキ 温度:750℃ 内圧:50MPa 荷重:4000kN 配管試験体 電気炉 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔18〕 実機配管クリープ試験による診断技術の検証 3000時間で中途止め 硬さの測定 試験体(再熱蒸気管)と試験設備 組織観察用フィルムの採取 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔19〕 実機への適用状況と今後の展開 検査 適用済み: 主蒸気管 直管部 再熱蒸気管 エルボ部 今後の展開:管台溶接部(形状不連続部) 解析 適用済み: 再熱蒸気管 直管部 エルボ部 管台溶接部 今後の展開:境界条件入力の省力化 Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔20〕 まとめ 超々臨界圧火力発電の運用・管理においては、 高クロム鋼溶接部に対する適切な損傷診断が 重要である 高クロム鋼溶接部の特徴である配管内部に発 生するクリープ損傷を診断できる検査技術と 解析技術を開発した Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔21〕
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