わかりやすいパターン認識 第6章 特徴空間の変換 6・6空間変換の計算例 2003年6月13日 結城 隆 空間変換の計算 ここでは第6章で述べてきた特徴空間の変 換法を具体例を用いて計算し理解を深め ることを目的として進めていく。 2クラス2次元特徴ベクトルの具体例 クラス 1 に属するパターンを x1 (1,0)t , x2 (3,2)t , x3 (2,1)t , x4 (1,2)t , x5 (0,1)t クラス 2に属するパターンを x6 (1,0)t , x7 (1,2)t , x8 (0,1)t , x9 (3,2)t , x10 (2,1 このとき,n1 n2 5, n n1 n2 10,であり m1 1,0 , m2 1,0 , m 0,0 t となる。 t t 具体例の図 2クラスの特徴ベクトルの分布 X2 10 8 Z1 DN 6 x10 3 x6 5 x8 0 x1 x4 (a).特徴空間 m2' 2 x5 2 x9 x2 x7 2 x3 3 X 1 1 3 3 0 ' 1 m 2 6 1 (b).正規化空間 5 Z2 10 8 (a)変動行列,分散行列の算出(1) Si と,共分散行列 i を求めると 5 3 2 5 3 1 , 1 2 S1 S1 S2 2 5 3 5 5 3 5 変動行列 15 6 1 15 6 1 , T ST ST 2 5 6 5 10 6 5 5 3 10 0 , S B SW 4 3 5 0 0 (a)変動行列,分散行列の算出(2) ここでは Pi ni / n を仮定する。すると共 分散行列はそれぞれ 2 5 3 , W 5 3 5 1 0 B 0 0 今までの式において T W B , ST SW SB が成立 1 t t またm=0であるので x m x m R mm より n R T mm T t が成り立つ (b)KL展開による主軸 全共分散行列 T の固有値 1 , 2 とそれに 対応する正規直固有ベクトル u1 , u2 を求める 19 6 1 , 2 5 5 1 3 1 2 , u2 u1 13 2 13 3 となりKL展開によって定まる主軸は(3,2)方向であり, 図2(a)のPとなる。これはパターン全体の主軸である。 (c)線形判別法による判別軸 SW , W の逆行列より 5 5 0 B S S 32 3 0 1 W 1 W B i ni / n これが成立するのは P 仮定したため このとき 1 W Bの固有ベクトルと固有値を求めると 25 1 , 2 0 32 0 1 5 , u2 u1 34 3 1 と この固有ベクトル u1 の方向 は図2(c)におけるDの方向で あり、クラス内分散・クラス間 分散比最大という基準におい て二つのクラスを識別するの に最も適した軸 図2:種々の線形変換によって得ら れる1次元部分空間と決定境界 P X2 X2 P 3 S2 S S1 2 2 3 0 2 X2 3 X 1 3 m1 D 3 X 1 2 2 (b).主軸からの距離 5 3 0 (a) KL展開 m2 0 3 X1 (c) 線形判別法 D 2 3 (d) J の最大値とマハラノビス汎距離 各クラスの平均と全平均とのマハラノビス汎距離の平均値 Pi D mi , m Pi m mi m mi c 2 M i 1 c t i 1 25 32 W1B の最大固有値に等しい また、クラス 1,2の平均間マハラノビス汎距離は 2 25 D m1 , m2 2, 0 0 8 2 M 1 W (e) 第一の変換行列 A1 (1) 線形判別によって求まる変換行列Aは ~ d, d 行列 A1 とd, d 行列 A2 とに分解できる A A1 A2 クラス内共分散行列 W の固有値と正規直交固有ベク トルを求めると 19 6 1 , 2 5 5 1 1 1 1 , u2 u1 2 1 2 1 (e) 第一の変換行列 A1 (2) A1t W A1 I d から第一の変換行列 A1は 1 0 A1 u1 , u2 0 2 現空間上の点 上での座標 z x x1, x2 t z1 , z2 は t 1/ 2 を 10 1 2 8 1 2 A1で変換した点,すなわち正規化空間 x z1 10 x1 x2 t 1 A1 8 2 x1 2 x2 z2 x2 (f) 第二の変換行列 A2 (1) 正規化空間上での各クラスの平均 m1' , m2' に対してKL展開 クラス平均の共分散行列 N の 固有ベクトルを求める 1 c ' 5 1 2 ' ' ' t t N mi m mi m A1 B A1 c i 1 32 2 4 固有値と正規直交固有ベクトル 25 1 , 2 0 32 1 1 1 2 , u2 u1 5 2 5 1 (f) 第二の変換行列 A2 (2) 1 1 A2 5 2 2 3 A A1 A2 8 5 25 1 とすると 32 def A1 が直行変換でないため DN は A B A t ' 1 m ,m m1 , m2 を通るとは限らないことに注意 正規化空間上で DN に垂直な方向 A 1 t 1 ' D 2を通るが,原空間上で が DN は、原空間上では 10 2 1 1 2 2 3 u2 32 2 1 5 1 32 5 (g) 決定境界 (a).KL展開によって定まる1次元空間の最適な決定境界 P (b).各クラスの分布の主軸 S1 , S 2 からの距離によって識別 した場合の決定境界 S (c).線形判別法によって定まる1次元空間の最適な決定境界 D この三つの決定境界を比べると ・与えたれた10個の特徴ベクトルに対して誤識別をするの はどれにおいても各クラス1パターンずつ計2パターン ・分布全体の中で誤識別を引き起こす領域を比べてみると, この例では,(c)の D が最も良い決定境界
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