広汎性子宮全摘術後の 排尿障害に対する エブランチル の有用性

日本標準商品分類番号
872149、87259
薬価基準収載
広汎性子宮全摘術後の
排尿障害に対する
®
エブランチル の有用性
本山 覚ほか:産科と婦人科, 70(9), 1275∼1279, 2003
広がる・・・
確かな手応え
排尿障害改善剤・降圧剤
処方せん医薬品(注意−医師等の処方せんにより使用すること)
(ウラピジルカプセル)
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等については裏表紙をご参照ください。)
2010年4月作成
EBR185−10D−01−SG1
結 果
広汎性子宮全摘術後の
排尿障害に対する
®
エブランチル の有用性
本山 覚ほか:産科と婦人科, 70(9), 1275∼1279, 2003
図1.術後平均1回排尿量の比較
1.平均1回排尿量
(mL)
450
エブランチル群は対照群に比べて、
全ての評価日において
有意な増加を認めた
(図1)。
2.平均1回残尿量
350
エブランチル群は対照群に比べて、
全ての評価日において
改善傾向を認めたが、
有意差は認められなかった。
250
3.術後自立排尿開始日
200
エブランチル群13.5±6.9日に対して対照群では25.9±9.7日
と、
有意に早期化が認められた(図2)。
150
*
*
40
50
(術後日数)
*
100
50
0
エブランチル投与中、臨床検査値異常など有害事象は
認められなかった。
婦人科悪性腫瘍、特に子宮頸癌に対する広汎性子宮全摘術後に発生する排尿困難や尿意鈍麻、尿
*
300
4.有害事象
目 的
*:p<0.05
mean±S.D.
t−test
*
400
10
20
対照群(n=20)
30
エブランチル群(n=22)
図2.術後自立排尿開始日の比較
失禁などの病態は、尿管、膀胱、腟壁への手術侵襲や基靱帯、膀胱子宮靱帯処理に伴う骨盤神経、
(日)
60
下腹神経の切断によって生じる一種の神経因性膀胱と考えられる。今回われわれは、広汎性子宮
p<0.01
全摘術後の排尿障害の改善を目的として、本手術後患者に対して交感神経α1遮断薬の中で唯一、
mean±S.D.
t−test
50
神経因性膀胱に対して適応を持つエブランチル® を投与し、臨床的有用性を検討した。
40
対象および方法
30
投与した22例と、排尿機能に関して自然経過観察をした対照群20例を比較検討した。なお、両群
10
とも術後6日目の膀胱カテーテル抜去後より自己排尿補助動作注1)を採用した。
また、観察項目は術後10日∼50日間における10日毎の①平均1回排尿量、②平均1回残尿量、
0
対照群(n=20)
注2)
とした。
注1:手圧により排尿をスムーズにさせる動作など
13.5±6.9日
20
広汎性子宮全摘術を施行した症例中、エブランチル®(30mg/分2・食後)を術後5日目より4週間
③自立排尿開始日
25.9±9.7日
エブランチル群(n=22)
考 察
注2:残尿量が50mL以下になり、排尿後の導尿処置が不要となった日
平均排尿量の有意な増加が認められたことより、
尿道抵抗並びに膀胱内圧低下、
さらには膀胱容量の増加がもたら
されたと考えられた。
ま と め
広汎性子宮全摘術後のエブランチル投与により、排尿量の有意な増加、残尿
量の改善および導尿措置からの早期離脱が達成され、原疾患後続治療の円滑
な開始が遂行された。広汎性子宮全摘術後のエブランチル投与は術後排尿
障害の改善を通して患者のQOL向上に寄与するものと考えられる。
●効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意等については裏表紙をご参照ください。