【第10回】A/D 変換回路と周波数 - Signalysis

臨床工学学習ノート 第10回
計測工学 II 【第10回】A/D 変換回路と周波数 学習目標 AD 変換器について学びます。AD 変換におけるサンプリングの定理などは既に学習
済みのはずで、重要な項目ですが、今回は AD 変換器そのものについて学びます。こ
の部分はこれまで国家試験の出題履歴はありませんが、医療機器の特性を知る上で
は重要な項目です。 同時に、サンプリング定理やエイリアシングなどの復習を行います。AD 変換の量
子化精度や標本化間隔などの決め方などについても、実際の生体信号の現象に合わ
せて理解して下さい。 用語、キーワード 逐次比較型 AD 変換器、二重積分型 AD 変換器、並列比較型 AD 変換
器、デルタシグマ型 AD 変換器、サンプリングの定理、エイリアシング、
ナイキストの周波数、サンプリング周波数、標本化、量子化、離散数学、
コンパレータ、フーリエ変換、サイドローブ、窓関数、周波数カウンタ、
ディジタルマルチメータ
学習のチェックポイント AD 変換器の構成は、やや難しいかも知れませんが動作原理の「雰囲気」をつかん
で下さい。必ずしも名称も覚えていなくても構いません。ただ、サンプリングの定
理や、標本化間隔、量子化精度などの言葉はきちんと内容を理解した上で使って下
さい。AD 変換器の原理ではなく「使い方」の方は、最重要ポイントの一つです。 この項目の理解に必要な項目
フーリエ変換については何度か学習していると思いますが、できれば
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計測工学 II 数学的な基礎から学んで欲しいと思います。AD 変換の量子化精度や標
本化については情報工学などでも学習し、生体計測演習などでも学習し
ていると思いますが、完全に理解して下さい。
この項目を理解してから学ぶべき項目 実際に、臨床的な実験データを処理する場合には、計測計について今日の内容を
復習し、サンプリングの周波数や信号処理回路などを検討する必要があります。国
家試験の出題範囲としては、今日の内容が一応のゴールになります。 この項目の国家試験問題:例 【16P25】電気工学 答(4) 正しいサンプリング可能な組合せはどれか。 信号周波数帯域[Hz] サンプリング周期[ms] a. 0 〜 0.2 ---------------- 3000 b. 4 〜 10 ---------------- 125 c. 0.5 〜 20 ---------------- 20 d. 10 〜 100 ---------------- 2.5 e. 100 〜 1000 ---------------- 1 1. a、b 2. a、e 3. b、c 4. c、d 5. d、e 自己診断・チェックリスト □ 逐次比較型 AD 変換器の構成を説明し、特徴をいえるか。 □ 二重積分型 AD 変換器の構成を説明し、特徴をいえるか。 □ 並列比較型 AD 変換器の構成を説明し、特徴をいえるか。 □ デルタシグマ型 AD 変換器の構成を説明し、特徴をいえるか。 □ 量子化、標本化、符号化などの言葉を説明できるか。 2
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□ サンプリング周波数と原信号に含まれている周波数成分との関係を
いえるか。 □ エイリアシングという現象について説明できるか。 □ フーリエ変換結果のサイドローブについて説明できるか。 □ 窓関数の役割を説明できるか。 □ ディジタルマルチメータのおよその構成について説明できるか。 理解のためのヒント(講義補足) AD 変換は何度も反復して学習していると思います。まず、周波数軸で書かれたグ
ラフと、時間軸で書かれたグラフとの関係を理解し、エイリアシングなどの現象が
なぜ起きるのか、ていねいに波形を辿って下さい。直感的には難しくないはずです。 今日の授業の参考ページ 教科書「はじめての計測工学」改訂第2版 P235〜P241
欠席課題 これまでのこの科目以外の授業や「演習」で学んだフーリエ変換の内容を、一通
り整理してレポートにし、
「原信号に含まれる周波数成分」という言葉の意味と、
「ス
ペクトラルピーク」との関係を、数式か、グラフなどで説明して下さい。 3
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出席表兼ミニテスト
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