計測工学 第 3 回 前回: ・有効数字 ・誤差伝搬の法則 今回: ・測定の不確かさ ・正規分布 ・偏差値 「計測工学」第 3 回 3.1 測定の不確かさ(誤差) ・不確かさ(誤差)= ・問い:誤差を小さくするための具体的方法は? ●誤差の分類 ①系統誤差:測定器固有の誤差(器差),測定者の癖(個人誤差),環境条件,等による ・ ・ ②偶然誤差:原因を特定不可能な揺らぎや不確実性に由来する ・ ・ ③過失誤差:機器操作の誤り,等 ・ ・ 1 「計測工学」第 3 回 (a) かたより・ばらつきとも小 (b) かたより大・ばらつき小 (c) かたより小・ばらつき大 図 3.1 かたよりとばらつき(イメージ) ●ばらつき(偶然誤差)の特徴 ・平均値付近の値が測定される頻度: ・ 〃 より離れた値が 〃 : ・平均値を中央としたときの左右のばらつき: ( x − µ ) 2 1 f ( x) = exp − 2 2πσ 2σ X: x: f(x) : 図 3.2 正規分布 a≦X≦b となる確率: µ: σ 2: σ: 正規分布の表記: 図 3.3 かたよりとばらつき(正規分布) 2 「計測工学」第 3 回 3.2 正規分布の標準化 ● (a) 成年男子の身長の分布,N(170 cm, (6 cm)2) (b) 小学 3 年男子の身長の分布, N(128 cm, (4 cm)2) を比較する. ・ 正規分布の性質より・・・ 図 3.4 正規分布の標準化 ●個別の正規分布に対して・・・ ・ ・ (a) 個別の正規分布 (b) 標準化正規分布 図 3.4 正規分布における確率推定 3 「計測工学」第 3 回 ・正規分布表の使用法 表 3.1 正規分布表 ①:その正規分布表が記述して いる確率(I(Z)の領域)を確認 する. ②:測定値 x に対して変数変換 を行い,x に対応する Z の値 を求める. ②:Z の値を縦軸および横軸か ら選択し,両軸から該当する 表中の値が確率 I(Z)の値(= I(Z)の面積)となる. ・例題:ある高校 3 年男子 150 人の身長が平均 μ = 170.4cm,標準偏差 σ = 5.7cm の正規 分布を取るとき,175cm 以上の生徒数を求めよ. 4 「計測工学」第 3 回 3.3 標準化正規分布における標準偏差 f(x) ・標準化した正規分布 N(0, 12)において,分布の 形状は全て同一である 0 -σ ● -2σ +σ +2σ -3σ +3σ 図 3.5 標準化後の標準偏差 ・例題:標準化された正規分布において,±3σ (-3σ 〜 +3σ の範囲内)に含まれる 確率は何%となるか,表 3.1 の正規分布表を用いて求めよ. 5 「計測工学」第 3 回 3.4 第 3 回講義に関する意見・感想・質問のまとめ ●意見・感想 ・特になし:10 ・誤差の算出の仕方がまだ分かっていないのでしっかりと復習する,統計学は自信がないので復習したい, 正規分布表を使った確率の求め方など理解しきれていない部分を復習したい,正規分布について忘れて いることが多かったので復習しっかりしたい:9 ・正規分布を改めて勉強できていい復習になった,正規分布が良く理解できた,正規分布の標準化のところ が前期ではよく分からなかったが分かった,正規分布表の見方を忘れていた:7 ・分かりやすかった,応用数理でやった内容で理解しやすかった:5 ・(小テスト)勉強した気になってたけど出来なかった,全くできなかったため勉強の仕方を変えなくては,小 テストが難しく感じた:5 ・ナノ=10-9 だと覚えていなかった,ナノ=10-9 をど忘れしてしまったので二度とこのようなことが無いようにす る,マイクロとナノの順番をど忘れして悔しい:3 ・難しかった,分布難しかった:3 ・以下一人ずつ: 測定値を用いて計算しながら進むため使い方も分かりやすい,進行速度は丁度よかった,少しずつ内容 が難しくなってきたので頑張る,正規分布の使い方がいまいち分かっていなかったのでこの授業で分かっ ていきたい,標準偏差をもっと勉強したい, 例題がもう少し増えると良い←今日は本当はもう 1 問あったんですが,時間が足りませんでした. 電卓に頼りすぎた←ん?電卓の機能を使い間違えた,とか? もっときちんと応用数理を勉強しておけばよかった←今から復習しても間に合います! 光速など桁数の多い計算では有効数字を意識して計算するのが難しく感じた←計算に慣れてくれば,最 終的な有効桁数を見越して,多数桁の係数を概数にしてもいいでしょうね(そのように回答した人もいまし た). MotoGP 行きたかったのにレポートとバイトで忙殺されていけなくて残念←それは残念ですね・・・今は 4 ス ト主体でやってるんですよね? 小テストでの有効数字が不安だったので統計も含めて理解しておく←頑張って下さい! ●質問 ・測定値が 0.5 など 1 桁である場合, 0.5 と捉えれば良いのか?←その通りです.例えば最小目盛りが 一の位の測定器で測る場合で,測定対象が 1 未満であればこうなり成り得ます. 6 「計測工学」第 3 回 3.5 第 2 回小テスト解答 Q. 光が位置 A から位置 B に到達するまでの時間が 2.0±0.1ns であった.誤差伝播の法則に基づき, AB 間の距離を誤差も含めて表せ.ただし光速 c = 299792458m/s とする. ・ ∂f ∂f ∂f ∆q = ± ∆x1 + ∆x2 + ⋅⋅⋅+ ∆xn ∂x1 ∂x2 ∂xn 2 A. 誤差伝播の法則より,誤差Δq は次式で表される. また関数の形式 q=A・x1, 2 2 ∂f 2 =A=c,x1=t,Δx1=Δt より, ∆q = ± (c ⋅ ∆t ) = ±c ⋅ ∆t である. ∂x1 ここで c=299792458 m/s,t=2.0 ns=2.0×10-9 s, Δt=0.1 ns=0.1×10-9 s ∴ ∆q = ±299792458 × 0.1 × 10 −9 =±0.029979…=±0.03 m ←誤差を表す値は一桁 q=ct=299792458×2.0×10-9=0.59958…=0.60 m ←有効数字 2 桁 AB 間の距離 q±Δq=0.60±0.03 m 7
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