頭頸部腫瘍治療状況 ー喉頭がんを中心にー

頭頸部腫瘍治療状況
ー喉頭がんを中心にー
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
井口 郁雄
頭頸部癌症例の年次推移
全症例の年次推移
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
95
61
61
48
41
2003
2004
2005
2006
2007
各症例の年次推移①
20
16
舌 口腔
上顎
上咽頭
唾液腺
12
8
4
0
2003
2004
2005
2006
2007
各症例の年次推移②
36
32
28
24
下咽頭
中咽頭
喉頭
甲状腺
20
16
12
8
4
0
2003
2004
2005
2006
2007
頭頸部腫瘍手術例年次比較
1 全手術症例に対する頭頸部腫瘍の占める割合
666
700
600
手術件数
頭頸部症例
578
500
400
300
200
191(29%)
130(22%)
100
0
2006までは20%前後
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
2007、29%
2 各頭頸部手術症例の年次推移①
60
50
40
48
39
甲状腺
耳下腺
30
20
24
顎下腺
14
気切 LN
10
0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
耳下腺腫瘍
H17.1∼H19.12(3年間)当院で手術加療施行した52例
悪性腫瘍 3例
Salivary duct carcinoma 2例
Squamous cell carcinoma 1例)
良性腫瘍 49例
Pleomorphic adenoma 21例
Warthin’s tumor 17例
その他 11例 (Basal cell adenoma
malignant lymphoma 等)
術後顔面神経麻痺について
術式 耳下腺浅葉摘出術 43例
耳下腺深葉摘出術 6例
耳下腺全摘・顔面神経合併切除術 3例
顔面神経麻痺 全9例(17.3%)
完全麻痺 3例(5.8%)
全て悪性腫瘍例で顔面神経切除例
不全麻痺 6例(11.5%)
浅葉摘出 4例
深葉摘出 2例
→全て完全回復
2 各頭頸部手術症例の年次推移②
15
10
5
5
ND
喉頭全摘
喉頭部切
舌 口腔
再建
喉頭部分切除症例
07
20
06
20
05
20
04
20
03
20
02
20
20
01
0
2006より開始し増加傾向
喉頭がんの治療基本方針
*T1,T2症例は、根治照射
*T3,T4症例は、喉頭全摘術
*T1 ,T2再発例は、喉頭全摘術
*T2症例でRT後、癌残存例は
喉頭全摘術
2004までの方針
2005より喉頭部分切除術を加えている
喉頭癌の治療成績
6年当院で加療した喉頭癌70例
30
26
25
20
T1 T2
12
7
10
72%
61-80歳
68%
0
T1
T2
T3
T4
T別検討
RT TL 再発 salvage 局所制御率 喉頭温存率
T1 26 0
3
TL 1
96.1%
Laser 1
92%
頸 骨転移
1
T3 0
12 2
頚部LN1
局所 1
83.3%
ー
T4 0
7
頚部LN2
71.4%
ー
2
喉頭癌T2
根治照射 22例
25例
喉頭全摘(TL)
3例
すべて s-glottic type
CR 12例
再発 10例
再発 0例
laser 1例
TL
9例(1例再発死)
喉頭温存率 59.1%(RT CR12例
局所制御率
96.1%(1例再発例)
s-laser 1例)
喉頭がん治療成績小括
‹喉頭がんの5年生存率は、
声門上がんで81.8%、声門がんで90.3%、
声門下がんで75%、全体で87.9%であった。
‹T1症例のRTによるがん制御率は、96.1%と
良好な成績を示した。
‹T2症例の局所制御率は96.1%と良好であっ
たが、喉頭温存率は59.1%であった。
1.頭頚部腫瘍の手術件数は6年前に比べ1.5倍、
頭頚部癌の治療症例数は2.3倍と著名に増加していた。
2.特に甲状腺癌、喉頭癌の症例数の増加が顕著であった。
3. 喉頭癌の治療成績を検討した。
① 治療成績は、国内の有名他施設の成績の比べて、
遜色のない成績を示した。
② 音声機能を温存可能な喉頭部分切除術は、
症例を選び、今後も実施したいと考える。