自給菜園あおぎり

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研 修期間・期日
平 成21年7月 21日(火)・7月22日(水)・ 7月23日(木 )
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研 修機関・施設名
自 給菜園あおぎり
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研 修の概要
1日目・・・ 種まき・野菜の収穫・ 袋詰め作業・有機農法 についての講義 な ど
2日目・・・ 農園視察団の対応補助 ・野菜の収穫・草取り など
3日目・・・ 野菜の収穫・追肥・草 取り・苺の苗とり な ど
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研 修を体験しての感想・ 意見・要望等
【 はじめに】
学校以外で働く ことができる貴重な機 会である社会体験研修 をするにあたり、
まず、自然の中で体を使って汗を流す仕事がしたいと思った。普段の多忙な学
校生活では自然とじっくり向き合うことが少なく、屋外で太陽の下、風や土や
植物や虫たちと時間を共にしてみたいと考えていたからだ。また、生活科等で
栽 培活動はしているもの の知識不足も感じてい た。
ちょうどその頃、勤務校での取り組みである「緑のカーテン」の特別講師と
し て菜園アドバイザーで あるHさんをお招きし た。児童と 一緒に活動しながら、
EM菌 に よ る 自 然 農 法 の お 話 を お 聞 き す る う ち に 、 有 機 栽 培 に 関 心 が 湧 き 、 も っ
と知りたいと思った。そこで、お願いしたところ、お忙しい身であるにもかか
わ らず、菜園での研修を 快くお受けいただいた 。
【 体験を通して学んだこ と】
○ 食の安全について
Hさんは、40歳代で生死に関わる大きな病気を経験し、その際に薬物の副
作用の怖さを身をもって感じられたそうだ。その経験から、薬物や添加物、体
に害のない食物などについて学び、今の農園を作られたそうだ。最終的には、
全部を自給できるようにという思いから、50種類以上もの有機野菜を育てて
い る。年間を通じて収穫 できるような工夫もさ れている。
私も、妊娠・出産を機に安全な食についての関心は高まり、子どもにはでき
る だ け 無 添 加 の 食 物 を と 考 え て き た の だ が 、「 農 薬 = 農 業 用 毒 物 」 と 教 わ っ た
時には、驚いた。普段、口にしている野菜が農薬を使って育てられたものかと
いうことなど考えたことがなかった。いろいろな話をお聞きしながら安全な食
生活が健康な体と心を育てることを再認識すると同時に、今の日本の農業のあ
り方、できるだけ安く売るために安全ではない野菜を作らざる得ない農家の実
態について考えさせられた。消費者である私たちにもその一因はあると思う。
今後、教員として私は、児童に自分の体を守るための食生活について、伝え続
け て行かなければならな いという使命感を感じ た。
○ 有機農法について
2001年 に有 機 JAS 法が 施行 され 、 2002年に 「自 給 菜園 あお ぎり 」 はそ の認 定
を 受 け た 。袋 詰 め 作 業 で「 有 機 JAS マー ク」 を貼 る 仕事 もし たが 、 この マー ク
は国が安全を保証する印であること知った。この認定を受けるのは容易なこと
で は な く 、 そ れ ま で に 20数 年 か け て 、 有 機 の 畑 を 作 っ て 来 ら れ 、 そ の 間 、 生 産
管理記録をつけておられたので認定を受ける際に助かったそうだ。それほど野
菜に愛情を持って接してこられたのだ。私たち教員も児童の成績や行動の記録
を年に数回つけているが、毎日、愛情を持ってしっかり観察しているのかどう
か 自問する機会にもなっ た。
○ 伝える熱意について
Hさんは自分が培ってきたことを伝える努力をされている。講義をする機会
は 年 間 100回を超 えるよ うだ。 全国に 出かけ られて いる。 研修中 にも、 20数 名の
視察団を受け入れたが、その講義ぶりは実に見事であった。保育園児からお年
寄りまで聞いている相手に合わせて話をすることができるそうだ。始めは失敗
もあったけど、今ではどんな質問でも答えられると自信を持って臨んでいると
伺 い、経験するこ との大切さを学んだ。私も聞いている 児童の様子に合わせ て、
臨機応変に話す内容や話し方を変えていけるような技術を習得すべく、経験を
積んでいきたい。そのためには、やはり分かってもらいたい、伝えたいという
熱 意が重要だということ も改めて感じた。
○ 仕事を楽しむ
Hさんは、野菜の世話・収穫・出荷や畑の手入れ以外にも視察団を受け入れ
て有機農法について伝授したり、各団体や学校などで講演をしたり、市内にあ
る有機野菜を使った安全な食事を提供する中華料理のお店の手伝いをしたりと
大変お忙しい方だ。でも、笑顔で「自分の好きなことをしているから楽しい」
とおっしゃっていた。私も小学生時代からの夢である教員になることができ、
ありがたいと思っているのだが、年を重ねるにつれて心から楽しむことを忘れ
て い た よ う な 気 が す る 。「 や ら な け れ ば 」 を 「 や り た い 」 に 変 え て 、 児 童 と 過
ご す貴重な時間をもっと 楽しみたい。
また、Hさんは「どうしてだろう」という問題意識を持って物事をみて、そ
の理由を検証する洞察力に優れ、思ったことを実行する行動力のある方だと思
う。それでいて腰が低い。この人間としてすごく大切な力を私も持ちたいし、
児童にもこのような生きる力を身につけさせたいと思った。そう思うと、これ
か らの教育活動がさらに 楽しみである。
【 最後に】
何十年もかけて築き上げてこられた有機農法について、たった3日で学ぶな
んて到底無理なことだと思うし、たった3日の活動で体験したなどというのは
おこがましい話だと思う。しかし、Hさんとの出会いは私にとって大変貴重な
ものとなった。作業をしながら雑談のように話してくださったことが、自分の
今までの生活やこれからの生活のあり方、人生を考える機会になった。また、
Hさんの活動を支える奥様の温かさも、教員であると同時に妻である私にとっ
て 大きな目標となった。
貴重な経験、心に 響くお言葉、本当にあ りがとうございまし た。