ネオニコチノイド系粒剤の土壌施用による カンキツ苗木に対するミカン

ネオニコチノイド系粒剤の土壌施用による
カンキツ苗木に対するミカンハモグリガの防除
ねらい
カンキツ類の苗木を育成するためには、ミカンハモグリガの防除は最も重要な管理の一
つである。しかし、その発生期間中における薬剤防除は10日∼2週間間隔で4∼5回実施
しなければならず、高温期における作業は身体的な負担が大きい。このことから、ネオニ
コチノイド系粒剤の土壌施用によって、カンキツ苗木のミカンハモグリガに対する防除技
術を明らかにする。
主要成果
1 チアメトキサム(アクタラ粒剤5)、アセタミプリド(モスピラン粒剤)の土壌施用に
よる防除効果はいずれも高い。効果の高い施用時期は、両剤とも夏芽発芽2週間∼20日
前の6月上旬である(図1)。
2
ミカンハモグリガによる被害の許容限界を被害度30に設定した場合のアセタミプリド
粒剤(成分量2%)施用量は1樹当たり10gである(図2)。
3
1回の施用で防除効果はおおむね3ヵ月間持続する(図3)。
4
粒剤施用後の土壌混和(表層5cm程度)は、防除効果を向上させる(表1)。
成果の活用面・利用上の留意事項
1 チアメトキサム(アクタラ粒剤5)は20g/樹で平成14年にカンキツ苗木に登録済み
で、アセタミプリド(モスピラン粒剤)は10g/樹で平成15年登録予定である。
2
降雨直後の施用が望ましく、施用後5日以上降雨が見込まれない場合には潅水が必要
である。
3
本防除法によるミカンハダニのリサージェンスは認められない。
4
年間1回処理で防除が可能となるため、省力化と軽作業化が図れる。
5
使用年に収穫見込みのない苗木だけが植栽されている圃場のみの使用とし、生産園に
おいて補植された苗木には使用しない。
関連文献等
(1)宮田明義・溝部信二:クロロニコチニル系殺虫剤によるミカン害虫省力防除方法の開
発, 園学雑69(別1),210,2000
(2)宮田明義・岡崎芳夫:ウンシュウミカンの交互結実栽培におけるミカンハモグリガの省
力防除方法の開発,園学研1,137-142,2002
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試験成績
100
処理時期
80
5月下旬
被害度
6月上旬
60
6月中旬
40
20
0
チアメトキサム
アセタミプリド
無処理
図1 ネオニコチノイド系殺虫剤(粒剤)がミカンハモグリガの防除効果に及ぼす
影響(2002,はるみ1年生樹)
注1)定植4月5日,20g/樹施用,調査:処理180日後
注2)被害度=100∑(被害程度別葉数×被害程度指数)/(6×調査葉数)
被害程度指数:無;0,少;1,中;3,多;6
図2 アセタミプリド粒剤の施用量とミカンハモグリガの
防除効果との関係(1999,青島温州3年生樹)
注)処理:6月5日、調査:120日後
100
20g/樹
80
被害度
10g/樹
60
慣行防除
無処理
40
20
0
20
40
処理後日数
60
80
図3 アセタミプリド粒剤の施用とミカンハモグリガの防除効果の
持続期間(1999,青島温州3年生樹)
注1)土壌処理:
6月15日
注2)慣行防除:
アセタミプリド水溶剤3000倍液を6月25日
から 15日間隔で4回散布
表1
処
ネオニコチノイド系粒剤の施用後の土壌混和が
ミカンハモグリガの防除効果に及ぼす影響
理
区
被害葉率
(%)
被害度
土壌混和
34.7
15.7
表面施用
56.3
28.7
「宮川早生」2年生樹、20g/樹施用
土壌混和は表層5 cm
研究年度
平成9年∼16年
研究課題名
カンキツの園地別交互結実栽培技術の開発
担
農業試験場大島柑きつ試験場 宮田明義(現 田布施農林事務所橘支
所)・岡崎芳夫・溝部信二(現 農業試験場総務課農場管理グループ)
当
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