龍脳 d-ボルネオール

龍脳
d-ボルネオール
龍脳とは、もとは、龍 脳 樹 と い う イ ン ド ネ シ ア 地 方 に 生 育 す る 木 の 樹 脂
が 沁 み 出 し 、結 晶 化 し た も の で す 。揮 発 性 が 高 く 、鼻 を 突 き 抜 け る よ う
な 清 涼 感 あ ふ れ る 芳 香 が 特 徴 で す が 、不 純 物 が 多 く 、そ し て 産 出 量 と し
ても乱獲や伐採により非常に僅かな量しか入手することが出来ません。
そこで日本では明治時代に藤沢薬品工業が樟脳より龍脳を製造するこ
とに成功し、現在までその製法を守り続けています。
。
龍 脳 は 昇 華 性 に 富 み 、樟 脳 に よ く 似 た 香 り で す が 、刺 激 の 中 に も 、ふ
くよかで柔らかな香りを持つ優れた香料です。使用する産業としては、
焼香や線香などの薫香原料や、香り付けとして墨や墨汁に配合されております。
また、医薬品においても色々な漢方薬や目薬などに配合されています。
用途
●焼香や線香などの香原料
●医 薬 品 へ の 利 用
龍脳ものがたり
龍脳ものがたり
龍脳樹は二羽柿科に属する広葉樹で、高さ 50~
60m、直径が 1~2m にもなる大木です。東南アジア地
方のボルネオ島、スマトラ島、マレー半島などに分布
しており、日本には存在しません。
龍脳の歴史は古く、6、7 世紀頃には中国の古典医書
に収載されており、その頃には産出国の東南アジアか
ら中国やインド、アラビアなど各地で盛んに交易され、
特に当時の中国には大部分の龍脳が集まったといわれ
ています。元々産出量が少ない為か、中国では「龍の
脳」という名で呼ばれ、上層階級の間で大変重宝され
ており、8 世紀には唐の玄宗皇帝が最上級の品質の龍
脳を楊貴妃に贈ったといわれています。
日本に龍脳が伝えられたのは奈良時代といわれてい
ます。そして「新修本草」などの本草書や医書によっ
て医薬原料として認識され「本草和名」
「倭名鈔」
「医
心方」などに記載をみます。龍脳は古来より貴重な香・
薬原料として使われていたようです。
ボルネオ島周辺図
規格
参考資料
●フジサワ 100 年史
●服部 昭 「クスノキと樟脳-藤澤樟脳の 100 年」牧歌舎 2007 年
●宗田 一 「日本の名薬」 八坂書房 2001 年