土木学会災害調査団活動の歩み 2004年12月26日 スマトラ島沖地震・津波災害(その1) 〈土木学会スマトラ島調査団の活動〉 調査概要 14,000人が暮らしていた海辺の町Leupungは端から端が見通せる荒野になっていた。家は1軒も残らず、椰子の木は根 本から折れ、道路は舗装ごと流れ去った。生き残った者は1,500人。2004年12月26日午前8 時7 分(現地時間)、スマト ラ島北西部から約100km沖合を震源とするM9.0の巨大地震が発生した。震源からマレー半島沖のアンダマン・ニコバル 諸島にいたる1,000km以上のプレート境界が動き、20mを超える巨大津波が発生した。被害はインド洋全域に及び、死 者・行方不明者は30万人を超えて人類史上まれにみる大災害となった。 土木学会は1月5日にスマトラ沖地震津波被害調査特別委員会(委員長:今村文彦東北大教授)を発足させて調査にあ たった。先に現地入りしていた文部科学省の緊急調査団からインド洋各地の津波高さなどの情報が寄せられたことから、 土木学会は地震動と津波が人と社会施設に及ぼした影響を調査することとし、もっとも被害の大きかったスマトラ島北 部に11名の調査団(団長:後藤洋三、(独)防災科学技術研究所)を派遣した。現地調査に際しては、国の技術調査団で ある科学技術振興調整費・スマトラ島調査団(家村浩和京都大教授他14名、以下、家村調査団)と時期を合わせて現地 入りし、互いに重複を避け、連携して安全かつ効率的に調査を進めた。 結果の公表 3月5日にシャクワラ大学で大学側協力者と調査結果 の検討会を開催した。6日には西海岸の道路の復旧計 画に関する1次的な助言をまとめた。さらに現地調査 速報を作成し、7日にジャカルタの研究技術省にて研 究技術大臣とインドネシア技術者に報告、併せて日本 の耐震・津波対策の紹介を行った。 以下はその際に示した提言の要約である。 1)ハードとソフト両面の津波対策が必要 2)早期警報システムの導入と津波防災教育の充実 3)モスクの津波避難所・防災拠点としての利用 4)既存建物の耐震補強、新設建物の耐震対策強化 5)津波研究センターの設立と国際交流の推進 6)津波高さを示す石柱など、災害を末永く後世に伝 えるモニュメントの設置、津波博物館の開設 以下のサイトで関連情報を公開している。 西海岸のセメント工場(アチェ州副知事提供) 推定断層線 http://www.jsce.or.jp/report/33/ バンダアチェ市 アチェ州 スマトラ島 津波被害後のバンダアチェ市北海岸 震源断層とバンダアチェ市の位置関係(国土地理院に加筆) 社団法人 土木学会
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