放課後 化学講義室 実際の COD の測定 ~実際の実験ではこうする!~ -解答(1) 反応する溶液は硫酸酸性なので、シュウ酸ナトリウムは硫酸と反応してシュウ酸になる。 ・(COONa)2 + H2SO4 → (COOH)2 + Na2SO4 ・・・・(a) こうして生成したシュウ酸を還元剤として酸化還元反応式を考える。 ・MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O ・・・・(b) ・(COOH)2 → 2CO2 + 2H+ + 2e- ・・・・(c) (b)×2 + (c)×5 より ・2MnO4- + 5 (COOH)2 + 6H+ → 2Mn2+ + 10CO2 + 8H2O ・・・・(d) である。 (d)式でも問題は解けるが、全反応式も作ってみる。 「MnO4-」を「KMnO4」に書き換えるため、(d)の両辺に 2K+を加える。 ・2KMnO4 + 5 (COOH)2 + 6H+ → 2Mn2+ + 2K+ + 10CO2 + 8H2O ・・・・(e) 「H+」を供給源である「H2SO4」に書き換えるため(e)の両辺に 3 SO42-を加える。 ・2KMnO4 + 5 (COOH)2 + 3H2SO4 → 2MnSO4 + K2SO4 + 10CO2 + 8H2O ・・・・(f) この(e)式が酸化還元反応の全反応式である。 さらに「(COOH)2」を「(COONa)2」に書き換えるため(a)×5 と(f)を辺々加える。 ・2KMnO4 + 5 (COONa)2 + 8H2SO4 → 2MnSO4 + K2SO4 + 5 Na2SO4 + 10CO2 + 8H2O ・・・・(X) この(X)式がシュウ酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムと硫酸の全反応式である。 シュウ酸ナトリウムの滴下量は 0.00532 mol/l × 10 ml = 0.0532 mmol である。 (“mmol” は “ミリモル” で 10-3 mol とします。) このシュウ酸ナトリウムを酸化するのに要した過マンガン酸カリウムの物質量は、(X) 式より 0.0532 mmol × 2/5 = 0.02128 mmol ≒ 0.0213 mmol すなわち試料水の酸化のために滴下した過マンガン酸カリウムの物質量は 0.00208 mol/l × (10 + 2.37) ml - 0.02128 mmol = 4.450×10-3 mmol ≒ 4.45×10-6 mol 放課後 化学講義室 (2) 過剰に滴下した過マンガン酸カリウムの物質量は 0.00208 mol/l × 0.08 ml = 1.664×10-4 mmol したがって試料水の酸化に要した過マンガン酸カリウムの真の物質量は 4.450×10-6 mol - 1.664×10-7 mol = 4.283×10-6 mol ≒ 4.28×10-6 mol (3) 過マンガン酸カリウムの滴下量は 試料水 50 ml で 4.28×10-6 mol → 試料水 1 l で 4.28×10-6 mol×20 倍 = 8.56×10-5 mol ・・・・(※) また、酸素に換算する; O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O と(b)式の e-の係数を比べると、酸素の場合は物質量が 5/4 = 1.25 倍 必要だとわかる。 したがって試料水 1 l を酸化するのに必要な酸素の物質量は 8.56×10-5 mol × 1.25 倍 = 1.07×10-4 mol したがってその質量は 1.07×10-4 mol × 32 g/mol = 3.42×10-3 g = 3.42 mg したがって求める COD は 3.42 mg/l (4) KMnO4 = 39 + 55 + 16×4 = 158 (3)の結果(※)より、試料水 1 l を酸化するのに必要な過マンガン酸カリウムの質量は 8.56×10-5 mol × 158 g/mol = 13.5 mg したがって過マンガン酸カリウム換算の COD は 13.5 mg/l これは 10 mg/l より大きく、こんな水飲んだらお腹を壊すだろう。
© Copyright 2024 ExpyDoc