専門科目(午後) 化学環境学 20 時間 大修 午後1時 30 分~4時 00 分 「解答始め」の合図があるまで、この問題冊子を開いてはいけません。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------注意事項 1. 次の 10 題の問題の中から4題を選んで解答せよ。解答する問題は4題を越え てはならない。 2. 解答は1題ごとに別々の答案用紙に記入せよ。答案用紙の最初の2行を空け、 3行目から記入することとする。 3. 答案用紙には1枚ごとに問題の番号および受験番号を記入せよ。 4. 空欄を埋める形式の問題を解答する場合には、欄の記号または番号とそれぞれ 対応する解答をともに答案用紙に記入せよ。 5. 答案用紙の裏面を使用する場合には、上3分の1を余白にすること。 1. [1] 次の問に答えよ。 1 モルの A が解離して 2 モルの B になる気相の可逆反応 A 2B に関して、 以下の問に答えよ。 [a] 平衡時の A の解離度 α を、A の分子量 MA [kg mol−1]、温度 T [K]、圧力 P [Pa]、 混合気体の密度 ρ [kg m−3] を用いて表せ。なお、気体定数 R [J K−1 mol−1] を 使用し、理想気体の状態方程式を用いて求めよ。 [b] 平衡時の圧平衡定数 KP を A の解離度 α を用いて表せ。 [c] 温度を変えて圧平衡定数を測定することによって反応熱を求めたい。反応熱 を求めるこの方法を、数式を用いて簡潔に説明せよ。 [2] 反応 A → B + C は、A について1次反応速度式に従う。 [a] 反応物質 A の半減期は初濃度に依存しないことを、数式を用いて簡潔に説明 せよ。 [b] 反応物質 A の半減期は、300 K のとき 50 min、500 K のとき 0.5 min である。 この反応の活性化エネルギーを計算せよ。 なお、気体定数 R = 8.31 J K−1 mol−1、ln 10 = 2.30 とする。 2. 次の問に答えよ。 [1] 以下の文章中の(ア)~(エ)に当てはまる適当な語句または式を、文章のあ とに列挙した【候補】の中から選んで解答せよ。 質量 m の球がバネにつながれて壁にとめられる場合、長さ l のバネの伸びを x と すると、バネが球に引っ張られる力は(ア) (k は力の定数)である。重力を無視する と、この力についての(イ)方程式は m d 2l (ア)で与えられる。 dt 2 二原子分子の振動は調和振動子として近似できる。二原子分子はバネでつながれた 質量 m1、m2、座標 x1、x2 の二つの球とみなせるので、同様に(イ)方程式を立てる と、 d 2 x 2 d 2 x1 k k 2 – (x 2 x1 l) – (x 2 x1 l) の式が得られる。ここで各球の換算 2 dt dt m2 m1 質量 は(ウ)で与えられることから、(エ)の式(x = x2 – x1 – l)が得られる。 【候補】 アインシュタイン, –k, –k x , –kx, d2x k x 0, dt 2 [2] ニュートン, –kx2, m1 m2 , 2 m1m2 , m1 m2 d2x kx 0 , dt 2 ポーリング, 湯川, 2 2 m1 m2 , d2x kx 2 0 2 dt 二原子分子の調和振動子近似についてのシュレディンガー方程式を解くと、エ 1 1 ネルギー E は E h ( )(振動数 2 2 k 、h はプランク定数)となる。この 式中で のとり得る値を記せ。 [3] HBr 分子の調和振動子近似において の値が 1 だけ変化する際に、HBr 分子は 電磁波を吸収する。力の定数 k を、吸収電磁波のエネルギーから算出する式を求めよ。 [4] HBr 分子は赤外線を吸収し、H2 分子は赤外線を吸収しない。問[3]を参考にして、 この理由を簡単に述べよ。 3.下の図は、原子ア∼テ までの第一イオン化ポテンシャル I を原子番号 Z に対 してプロットしたグラフである。以下の問に答えよ。 eV は電子ボルト単位を 表す。 の範囲では、Z の増加とともに I が増加傾向にあるのはなぜか。理 由を5行以内で説明せよ。 [2]原子イ∼ウ、コ∼サ、および ツ∼テ で I が大幅に減少してい る理由を、5行以内で説明せよ。 [3]原子エ∼オ、および シ∼ス 第一イオン化ポテンシャル I (eV) [1]原子ウ∼コ、および サ∼ツ イ コ 20 ケ ツ キ チ ク ア ソ カ エ 10 タ シ セ オ ウ サ ス テ で、Z の増加とともに I がやや減 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920 少している理由を、5行以内で説 原子番号 Z 明せよ。 [4] 原子キ および ソ の電子配置を、最内殻軌道から順に 1s2 2s2 ・・・ のよう に書け。ただし px、py、pz 軌道を区別せよ。 [5] 原子キ∼ク および ソ∼タ で Z の増加とともに I がやや減少している理由 を、5行以内で説明せよ。 [6]気体((g)で表す)のナトリウム原子と気体の塩素原子を考える。中性の状態 の Na(g) + Cl(g) 系と、それぞれがイオン化した状態 Na+(g) + Cl−(g) 系とではど ちらが安定か。理由を説明して答えよ。ただし、Cl の電子親和力を 3.61 eV とし、 原子間、イオン間の相互作用は無視できるものとする。 [7]金属ナトリウムの Na 原子から電子を取り除くのに必要なエネルギー(=仕 事関数)は 2.75 eV であり、Na 原子の I よりかなり小さい。この理由をクーロン ポテンシャルの観点から5行以内で説明せよ。 4.次の問に答えよ。 [1]O2、N2、CO2 からなる混合気体 20 l(l はリットル)を KOH 水溶液に通じて CO2 を完全に除去したところ、混合気体の体積は 15.2 l になった。つづいて (A) の 操作を行い、O2 を除去したところ、体積は 8.0 l になった。これらの操作は定温、 定圧下で行った。 [a](A) の操作として適当なものを1つあげて説明せよ。 [b]もとの混合気体中の O2 : CO2 を、モル比および重量比で求めよ。ただし、分 子量は O2 = 32、CO2 = 44 とし、いずれも理想気体としてふるまうものとする。 [2]CO2 を含む混合気体 5.0 l(l はリットル)を濃度 0.10 mol l−1 の Ba(OH)2 水溶液 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 100 ml と十分接触させ、この溶液をろ過した。ろ紙を水で十分洗浄してろ液に加え ・ ・ た。次に得られたろ液全量を希釈して 1000 ml とし、ここから 10 ml を採取して 0.010 mol l−1 の塩酸で滴定したところ、18 ml で中和点に達した。実験操作は大気中の CO2 に触れないように行い、脱炭酸水を用いた。 ・ ・ [a]ろ紙上に残った固体の生成反応式を書け。 [b]混合気体中の CO2 濃度 [mol l−1] を求め、有効数字2けたで答えよ。 [3]赤外線の吸収を利用して気体中の CO2 濃度を測定することができる。光路の 長さ 2.4 cm の光学セルに混合気体を封じ、CO2 の吸収帯のうち 666 cm−1 の赤外 光を照射したところ、入射光量の 75 % が透過した。この吸収波数における CO2 の モル吸光係数を 5.5×107 mol−1 cm2 とする。他の気体成分による光吸収は無視でき ると仮定し、混合気体中の CO2 濃度 [mol cm−3] を求め、有効数字2けたで答え よ。必要があれば log 2 = 0.30、log 3 = 0.48、log 5 = 0.70 を用いよ。 5.以下の問に答えよ。 [1] 含窒素有機化合物に関する以下の問に答えよ。必要であれば図示してもよい。説明 の際は3行程度で記述せよ。 β N H α N H ピロール N エナミン (A) (塩基-H)+ + H2O Ka= ピロリジン 塩基 + H3O+ [塩基]·[H3O+] [(塩基-H)+] [a] 芳香族性を示す化合物であるピロールについて、同じ五員環のアミン化合物である ピロリジンより塩基性が高い(pKa 値が大きい)か、低い(pKa 値が小さい)かを答 え、その理由を説明せよ。ただし、塩基性化合物の Ka は上記の通り定義する。 [b] 求電子置換反応に関してピロールはベンゼンより反応性が高く、α位の炭素原子上 で反応した生成物が主生成物となる。α置換体が主生成物となる理由を説明せよ。 [c] アミン類はケトン類と酸触媒の作用により脱水縮合し、第二級アミンであるピロリ ジンとシクロヘキサノンの反応からはエナミン化合物 A が生成する。酸触媒存在下 でピロリジンとシクロヘキサノンからエナミン化合物 A が生成する機構を示せ。 [d] エナミン誘導体はエノラート等価体として有用である。化合物 A とブロモ酢酸エチ ルを反応させた後、加水分解する反応について、反応式ならびに生成物を答えよ。 またシクロヘキサノンのかわりにエナミン誘導体 A を使用する利点を説明せよ。 [2] 化合物について炭素鎖が伸長した同族体を合成するプロセスを、ホモロゲーション 反応と呼ぶ。例えばカルボン酸は、下式に示したように酸塩化物に誘導したのち、 「Arndt-Eistert 合成」により一炭素分増炭した同族体に誘導することができる。 例) R-COOH 1) Ag2O 2) H+ CH2N2 SOCl2 R-COCl R-COCHN2 R-CH2COOH [a] 下記三種類のホモロゲーション反応(1)∼(3)の変換方法を、用いる試薬および 中間生成物の構造を示しながら、上記の例に従って解答せよ。必要な有機試薬、無 機試薬は使用してよい。また、R 部分は飽和炭化水素基であり、反応操作により変 化を受けないと仮定する。 (1) R-CH2CH2CH2Br R-CH2Br O O (2) R (3) CH3 R C C H R CH2CH2CH2CH3 R-CH2CH2 C C H [b] 反応(1)∼(3)で取り扱われている化合物について、Br 基を含む化合物の質量ス ペクトルの特徴、および C=O 基、C≡C−H 基をそれぞれ含む化合物の赤外線吸収ス ペクトルの特徴を答えよ。 6.以下の問に答えよ。 [1]以下の反応について、主生成物(A ∼ C)の構造を立体構造が分かるように 描け。生成物に鏡像異性体(エナンチオマー)が存在する場合は、それぞれの異性 体を区別して描け。 Cl COOOH O Ph A Me EtONa / EtOH B O 1) BH3 C 2) H2O2 / NaOH (問題6は次のページに続く) [2]反応式(1)および(2)に関する以下の問に答えよ。 1) O2 2) H+ AlBr3 + CH3CH2CH2Br (1) OH + D E [a]反応式(1)で生成する主生成物(有機化合物)D, E の構造ならびに化合物 名(IUPAC 命名法あるいはそれに準じた命名法に従うこと)を答えよ。 AlBr3 (2) D + (CH3CO)2O F [b]F の分子式は C11H14O であり、以下のような 1H NMR スペクトルを示した。 このときスペクトル中の5種類のシグナル(i)∼(v)の相対的な面積比は 2 : 2 : 1 : 3 : 6 であり、(v)は二重線、(iii)は七重線であった。F の構造式を 描き、シグナル(i)∼(v)がどの水素原子に帰属されるか図示せよ。 (iv) (v) 溶媒 (i) (ii) 8 7 (iii) 6 5 4 3 化学シフト (δ) 2 1 0 ppm [c] ベンゼンから F を合成するルートとして、まず AlBr3 存在下で(CH3CO)2O を反応させたあとに CH3CH2CH2Br を反応させる経路も考えられる。このル ートと上式の D を経由するルートのどちらがより良いと考えられるか、その 理由と共に答えよ。 (問題6は次のページに続く) [3]メタクリル酸エステル樹脂は透明で可塑性の高い化学材料であり、メタクリル 酸エステル(モノマー)のラジカル重合により製造されている。モノマーのうちメチ ルエステル(MMA)は、従来アセトンシアンヒドリンを経る方法 (3) によって主に 製造されてきたが、最近ではイソブテンの触媒的選択酸化による製造法 (4) が注目を 集めている。 HCN (3) CONH2 H2SO4 HO CN O MeOH [酸触媒] COOMe MMA MeOH (4) O2 [触媒] O2 CHO [触媒] [酸触媒] COOH [a]二つの製造法 (3) および (4) について、副生成物・毒性などの環境化学お よび経済性の二つの観点から比較し、3行程度で述べよ。 [b]2-シアノアクリル酸エステル類は空気中で重合し、瞬間接着剤として用い られている。この重合はラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合のいず れか。また、空気中で速やかに重合する理由を述べよ。 7.以下の文を読み、問に答えよ。 植物の重量の 50%以上は(A)で占められており、その成分は、 (B)が約 50%、 ヘミセルロースが約 20%、(C)が約 20%である。 熱帯雨林では、落葉、落枝、倒木などが豊富であり、これらを分解するシロ アリが繁栄している。なぜ、シロアリは、倒木などの堅い木材を食べ、栄養と することができるのだろうか。そこで、以下の実験を行った。①シロアリの腸 内微生物を除去した。また、腸内微生物を除去したシロアリに、②腸内微生物 を再感染させた。 一般に、倒木などは、元素として(D)に富むが、 (E)の含量は極めて乏しい。 従ってシロアリは、足りない元素である③(E)を確保しなければならない。 また、シロアリは、腸内において水素と炭素から④ある気体を作り出すため、 温室効果ガスの自然発生源にもなっている。 [1] (A)、(B)、(C)、(D)、(E)にあてはまる言葉を答えよ。 [2] (A)の構造が強固であるため、鉄筋コンクリートに例えられることがあ る。鉄骨、コンクリート、(B)、ヘミセルロース、(C)、などの言葉を用いて、 2行程度で、(A)の構造が強固な理由について述べよ。 [3] 下線部①のように腸内微生物を除去されたシロアリは、どうなると考え られるか、1行で述べよ。 [4] 下線部②のように、腸内微生物を除去されたシロアリに、それらの微生 物を再感染させるとシロアリは、どうなると考えられるか、1行で述べよ。 [5] 問題文中で述べたような、シロアリと腸内微生物の間の関係を何という か答えよ。 [6] シロアリは、下線部③の(E)の確保という問題をどのように解決して いると考えられるか、2行程度で述べよ。 [7] シロアリが作り出す下線部④の気体の名称を答えよ。 [8] 森の生態系においてシロアリは分解者の役割を担っているが、それ以外 の役割について2行程度で述べよ。 8.以下の文を読み、問に答えよ。 [1] フレデリック・グリフィスは、ネズミの肺炎双球菌の研究を行っていた。 この細菌について病原性の菌株(S株)と非病原性の菌株(R株)の2種を得 ていた。 これらの菌株を用いて行った実験とその結果について3行程度で説明せよ。 絵を描いて説明してもよい。 [2] グリフィスの報告に興味を示したオズワルド・アベリーは、病原性を示 す肺炎双球菌(S株)を熱殺菌し、そこから、3種類の高分子を得た。 [a] 得られた3種類の高分子はそれぞれ何か。 [b] これらの高分子とR株とを用いて行った実験の、方法と結果について 2行程度で述べよ。 [c] アベリーはこの実験からどのような結論を得たか答えよ。 [d] アベリーが観察したような現象は、現在、一般的に何とよばれるか 答えよ。 [3] 実験 [2] に対し、得た高分子に不純物が含まれていて、その影響によ る結果を観察したのではないかという反論が寄せられた。この反論に対して、 アベリーが自説の正しさを立証するために行った実験の方法と結果について、 2行程度で述べよ。 [4] アルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスは、T2ファージのタンパ ク質を放射性の硫黄を用いて標識し、同じくDNAを放射性のリンを用いて標 識した。この標識されたT2ファージを大腸菌に感染させ、放射性画分を調べ た。この実験の結果を述べ、彼らの得た重要な結論についても述べよ。 9.以下の問に答えよ。答だけでなく答に至った道筋も記せ。 [1] メタノールと水それぞれの蒸気圧は以下の表の通りである。メタノール — 水 系が理想溶液として扱えると仮定する。 表. メタノールと水の蒸気圧 温度 [K] 338 343 353 363 373 メタノール蒸気圧, PA [kPa] 101 124 177 247 377 水蒸気圧, PB [kPa] 24.5 31.2 47.3 70.1 101 [a] ラウールの法則に関して、式と文章を用い2~3行程度で説明せよ。式は行 数に入れない。 [b] 全圧 101 kPa におけるメタノール — 水系の気液平衡を下表に従い、答案用 紙に作成し記入せよ。 温度 [K] 343 363 液相メタノールモル分率, x 気相メタノールモル分率, y [2] バイオマスアルコールとしてエタノールが想定される。通常のバイオマスア ルコールの濃度は 10 wt% 程度であるが、燃料として用いるためにはアルコールを 高濃度に濃縮する必要がある。 [a] 蒸留塔を用いてアルコールを濃縮する場合、水 — エタノール系は共沸点を持 つので、エタノールを高濃度に濃縮するのは困難である。共沸現象を説明し、 蒸留によりエタノールを高濃度に濃縮することが困難な理由を2~3行程度 で述べよ。 [b] バイオマスアルコール(エタノール)を、 99 wt% 以上に濃縮する方法を3つ 述べよ。 10. 貯水池に河川から水が流入している。貯水池の出口には 図(a)に示すよう に堰(せき)が設けられており、水が流出している。河川水の流入流量は F0 [m3 h−1] であり、堰上の水深が H [m] のときの流出流量 F1 [m3 h−1] は、F1 = kw H で表される ものとする。また、貯水池内の水の体積 V [m3] は、V = V0 + AH で表されるものと する。ただし、kw、V0、A は定数である。 以下の問に答えよ。 [1]貯水池の水量の収支を微分方程式で記せ。 また、F0 は一定であるとして、定常状態にお ける堰上の水深を求めよ。 [2]定常状態から流入流量が ∆F0 [m3 h−1] だけステップ状に変化したとする。堰 上の水深 H の時間変化について、その概略を図示せよ。 [3]以下、流入する河川水について、流量 F0 は一定であり、さらに有害な有機 物が濃度 C0 [kmol m−3] で含まれているとする。貯水池では微生物が有機物を反 応により無害化しており、単位体積あたりの有機物の消失速度 r [kmol m−3 h−1] は、 貯水池内の有機物濃度を C [kmol m−3] とするとき、r = k C で表される。ここで、 k [h−1] は反応速度定数である。 貯水池内の水は完全混合状態であるとして、貯水池内の有機物に関する物質収支 を微分方程式で記せ。さらに、定常状態における貯水池内の有機物濃度を求めよ。 ただし、C0、k は一定値であるとし、また反応による密度変化はなく、温度も一定 であるものとする。 [4]以下、貯水池内の水の混合が十分でない場合について考える。図(b)のよう に貯水池を上層(体積 VA [m3])と下層(体積 VB [m3])の2つの完全混合槽からな る系とみなし、2層間では 流量 F [m3 h−1] で流体の交換がなされているものとす る。このとき、下層の体積 VB は一定とする。上層および下層のそれぞれに関して、 有機物の物質収支を微分方程式で記せ。ただ し、上層および下層の有機物濃度をそれぞれ CA [kmol m−3] 、および CB [kmol m−3] とせよ。 [5]前問と同様の仮定のもとで、交換される 流量 F が増大していくと、定常状態におけ る各層の有機物の濃度 CA および CB は、ど のような値に近づくか。理由をつけて答えよ。
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