平成 17 年度事業報告書 - 全国消費生活相談員協会

平成 17 年度事業報告書
平成 17 年度は第 18 回総会で役員改選があり執行部の体制が新しくかわったが、前年
度総会で確認した事業計画を踏まえつつ業務を執り行った。
4 月に閣議決定された「消費者基本計画」の中より当会の重要課題として①消費者からの
苦情相談の活用、②緊急な消費者トラブルへの対応、③学校や社会教育施設における消費
者教育について活動してきた。
これらの課題に対して全国 6 支部では積極的な活動を展開し高い評価を得てきた。特記
しなければならないのは「消費者契約法の一部を改正する法律案」が 18 年 3 月に閣議決定
され、本国会で審議中である。当会では『消費者団体訴訟制度』については、かねてより
慎重に継続審議してきた結果、週末電話相談を「週末電話相談室」とし体制強化、さらに
「消費者団体訴訟準備室」を設置し「適格消費者団体」を目指すこととした。
特に平成 17 年度は高齢者の悪質住宅リフォーム被害が社会問題化し、内閣府をはじめ関
係省庁により対策が講じられた。当会では平成 13 年度より実施している「消費者問題出前
講座」を高齢者や民生委員・介護ヘルパーなど高齢者の身の回りにいる方々へ積極的に講
座を展開し、高齢者の悪質被害の未然防止・拡大防止に努めた。
各事業は以下の通りである。
Ⅰ.自主事業
1.電話相談 110 番の実施
テーマ:「生命保険会社・損害保険会社の医療保険 110 番」
内閣府国民生活局消費者月間協賛事業として、内閣府、(独)国民生活センター、北海
道、大阪府、福岡市の後援を得て全国 6 支部で 5 月 7、8日(土・日)の 2 日間実施した。
電話は 23 台、2 日間の相談件数は 6 支部合計で 440 件であった。総件数のうち、370 件
(84.1%)が「生命保険・損害保険・共済、簡易保険等」の「保険についての相談」であった。
受付けた相談内容を分析し報告書を作成するとともに、その結果に基づき金融庁など関
係諸機関へ要望・提言した。
2.週末電話相談の実施
消費者被害未然防止、消費者支援を目的に本部事務所(土・日曜)、関西事務所(日曜)
において 10 時∼16 時、週末電話相談を実施した。受付件数は、3,316 件で前年度比 3.6%
増で、トップを占めた相談は「運輸・通信サービス」で架空・不当請求を含む。次いで
「金融・保険サービス」ではサラ金を含む多重債務、未公開株の相談が新たに寄せられ
た。続いて「資格取得用教材購入契約を含む教養娯楽品」などがあり、各地の消費生活
センターと同様の傾向を示していた。
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週末相談の充実を図るため、週末電話相談室を設置した。本部においては平日週1日
に斡旋を開始し、体制の強化に努めた。また、相談情報を活用し、消費者啓発のために
「こんな相談ありました vol.5」を発行した。
3.第8回国内消費生活調査団の派遣
北海道支部は知床が世界遺産に登録されたのを機会に「人の暮らしと自然環境の保全」
をテーマに企画した。知床の自然遺産と知床の基点である網走の水産業と暮らしについて
学習し、会員の資質向上と会員等の交流を目的に研修を実施した。日程は 9 月 30 日∼10
月 2 日、2 泊 3 日で参加者は 22 名だった。
4.研修講座の開催
独立行政法人国民生活センターの「消費生活専門相談員」資格認定制度の定着と進展
に寄与するため、資格取得希望者の要望に応え講座を従来の東京、名古屋、大阪、福岡
に加えて盛岡、鹿児島、沖縄にて 5 支部が担当し実施した。全国で 551 名の参加があっ
た。資格取得のための研修講座開催に際しては、(独)国民生活センターより東北、九州
の 2 支部が支援を受けて実施した。
さらに、各支部では相談員や新人相談員のため充実した研修を実施。特定商取引法、
割賦販売法、保険業法、預金者保護法、破産法、消費者契約法一部改正案など時宜に適
ったテーマを選び、会員の資質向上を目的に各支部で研修講座を開催し、多数の参加者
があった。
5.自主研究活動への助成
会員活動の活性化と専門性を高めることを目的として、会員が積極的に行う調査・研
究に対し優れた企画 10 グループを対象に助成を行った。グループのテーマは下記の通り
である。
支 部
テーマ
北海道
「消費生活相談事例研修会」、「消費者情報研究会」
東北
「コンプライアンス研究会」
関東
「消費者教育・啓発グループ」、「食の研究会」
中部
「住まいの研究会」、「金融問題研究会」
関西
「成年後見研究会」、「相談スキルアップ民法研究会」
九州
「消費者啓発研究会」
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6.交流会の実施
交流会員である事業者団体・企業の消費者関連部門担当者と当会の会員が、消費者問題
や商品・サービスに関する情報交換を通じ相互理解を深めることを目的に、本部並びに
各支部で実施した。
支部
本部
テーマ
個人情報保護法施行後3ヶ月たって
―国民生活センターの相談受付状況から―
実施日
05.07.21
北海道
PL法10年、製品事故と表示について
05.10.29
東北
クレジット過剰与信と次々販売
05.12.17
関東
消費者の心理と相談窓口対応
06.02.28
中部
関西
九州
現代の消費者・ユーザーの心理
―相談とクレームの心理的理解と対応―
消費者団体訴訟制度について
―受け皿団体の現状と懸念に答える―
クレジットの問題点と今後の課題
05.11.22
06.01.20
06.02.04
7.消費者教育・啓発活動
自らの責任において判断し、行動できる消費者の育成を目指し、地方自治体や大学、
福祉関連団体、消費者団体などの要請に応じ消費者教育・啓発を行った。
関西支部の「劇団エース」、関東支部の「テアトル・コンシューマー」
・「ビューティ
ーズ」、九州支部の「ご用心はっぴい一座」・「じんぶな∼一座」、中部支部の「コンシ
ューマーアクト」が各地で活動した。約 100 回の啓発活動を積極的に行った。この他、
腹話術、落語、小さなコントで消費者教育を実施するグループは多数あり、各地で実
践した。
8.21 世紀対策事業
①「消費生活相談整備拡充」②「民間型ADR準備室」③「消費者団体訴訟制度」
については昨年に引き続き検討した。①については行政の民間委託が消費者行政にも
波及し、各自治体の民間委託事業について検討した。②については「ADR法」に関
してパブリックコメント等を検討・提出した。また日本司法支援センター「法テラス」
には情報提供員の派遣など協力した。③については慎重に継続検討してきた結果、当
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会独自で適格消費者団体を目指すことになり、
「消費者団体訴訟準備室」を設置し業務
等について検討した。
9.広報活動
会員への活動状況や最新の消費者情報を知らせるほか、広く一般消費者や行政・企
業等へ消費者問題について積極的に情報提供をするため、以下の広報活動を行った。
1.機関紙「全相協つうしん JACAS JOURNAL」103 号∼108 号を隔月に発行した。
2.ホームページによる消費者への情報提供
3.「 生命保険会社・損害保険会社の医療保険 110 番調査報告書」を作成した。
4.平成 16 年度「週末電話相談報告書」・「こんな相談ありました№5」を発行した。
10.対外活動
1. 高齢者の悪質商法被害など消費者被害が跡を立たず、国や地方自治体、事業者団体、
事業者、消費者団体などから当会に消費者問題の専門家として委員就任、講師派遣や
執筆等の依頼が多くあり、各地の会員が対応し活躍した。
具体的には以下の通りである。なお、多くの活動があり委員等は国、都道府県までに
限定して記した。
<委員に就任>
内閣府「物価安定政策会議」委員
内閣府「国民生活審議会個人情報保護部会」委員
内閣府「高齢消費者見守りネットワーク連絡協議会」委員
総務省「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術の在り方に関する調査研究
会」委員、構成員
総務省「電気通信消費者支援連絡会」委員
農林水産省「JAS 規格専門委員会」委員
国土交通省「貨物自動車運送適正化事業対策協議会」委員
国土交通省「旅行業法制度検討会」委員
国土交通省自動車交通局「タクシー・バス事業のあり方研究会」委員
国土交通省自動車交通局「交通政策審議会」臨時委員
国土交通省自動車交通局「タクシーサービスの将来ビジョン小委員会」委員
国土交通省自動車交通局「コミュニティバス等地域住民協働型輸送サービス検討小
委員会」委員
国土交通省鉄道局「エコレールマーク推進委員会」委員
東京都情報公開審査委員会・個人情報保護審査委員会委員
東京都生活文化局「環境に配慮した消費生活普及推進連絡会議」委員
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東京都生活文化局「商品等の安全問題に関する協議会」委員
大阪府「総合計画審議会」委員
大阪府「消費者保護審議会」委員
大阪府「中央卸売市場運営取引業務協議会」委員
北海道「苦情処理委員会」委員長
札幌医科大学「ヒトゲノム・遺伝子解析研究審査委員会」委員
千葉県「優良県産品推奨審査会審査」委員
千葉県「消費生活保護条例検討委員会」委員
独立行政法人国民生活センター「個人情報相談事例集作成委員会」検討委員
独立行政法人日本育英会「奨学事業運営協議会」委員
化学製品 PL 相談センター「運営協議会」委員
(社)東京銀行協会「よろず相談所運営懇談会」委員
全国ペット小売業協会
家庭動物販売士認定委員
金融広報中央委員会「金融に関する消費者教育の進め方に関する連絡協議会」委員
(財)大学基準協会「特色ある大学教育支援プログラム実施委員会」委員
(財)給水工事技術振興財団「給水装置の維持管理適正化方策検討委員会」委員
(社)日本広告主協会
広告モニター・予備審査員
(社)生命保険協会裁定審査会委員
(社)日本損害保険協会調停事務局審査委員
(財)全国生活衛生営業指導センター評議員、幹事、編集委員
(財)全国生活衛生営業指導センター「全国指導センターHP 検討委員会」委員
(財)関西消費者協会理事
(財)住宅リフォーム・紛争処理センター「リフォネット倫理委員会」委員
(財)消費者教育支援センター「高齢者に対する消費者教育研究会」委員
(財)日本クレジットカウンセリング協会評議員
(財) 全国危険物安全協会「ISO 運営委員会」委員
(財) 全国生活衛生営業指導センター「生活衛生振興推進事業審査委員会」委員
(財) 日本環境協会「エコマーク環境配慮型商品普及協議会設立準備委員会」委員
(財) 日本消費者協会「特定商取引法事例マニュアル作成検討委員会」委員
京都産業大学「外部評価委員会」委員
その他、地方自治体の委員や各事業者等のモニター・委員等
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<懇談会・意見交換会>
内閣府消費者月間事業のための意見交換会
内閣府食品安全委員会「食品に関するリスクコミニュケーション」意見交換
(社)日本損害保険協会と懇談
(社)生命保険協会・生命保険文化センターと懇談
(社)消費者関連専門家会議と懇談
(財)家電製品協会と懇談
(社)全国公正取引協議会連合会と懇談
「食用塩の表示に関する懇談会」
「食品のりの表示に関する連絡会」
「チョコレート類・チョコレート利用食品・ビスケット類の表示に関する連絡会」
「銀行業における表示に関する連絡会」
「募集型企画旅行の表示に関する連絡会」
「銀行業における表示に関する連絡会」
全国生命保険労働組合連合会と懇談会
その他、各事業者や消費者団体等との懇談会
2.年間の消費者相談業務や調査研究を通して把握された消費者政策における課題につ
いて、国・地方自治体、消費者関連業界へ提出した要望書の中から主な内容を掲載
する。
・内閣府国民生活局消費者団体訴訟制度検討室へ
「消費者契約法の一部を改正する法律案の骨子について」
・内閣府食品安全委員会事務局評価課へ
「米国及びカナダから輸入される牛肉及び牛の内臓に係る食品健康影響評価」
(案)について
・法務省大臣官房司法法制部へ
「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律施行令案」及び「裁判外紛争解
決手続きの利用の促進に関する法律施行規則案」に関する意見
・金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室へ
「貸金業の規制などに関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」につ
いて
・金融庁総務企画局企画課保険企画室へ
「保険業法施行令・施行規則の改正案」について
・金融庁監督局保険課へ
「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正案について
7
・金融庁中小企業政策審議会組織連携部会
「組織連携部会・議論の整理に対する意見」
・経済産業大臣へ
「容器包装リサイクル報告書(案)について」
・経済産業省産業構造審議会情報経済分科会へ
「電子商取引等に関する準則(改定案)に関する意見」
・環境大臣へ
「容器包装リサイクル制度見直しに係る最終とりまとめ(案)について」
11.消費者情報研究所
消費者情報研究所の体制整備と活性化のため、「消費者基本法」にもとづき、消費者
教育の推進を中心に活動することとし情報収集した。さらに国などの消費者施策等に
消費者問題の専門家として積極的に意見書を提出した。
Ⅱ.助成・補助による事業
1.(財)日本宝くじ協会の助成による小冊子の作成
消費者啓発を目的に下記のブックレット、事例集を発行した。
ブックレットシリーズ
「誰でもわかる医療保険」
「もうかる?もうからない!サイドビジネス」
「これだけは知っておきたい―消費者問題基礎知識―」
週末電話相談事例集
「こんな相談ありました vol.5」
2.(財)日本財団の助成による調査研究
「福祉・医療・介護保険の外部評価と地域ネットワークのあり方の調査研究」
3.(財)給水工事技術振興財団の助成による調査研究
「給水工事技術に関する調査研究」
4.大阪府より関西事務所日曜電話相談へ補助
Ⅲ.受託事業
1. 内閣府「消費者問題出前講座」
(高齢者、民生委員・介護ヘルパーなど対象)を全国 1,422
ヶ所で実施、参加者 62,219 名、アンケート回収数 50,707 枚。アンケート等調査票を
まとめ報告書を作成した。
2. 警察庁
消費者被害防止のためのリーフレット 2 種を作成した。
①
ヤミ金融
甘い誘いは悪魔の仮面
②
その工事本当に必要?
悪質なリフォーム業者にご用心!!
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3.法務省
日本司法支援センター(法テラス)へ情報提供業務
鳥取市、水戸市
4.独立行政法人国民生活センター
①
リーフレット 2 種作成
「世にも恐ろしいケータイトラブル!」
「悪質商法前線活発化!!」
② 「各地開催研修講座」補助業務
③
相談カード直接入力インストラクター業務
④ 「消費フォーラム」へ補助業務
⑤ 「個人情報保護法講座」へ運営業務
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たしかな目の商品テスト情報「あなたの街の消費生活センターがテストしまし
た」リライト
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国民生活に「商品テスト」リライト
⑧
出版物委託販売業務
5.大阪市住宅供給公社
公的住宅情報提供及び相談業務
6.大阪府守口市・松原市の各消費生活センターの相談カード入力業務
7.東京都豊島区・大田区情報コーナーで情報収集・管理・提供業務
8.福岡県大牟田市・古賀市・行橋市・豊前市で消費者相談業務
9.静岡県「消費者ハンドブック」作成業務
10.名古屋市架空請求ホットダイヤル相談業務、介護保険アドバイザー業務
11.(社)家計経済研究所
関東支部・講演とシンポジウム開催(静岡市)
テーマ
「地球の未来のために!環境にやさしい暮らし方とは」
12.(財)日本環境協会
エコマーク商品に関するモニタリング調査
13.(財)全国生活衛生営業指導センター
「クリーニング業の苦情対応の手引き」作成
14.独立行政法人国民生活センター発行「国民生活」・「たしかな目」に執筆
15.(財)全国生活衛生営業指導センター発行「生衛ジャーナル」に「消費生活相談の現
場から」を執筆
16.NHK電話受付業務
17.産経新聞「くらしのセンサー」執筆
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