女性のライフコース -その世代変化-

女性のライフコース
-その世代変化-
2007年5月10日 大友由紀子
自己紹介
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1963年 群馬県生まれ
前橋女子高校卒、成城大学文芸学部文化史学科、成城大学
大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。
1994年成城大学民俗学研究所研究員、1996年十文字学園女
子大学社会情報学部専任講師、2001年より助教授(2007年よ
り准教授)。
所属学会:日本社会学会、関東社会学会、日本家族社会学会、
家族問題研究会、比較家族史学会、日本村落研究学会。
著書:Women & Families in Rural Japan(2000)Tsukuba
Shobo、『家族社会学の分析視角』(2000)ミネルヴァ書房、『む
らの社会を研究する』(2007)農文協、など(以上共著)。
自己紹介(続き)
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成城大学の学生時代
勉 強: 学部4年+大学院博士課程前期2年+
大学院博士課程後期5年=計11年在籍
指導教員:森岡清美先生(家族社会学)
研究会:民俗学研究会会長
顧問:鎌田久子先生(民俗学)
部 活:レストロ・アルモニコ管弦楽団トロンボーン奏者
顧問:戸口幸策先生(音楽学)
現在の成城学園とのかかわりは、同窓会代議員。
私生活:狛江市在住、一人暮らし。群馬の実家に両親と猫2匹。
Yes/Noクイズ
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問1.現在、日本の大学・短大進学率は、男より女の方が高い。
問2.2005年の日本人女性の平均初婚年齢は28歳。
問3.2005年の30-34歳の日本人女性の未婚率は30%。
問4.2005年の日本人女性の出産は、25-29歳の人よりも、
30-34歳の人の方が多い。
問5.2005年の日本人の一般労働者の賃金は、
男子100に対して、女子は70である。
本日の内容
► 女性のライフコース
► ライフコースの世代変化
► 学卒:進学率の推移
► 結婚:未婚晩婚化
► 出産:少産化、晩産化
► 女子の労働力率
► 男女の賃金格差
► 性別役割分業観
► 女性政策と女性のライフコース
女性のライフコース
Life Course:年齢別に分化した役割と出来事を経つつ、個人がたどる生涯の道。
(森岡清美、1993、『新社会学辞典』、pp.1456-1457.)
女性のライフコース:一人の女性が送る人生のタイプのこと。
仕事、結婚、子育ての組み合わせにおける主要な5つのタイプ
①非婚就業コース:結婚せず、仕事を一生続ける
②DINKSコース:結婚するが子どもは持たず、仕事を一生続ける
③両立コース:結婚し子どもを持つが、仕事も一生続ける
④再就職コース:結婚し子どもを持つが、結婚出産の時期に
いったん退職し、子育て後に再び仕事を持もつ
⑤専業主婦コース:結婚して仕事を持ち、結婚あるいは出産の機会に退職し、
その後は仕事を持たない
(国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」)
女性:「理想のライフコース」「予想のライフコース」、男性:「期待するライフコース」?
国立社会保障・人口問題研究所『第13回出生動向基本
調査結婚と出産に関する全国調査独身者調査』
http://www.ipss.go.jp/
ライフコースの世代変化
イベント年齢比較法
ライフ・イベント(Life Events)
学校卒業、初就職、結婚、第一子出産、
末子出産、第一子結婚、末子結婚、初孫誕生、
退職、配偶者死亡、など。
► コーホート分析(Cohort)
統計集団
出生コーホート、結婚コーホート
単年コーホート、連続コーホート
*世代:歴史的世代、親族世代、コーホート
►
ライフコース上の主要な出来事経験年齢
(宮城県米山町O集落女性、1987年調査)
年齢階
層
人数
平均年
齢
学校卒
業
結婚
第一子
出産
末子出
産
子供数
同居後
継結婚
初孫誕
生
20歳~
15
25.4
17.8
[22.8]
[24.0]
30歳~
21
33.2
17.5
21.5
23.2
40歳~
13
46.0
15.9
20.4
21.7
26.9
2.7
[44.8]
[45.7]
50歳~
21
54.3
14.8
19.6
20.4
27.2
3.1
45.2
48.6
60歳~
16
65.3
12.8
21.1
22.4
30.3
3.4
46.1
47.6
70歳~
17
78.6
12.1
17.9
20.8
34.2
5.0
43.1
44.4
資料:石原豊美、1996、『農家の家族変動』、日本経済評論社、p.77より抜粋。
大学・短期大学への進学率の推移
学校基本調査 2006年3月卒業
► http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/
06080115/002/sanzu09.pdf
男 53.6% 女 51.0% 計 52.3%
(1989年~2000年は男<女)
進学率(高等学校・大学・短期大学・大学院)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/008/toushin/030301/07.htm
学校基本調査
平均初婚年齢の推移
35.0
30.0
29.8
28.4 28.5 28.8 28.0
28.2
27.8
27.2 27.2 26.9 27.0
25.9 26.6
25.9 26.3 27.0
25.5
25.2
24.4 24.5 24.2 24.7
23.0 23.8
25.0
20.0
男
女
歳
15.0
10.0
5.0
0.0
1
9
5
0
年
1
9
5
5
年
1
9
6
0
年
1
9
6
5
年
1
9
7
0
年
1
9
7
5
年
1
9
8
0
年
1
9
8
5
年
1
9
9
0
年
1
9
9
5
年
2
0
0
0
年
人口動態統計
2
0
0
5
年
未婚率の推移
女
男
100.0
100.0
90.1
90.0
91.5
92.1
92.2
92.6
92.9
93.4
90.0
88.0
85.0
80.0
66.9
69.3
71.4
87.9
88.7
81.4
80.0
70.0
86.4
77.7
71.7
70.0
69.2
64.4
60.4
60.0
60.0
55.1
50.0
46.5
48.3
47.1
42.9
40.0
37.3
11.7
25~29
30~34
30~34
40.2
32.0
30.6
20.0
26.6
18.1
20.9
19.7
14.3
13.9
10.0
0.0
20~24
48.0
24.0
21.5
10.0
50.0
30.0
28.1
20.0
25~29
54.0
40.0
32.6
30.0
59.0
20~24
10.4
9.1
7.7
7.2
0.0
1
1
1
1
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
2
2
9
9
9
9
9
9
0
0
9
9
9
9
9
9
0
0
7
7
8
8
9
9
0
0
7
7
8
8
9
9
0
0
0
年
5
年
0
年
5
年
0
年
5
年
0
年
5
年
0
年
5
年
0
年
5
年
0
年
5
年
0
年
5
年
国勢調査
初婚の妻の年齢別婚姻件数の割合
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1112200.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
年齢別累積初婚率(男子)‰
平成18年度「婚 姻 に 関 す る 統 計」の概況
人口動態統計特殊報告
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin06/index.html
年齢別累積初婚率(女子)‰
平成18年度「婚 姻 に 関 す る 統 計」の概況
人口動態統計特殊報告
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin06/index.html
各調査年次における夫婦の完結出生児数
(結婚持続期間15~19年)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1112200.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
出生コーホート別妻の出生児数割合および平均
出生児数:1890年以前~1960年生まれ
調 査
調査時
年 次
年 齢
1890年以前
1950
60歳以上
11.8
6.8
6.6
8.0
66.8
5.0
1891~1895
1950
55~59
10.1
7.3
6.8
7.6
68.1
5.1
1896~1900
1950
50~54
9.4
7.6
6.9
8.3
67.9
5.0
1901~1905
1950
45~49
8.6
7.5
7.4
9.0
67.4
5.0
1911~1915
1960
45~49
7.1
7.9
9.4
13.8
61.8
4.2
1921~1925
1970
45~49
6.9
9.2
24.5
29.7
29.6
2.9
1928~1932
1977
45~49
3.4
10.7
46.1
28.3
9.5
2.3
1933~1937
1982
45~49
3.6
10.7
54.0
25.6
5.7
2.2
1938~1942
1987
45~49
3.0
10.0
54.9
25.6
5.7
2.2
1943~1947
1992
45~49
3.8
8.9
57.0
23.9
5.0
2.2
1948~1952
1997
45~49
3.2
12.1
55.5
24.0
3.5
2.1
1953~1957
2002
45~49
4.1
9.1
52.9
28.4
4.0
2.2
1956~1960
2005
45~49
5.6
11.0
49.5
28.5
3.8
2.2
出生コーホート
出 生 児 数 割 合 (%)
無子
1人
2人
3人
平均出生
4人以上
児数(人)
調査年が1970年以前は国勢調査、1977年以降は出産力調査および出生動向基本調査
年齢(5歳階級)別にみた合計特殊出生率の年次推移
内閣府『少子化社会白書』H18版
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1112200.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
母親の年齢階級別にみた出生数の割合
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1112200.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
女性の年齢階級別労働力率
(M字カーブ)
http://www.gender.go.jp/ 内閣府『男女共同参画白書』平成18年版
女性の年齢階級別労働力率(国際比較)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1412110.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
配偶関係で異なる女子の労働力率
http://www.gender.go.jp/ 内閣府『男女共同参画白書』平成18年版
就業形態別女性の労働力率
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1412130.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
男女の賃金格差
http://www.gender.go.jp/ 内閣府『男女共同参画白書』平成18年版
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」
という考え方について (2005年調査)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1512100.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
内閣府
「男女共同参画社
会に関する世論
調査」H16.11
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-danjo/index.htm
「子どもが3歳くらいまでの間は母親が家庭で子ども
の世話をするべきである」という考え方について
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1512200.html
内閣府『少子化社会白書』H18版
女性の年齢階級別労働力率が
M字カーブを描く要因
► 状況:男女の賃金格差
► 規範:性別役割分業観、3歳児神話
女性政策のあゆみ
1975年 国連婦人年
► 1979年 「女子に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条
約」国連採択
► 1981年 「家族的責任を有する男女労働者の機会および待遇
の均等に関する条約(ILO第156号条約)」国連採択
► 1985年 ILO第156号条約採択「男女雇用機会均等法」
► 1995年 北京女性会議
► 1999年 男女共同参画基本法
► 2003年 少子化社会対策基本法
►
まとめ
► 人口学的要因(←科学技術)
► 状況(社会政策、労働条件)
► 規範(性別役割分業観)
⇒ ライフコースは世代的に変化