重不況の経済学 ~第4章1節~

重不況の経済学
~第4章1節~
09BA408L
工藤祐之介
金融・資産経済と実体経済
金融資産の肥大化
金融緩和政策の有効性は設備投資がどのように
の原因
決定されたかによる
→実体経済からの
→資金が全部使われるわけではない(重不況下)、
資金の流入(不況
還流不十分による漏出超過
時のセイサイクル
↓
からの需要不足分
実体経済には投資機会が不足している(資本の
相当の資金漏出と
過剰):低い需要の将来見通しが設備投資の減少
金融緩和政策によ
につながり、設備資金需要が低下→資金が金融
る資金流入)が要
機関に滞留または投資で金融資産経済に漏出・
因
滞留すると考える
金融経済と実物経済との比較
金融・資産経済と実体経済の
行動原理の相違
金融・資産経済
価格投資型価格メカニズム
価格の高さ自体が価格の
効率的な価格と取引量が実現するか
抑制にはならない
資産の購入・保有目的
供給:付加価値がほとんどなくコスト削減に競争の余地なし
価格上昇の見通しがあり、
需要:利子が小さいため、価格上昇で補える
資産の「価値の保存また
↓
資金があれば
価格の高低は作用しない
はその増加のため」
・・・価格上昇の見通しがある限り再投資され価格が上昇し、実
体経済から資金が流入する
需要は無制限に膨張し得
安定した均衡価格は存在せず
金融・資産経済と実体経済の
行動原理の相違
実体経済
実需型価格メカニズ
財
ム 購入の目的
効率的な価格が常に実現するか
家計→消費・使用のため
供給は「実需」に規定さ
企業→使用して財・サー
れるため価格は低くなる
市場参加者の目的に依存している
→需要側は効用最大化原理に基づき、
ビス
需要も制限されるため無
常に財の効用と価格を比較する。その
制限に膨張しない
を生産するた
ため価格は低い価格のままである
金融・資産経済と実体経済の
行動原理の相違
金融・資産経済が肥大化
するほど(利用可能な資
金量が増えるほど)市場メ
カニズムは不安定化する
金融・資産経済と実体経済の
行動原理の相違
金融・資産市場への資金流入量
を
規定する要因
1.資産価格の上昇自体
2.過剰資金の増加
①過剰貯蓄
②信用創造
③基軸通貨国米国の問題
金融・資産経済と実体経済の
行動原理の相違
価格投資サイクルにみる
資金の流出入量
1.相殺サイクル
2.受動的変動サイクル
3.自律的上昇サイクルと「バブル形成」
4.下落サイクルと「バブル崩壊」
金融・資産経済と実体経済の
行動原理の相違
投資家の非合理に見える行
動
なぜバブルの中で市場参加者は実需から大きく
かい離した価格で資産を購入したのか?
1.今後も価格上昇が確実だと考えたた
め
2.実需を反映した適正な価格を知るこ
とが難しいため
価格投資型メカニズムが
実体経済に与える影響
価格投資
の活発化
価格投資
の魅力アッ
プ
資産市場の
価格上昇
実体経済
の消費拡
大
物価上昇
金融資産
経済に実
体経済か
らの資産
の流入
消費需要
の拡大
価格投資型メカニズムが
実体経済に与える影響
バブル崩壊
不況対策として金融緩
投資需要
雇用不安
の減少
和政策がとられるが、そ
の資金の一部は海外の
バブル資金として使わ
消費需要の
経済の停滞
冷え込み
れることになる
論点:基軸通貨の未来