最適化問題 関数f(x)を(ある制約条件のもとで) 最小とするxを求めたい f(x)が非線形 f(x)が線形 非線形計画法 線形計画法 システム工学科におけるモデリングのもう一つの柱 (関連授業:システム計画論,システム評価論,グラフとネットワ ーク,オペレーションズリサーチ,数理計画,生産管理) 「2つの貯蔵タンクを備えた乳製品加工工場にお ける生乳の購入計画」の問題について,管理のた めの費用をできるだけ抑えることを考える. 1.生乳の貯蔵量はどのように変化するか? 2.管理にはどのような費用(コスト)がかかるか? 3.費用はどのような関数として表現できるか? 4.管理費を最小化する購入量は? 2つの貯蔵タンクA,Bを備えた乳製品加工工場に おける生乳の購入計画 この工場では,一方のタンクから使い始めて,空になると他のタンクに切り替えて生産を続ける.空のタンクには清掃後, 購入した生乳を注入する.注入に要する時間は極めて短いので無視できる.生乳の購入量をQ [m 3 ] としたとき,時間t[min] とタンクA,Bの貯蔵量の関係を図1で考えよう. 操業開始をt=0とし,そのときの両タンクの貯蔵量は共にQであるとする.毎分W [m3 / min]の生乳をタンクから注出する. 時刻t=0でタンクAを使い始めたとすると,タンクAが空になる時刻は t 0 Q である.清掃に要する時間L[min]の後,時刻 W t1=to+L にタンクAに生乳がQだけ瞬時に注入される.一方,タンクBの貯蔵量は時刻toまではQであり,to以降は毎分Wの割合 で減少する.タンクBが空になる時刻をt2とする. 問1:時刻t2を求めよ. 貯 蔵 量 Q タンクA 注 出 Q/W タンクA タンクB 清 掃 L O t0 t1 t2 t3 t4 時刻 t 時刻t2から再びタンクAの生乳の使用が再開される.時刻t3=t2+Lで再びタンクBの貯蔵量はQとなり,タンクAが再び空に なる時刻t4までタンクBの貯蔵量は変化しない. 次に,上図に基づいて,タンクA,Bの貯蔵量の和R(t)を考えよう. 問2: Q=10, W=2, L=3として,Mathematicaで貯蔵量の和R(t)を描いてみよう. 時刻t=0では,タンクA,Bの貯蔵量は共にQである.時刻t1,t3では清掃中にLWの生乳が消費されるので,一方の タンクの貯蔵量はQ-LWである. 問3:点a,b,cの座標を求めること. R(t) 2Q a b A B B B A A B B c A O t0 t1 t2 t3 t4 時刻 t 時刻t1以降,R(t)はt3-t1を1周期とする鋸歯状の変化を繰り返す. 問4: この周期の長さを求めよ. なお,一方のタンクの清掃中に他方のタンクが空にならないためには,Qは清掃中の生乳の消費量以上でなければ ならない.したがって, Q LW (1) 時刻t1以降の単位時間当たりの生産にかかわる費用について考える.タンク内の温度管理のために,生乳1 [m 3 ] 当たり 毎分C1[円/ min m3 ] の貯蔵費用がかかる.時刻tにおける微小時間dtでの貯蔵費用はC1R(t)dtであり,これをt1からt3 まで積分すると,1周期当たり貯蔵費用S(Q)がえられる. 問5:S(Q)を求めてみよう. ヒント:1ページの図中の点b,cと点t1,t3で囲まれる台形の面積にC1をかけることでS(Q)を求めることができる. 各周期では一定量Qの購入と清掃を1回必ず行なう.1回当たりの清掃費用C2円であり,生乳の購入単価はC3 [円/ m3 ] である.1周期当たりの費用COST(Q)は COST(Q)=貯蔵費用+清掃費用+購入費用 である. 問6: COST(Q)を求めること. 最後に,単位時間当たりの費用を最小にする購入を計算してみよう.単位時間当たりの費用関数をg(Q)とすると, g(Q)= COST(Q)/(t3-t1)=3C1Q/2 + C2W/Q + (C3-C1L)W である. 1つのタンクの最大貯蔵量をUとすると,購入量Qは(1)から LW Q U を満たさなければならない.従がって,最適購入量は以下の最適化問題を解くことで得られる. min. s.t. 3C1 C W Q 2 (C 3 C1 L) W 2 Q LW Q U ここでは,グラフを描いて最適値を求めてみよう. なお,パラメータとして,W=2, L=3, U=10, C1=1/10, C2=5, C3=1を 用いる. 問7:Mathematica を使って,関数g(Q)を描いてみよう.下に凸であることを確かめること. 問8:Mathematicaを使って,関数g(Q)の極値を求めてみよう. 問9:極値を与えるQとLW,Uの大小関係から最適購入量を求めてみよう.
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