超音波による冠動臓疾患をもつ心臓の機能計潰傷についての考察 - TOPIC

計測自動制御学会東北支部 第187回研究集会(ヱDOO.6.2)
資料番号18T−8
且音波による冠勤廉疾患をもつ心臓の機能計測例についての考察
Studiesontheultr且SO血icme耶urementtnethodandits
results伽rtI)eCardiacfunction$withcorotlaryarterydiseases
O大川井宏明*・***、仁田桂子**、藤田雅史**、中島博行綿、仁田新=‥榊*
OHiroakiOkawai*,Keiko Nitta**.MasashiFujita**,
HiroyukiNakajima**.Shin’ichiNitta書*♯
*岩手大学工学部、綿東北厚生年金病院、
***東北大学加齢研医学研究所
半Faculty of Englneering,rⅣate University、抽Tohoku KoseiNenkin Hospital、
榊*Institute of Development.Aging,and Cancer.TohokulJniversity
キーワードこ冠動脈疾患(coronarYarterydisease)、負荷心エコー図法(stressecho cardioEraphT)1局
所壁運動異常(wall皿Otion abnormality)、eXCurSion、壁厚(vallthi亡kness)
連絡先:〒舵0一路51盛同市上田4丁目3爪5 岩手大学工学部福祉システム工学科
tel/fax:019−62l631日(direct)、E−mail:h口kawai酎Y,rate†・u.E!C.
1.はじめに
っている1)。
これに対し、負荷(断層)心エコけ図法によ
本論文では、負荷心エコー図法によって局所
壁運動異常〔regionalvallmotionabnornality、
り局所壁運動異常町検出を対象にすると、WM
locaトー、以下WMA)を詳しく表現し、又は
Aの検出感度は運動負荷で89%2)、ジビリダモ
高感度に検出するための一つの方法を提案し
ーール負荷で74%3)、日4%4)、ドブタミン負荷で
その特徴と限界点を述べる。
89%5)となり、負荷心電図法の感度より高値■で
あったという報告がある。その際、WMAはE
虚血性心疾患への対処法の→つとして、その
一一一原因である冠動脈狭窄の有無を早期に検出
CG異常および胸痛より早く出現し、必ずしも
することは極めて有効となる。ニれまでも、冠
ECG果宮及び胸痛が現れるとは限らなかっ
動脈狭窄の有無を発見するための方法として
た棉7)
いくっかの方法が実施されてきた。
ときは虚血の程度が垂簾であると考えられる。
。換言すれば、心電図異常が検出された
このことから、負荷心エコー図法はWMAが
負荷心電図法はその1例で冠動脈狭窄をも
つ症例に負荷を加えると該当する病変桂の支
発生しさえすれば検出し得たので患者にとっ
配領域に虚血部位が発生し、その結果、心臓内
ては有利な方法であると評価できる。・しかし、
の活動電位の発生状況が変化することを利用
この手法には次の2点において問題もある。第
Lた。しかし、この方法ほ普及こそしているが、
1はWMAの判断において、とくに軽度の場合
検出における感度は60%台という評価に留ま
には横着の熟練と主観に依存すること、第2は
.1_
断層像上の2次元的評価であるため基準を設
とLて右冠動脈(RCA:right仁OrDnaryartery)
定しにくいこと、である。
に支配されている9)。したがって、同一超音波
そこで、本研究では冠動脈狭窄の有無、ない
ビーム上にある中隔と後壁の運動様態のそれ
し負荷時における虚血部位の発生とその程度
ぞれは異なる責任冠動脈内の狭窄とその程度
を知るために、熟練度依存を極力軽減した客観
に依存することが解剖学上で予想される。
Mモードによればそのビームが当る位置以
的な検出法を開発すること、冠動脈狭窄症例の
負荷時における生理的現象を考察することを
外の部位は観測できないが、前述したようにM
目的として、MモMド情報を活用してWMAの
モMドの成り立ち、対象壁の運動様態、責任冠
詳細な表現を試みる。
動脈の配置の3点から中隔と後壁という二つの
局所壁運動様態のそれぞれを知ることによっ
2 局所心機能の低下の検出法に関する
原理的提案:Mモードの有用性
て狭窄の個所とその影響の程度についてある
程度まで判断することができる可能性がある。
そこで、本研究ではMモードによって中隔と後
断層像においては真のエコーのデータと、欠
壁の運動様態を詳細に表現することを試みる。
落している部分を擬似的に補間したデータと
3 検査方法
を隈なく配置することによって画像を作るの
に対し、Mモードでは超音波が実際に伝搬しこ
の伝搬路上で生じたエコーをそのまま表示し
3.1負荷法
負荷法についてはデータ採取を安定して行
ている弓)。かつ、断層心エコー図の時間分解能
が33msであるのに対し、Mモードでは通常約
い得るということと検査結果を他の検査法と
1msである。後者では時間分解能が送受信終了
比較することにおいて好都合なことから、R上
後のブラウン管表示までの処理により劣化し
棟査法で実施している方法と同様に、ジビリダ
ても精度は5m占程度であるため、Mモードは
モール(dipyridamole)0.6Fng kg ̄1血in ̄1の量を
エコー渡の存在と動態を表示する際の空間的
4分間で注入する薬物負荷駐を用いる。
及び時間的精度において、断層像よりも信軒性
3.2データの採取法と記偉
使用する超音波診断装置〔SSH−160HG、東芝)
が高い。
において断層像及びMモード用に3.75MHz
そのMモードを傍胸骨アプローチで用いる
と超音波ビームは心室中隔(以下、中隔)と左重
を、ドップラー血流計測用〔主に連続波)に2.5
複壁(以下、棲壁)の一部にほぼ直角にあたり、
MHzを用いて以下の実験を行う。
1)安静時2分、薬物注入時4分、注入後
かつ、両局所壁はビーム軸に対しほぼ深さ方向
に運動する。Lたがって、その限定された局所
6分の合計12分間、心尖部及び傍胸骨ア
壁の運動自体を観測することにおいてMモーー
プローチの断層像、傍胸骨アプローチのM
ドは好都合である。
モードによるデータ採りを行なう。
2〕検査中はデータをVTR記録するとと
一方、中隔は基部から中央部にかけて主とL
て左前下行枝(LAD:1eft anterior descending
もに、従来のように断層像による壁運動観
co工・Onary artery)に、後壁は主として回旋横
測を行う。さらに、
(LCX:left circumflex corohary artery)、従
一三ー
3)再生時においては再度壁運動観測を行
うとともに、標記の壁運動についてMモー
山ドから得られる5=ハ面ま、文献Gで示したよ
ド上で寸法計測を行なう。
うにMモードで左室拡張来期径エ11ワdと左
室収縮末期径エⅤβざを計測し、Tei亡hhoILz
例数はデータ採取と上記の詳細な計測が可
能であった25例で、結果珊には代表の3桂病
法によって算出する。断層像やMモードの表示
変2例、2桂病変6例、健常2例を示す。これ
精度上では流出路の系(面積)は一心周期を通
らの結果は多用されている他の検査法(CA
し一定であるので、βrdはドップラー流速の
G:冠動脈造儲億、RI=シンチグラフィー、
時間積分だけを以って当てはめ、断面積は省略
ECG:心電図STレベル)と比較する。なお、
する。
健常者については超音波検査と心電図検査の
み実施する。
ヰ検査結果
データ採取においては、Mモード用ビーム位
置は長軸または短軸の断層像上で決定し、ドッ
4.1各検査轄果の比較とMモード情報の
プラー用のビーム位置はカラー断層ドップラ
有用性
始めに表1に壁厚及びex仁urSionについての
ー心エコー図法で流出路の最大流速が得られ
る方向で粗調整L、ドップラ一波形で流速が最
データと、断層像、ECG、RIの各データを
大になるように微調整を行うことによって決
CAGの検査陪果を基に分類して示す。表中の
定する乙断層像上のWMAを確認するために探
*a∼咄は次に示す異常としてよいと考えられ
触子を移動させたときは今と同様の方法で探
る現象で、数字はその現象を確認できた薬物注
触子のMモード用とドップラー用の位置決め
入開始値の時間である。諸現象を整理すると次
を再度行う。負荷試験中の12誘導心電図は1
のようになる。
①虚血例日例中7例(例1∼7)が、Mモ
分ごとに採取する。胸部誘導に掛ナる電極の位
置が探触子の位置と重なる場合は電極位置を
ード計測による標記パラメーター上に
1肋間分下側へずらす。
おいて偉常例では現れない異常な運動
3.3データの処理法
を示した。
Mモードのデータから5個、ドップラ【法の
② これに射し、断層像の動的パターン認
データから1個のパラメーターを採取し、経時
識による判定では検査中(デーータ採取
変化を観察する。すなわち、
中)に8例中4例においてWMAが2∼
dJV5T:心室中隔壁厚変化量(収縮
5分に開始したことを認めた(例3∼6)。
ただし、3枝病変の2例(例1∼2)のWM
末期壁厚と拡張末期壁厚の差)
AはVTRの再生時にようやく確認さ
dfIⅣT:後壁壁厚変化量(収帝末期壁
れた程.度であるため、表2では(+)とし
厚と拡張末期壁摩の差)
JF5且二心室中隔excursiDh
た。
タⅣ■g:後壁excursion
③ p沖甘が50∼70%まで低下した(表中
5V元:Mモード一回相出量
のa,b,e,g)。
占1′d:ドップラーー回嫡出量
④ 』PⅣTが低下した(h,亡,d,f)。
の6パラメーターに注目し、安静時の値を基準
⑤ dPⅣTが低下し、その代わりにdJ
とした相対変化を纏時変化として用いる.⊃Mモ
V5rが増大した(例c)。
・3−
⑥ dfIⅣTが停止し、再開し、心室中開
示し、各パラメーターのうち、e批ur呂ionであ
即Cur占ion(∫V5g)が低下した(例
る∫Vg屠、Pl柁を太線で強調している。特
d,e〕。
徴■を観ると、(a)、(b)では薬物注入を開始して
⑦』」「V∵;丁が低下し、遅れてdf,Ⅳ
早くも1分台で∫1′5㍉Eが増大し逆にPⅣ且
rが低下Lた(例f)。
が低下したことがわかる。すなわち中隔と後壁
⑧ 以上の例に射し、健常例2例では』∫
のe文CurSionを比較すると一方が増大し他方が
V5T、dPIrr、∫V5月、P肝gと 低下するという不一致の傾向が最初から観ら
もにほぼ−一一定を保っか、注入中に増大し、
れ、2分台、3分台に達するとさらに明らかに
注入終了後に漸次元の状態に戻った〔例
なっている。(c)では両者が山且増大するが、4
9∼10)。
分台からそろって安静時レベル以下になった。
以上のように、Mモードで観測される中隔及
(d)では両者ともあまり変化が観られないがレ
び後壁のそれぞれの動態に注目すると断層像
ベルの大小関係が交代している。
だけでは認識し得なかった異常な動態を観測
次に壁厚変化である』JV5r、dPIrr
した。かつ、そのような異常な動態が確認され
に注目する。これらパラメーターは(a)では初
た時間帯は断層像でWMAを確認Lた時刻よ
期に』∫V5Tが一定を保つが』」ロM′rが低
りも早い例があり、さらには断層像では確認で
下した。(c)では』Jr5rが最初から著しく
きなかった動態も含まれる。したがって、次の
低下する一一方、』PⅣ■Tが1分台までは一旦増
ように壁厚とexcursionを中心に、一回抽出量
大するがその後安静時レベル以下に低下した。
10 ̄1ヱ〕を加え経時変化上で比較した表現を試み
(b)、(d)では両パラメーターとも最初から低下
る。
Lた。すなわち、特徴は業物注入を開始して1
4.2各パラメーターの経時変化
分経過後には一方又は両者が低下することで
図1は健常2例についての各パラメーターの
ある。そして、2分台に入ると、(c)、(d)で明
経時変化を示す。(a)では、ほぼ一定のレベル
らかなように低下状態を保つがそのレベルの
を示すものと漸増を示すものが観られた。詳細
大小関係は交代する。さらに、(c)では』〃Ⅳ
に観ると、P町gが1分台まで、df,Ⅳ丁が3
rが2分剖こ、
分台まで漸増し、その後は薬物注入を終了した
棲でも一定となった。JV5塵とd」rV∵ぎ丁は
る。すなわち、壁厚変化が停止したが、その停
d′V5Tが3分台に零に達す
止時期は同時ではなく交互に現れている。
ほぼ安静時のときのレベルを保った。(b)では、
図2について巳ⅩCurSiロnどうし、壁厚変化量
PⅣg以外は2分台まで増大L、その復元に戻
どうしを比較しながら観察した経時変化をま
るパターンを示した。f,Ⅳgはほぼ−一定レベル
とめる次のようになる。
を保ち、』PWTは2分台以裸に低下している。
① 負荷開始後の最初から中隔側と後壁
まとめると、健常例では、単調な漸増パターン
側の運動機能の一方または両者が低下す
を示す場合も一旦増加した後に元のレベルに
る。
戻る場合も全パラメーターがほぼ同じ方向に
② 負荷開始後の最初に一方が低下する
そろって変化するという特徴を示している。
場合は他方が一定を保つか、または増大
囲2は虚血例4夙について、表2の被横着と
する。
は(a)3、(b)1、(c)5、(d)6と対応させて
.4_
③ 両者が低下する場合は低下状態が必
ずしも同レベルではない凸 低 ̄F状態は薬
三枝病変よりも検出しやすい場合があること
物を住人中であるにもかかわらずある程
を示している。−→方、RI検査結果は断層像に
度回復し、低下レベルの大小関係が交代
よる結果とは逆に三枝の方が二桂よりも判定
する。
をしやすいことを示唆する。この結果を見ると、
④ 中隔側と後壁側の運動機能が停止す
日例で健劣を議論することは適切でないが、壁
る場合がある。その場合時期をずらして
運動異常を表現することにおいてそれぞれの
停止する。
手法に二桂病変と三枝病変に射し得手不得手
⑤ 以上述べ
があることはいえそうである♭
分台には現れ、3分台になれば療著であ
壁運動上で異常であることの具体例として
は、運動機能が負荷開始後の早期に安静時より
る。
以上のように虚血例では中隔側と後壁側の
も低下し、その低下した機能が負荷中であるに
運動の経時変化でexcursionどうし、壁厚変化
もかかわらず一部回復したり、再度低下したり
量どうしが不一致のパターンを示している。
することである。まだ規準及び基準はないが、
これに対L、健常例では単調同一の経時変化
断層像による判定時刻より早い時刻に異常な
パターンを示し、詳細には次のようになる。
運動様態が現れることを確認できたことの理
由の一つに、断層像によるWMAの判定がそ
⑥ 中隔側と後壁側の運動機能の両者が
増大するか、一方が安静時レベルのまま
の時割における左室内腔の2次元又は3次元の
で他方が上昇する。すなわち、最初から
形態歪みを認識するのに対し、Mモード経時変
低下することはない。
化では限定部位とはいえ安静時に対する1次元
⑦ 一旦上昇した硬は果物注入中である
の寸法変化で表現するためパラメーターとし
て放いやすいことがある。
にもかかわらず元のレベルに戻る方向で
表1の例8ではMモード計測で中隔のdP肘
下降する場合もある。
(一一回拍出鼻5V瓜、5Vd についてここで
Tがわずかな増大が親られたのみで断層像及
びMモードのいずれでも例1から7までに認
は割愛し発表時に示す)
められた程度のWMAを確認できなかった。こ
5考事
のことはWMAが生じるとすれば主にRCA
だけの支配領域に出たと考えられる。中開だけ
5.1各種検査法の比較
機能が増加したことも異常との判定データと
表1の結果によると、ECGにおいては3例
なるかもしれないが、今複の検討課題としてこ
が−0.05山′に達しない軽度のST低下を示し
こでは保留する。
たに過ぎないが、断層像では日例中6例が陽性
5.2経時変化パターンについて
を示したため、心筋壁運動という機械的倍号に
ジビリダモール負荷心エコー図法によって
よる方が電気信号よりも判断しやすいことが
Mモード上で検出した壁厚変化とexcurslonの
確認できた。
経時変化の異常が、例3∼6においては断層像
その陽性の6例のうち、三種病変例(例1∼
による確認時刻とほぼ同じか早期に示された。
2)では(+)であるところから考えると、断層
さらに、例1∼2のように検査中の断層像で異
像でパターン認識する方法は二桂病変の方が
常を確認.できない例においても示された。具体
_5−
的には、壁厚変化とexcursionの鐘時変化の異
13)亡 心拍数(以下、上L仔)が上昇すると心筋壁の
常とはいずれかのパラメーターを中隔と後壁
動きが活発になり、33msごとのビームの走査
間で比較すると虚血例では不一致が生じると
を行うたびに壁の位置が大きく移動している
いうことである。しかも、その特徴は負荷開始
ので壁の描出が不鮮明になる。とくにフレーム
直後に現れ、遅くとも3分台には明確になるこ
相関がかかっているとfブ月が高いことは画像
とである。このことから、壁厚変化及び
の鮮明度において致命的になる。打点が上昇す
excursionを経時変化は局所のWMAを詳細に
ると心筋の激しい厚み変化やexcursionだけで
表現するパラメーターになるといえる。観点を
なく、心臓全体の位置が横揺れし、収帝来期と
変えると上記のような比較法することはWM
拡張末期では断層面の位置にずれが生じる。そ
Aを冠動脈狭窄の有無を検出するための有力
こで、〃児が80∼90程度を越えない方法を採
なサインの一つとなると考えられる。
用するとなると、ジビリダモール負荷が望まし
一方、前述した壁の運動機能が低下したあと
い。たとえば安静時の〃屈が60の例では高々
も刻々とその低下の程度が変わるという現象
印税度までしか上昇しない。このことは生理的
が判ってくると、次のように解釈することの可
に負荷が軽いと評価することもできるが、実際、
能性も生じる。
ジビリダモール負荷と運動負荷を比べた結果、
○虚血例では冠動脈を流れる血流量は減少す
前者では鮮明な画像を描出するが、後者では〃
るが各冠動脈間の相対的血流量の比率は経時
屈が上昇し画質が劣化することは平野らが報
的に変化している可能性。
告している14〕。本研究に先立ち我々も検討した
○血流量は減少したままであるが、収縮機能の
結果、運動負荷で画像の鮮明度が低下するのは
制御機構が働いている可胎性。
探触子の国定の問題、呼吸の影響による心臓の
○血流量の低下という状態変化に対する壁運
位置関係がずれることの問題だけでなく、ガ月
動の応答の速さに中隔と後壁では違いがある
が朗∼90程度またはそれ以上に上昇すること
可能性。
によって生じる画像の劣化が主たる原因であ
5.3ジビリダモール負荷について
ると解釈した。この場合、断層像及びMモード
最近はジビリダモール負荷、ドブタミン負荷、
のいずれによる計測においても誤差が大きく
及び運動負荷が行われ、前二者は薬物負荷法で
なる。このような誤差は本研究では避けること
あるため、運動負荷法に比べ、患者の負担と超
ができる。
音波データ採取の安定性という2点において有
利である。実際、ECG異常は認められないに
6結語
もかかわらず、断層像によってWMAは確認さ
冠動脈疾患があると負荷時における中隔と
れることが多い。中でもジビリダモール負荷は
棲壁における個々の壁厚変化とe又CurSionを示
本研究方法においては以下に述べる理由によ
すパラメーターである∫V5且とP町g、また
って好ましい。
はd」「VlヲrとdfIⅣTの経時変化の不一致
によってWMAを詳細に表現することができ
まず、超音波画像による確認を行おうとして
いるのであるから画像が鮮明であることが不
る〔このことは虚血部位の発生と冠動脈狭窄の
可欠である。超音波画像の代表である断層像は
存在の可能性を示すサインとなる。
1枚の画像を形成するのに33msを必要とする
(一回抽出量5Vm、51′d についてこの紙
一6.
面では割愛し発表時に示す)
dねび由仁血刀19SO;82(4)ニ735−744.
以上まとめた、標記のMモードから得られる
8)大川井宏明:超音波観察法・診断法.東京.東洋出
パラメーターは一般にはリアルタイムに計測
版,1997:錮−B8.
することができないという欠点をもつが、壁運
9)StammRB,Gib呂OnRS,BishopHR,eta]:Ech〔唱raPhic
動具常及び虚血状況を表現する上で定量性、客
delectiロn Ofir血rctlocali乙ed 呵rlerEy and remote
観性が高い。Mモードがもつ定量性を利用する
asYTlergy during aeute mYOCardialinfhrctjorl:
ことは冠動脈狭窄を生理的に詳細に表現する
CorTe]atjonwiththe e五tent Ofangiographic coronary
パラメーターとして利用することができると
di5ea5e.仁王化・山血塊椚1983;67(1):233]244.
共に、冠動脈狭窄の有無、または虚血状態の発
10)大川井宏明、仁田種子、高橋和彦ほか:超音波を
生の有無についての検出率を向上させる可能
用いた心筋壁運動と心拍出量の複合情報による局
性がある。
所心機能の新しい評価法.超音波医学1995;22,
(本論文の一部は文献1計18において発表L
5uPPユⅠ(日超医講演抄録集65卜1日L
ll)仁田桂子、大川井宏明、片平美明ほか:Mモード
た。)
法およぴドプラ法の複合情報を用いたストレスエ
文献
コーによる局所運動の新しい評価法.超音波医学
1)吉田浦:超音波検査は何に役立つか.他血血丘1992:
1995;22,SupplⅡ(日超医講演秒偏集66):5占.
12)大川井宏明、仁田桂子、商権和彦ほか:負荷心エ
29(7):116ト11了1.
2)Mazwi亡kTH.NemecJJ,PaBhkowFJ,etal:Accuracyand
コー図法におけるMモード態とドップラー法から
血山ations ofe且erCize echocafdiogr叩hyin且rOutine
得られた心細出量の比較による心蕗壁運動異常の
Clinica15etti口早.ノノ4血Cロ〟亡血−d揖1992て19(1):74−−81,
一評価法:負荷時の心筋局所壁運動異常を表現す
3)PicanD E,Lattan=iF,MasiniM,et al:Ⅰ−iiEh dose
dipyTidamole echocardiography testin enbrt angina
る′jラメ一夕ーの検討11).超音波医学
1999;26(12):1165−1175.
13)大川井宏明こ超音波観察法・診断法.東京.東洋出
P8亡tO血.ノ′1皿Cb〟C血・血1986;8(4):84B−854.
版.ユ987:32「52.
4)平野豊、土生裕史、宮崎俊夫ほか:Dip画d弧101e負荷
14)平野豊、山本忠彦、佐々木剛ほか:ジビリダモー
心エコー図法による虚血性心疾患の診断.止Mm血㌧げ
C血d払血幻′■1994;24:9−16.
ル負荷心エコド図法による虚血性心疾患の診断二
5)Sawa血SG,SegerDS,RyanT,et乱1:Echo−Cardjographic
dete亡ti白nOfcoronaryarterydjseasedurhgdobut且mine
jnf山sion.C加比血血刀1991;83(5):1605−1614.
運動負荷心エコー図法との比較..廊刀∫脆d
[り打8βロj七β1!柑5;22(郎:587−594.
1封大川井宏明、仁田桂子、高橋和彦ほか:負荷時に
おける心筋の壁厚変化、eXCurSionに表れる局所壁
6)Smith]S,Cah吐血】MK.Bene鮎1DJ,eta]:)ntraoperative
detectionofmyocardialischemiain high」riskpatient占:
運動異常のサイン.超音波医学19卯;24(封:(日超
electrocardiogTaphy
瞑抄録集6即:263,
verstlS
tWDTdimensona]
16)大川井宏明、仁田桂子、高橋和彦ほか∴Mモード
tr且n6eSOphage且】echocardi口許aPhy.亡加血f血刀1閲読
上の一回抽出量、壁厚変化、巳ⅩCurSion情報に表れ
72(5):1015−1021.
7)Battler A,Froelicher VF,G且】】agher KP,et al:
る負荷時心肝の局所壁運動異常のサイン.超音波
医学199丁;24(9):(日超匡抄録集70):1359.
Dissociation between regiロn已Imyocdrdla)dys且1nCtion
1T)大川井宏明、仁田桂子、高橋和彦ほかこ虚血例に
andECGch肌geSdurjngischemia止Ithecon配iousDog.
_7_
おける負荷時■L筋局所壁運動の経時変化について
から得られる壁厚変化、Excur占ion情報及び一回抽
の考泉。超音波眉宇19粥;25(4):〔日超医抄録集
出量に現れる局所壁運動異常のサイン:負荷時の
71):430.
心筋局所壁運動異常を表現するパラメーターの検
1引:大川井宏明、仁田桂子、高構和彦ほか:Mモード
討〔2).超音波医学200D;27(1):3・−13.
表1CAG、RI、ECG及びエコ
ー図のデータ比較
CAG:冠動脈造影法、RI:放射性同位
元素シンチグラフィー、ECG:心
電図。〔巾はVTR再生時のみ異常を
謎めた。印a・hは異常運動。+、△、
★a−hに続く数字は薬物注入開始律
初めて異常が確認された時間。
3 2
75 ・ト △了 +3
帥j
4 2
5 2
丁5
*e了
6
丁亭
7
50
8 2
■bヰ
+5 ♯仁王
50
5ロ
+ヰ
†霹1
90
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山ロZく〓ロ山一己卜一コ]虻
■■−』ル等r
1.5
■コー』PⅣr
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一台一戸仲ど
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0 1 2 3 4 5 6 了 8 9 10
TIME(m‡n)
図1表1に示Lた6パラメーターの相対的経時変化(健常2例aカに対して)
各値は安静時(=1)に対して止規化してある。ジビリダモールは4分間注入している。
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TIME(min)
(a)
0
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1.5
0.1 2 3 ヰ 5 8 丁 8 9 10
TIME(min)
(b)
0
]ロ三V〓0]>−トく﹂]正
0 1 王 3 4 5 6 了 8 9 10
TIME〔min)
囲2 表1に示した6パラメータ
ーの相対的蘇時変化(虚血4例)
(討,(b),k)及び(亜は表1の乱1,5及び
6に対応する。安静時(こl)に対して
︻U
山口〓く〓臼]L己トJコ山旺
1.5
0 1 2 、3 ヰ 5 8 丁 8 9 10
止規化してある。ジビリダモールは
4分間注入している。
TIME(min)
(d)
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