人工心肺の病態 - Signalysis

生体機能代行装置学Ⅱ
2010年6月18日
第11回
人工心肺の病態
今回のテーマ(人工心肺の病態)
全血活性化凝固時間、血液還流量と還流
圧、操作の流れ、プライミング、ヘマトクリッ
ト値、浮腫、低体温手術、脳障害、酵素系、
空気塞栓、冠血流停止、心室細動、シャ
ワーエンボリズムなどについて授業を行う。
ヘパリン/プロタミン
ヘパリンコーティング
テキストP292
ヘパリン:抗凝固剤
ACT:全血活性化凝固時間
ヘパリン投与により、ACTが延長する。
400秒以上600秒以下
プロタミン:ヘパリンの中和
灌流量と灌流圧
テキストP293
最適な灌流量の設定
自分の場合の値を計算してみよう
28℃前後の中程度低体温
成人: 2.3~2.5 L/min/m2 (60~80mL/min/kg)
小児: 2.4~2.6 L/min/m2 (80~100mL/min/kg)
乳児: 2.4~3.0 L/min/m2 (100~120mL/min/kg)
体重60kgの成人の場合: (3.6ℓ/min~4.2ℓ/min)
最大負荷:体重何キロまで?(テキストP284)
健康な人の還流量:4~5L/min
灌流圧
設定時に注意すること
平均大動脈圧:60~80 mmHg
適正灌流
適正灌流量 P293
成人: 2.3 ~2.5 ℓ/min/㎡
平均大動脈圧
60~80 mmHg (P301では60~100)
灌流を維持できないと
腎臓は血圧によって機能が維持されている
腎臓の血流が低下して、腎不全になる
操作の流れ
麻酔
入室
麻酔導入
術者
体位
人工心肺
・装置の準備
・回路の準備
(組立、洗浄、充填)
患者管理
執刀
(ヘパリン投与) ヘパリン投与
カニュレーション
呼吸停止
大動脈遮断
心停止、心筋保護
心内修復
体外循環開始
(部分体外循環)
冷却開始
完全体外循環
心筋保護液注入
加温開始
大動脈遮断解除
心拍動再開
呼吸再開
退室
プロタミン投与
回収血輸血
麻酔終了
カニューレ抜去
終了
部分体外循環
winning
終了
残血回収、洗浄
無血充填と血液希釈
無血充填
血液を用いずに、予め装置を充填液で満たす
この充填液の分だけ、1ℓ以上血液が希釈される
血液希釈の起きる理由
人工心肺の使用中に最も避けたいこと
血栓の形成、溶血、空気塞栓(P304~P305)
血栓の形成を防ぐため、ヘパリンを投与する
ヘパリンの使用には否定的な見解もある
冠動脈保護のため、心筋保護液が注入される
電解質を保つため、電解質が補充される
ヘモコンセントレータ(ヘモコン)
血液濃縮器
ECUM(限外濾過器) P380
血液が希釈しすぎた際に、血液を濃縮する。
血液の希釈限界
ヘマトクリット値(Hematocrit)
全血液に対する血球成分の容積比
テキスト:P28
正常時で40~45%
20%が限界
ヘモグロビン
正常時: 男子:16g/dℓ、女子:14g/dℓ
希釈限界:7g/dℓ
薄めすぎるとどうなるか?
浮腫:人工心肺後肺障害(P296)
低体温手術
目的
酸素需要(酸素消費量)を下げ、虚血による「不可逆変
化」を回避する。
特に、脳を守る:テキスト(P560)
影響
血液粘稠度(ネンチュウド)の上昇:ネバネバする
酸素解離の低下
二酸化炭素分圧(PaCO2)の低下:気体としての溶解
度は高まるが、比率は低下
この結果としてpHが上昇し、アルカローシスとなる
酵素系
補体系の活性化(P295,P107)
補体とは何か?
免疫系の一部で、抗原を攻撃することのできるeffector機能を
持つ。
抗原抗体の結合物に結合する。
(一言で言えば、「免疫機能」に関連する応援団?)
補体が結合した抗体は、抗原と結合すると(抗原抗体結合が
「免疫反応」)補体系が活性化される。
自己免疫疾患、ヒスタミンの遊離、移植の拒絶反応などに関
係する。
抗凝固系(テキスト:P31)
空気塞栓
最も危険な状態
体外循環中の空気塞栓
大動脈から脳へ:脳塞栓が生じる
昏睡、いびき状呼吸
通常の循環中の空気塞栓
大静脈から肺へ:肺塞栓が生じる
肺胞損傷で血栓を形成し、血栓が全身に流れ、冠動脈や脳の血管に梗
塞をつくることもある
重症の場合は、意識障害、痙攣発作など
なぜ起きるか?(テキストP305)
チューブの折れ曲がり・破損
脱血時の空気の吸い込み
ベントポンプの逆回転
心臓の状態
大動脈遮断・冠血流停止、心停止
酸素消費量が最も少ない
冠状動脈の血流が停止 → 心筋虚血
心筋保護液(冠灌流)が不可欠
心室細動
最も酸素消費量が多い
心拍動
心臓の空打ち
過去問題[22A70]
血液希釈体外循環の利点はどれか。
a. 血液粘度の低下
b. 血液有形成分の破壊の減少
c. 膠質浸透圧の上昇
d. 酸素運搬能の増加
e. 輸血量の節約
1. a、b、c
5. c、d、e
2. a、b、e
3. a、d、e
4. b、c、d
過去問題[22A71]
成人の人工心肺の操作条件で適切でないのはど
れか。
a. 送血量:2.4 L/(min・m2)
b. 平均動脈圧: 70mmHg
c. 静脈血酸素飽和度: 70%
d. ACT: 250 秒
e. ヘモグロビン: 6.0 g/dL
1. a、b
2. a、e
3. b、c
4. c、d
5. d、e
過去問題[21P52]
心筋保護について誤っているのはどれか。
1. 阻血時間の短縮を目的とする。
2. 心筋保護液を冠潅流する。
3. 迅速な心停止によって心筋収縮エネル
ギー源を保存する。
4. 持続的心停止によってエネルギー消費
を抑制する。
5. 低温によって酸素消費量を低下させる。
次回のテーマ(体外循環時の諸指標)
人工心肺充填液、体温コントロール、動脈
圧、中心静脈圧、左房圧、血液ガス、尿量、
末梢血管抵抗の状態などについて授業を
行う。