コアフコース特異的レクチンによる糖鎖の分離

コアフコース特異的レクチンによる 糖鎖の分離
~スギタケレクチン(PhoSL)HPLCカラムを使って
◇実験
PhoSL(フォースル)はキノコ(Pholiota squarrosa, スギタケ)から精製された
コアフコース(core α1-6-fucosylated N-glycans)に特異的なレクチンです。
今回、PhoSLを固定化したカラムで、コアフコースを含むN型糖鎖の分析をおこないました。
◇結果
コアフコースを
含まない糖鎖
コアフコースを含む糖鎖
カラム
PhoSL-HPLC Column
溶離液
流速
カラム温度
検出
試料
注入量
10mM Ammonium acetate pH6.4
0.5mL/min
25℃
Fluorescence (Ex.320nm Em.400nm)
PA(ピリジルアミノ)化糖鎖
5μL (5pmol)
(150 mm×4.6 mm I.D.)
Time(min.)
コアフコースを含む糖鎖のみ、溶出時間に遅れが見られました。
糖タンパク質性医薬品の糖鎖は、医薬品の生理活性、安定性、体内動態及び溶解性などに大き
く関与することが知られています。
そのため、均一な糖鎖が得られれば、糖タンパク質性医薬品の機能が制御できると言えます。
レクチンアフィニティークロマトグラフィーは、レクチンが特異的に糖鎖に結合する性質を利
用したクロマトグラフィーで、糖鎖構造のわずかな違いを見分けて分離します。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のレクチンHPLCカラムは、これまで糖鎖分析が主な
用途でしたが、拡散が少なく分離が良いため、糖鎖精製にも有効です。
レクチンの種類や固定化量、および溶離液などの条件を変えることで分離が変化し、また、複
数のカラムを組み合わせることで、より詳細な分析や分離が可能になります。