体外循環時の諸指標 - Signalysis

生体機能代行装置学Ⅱ
2010年6月25日
第12回
体外循環時の諸指標
今回のテーマ(体外循環時の諸指標)
人工心肺充填液、体温コントロール、動脈
圧、中心静脈圧、左房圧、血液ガス、尿量、
末梢血管抵抗の状態などについて授業を
行う。
モニタリングの項目
教科書P195
連続的モニタリング
心電図、動脈圧、肺動脈圧、中心静脈圧、体温、尿量、
尿の色調、脱送血温、ポンプ回転数、血液拍出量、貯
血槽レベル、酸素流量、酸素濃度
間欠的モニタリング
血液ガス、酸塩基平衡、電解質、血算・生化学検査、
血糖、活性化凝固時間(ACT)値、バッテリ容量
希釈率や血液平衡の記録・予測
標準テキストP298
回路充填量、血液量、ECUMでの除水量、
輸液量などを記録する。
体循環血液量 80mg/kgとして算出する。
自分の血液量を計算してみよう
プライミング液
教科書P213
乳酸リンゲル液 --- 総充填量、希釈率の調整
重炭酸ナトリウム --- アシドーシスの補正
血漿増量薬 --- 膠質浸透圧の保持
マンニトール --- 浸透圧の調整、利尿
ヘパリン --- 抗凝固
各施設で異なるが、基本的な構成は類似
電解質・酸塩基平衡
標準テキストP33
pH: 7.35~7.45
Na+ : 140mEq/L(低ナトリウム状態)
K+ : 4mEq/L (低カリウム状態)
Ca2+ : 5mEq/L(低カルシウム状態)
HCO3- : 27mEq/L
mEq/Lの単位は、後期透析の授業で反復学習し
て下さい。
血液凝固時間とへパリン
ヘパリンナトリウム
1mL = 10mg = 1000単位
カニューレの挿管前に、2.0~3.0mg/kgの投与
ACTを測定(400秒~600秒の範囲を確認)
60~90分ごとにACTをチェック
ACTが短縮されている場合は、ヘパリンを追加
投与する。
体温
低体温の目的:血流遮断時間の延長
低体温手術での血流遮断時間
軽度低体温 :30~32℃
中等度低体温:25~30℃
超低体温
:20~25℃
P560
10分
30分
60分
熱交換器の熱交換水の温度で調節
血液との温度差が大きい ⇒ 溶血の原因
直腸温で確認
灌流量と灌流圧
テキストP293
最適な灌流量の設定
自分の場合の値を計算してみよう
28℃前後の中程度低体温
成人: 2.3~2.5 L/min/m2 (60~80mL/min/kg)
小児: 2.4~2.6 L/min/m2 (80~100mL/min/kg)
乳児: 2.4~3.0 L/min/m2 (100~120mL/min/kg)
体重60kgの成人の場合: (3.6ℓ/min~4.2ℓ/min)
最大負荷:体重何キロまで?
(テキストP284)
健康な人の還流量:4~5L/min
適正灌流
適正灌流量 P293
成人: 2.3 ~2.5 ℓ/min/㎡
平均大動脈圧
60~80 mmHg (P301では60~100mmHg)
灌流を維持できないと
腎臓は血圧によって機能が維持されている
腎臓の血流が低下して、腎不全になる
中心静脈圧(CVP)
Swan-Ganzカテーテルを用いて測定
5~10cmH2O
(≒3.8~7.6mmHg)
(P293, 0~数cmH2O)
脱血カニューレ先端より末梢側で測定
標準テキストP301
全身から心臓に血液が戻っていることを確認
スワンガンツカテーテルで測定できるもの
CVP、肺動脈圧、右房圧、肺毛細管楔入圧
心電図
正常洞調律を確認する。
心拍の再開などをモニターする
心室細動などの重篤な不整脈や、虚血性
の変化の有無を確認する。(ST-Tの変化)
STセグメントの上昇
大分岡病院循環器科 立川洋一先生WEBページより
STセグメントの下降
血液ガスと酸素濃度
動脈側の酸素飽和度 SaO2 ⇒ 100%
静脈側の酸素飽和度SvO2 ⇒ 70%以上
標準テキストP293
PO2 、PCO2の調整
酸素濃度と、灌流量で調整
濃度↑
⇒ PO2 ↑
灌流量↑ ⇒ PO2 -
PCO2 -
PCO2 ↓
尿量・尿の色
1ml/kg/hrを目安
自分の体重の場合で計算してみよう。
循環が良好であることの指標
(標準テキストP301)
溶血が高度だと、尿が赤褐色に変化する。
末梢血管抵抗の変化
灌流圧の維持
血管が狭くなると、圧力は上昇する。
圧力を維持するために、血管収縮剤を投与す
る場合がある。
高血圧の薬 → 血管を広げる種類の薬がある。
次回のテーマ(補助循環装置)
PCPS、IABP、補助人工心臓、ECMOに
ついて、原理・構造、適応、取り扱い方法、
安全上の注意について授業を行う。