第3章 第1節 4・5・6項 09BC053J 新井友海 現在のサイクルから漏出が起こっても、過去のサイクルで漏 出した資金の還流とバランスはしていればセイ法則は成立し ている。 漏出と還流の変動はどのようにおこるのか? これを「斉一性」から整理する。 なぜ重要? 様々な景気対策を評価する観点が得られるから! 特に利子率が、平時には機能するが、重い不況では機能 しないのかを説明できる。 1.斉一性のメカニズム 斉一性とは・・・ 一定以上の割合の経済主体の行動が同じ方向に揃うこ とを「斉一性」のある行動ととらえる。つまり・・・ 多数の経済主体の意思決定に「斉一的な影響」を 与えるような環境変化が生じれば、漏出超過(また は還流超過)という変動が生じることになる。 斉一的な影響を与える要因 マインドの斉一性 雇用不安による消費マインドの下落 =消費需要の低下 企業の将来需要(売上)の予測低下 設備投資抑制 特に長期不況になれば、現在が不景気であるという事自体が更 に需要を低める。 「リスク回避マインド」が意思決定に影響をもたらす 斉一的な影響を与える要因 資産価格の上昇・下降(バブルとその崩壊)の影響の斉一性 バブル 崩壊 値上がりする前に資産を獲得 値上がりを収益機会 資産市場に資金流入 資産価格の下降しても安全資産に流れるだ けで還流しない。 逆資産効果が働き実体経済の景気を悪化さ せる。 斉一的な影響を与える要因 利子率の影響の斉一性 利子率の 低下 全ての設備 投資コストが 低下 設備投資増加 利子率の 上昇 全ての設備 投資コストが 増加 設備投資減少 2.重不況と軽い不況 漏出を左右する斉一性要因は、その働く場面や条件、環境 が異なり、その影響力の大きさも環境によって変化する。 軽い不況 在庫循環的なもの 重不況 バブルの崩壊 将来の売上予想を低く見積もることは少ない 設備投資・雇用の削減も少ない 将来の売上予想が斉一的に引き下げ 重不況は景気変動を利子率と貨幣供給量で把握する 設備投資・雇用の削減 重不況は、不況に係わる様々な要因を斉一化して不 金融政策の枠内では理解できない マクロの視点から相殺される 況を強める力が強いのに対して、軽い不況は様々な 相殺されない 要因を斉一化する影響力が小さい 投資のコストに斉一的に影響する利子率の上下 (金融政策)が有効 他の要因が与える影響が大きくなり、利子率の上下 (金融政策)の影響が失われる 3.斉一性とバランスシート不況 漏出・還流モデルと斉一性を踏まえて「バランス・シート 不況論」を検討する。 バランス・シート不況とは バブル崩壊で殷損したバランス・シートの回復に向け、斉一的 に設備投資よりも「借入金の返済(貯蓄の増加) 返済された資金が金融機関に滞留し(漏出超過が継続)、需要不 足が継続 金融緩和政策に設備投資を拡大させる効果がない ニューディール政策 15 10 5 1933年から始まるニューディール政策 による財政政策は無効で、金融政策 有効が定説に… 0 -5 -10 財政政策が有効であり金融政策は無効 -15 -20 24 25 26 しかし 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 貸出の増加先はほぼ100%政府 金融政策有効論の根拠であるマネーサプライの増加は財政政策 をファイナンスしただけで従属的な役割を果たしただけ。 論点 アメリカの財政政策について
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