CSRエコプレミアム流

マイナス25%の光と陰
-持続可能な社会の構築に向けて-
安井 至
国際連合大学名誉副学長・東京大学名誉教授
(独)製品評価技術基盤機構・理事長
http://www.yasuienv.net/
1
過去12000年間の世界人口
7000
6000
5000
20th C.
4000
定住型農業
3000
2000
19th C.
1000
0
-12000
-10000
-8000
-6000
BC
-4000
-2000
0
2000
AD
th C.
18
4000
二酸化炭素排出の歴史的推移
Million
人口の増加とCO2
Year
「10万年の経済史」
per capita Income
by Gregory Clark, 2007
Great Divergence
Industrial
Revolution
Malthusian Trap
1000BC 500BC
1
500
1000
1500
2000
2008年の金融破綻の意味


1.20世紀型マインド(=非持続可能)の終焉
2.先進国発展のシナリオが無くなった
???????
金融拡大型産業
ソフト型サービス産業
情報型工業
高付加価値工業
重工業型
繊維工業型
農業型
発展シナリオ
文化的付加価値
趣味的付加価値
発展
6
地球温暖化の3層構造
そのときの
最善の知識で
決断を要する
対立構造
・アメリカとそれ以外
・先進国と途上国
温暖化に関する
国際政治のレイヤー
先行者利益が
あるので、先に
動き出す
温暖化が誘導する経済
のレイヤー
まだ定量的な
不確実性は高い
温暖化の予測に関する
純粋科学のレイヤー
・手数料獲得EU
・適応策狙い
途上国
これら3層
のレイヤー
が独自の
運動方程式
に支配されて
動いている
7
国際政治としての地球環境








1979年
1989年
1991年
1992年
1997年
2000年
2002年
2008年
新冷戦構造 アフガン侵攻
ドイツ、ベルリンの壁崩壊
ソ連邦崩壊
リオの地球サミット開催
京都議定書
ミレニアムサミット
ヨハネスブルグサミット
洞爺湖G8サミット
8
鳩山総理大臣
25%削減を国連で宣言
2009年9月






ただし、詳細は不明
国内真水で何%削減するか?
排出権取引で何%?
技術移転などで何%?
途上国支援は?
グリーン・イノベーションとは?
市民の負担は300万円との報道
9
各国の目標:

米国:削減目標17%(2005年比)


EU:削減目標20%(1990年比)


排出権金融、自動車=バイオディーゼル、再生可能エネルギー
中国:削減目標40~45%(2005年GDPあたり)


グリーン・ニューディール(スマートグリッド、自動車=プラグイン
ハイブリッド、再生可能エネルギー)
経済成長のためにエネルギー使用の高効率化、自動車=電気、
石炭+CCSだが、大規模水力発電も
ブラジル:削減目標36.1~38.9%(対策を取らなかっ
た場合比)

バイオリソース、自動車=バイオエタノール、大規模水力も
10
各国の目標:日本


削減目標25%(1990年比 すべての主要国
の参加による意欲的な目標への合意)
新成長戦略 12月30日閣議決定




エネルギーは強みを活かす分野
再生可能エネルギー(太陽光、風力、小水力、
バイオマス、地熱)
中でも太陽電池:1000万世帯へ
【2020 年までの目標】



『50 兆円超の環境関連新規市場』
『140 万人の環境分野の新規雇用』
『日本の民間ベースの技術を活かした世界の温室効果ガ
11
ス削減量を13 億トン以上』
これまでの
CO2排出量削減の恒等式




CO2排出量/1人あたり
=CO2発生量/エネルギー量 (a)
×エネルギー量/サービス量 (b)
×サービス量/1人あたり
(c)
(a) 再生可能エネルギー、原子力、炭素隔
離貯留CCS
(b) 省エネ
(c) 一定(サービス量は低下させない)
12
日本エネルギー経済研究所
限界削減費用
13
国立環境研 限界削減費用
14
削減策:政府の方針=経済対策


太陽電池(スマートグリッドと電池)
高効率給湯器





個人金融資産1400兆円が狙い
オール電化=電力会社の意向を尊重
深夜電力=原子力の維持
電気自動車
LED照明(実は蛍光灯より効率が悪い)


個人金融資産1400兆円が狙い
深夜電力=原子力の維持
15
私案:自給率(4%以下)と国際関係重視






地熱で1600万kL(ポテンシャル50%)
中小規模水力で700万kL(〃50%)
太陽熱(エコキュート付属タイプ+ガス追い
炊きタイプ)で300万kL(〃60%)
バイオエタノール400万kL分
ブラジルから輸入
バイオマス熱利用300万kL
太陽電池と風力その他で1200万kL
16
省エネ:余り違わない








自家用自動車の燃費改善3000万kL
貨物用自動車の燃費改善500万kL
建築・家屋の断熱強化
都市内家庭/業務でのガスコジェネ給湯
(+水の太陽熱予熱)
廃熱利用技術
エアコン(地中熱利用で北国用暖房)
照明などの効率向上(蛍光灯・有機EL)
産業でも多少
17
特に注目している事項

地中熱利用のマイクロ地域冷暖房


スマートグリッドは日本では不要




特に寒冷地。場合によっては河川熱。
もともと米国の脆弱な電力網対策
それをIT産業化すること
SOFC型燃料電池によるコジェネ
新コタツ文明をどうアジアに広めるか
18
地中熱利用





これまでは深井戸が高コスト
ヒートポンプの熱源として10~15℃が使
えることによる効率の向上
しかし、1戸に1本の深井戸ではない?
数戸で深井戸を共有するのか?
新ビジネスになるか?
19
スマートグリッドは米国の話?

米国の状況





米国流スマートグリッド



公共投資不足で壊れかけた電力網
停電時間が1~2時間/年
自然エネルギー導入が止めを刺す?
Googleをはじめとする巨大Internetビジネス
が次ぎのターゲットを探している
エアコン、電気自動車用の充電設備、電力メ
ーターにIPアドレスを与える
非常時には、外部から機器をコントロール
しかし、標準化には充分な配慮を!
20
日本型は
SOFC型燃料電池によるコジェネ




酸素イオンを通す固体電解質を使う
そのため炭素を含んでいても燃料になる
メタンOK.現存の都市ガスがインフラに
マイクログリッドの中核に




速い揺らぎへの対応が可能
家庭内でのマイクログリッドの構築が可能
給湯を合わせて総合効率80%が可能
電力とガスの供給事業者の協調が重要
21
長期目標 2050年
洞爺湖サミットでの長期気候変動

我々は、2050年までに世界全体の排出量
の少なくとも50%の削減を達成する目標と
いうビジョンを、UNFCCCのすべての締約
国と共有し、かつ、この目標をUNFCCCの
下での交渉において、これら諸国と共に
検討し、採択することを求める。
ラクイラG8ではやや後退したか?
22
2050年までの道筋
MtCO2
Schematic Drawing up to 2050
60000
50000
40000
30000
20000
Half
Goal
10000
0
1980
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
23
475ppm – 国環研によるシナリオ
475ppm Scenario by NIES
24
導入が必須の技術群
MtCO2
60000
50000
ハイブリッド車
ヒートポンプ
断熱
40000
30000
CCS
20000
Half
10000
0
1980
もっと
新技術が
1990
2000
2010
2020
2030
2040
2050
2060
25
2050年までの
途上国と先進国の分担
MtCO2
60000
50000
40000
80% Reduction
30000
20000
10000
0
1980
Developing Countries
1
Half
:
Developed Countries
OECD
1
1990
2000
2010
2020
2030
2040
Goal
2050
2060
26
国連の人口予測 UN Prospect of World Population
12000000
10000000
8000000
中位予測
上位予測
下位予測
6000000
4000000
2000000
2050
2040
2030
2020
2010
2000
1990
1980
1970
1960
1950
0
27
2050
Japan
Costa Rica
28
Energy Consumption
Kg Oil Eq. per capita
1994
1973
1987
バブル経済
1960
岩戸、いざなぎ景気
GDP per capita (PPP in $)
29
Trend in COP
効率係数
エアコンのCOP推移
Now
>6
Introduction
Top Runner
By METI
最近では、
自動お掃除
Self-cleaning
Air conditioner
1970
80
90
00
30
2050年に向けて
新コタツ文明項の追加





CO2排出量/1人あたり
=CO2発生量/エネルギー量 (1)
×エネルギー量/サービス量
(2)
×サービス量/満足量
(3)
×満足量/1人あたり
(4)
(1) 燃料転換、再生可能エネルギーなど
(2) 省エネ
(3) 新コタツ文明項=サービス形態の変化
(4) 不変とするが2050年では不明
31
新コタツ文明とは




必要なとき
必要なところに
必要なサービスを
必要な量だけ
cf.西欧流は、
セントラルヒーティング

32
これでは不十分。バイオ燃料は10%まで? 水素は有り得ない。
やはり車重を半分にすることが必要?
Not Enough. Need to halve Weight? さらに、電気自動車か?
Pure Electric or Plug-in?
33
連結可能な電気自動車
二人乗り 電気自動車 航続距離は30km
最近のお薦め製品
パナソニック
ビューティートワレ
DL-GZ20 など
「必要なときだけ、
必要なところだけ」
35
各種テレビの消費電力
まずは人感センサー:ソニーが完成
次は視野角可変
視線検知型テレビを作れば、、、、
有機EL
レーザーTV
36
グリーン産業革命の多形





第1型:エコプレミアム型 技術的に難しい
第1’型:バーチャル型 本物感が無い
経済規模の緩やかな拡大を進めつつ、徐々
に、社会を低炭素化すること。
第2型:節約型、仙人型 精神的に難しい
経済規模の拡大を必ずしも目的としない社会
を実現し、低炭素化すること。
37
Energy Consumption / Capita
従来の経済発展と低炭素経済
先進国型
エコプレミアム
これは
相当難しい
途上国型
5%経済成長には
5%エネルギー消費増大
GDP par Capita
最終的には
これか?
38
温
室
効
果
ガ
ス
排
出
量
大型化
快適さ追求
高速・強力
マインド・セット
変更
レクサスLS
マークⅡ
低炭素化
実質快適
サニー
スバル
全く別の
経済成長ルート
Prius
Plug-in Prius
価格 ≒ GDP
39
温
室
効
果
ガ
ス
排
出
量
大型化
快適さ追求
高速・強力
マインド・セット
変更
レクサスLS
マークⅡ
低炭素化
実質快適
サニー
スバル
全く別の
経済成長ルート
電気自動車の
カーシェアリング
Prius
Plug-in Prius
GDP
別の価値平面
40
自動車技術の分類






エコプレミアム型の正常進化
ハイブリッド車→プラグインハイブリッド車
電気自動車は、
電池のコストが1/10になるか、寿命が3
倍になれば、快適なエコプレミアム型
そうでなければ、 カーシェアリングによる
節約型になる。
下手をすれば「亡国型技術」
41
日本産業の問題点=日本人

やはり失敗が許されない社会




優れた個人の足を引っ張る社会=悪平等
ゼロリスクが人生の目標になっている
そのため、ベンチャーが育たない
既得権益が増えすぎた


足かせが多い
反対することも既得権益の一部

結果的に、「苔むした産業構造」になる。

再活性化をする原動力が環境エネルギー? 42
エネルギー使用量の長期推移
Ultra-Long Term Scope Fossil Fuel
Fossil Fuel Era
500 Years
BC 10,000
AD 10,000
43