イラスト著作権保護のための HOGを用いた複製検出

イラスト著作権保護のための
HOGを用いた複製検出
高橋 涼
背景
・今日ではインターネット上に多数のイラストが存
在しそれと同時に不正なコピーなどによる著作権
の侵害が問題になっている。
・その為、このような問題に対処し著作権を守る必
要がある。
・対処法として、電子透かしや画像検出に基づく
複製検出などの手法が研究されている。
背景
・しかし電子透かし等の手法では手書きで模写し
改変を加えた場合など複雑な変化がある場合、
検出が難しくなっている。
・回転を加えた画像や大きさを変えた画像などの
簡易的な変化に対する検出は有効な方法がある
が手書き等によるトレース画像に関して精度の高
い方法がない。
目的
・従来の研究でHOGによるトレース画像の複製検
出は可能であるが精度が低いためよりよい検出
方法が必要である。
・従来のHOGによる複製検出では、局所領域の
抽出の際、線分が十分に含まれている領域を抽
出できていなかった為精度が落ちたと考えられる
ので局所領域の抽出方法の検討が必要である。
検出対象
・簡易的な改変(回転や大きさ)を加えた画像では
HOGによる複製検出で十分に有効な精度がでて
いるので輪郭線や構図の手書きによるトレース画
像を対象とする。
輪郭線の抽出
既存の方式(複製検出の流れ)
オリジナル
画像
複製の疑い
がある画像
輪郭線
輪郭線
特徴量
特徴量
データベース
マッチング
投票
複製検出
この部分
を改良
HOG特徴量
HOG: Histograms of Oriented Gradients
・HOGは画像の局所領域から輝度勾配・輝度強
度を取り出す特徴量
・物体の大まかな形状を表現可能で、一般に歩行
者や人工物などの物体を検出するのに使用され
文字認識などにも用いられる。
処理過程
局所領域をブロック・セルに分割
ブロックを移動.セルの中における
輝度勾配ヒストグラムを計算する
ブロック毎に正規化する。
全てのヒストグラムを統合して特徴量にする。
ウェーブレット変換
・本研究では、ウェーブレット変換の中でも最も簡
単な関数のハールウェーブレット変換を使う。
・ハールウェーブレットの特徴
1:対称性、直交性を持つ
2:計算が簡単なため計算時間を短縮できる。
ハールウェーブレット変換
・2𝑛 個の成分を持つ配列
𝑠
(𝑛) =
(𝑛) :=(𝑎 (𝑛) , 𝑎 (𝑛) , ・・・𝑎 (𝑛) , 𝑎 (𝑛) )
𝑛 −2
𝑛 −1
1
0
2
2
𝑎
隣り合う2つの数の組(
変換を行う。
(𝑛−1)
平均:𝑎𝑘
(𝑛−1)
差分: 𝑐𝑘
(𝑛)
(𝑛) (𝑛)
𝑎2𝑘 , 𝑎2𝑘 −1 )に対して基本
(𝑛)
≔
𝑎 𝑘 +𝑎 𝑘
2
2 +1
2
≔
𝑎 𝑘 −𝑎 𝑘
2
2 +1
2
(𝑛)
低周波
(𝑛)
高周波
提案手法
・局所領域抽出の際に適切な領域を抽出できてい
なかった為精度が落ちたと考えられるので局所領
域抽出の方法を提案する。
提案手法
1:画像にウェーブレット変換を用い周波数解析を
行う。
2:ウェーブレット変換により、求められたx-y方向
高周波画像を2値化する。
3:その画像を大きさに応じて16×16、8×8画素
の領域に分割する。
4:複製検出に適切な領域を使い、複製検出を行
う。
提案手法
先ほど4の手順として
1:分割した領域のピクセル値の和を求める。
2:全領域のピクセル値の平均を求める。
3:平均値を基準の値とし、平均値以上の値の領
域を使用する。
結果
2値化した画像
抽出した領域
結論
・分割した領域の中でピクセル値の高い領域を多
く含む領域を抽出することで、イラストコンテンツに
おいて重要な情報の線分が多く含まれる領域を
抽出することができる。
・従来の研究での精度の低さは、局所領域の抽
出が正確でなかったため精度が落ちたと考えられ
る為、先に線分の多く含まれている領域抽出をす
ることで複製検出の精度が上がると考えられる。
今後の課題
・実際に抽出できた領域を用いての複製検出
・データベースのメモリ量や計算時間が膨大なも
のとなる。
→特徴量の次元数の効率のよい削減など、
メモリ量・計算時間の削減手法の検討。