経済変動論II 2006年度前期 第8回 4 フォード主義的成長体制 基本的性格 清水 耕一 www.e.okayama-u.ac.jp/~kshimizu/ 4.1 近代化 フォード主義的好循環 生産性 実質賃金 消費 新生産過程 新生産物 ・ 利潤 投資 ・ 総需要 ・ ・ ①加速度原理 I kY ②乗数効果 1 Y I 1 c ③カルドア=フェアドーン法則 qÝ 0 1YÝ 4.1a フォード主義的好循環 好循環の基本的構成要素 新しい生産様式⇒生産性上昇 フォード主義的労使間妥協にもとづく安定した分配関係 実質賃金の上昇⇒消費需要の増加⇒投資を刺激 利潤増加(キャッシュ・フローの増加)、資本市場からの資金調達、あ るいはメインバンク制による信用供与⇒投資 その背景には政府・中央銀行によるマネーサプライの適切なコント ロールがある 設備投資=効率的な資本設備の導入⇒資本労働代替(リカード効果)⇒生産 性上昇 消費増+投資増⇒総需要の増加 乗数・加速度タイプの成長メカニズム 政府の総需要管理政策が景気変動をコントロール 総需要増加⇒カルドア=フェアドーン法則⇒生産性上昇 好循環 生産性上昇⇒実質賃金上昇⇒消費・投資増加⇒総需要増加⇒生産性上昇 4.1b フォード主義的好循環 乗数・加速度原理タイプの成長モデル サミュエルソン=ヒックスの経済成長・景気循環モデル I kC サミュエルソン型 k>0 ヒックス型 k>0 サミュエルソン型よりもヒックス型の方が不安定⇒景気変動 I kY 基本的メカニズム I kY ΔY ΔI Y 1 I 1 c 4.1c フォード主義的好循環 カルドア=フェアドーン法則 生産性 Q q L Ý– LÝ YÝ– LÝ qÝ Q 生産性には総需要が影響する⇒カルドア=フェアドーン法則 0 0,1 0 qÝ 0 1YÝ 総需要が増加すると生産性も上昇する。 qÝ qÝ 0 1YÝ 0 YÝ パリ・ノートルダム寺院 4.2 フォード主義的成長モデル ボワイエ・モデル(付録II参照) qÝ a bIÝ dYÝ 生産性 投資 IÝ f vYÝ Ý LÝ g 消費 CÝ cw 実質賃金 wÝ kqÝ h 総需要 YÝ CÝ (1 – ) IÝ 雇用 Ý Ý L Y – qÝ 係数は全て≧0。V > 0は加速度係数。0 < c < 1は限界消費性向。 0 < α < 1は総需要に占める消費の割合。 生産性レジーム⇒グラフI 需要レジーム⇒グラフII 賃金の生産性上昇率へのインデクセーション率が上昇すると成長率 生産性上昇率が共に上昇する(Δ>0のケース) qÝ II2(k=1) II3((1/β)=k>1) I: qÝ A BYÝ II1(k<1) ・ ・ E2 E3 E1 II0 E0 ・ ・ 0 YÝ 領域① k<0: 定義から非現実的な領域(生産性が上昇しても実質賃金が 減少)。 領域② 0≦k<1: 0 YÝ,0 qÝ,0 wÝ Ý kが増加すると成長率、生産性上昇率、実質賃金上昇率が増加する(πは利潤 =「営業利益」)。 直線II2 k=1上:雇用一定を仮定すると、 最適成長であるといえる。 領域③ 1<k<(1 /β): YÝ qÝ wÝ Ý wÝ qÝ Ý 0 kが上昇すると実質賃金が生産性上昇率以上に増加し、利潤が低下する。 Ý 0 生産性の上昇にもかかわらず、利潤は増加しない。 直線II3 k=(1 /β)上: 0 Ý 企業にとって生産を増加する意味はなく、利潤を増加するためには生産を縮小 領域④ k>(1 /β): した方がよい。
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