なぜ日本人にはマリッジ・プレミアム があるのか?:労働意欲仮説の検証 富山大学 経済学部 経済学科 2年 杉本真理 2007・2・15 1 報告内容 1.イントロダクション 2.データについての説明 3.データに基づく検証 4.結論 5.参考文献 2007・2・15 2 1.イントロダクション 酒井順子氏は『負け犬の遠吠え』で「マトモ な男は結婚している」と指摘。 大竹文雄教授は2つの因果関係を指摘。 ⇒・経済力がある男性が結婚している ・結婚によって経済力のある男になった そのうち2つ目の因果関係をマリッジ・プレ ミアムという言葉で説明している。 2007・2・15 3 1.イントロダクションのつづき ・マリッジ・プレミアム:結婚が所得に与える純粋な影 響のことを示す。 ・アメリカ、日本において男性は結婚すると高い賃金が 得られるという結果が得られている。 ⇒マリッジ・プレミアムあり では、なぜ、「結婚している男性は、経済力があるの か」 2007・2・15 4 大竹(2006 pp.34-36)はマリッジ・プレミ アムを説明するための5つの仮説を紹介 (1)分業仮説 (2)労働意欲仮説 (3)シグナル仮説 (4)差別仮説 (5)経済学者には把握できない「隠れた魅 力」仮説 →この内、労働意欲仮説を検証 2007・2・15 5 2.データについての説明 厚生労働省の統計調査『21世紀成年者縦断 調査』(平成16年)のデータを基に (1)仕事を持つ既婚男性と未婚男性の職業 観に違いはあるかどうか (2)既婚男性が未婚男性より責任感、使命感 を持っているか を比較。 2007・2・15 6 職業観の項目(複数回答可) 生計を維持するため 家計に余裕を持つた め 経済的に自立するた め 社会人の責任・義務 社会に認められるた め 人間的な成長のため 2007・2・15 趣味・娯楽等の費用 得るため 特別な意義はない 分からない 不詳 7 維 を 2007・2・15 職業観 詳 不 に 持す 経 余 済 裕 るた 的 を め に もつ 社 自立 た 会 め 社 人 する 会 の た に 責 め 認 任 人 め ・義 趣 間 ら 味 的 れ 務 ・娯 な る 楽 成長 ため 等 の のた 特 費 め 別 用 を な 意 得 義 る は 分 ない か ら な い 計 家 計 生 % 調査のデータ 90 80 70 60 50 40 既婚 未婚 30 20 10 0 8 3.データに基づく検証 生計を維持する 家計に余裕を持つ 社会人の責任・義務 社会に認められるため 人間的な成長のため 経済的に自立するため 趣味・娯楽等の費用を得る 特別な意義はない 分からない 不詳 2007・2・15 既婚男性の方が 約5~10%高い 変わらない 未婚男性の方が 少しであるが、高い 9 最初の6つは責任感、使命感を持って仕 事をしていると判断できる。 ⇒つまり、既婚男性は未婚男性より責任感 を持っている。 これは、結婚すると男性は一家の家計を担 う中心となるためだと考えられる。 それに対し、未婚男性は家計を担っていな い分、責任感に欠ける。 2007・2・15 10 4.結論 結婚すると男性は仕事に対して責任感を 持つようになる。⇒労働意欲が高まる 労働意欲上昇=生産性上昇=賃金上昇 経済力がある男性となる 以上より、労働意欲仮説正しいと判断できる。 2007・2・15 11 5.参考文献 大竹文雄(2005)『経済学的思考のセンス:お金 がない人を助けるには』 中央公論新社 川口章(2001)「女性のマリッジ・プレミアムー結 婚・出産が就業・賃金に与える影響」『季刊家計 経済研究』51号 夏 pp.63-71 酒井順子(2003)『負け犬の遠吠え』講談社 樋口美雄(1991)『日本経済と就業行動』東洋経 済新報社 2007・2・15 12
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