明星大学 宇宙天文クイズ 太陽・惑星コーナー 星空コーナー 銀河宇宙コーナー 2010年夏休み科学体験教室 (プロジェクトⅠ参加者作成) クイズ 答 その訳、考察、 トピックス -1- 太陽系 -2- 空が青いわけは? 大気による太陽光の散乱 が色によって異なるため 青い空の秘密は「散乱」という現象。光や電波などの波が、物体に 当たって四方八方に広がっていく現象のこと。太陽の光も空気中 の塵などの粒子によって散乱される。光は波長が短いほど(青い ほど)散乱されやすい。昼間、空が青いのはこの散乱した光を見て いるからである。 ところが夕方になると太陽光は斜めに入ってくるため大気の層を よりたくさん通過するので、青い光は散乱されてしまって私たちに 届かず、赤い光が残って見えるので、夕焼けは赤く見える。 火星では重力が小さく、砂漠化しているので砂粒が空に舞い上 がっている。砂粒のような大きな粒子は赤い光も散乱するので、火 星で見る空の色はピンク色である。 月のように空気のない星では、太陽の光は散乱しない。月面か ら昼間、空を見上げると、黒い空の中に白い太陽が輝いて見える。 -3 - 地球の直径は? 約12756km 長さの単位であるメートルを定める とき、赤道の一周を40000kmと決め た。したがって直径は 40000/π=12756 km に等しい。 稚内~那覇間が約2400kmなので日 本を五つ並べた分くらいの直径。 -4- 地球の回転速度は? 赤道では時速約1666km 速度=道のり÷時間。道のりは地球の円 周40000キロ。これを1日=24時間で割ると 時速になる。つまり、速度=40000÷24= 1666.7km/h。東京は緯度35度なので、道 のりは少し短く32800km、従って私たちは 32800÷24時間=時速1360kmで東向きに 回転している。 ジェット機に乗って時速1000kmくらいで東 へ飛ぶときは地球の回転も入れると 2400km/h。西へ飛ぶときは逆で360km/h、 地球の自転を打ち消して太陽を追いかける ように飛ぶので一日が長くなる。逆に東へ 飛ぶと短くなる。 -5- 地球はまん丸? ほぼ球体だが、わずか に扁平な回転楕円体。 地球は正確には完全な球ではなく、自転してい るため遠心力によって、赤道が膨らんだ回転楕 円体という格好をしています。そのため赤道上で 経度に沿った距離は、緯度に沿った距離よりわ ずかに長くなります。一般に恒星や惑星は回転 (自転)しているため、回転楕円体という形をして います。特に木星などは自転が速いので写真を 見ただけでも扁平に見えます。 -6- 地球や惑星はなぜ丸 いの? 地球や惑星、太陽内部は流体(ガ ス)なので、表面全体の重力が均 等になる形状になるため。 地球は自分の質量が作る重力(万有引力)のわりには「やわらか い」ので流体(液体)とみなすことができるので、丸い形(自然の形 =平衡形状)に落ち着きます。凹凸があると高い所から低いところ に流れ込んで球形を保とうとします。 国際天文学連合総会において「太陽系の惑星の定義」が、 ①自己重力が静水圧平衡の形状(ほぼ球形)をとるのに十分な 質量があり、 ②恒星の周りを巡る軌道にあって、かつ恒星でも衛星でもない ③その軌道周辺で他の天体を一掃してしまっているもの と規定されました。 ①のように丸くないものは惑星とは呼びません。小惑星など硬い もの(固体)は重力に抗して変形しにくいので球形でないものもあ りあります。木星や土星のようなガス惑星は綺麗な円形(自転の 遠心力で少し扁平です。 -7- 月の大きさが変わるように 見えるのはなぜ? 周囲の物体との比較による 錯覚で生ずる現象である。 月が昇ってくるとき「あれ、今日の月って大きくない?」とか感 じたり、天頂近くの月は小さく見える気がする。それは目の錯 覚である。月の軌道は楕円を描いているので、地球に少し近 づいているときと、地球から少し離れているときがある。でもそ の差はほんのわずかで、月の見かけの大きさはほとんど変わ らない。 月が地平線に近くにあって、ビルや山、木など他に高さのあ るものと大きさを比較できると、より大きく感じる。逆にまわりが 広大な空だけだと小さく感じる。 5円玉を手に持って腕をいっぱいに伸ばし、その穴から月を 覗いてみよう。月は大きいように思えるときでも小さいように思 えるときでもいつでも、5円玉の穴の中にすっぽりとおさまる、 同じ大きさなのが分かるはずだ。 -8- 山本 月のうさぎ模様がいつも地球 に向いているのは、なぜ? 月が1回自転するのにかかる時間(自転 周期)が、月が地球をひとまわりする時 間(公転周期)と一緒だから。 月の模様は、日本では、うさぎが餅つきをしているような 見方を用いることが多いが外国では、どうだろう。 -9- 宇宙エレベーターは可 能か? 宇宙への輸送手段としてロケットを使わ ず地上と静止衛星を繋ぐエレベーターで すが、実際に作ることは難しいと思われ ます。 SFなどにでてくる考えですが、重力や遠心力、角運動 量といった物理学にもとづいて考えると、現実的には可 能とは言えないでしょう。静止衛星と地上に縄ばしごを かけるような構造だと、縄と荷物の重さで衛星が地球 に引かれ、角運動量保存の法則で、衛星はより速く回 転しだして、静止していられません。またエレベータ自 身を固い構造物で作ると、その重心が静止軌道になく てはなりません。地上から固定した建造物だと、高さ数 万kmの建物と同じことで、地球が丸くなる理屈と同じ でつぶれてしまいます。 ただ、宇宙空間で、近くにある衛星同士や、小惑星な ど重力が小さく、回転が遅い場合には可能でしょう。 宇宙エレベーター想像図 -10- 地球の周りの宇宙空間は 真空なの? 真空ではなくて、希薄なプラズマなどで満た されています。さらに遠い星間空間は水素 ガスなどで満たされています。 宇宙空間(星も含む宇宙全て)は、真空で はなく、希薄なガス(気体)に満たされている。 ガスは低温の星間空間では原子や分子に なっていて星間ガスとよばれる。 太陽系内の地球周辺の宇宙空間は、太陽 から吹き出した高温のガス(太陽風)が、プラ ズマとなって押し寄せて、地球の磁気圏に吹 き付けている。プラズマとは、原子が正のイ オン(陽子)と電子に分離された状態のガス のこと -11- 隕石と流れ星は、違うも の? 同じものだが、観測(観察)さ れる状態によって呼び方が違 う。 流れ星(流星)は、宇宙塵という砂粒くらいの 物が大気圏に突入して高温に熱せられたと きに発光する現象。隕石は、燃え尽きずに地 上まで落ちてきた流星のこと。観測(観察)の 仕方によって高温で輝いている場合と、地上 で冷えた場合で、違った呼び方をしているが 中身は同じもの。 -12- 太陽と地球の距離は? 1.496×1011 m (1億4960万km) 太陽と地球の距離のことを1天文単位(AU)とよ び、およそ1億5千万kmです。宇宙の物差しの 最も基本的な長さで、±数mの精度で測られて います。天文学の単位であるパーセック(1pc) を定めるのに使います。1pcは、1天文単位つま り地球と太陽が、角度にして1秒に見える距離の ことで、およそ3光年です。 1AUは光の速度では8.3分かかります。新幹線 が時速200kmとすると約 85.38年 かかることにな ります。日本人男性の平均寿命よりも長いです ね。 -13- 太陽の光が地球に届くのに かかる時間は? 太陽ー地球間は8.3分 太陽から地球の距離が1天文単位=1.5億 kmで、光の速さが秒速30万キロなので、 届くのにかかる時間は、8.3分。 時間=150000000km÷300000km/s=500 s(秒)=500(秒)÷60(秒)=8.3(分)。 一番遠い惑星である海王星までは30天文 単位(45億km)なので、およそ4時間。 となりの星までは4.3年かかります。光が1 年に進む距離のことを1光年といいます。と なりの星は4.3光年のところにあります。 -14- 太陽系の惑星は何個? 8個 水、金、地球、火星、木星、土星、海王星、 天王星の8個が惑星。冥王星は、太陽系外 縁天体(冥王星型天体、準惑星ともよばれ る)として、惑星になることができなかった、 原始太陽系円盤の名残の小天体に分類さ れます(図:NASA) -15- 冥王星はいま何と呼ばれ ているの? 太陽系外縁天体 (準惑星、冥王星型天体などと も呼ばれる) 2006年8月に開かれた国際天文学連合(IAU)総 会で、それまで明確でなかった惑星の定義を定 めるとともに、「dwarf planet」(準惑星)という分 類を新設することが採択されたため、準惑星に なった。また太陽系の構造をより深く理解される ようになり、冥王星型天体、あるいは太陽系外 縁天体とも呼ばれる。 -16- 太陽活動が地球にも たらす影響は? フレアからの高エネルギー粒子で磁 気嵐や電波障害を起こす。人工衛星 や有人活動への影響も大きい。 太陽は11年周期で活動している。活発なときを極大期、 静かなときを極小期という。活動期(極大期)には磁力線 の束が黒点となって表面に現れ、その周辺でフレア(爆発 現象)など高エネルギーの爆発現象が頻発する。 フレアが発生すると高エネルギー粒子(宇宙線など光速 に近い荷電粒子)が加速され、太陽風(プラズマ)よりも速 く(光速で)地球に押し寄せる。地球磁気圏で食い止めら れるが、磁気圏を乱して電波障害を起こしたり、大気を励 起してオーロラが発生したりする。 1989年の極大期には激しい磁器嵐がカナダのケベック 州の電力システムを破壊し、9時間にわったて停電した。 最近の極大期は2000年であったが、活動は弱く、また非 常に静かな極小期は長く続いた。このためエネルギーが ためこまれているとする説もあり、2012年の極大期に活動 が異常に活発になるだろう予測する人もいる。 -17- 地球のほかにオーロラ が見える惑星は? 木星、土星、天王星など磁 気圏と大気がある惑星や衛星 で見ることができます。 オーロラ(aurora)は、惑星の磁場に沿って 流れるプラズマ粒子が地球の大気に 衝突することによって発生します。 火星や木星などの惑星は大気と惑星全体 を包む磁場を持っているので、オーロラの 発生が期待できます。水星は磁場をもって いますが、大気をもっていないのでオーロ ラを見る ことはできません。 -18- 金星と地球の違いは? 金星は太陽が西からのぼって東にしず む。大気はあるが地球よりも高温で住み にくい。 金星の赤道傾斜角(自転転軸と惑星の公転軸の角度)は 178度であり(0度だと同じ向き、地球は23度)、自転軸が ほぼ完全に倒立していて、他の惑星と逆方向に自転してい ることになる。 そのため、地球など金星以外の惑星では太陽が東から昇 り西に沈むが、金星では西から昇って東に沈む。自転がな ぜ逆転をしているのかはわかっていないが、おそらく大き な星との衝突の結果と考えられている。金星の赤道は、黄 道面と2度ぐらいしか傾いていないので、自転軸が倒立し ているとは言え、金星から見た太陽は常に赤道上にある。 このため、地球などに見られるような気象現象の季節変化 はほとんどないと推測されている。 金星は地球よりも太陽に近いため、太陽熱による加熱が 大きく、また大気の温室効果のため、気温は地球よりもは るかに高い。水などが蒸発し、生命には厳しい環境のよう である。 -19- 金星の姿は未来の地 球ってホント? 太陽に近いため高温で、地球と は違う気候条件なので、地球の 未来予測には使えません。 金星は地球とほぼ同じ大きさの惑星ですが、地球 の内側の軌道を回り、地球より太陽に近かったこ とが全く違う歴史を刻むことになりました。金星 の気温が地球よりずっと高かったため、原始の地 球のように雨を降らせて海を形成し、二酸化炭素 を大気から取り除くことができませんでした。二 酸化炭素は金星に大きな温室効果をもたらしまし た。温室効果は太陽に暖められた熱を大気中に閉 じ込め、宇宙に逃がしませんでした。いまや金星 の表面温度は太陽に一番近い水星より高温の470度 になってしまいました。いま地球では、人間がつ くり出した音室効果が、地球の温度を上昇させて いるわけです。 -20- 火星はなぜ赤いの? 表面が赤い土でおおわれて いるため 火星の表面には明るい赤褐色の地域と色彩のはっき りしない暗い地域がありますが、表面の7割以上は赤 褐色の地域でしめられています。つまり、火星の表面は 赤い土でおおわれていることが赤く輝く理由なのです。 1976年のバイキング探査機は火星の砂や土をくわしく 分析し、赤褐色は酸化第二鉄などの鉄の酸化物、すな わち鉄サビの色であることをつきとめました。火星は鉄 サビでおおわれていたのです。 火星には地球の百分の1以下の薄い大気があります が、その95%は二酸化炭素でできています。表面気温 は、夏は平均-60℃、冬は-120℃です。また強い風 により、ときどき砂あらしが起こりますが、この時まき上 げられた細かい砂のため、火星の空はピンク色になっ ています。この砂あらしにより、薄暗い模様の濃淡も変 化することがあるのです。 -21- 火星にある太陽系最大の 火山の名前は? オリンポス山 周囲の地表から約27,000mまで山体が立ち上 がっている。これはエベレストの3倍程度に相当 する。火星の標高基準面(地面)からの高度は 25,000mである。斜面の最大傾斜角度は数度し かなく、裾野(山のふもとに広がった野原)の直 径550km以上もある。また、そのカルデラには富 士山がほぼ収まってしまう。これほど巨大化した のは火星ではプレート移動が起こらないため、 ホットスポット(プレートより下のマントルに生成 源があると推定されるマグマが吹きあがってくる 場所)上に火口が留まり続けたためではないか と考えられている。 -22- 惑星の山って? 火星のオリンポス山、 金星のマックスウェル山、 地球のエヴェレスト山など 1位 火星のオリンポス山 標高2万5000m(25km) (豆な知識):なぜここまで大きくなったのか。それは、プレートに起因して いると考えられます。火星はプレート移動がないため噴火口が動かず同 一の場所で噴火したものと考えられます。それと、大気が薄いので浸食さ れにくいのも理由の一つです。裾野の直径は700km (東京~広島まで) 2位 金星のマックスウェル山 標高1万1000m(11km) (豆な知識): 金星には海がないので、海抜で標高を表現できない。そこで 、山や谷をすべてならし、金星全体を凹凸のない球体とした場合を考える 。この球体の表面から、マックスウェル山山頂までの高さが、11kmなのだ 。一方でマックスウェル山の裾野の直径は10kmしかない。標高よりも短 いのだ。マックスウェル山は非常に縦長な山なのである。マックスウェル 山のような急斜面の山が存在できるということは、金星の岩石は非常に 強度を持っているのであろう。 3位 地球のエヴェレスト? 標高8844.43m(約0.88km) (豆な知識):太平洋の底から測定すると約13kmもある。なので、高低差 で考えると実際は第2位である。 -23- 土星には、なぜ環があるの? 惑星誕生のときの原始円 盤のなごり。 太陽ができるときにも惑星のもとになった原始太陽系円盤が ありました。ガスの塊が収縮して天体が生まれるときにはその 回転の勢い(角運動量)のためにかならず円盤ができます。土 星の環も、その誕生のときの円盤の名残です。 木星や、土星、天王星、海王星は水素、ヘリウムを主成分と する自転が速いガス惑星で、周りにリングを形成するのが特 徴。 土星: 太陽系2番目の大きさながら、水に浮くほど軽い天体( 図4)。約60個もの衛星や、12本の環と6本の隙間がある。 自転が速く、大気の中で風が吹いて最高時速は1800km以 上にもなる。 土星の環は、彗星や小惑星が土星の衛星とぶつかって そのかけらが土星の引力によって環を形成した。輪は主にケ イ酸塩、氷などの塵、小石から家までの岩などである。幅は約 23万キロで、環の厚さは内側のほうが薄く、5cm~1万㎞だと いわれている。 図4(ウィキペディア・参考・カッシーニ撮影) -24- 太陽系の中で1番密度が低い 惑星は? 土星 惑星の平均密度は 水 金 地 火 星 5.43 1g/cm3 星 5.24 球 5.52 星 3.93 (ここまで岩石型、地球型) 木 星 1.33 土 星 0.68 天王星 1,270 海王星 1,670 (木星型、ガス惑星) (冥王星 2,130) 土星は水より密度が低く、水(1g/cm3))に入れ る事が出来れば浮いてしまう。 -25- 太陽は何年前に出来たの? 46億年前 太陽と地球が生まれたのは同時期なので、まず 地球にある古い岩石を調べる事で地球の年齢を 知り、そこから太陽の年齢を推定出来る。地球や 隕石から推定される太陽系の年齢は46歳。 太陽は宇宙空間に漂う水素やヘリウムを主体と する星間ガスが集まって出来たもの。太陽の明る さ(水素やヘリウムの核反応で出てくるエネル ギー)と太陽の重さから、太陽の寿命は100億年ほ どで、今後50億年輝き続けることがわかる。 -26- 太陽系はどのように出来た と考えられていますか? 太陽が出来る時、回転する成分が円盤 となり、その中にできた無数の小さな微 惑星が次々とぶつかって、だんだん大き くなり、惑星に成長した。 星間ガスが重力で固まって太陽(恒星)が出来た 時、回転する成分が周りに円盤(原始太陽系円 盤)をつくった。円盤の中ではガスや塵から微小 天体や微惑星が無数にでき、それらが衝突、合 体をくりかえして、惑星が形成されたと考えられ ている。 -25- 恒星 -28- 太陽はどんなタイプの星? 自分で核エネルギーを出 して輝いている恒星 夜空の星には大別して自分で光(エネルギー )を出して輝く恒星、太陽の光を反射して光る 惑星や月(衛星)などがある。太陽は典型的な 恒星でG型と分類される。銀河系には何千憶 個もの恒星があり、太陽はごくありふれた恒 星の一つである。 太陽質量:太陽の質量(重さ)は、地球が太陽 の周りを回転(公転)するときの遠心力が、太 陽の重力とつりあっていることを使って力学的 に求められます。太陽質量は2x10の30乗kgで す。 -29- 太陽表面の温度は何度? 表面は5800K (=約5500℃、中心部は1500万K) 太陽は中心部で水素がヘリウムに変換され る核融合反応によって大量のエネルギーが 生み出される。エネルギーは放射(光)と対 流で外側に伝わって行き、表面から宇宙空 間に放出される。 太陽表面の温度は5800K(ケルビン)。K は絶対温度の単位で、0K(絶対0度)は -273℃)。太陽表面に浮き出ている黒点は周 りがとても明るいので黒く写るが、実際には 4400Kもある。 -30- 太陽の黒点の温度は? およそ4000K 黒点は普通の太陽表面温度(5,800K)に比べ て、4000度と低いために暗い。 実際には黒点の部分も光を放っているが、温 度が低いために弱い光なので相対的に黒く見 える。もし、黒点を切り取って夜空に配置したと すると、満月よりもはるかに明るく輝く。 発生の原因は太陽の磁場によって内部からの 熱の流れが抑えられるためと考えられている。 黒点は太陽の自転とともに東から西へ移動す る。 -31- コロナはなぜ太陽の表面より 温度が高いの? その理由はまだ解明され ていません コロナは、太陽の周りに漂う100万度とい う高温の希薄なガスの大気。皆既日食の 時に地球上から神々しい光芒として観測さ れる(図参照)。主体は陽子(イオン)や電 子からなる電離したガス(プラズマ)で、微 量の鉄やカルシウムなどの金属も含まれる 。5800Kの太陽表面に接していながら100 万度という高温に保たれている加熱のメカ ニズムはまだ解明されていない。 -32- 太陽はいつまで安定して光っ ているの? 今は安定した主系列にいるが、50億 年後には膨張して赤色巨星になる いくつかの原子核が融合して新たな原子核ができる反応のこ とを核融合反応という(図)。太陽の中心部では、水素原子が ヘリウム原子核に変わる核融合反応が進んでおり、その反応 で少しだけ質量が奪われエネルギーに変換される。この時期 を主系列の時期と言い、安定して100億年続く。太陽は46億歳 なので、今後50億年は安定している。 晩期になると太陽の中心核にある水素が徐々に失われてい き中心部が収縮を始め、核エネルギーに加えて重力エネルギ ーも熱源となる。周辺では重力と膨張しようとする力のバラン スが崩れて膨張し始める。約80億年ごろには中心の温度は 3億度ぐらいになり、 大きさは200倍近くになると言われている。 -33- 星は、なぜ光っているの? 恒星は自身が光っている。 惑星などは反射率に応じて恒星の 光を受けて光って見えるから。 太陽のような星の中心部では核反応によってエネ ルギー発生し、放射(光)や対流で表面に伝わり、 表面の温度が数千度という高温のガス体になって いる。するとその温度特有の光を放射して(黒体放 射という)冷えようとする。こうして表面から放たれ た光が私たちに届いて輝いて見える。自ら光を出 して輝く天体のことを恒星という。太陽も恒星の一 つ。 ・反射率: 光などの波が何かに当たった時どのぐ らい跳ね返るかの度合い。 因みに、月の反射率 は約7%、地球は約40%、鏡(銀)は約90%の反射率 を持つ。 -34- 星は、なぜ昼に出ないの? 昼も出ているけれど見えない。 日中も星は出ているが、太陽の光 で大気が明るく輝いているために、見 えづらくなっている。月などは地球に 近いため昼間でも見る事ができる。 反対に、夜は太陽が沈んで暗くなる ので星が見えやすくなる。 -35- 肉眼で見える星の数は? 一等星から六等星まで 約8400個 実際は地平線の上半分しか一度に見え る星の数は半分くらいになります。一等星 、二等星というのは、紀元前150年頃、ギ リシャの天文学者のヒッパルコスがはじ めました、夜空でもっとも明るい星たちを 一等星、次に明るい星たちを二等星、そ して眼で見える一番暗い星を六等星と名 付けました。 -36- 一等星や二等星などは、そ れぞれ何個ぐらい? 答え 星の明るさは等級という単位で表され、5等級 で100分の1(1等で約2.5分の1)になるように定 義されています。明るいほど等級は小さく、暗 い星ほど等級は増えます。1等星は6等星より も5等級明るいので、100倍明るいことになりま す。シリウスは0等、それよりも明るい星にはマ イナスの等級がつけられます。宵の明星の金 星は-3-5等級、満月はー14等、太陽はー 27等という具合です。星の等級は望遠鏡によ って精密に測定され、星のカタログには小数点 以下まで詳しく明るさが載っています。 -37- どのくらいの星の明るさなら 目(肉眼)で見えるのか? 六等星 六等星とは、一等星の1/100の明るさ ちなみに等級とは、星などの天体の明るさを表 す単位で、人類が望遠鏡で見える最も暗い天 体はおよそ32等星。一等星分暗くなると1つ前 の等星の約1/2,5の明るさになる。 北極星(2等星) -38- 星(彦星)と星(織姫)の距離は どうやって求めるの? 星の距離と方角から、3次元的な位 置関係が分かれば星同士の距離が 求められます。 三角測量の原理を使います。二等辺三角形では、底辺の長さと 頂点の角度がわかれば残りの二つの辺の長さが決まる。これを 利用すれば星の距離を測れます。 地球は太陽から約1億5千万 キロ離れた軌道を1年で回っているので同じ星を半年後に観測 すれば、約3億キロも離れた場所から見ることになる。これが三 角形の底辺です。 こうして、彦星までは17光年、織姫星までは 25光年離れていることがわかります。 つぎに地球、彦星、織姫 星を頂点にした三角形を描きます。地球からの二つの辺の長さ はわかっているので2つの星の角度から、彦星と織姫星の距離 がわかるというわけです。 光学望遠鏡で三角視差が測れるのは数百光年までです。さら に遠い銀河系の構造などはメーザー電波を出す星を使って VLBI(大陸間干渉計)という方法で求めます。我が国は銀河系 地図描くために作られたVERAという装置が活躍しています。 -39- 星座はいつの時代からある の? 約5000年以上前から 最も古い記録は、古代エジプトの遺跡に あります。それをもとに約5000年という数 値を導き出したと考えられますが、もっと 以前からあると思われます。 -40- 星座の形は変わるの? 変わります 個々の星は太陽に対して秒速10~30kmでラン ダムに運動しています(固有運動)。そのため、 太陽から見た星の位置は時々刻々変化してい ます。たとえば星が秒速10kmで動いていると1 年間で3000万kmも動きます。これを10光年離 れたところから見ると1年間で角度の0.7秒移動 することになります。1年ぐらいではほとんど位 置の変化は分かりませんが、何万年、何10万 年の間には星の位置は勝手な方角に何度も動 いてしまうのです。そのため星座をつくっている 星の位置が変わってしまうために、形がかわる のです。 北斗七星の変化 -41- 1「光年」って何? 距離の単位の1つです。 光が1年かかって進む距離の事を 言います。 光や電波が1秒間に進む距離は地球を7週半で きる程で、光年とは、その光ですら年単位の時間 がかかる距離なのです。メートルに言い換えると約 9億5千億キロメートル。 因みに、彦星と織姫の間の距離は15光年なので、 彦星がもしもしって電波を送っても織姫に届くのは 15年後になってしまいます。新幹線だったら7000 万年かかる計算になります。 -42- 南十字星はどこに行けば 見られるの? 南方(日本だと沖縄など)や 南半球に行けば見られる。 南十字星を探すには、冬の明け方、早春の深夜 、春の宵の空がチャンスとなります。もっとも南 半球まで行けば話は別で、南緯33度以南に行け ば南十字星は1晩中沈まなくなり、1年を通してい つでも見ることが可能となります。 -43- 星の名前はどうやって ついたの? 古代にはギリシャ神話に因んでつけら れた。天文学では星座毎に番号(α、β や数字)をふったり、座標でよぶ。 星座になっている星の名前は、その星座 に関係した名前になる事が多い。また、 星座はギリシャ神話に基づいて決められ ていますが、形は古代人の想像力によっ ています。星座の中で明るい順にギリシ ャ文字のアルファベットでよばれます。 オリオンα星はオリオン座で一番明るい 星、リゲルのこと。 天文学では星座毎に一番明るい星をα、 次をβ、さらに英数字で表す。星のカタロ グでは固有の名前の他に通し番号と、座標 (赤経、赤緯)を名前にすることが多い。 -44- 星はどこで生まれるの? 暗黒星雲から生まれる。 暗黒星雲とは、低温(絶対温度10-20K)の、星間ガス の中では特に密度の高い雲です。その内部で密度 のむらができると、濃い塊は自己重力で潰れ始め、 熱が逃げやすい状態になると、圧力も下がって、どん どん固まっていきます。ガスが中心に十分固まると、 温度が上がり、中心に恒星が生まれます。雲は回転 しているために、恒星が輝きだす前の段階で二重星 になったり、惑星系が誕生します。 -45- 星の色はなぜ違うの? 恒星の場合、表面の温度 によって見え方が違う。 恒星表面の温度によって色が違って見える 。高温の場合は青い色に見え、低温の場 合は赤い色に見える。太陽の表面温度は 5800Kなので私たちの目もその色に敏感。 シリウスは表面温度が10000Kと高く、青白 い色に見える。アルデバランなどの巨星は 温度が2000-3000Kと低いので赤い色をし ている。 惑星は恒星からの光で輝いて見えるため 、主に地表面の色が星の色に見える。 -46- 太陽や星はなぜ自転して るの? 誕生した時の回転の勢い( 角運動量)によって回転して る。 地上にいると、何かを回転させるためには動力 が必要なように感じるが星の自転に何かの力が 必要なわけではない。星はもともと、誕生した時 から自転しているのである。恒星は、宇宙のガス や塵が渦を巻くように回転しながら集まり、その 中心に誕生する。惑星や衛星も、その周囲で回 転しながら誕生した。恒星も惑星も、生まれた時 の回転を受け継いでいるので、止める力が働か ない限りそのまま回り続けることにない。これを 角運動量保存の法則という。つまり、星にとって は自転しているほうが自然なのである。銀河や 星雲など、ほとんどすべての天体は回転してい る。 -47- 直径が一番大きな星は? おおいぬ座VY星という赤色 超巨星で、直径は約25億 km~30億kmある。 この大きさは、太陽の約1800倍~約2100倍で、 太陽系に置き換えると土星の軌道までに及ぶ。 体積は、太陽の約60億倍~約90億倍、しかし大 きさの割に質量が太陽の約30倍~約40倍と他 の大きい星と比べると少ない。 また赤外線星(星が収縮期にある原始星、あ るいは超巨星)の中には直径がおよそ148億Km 、太陽の約10600倍の星もある。 太陽とおおいぬ座VY星との 大きさの比較 -48- 恒星の寿命は? 太陽はおよそ100億年。軽い星は長 生き、重い星は短時間で死を迎える。 恒星の寿命は質量の2乗~3乗に反比例する。 恒星の寿命が質量の3乗に反比例する場合、太 陽の2倍の質量の恒星は太陽の1/23=1/8の寿 命しかないことになる。太陽の寿命は100億年程 度と考えられているので、この恒星は12億年~ 13億年の寿命ということになる。太陽の10倍の 質量の恒星は太陽の1/103=1/1000、つまり1000 万年の寿命しかないことになる。逆に太陽の1/2 の質量の恒星は、太陽の8倍の800億年の寿命 ということになる。 太陽の重さ:地球(約5.97×1024kg)の33万倍。 太陽の20倍の星:1000万年 太陽と同程度の 星:100億年 太陽の半分程度の星:1000億年 -49- 星は最後にどうなるの? 中性子星やブラックホール、 あるいは白色矮星になる。 太陽の8倍以上の重さの星は爆発して、残っ た中心核は中性子星(太陽と同じ重さで大きさ が地球の約635分の1の星)やブラックホール になる。 太陽やそれより軽い星は白色矮星(重さが 太陽と同じで大きさが地球と同じぐらい)になり、 やがて光る事を止めて暗くなっていく。 (超新星残骸CasA) -50- ブラックホール -51- ブラックホールって何? 光も抜け出せない程の超強 い重力が発生している領域 太陽の8倍以上の恒星は、その一生の終わりに 収縮した後大爆発を起こす。この時、恒星の外側 はバラバラに吹き飛んで中心核だけが残るが、爆 発前の恒星が太陽の30倍以上の重さになると、中 心核を支える力よりも自身の重さの方が大きくなり、 この中心核も収縮してしまう。こうして収縮が進む と、やがて中心核は30km/sの光すら脱出できなく なる程重力の強い天体になる。 これがブラックホールであり、私たちの銀河系の 中心にも巨大なブラックホールが存在している。 -52- ブラックホールはどうやってで きるの? 天体の半径がある限界より小さくなると、重 力を圧力で支え切れなくなり、光も出てこれ なくなってブラックホールとなる。 太陽より約8倍以上の大きさの恒星は超新星爆発のとき星の外 層を吹き飛ばし、一連の核反応の後、残った中心核は中性子星( パルサー)となる。 太陽より約30倍以上の大きさの恒星は超新星爆発後、中心核 が重力崩壊して収縮し続け、ブラックホールになる。 銀河の中心には数100万、数千万太陽質量の巨大ブラックホー ルが存在する。これらは銀河の形成時に、中心部で生まれたたく さんのブラックホールが合体し、そこに周辺の星やガスを飲み込 んで成長した。 超新星爆発(図6):大質量の恒星が一生の最期に起こす大爆発 。恒星の主成分である水素やヘリウムが核融合反応の末、最終 的に中心に鉄のコアを作るが、そこまで成長すると中々核融合を 起こさなくなる。しかし50億度以上になると鉄が光分解を起こし、 吸熱反応をすることでコアの温度と圧力が一気に下がり、外側の 物質が内側に落ち込み、猛烈な反発によって爆発する。 図(Yahoo画像・参考) -53- ブラックホールは最後どう なるの? 周りに何もなければ、非常に 長い時間をかけて蒸発する。 ブラックホールの周辺に物質が落ち込むと熱( エネルギー)をだす。その熱(エネルギー)はブラ ックホールの引力を振り切って放出されるが、ガ スの一部はブラックホールに吸い込まれる。こう してブラックホールは際限なく太っていく。一端ブ ラックホールに吸い込まれた物質は外へでるこ とができない。 しかし、物質(ガスなど)の供給が完全に断たれ て十分な時間があれば、ブラックホール自身が ある確率で少しずつ周辺にエネルギーを放出し て蒸発していく。ただし極めて長い時間がかかる 。通常のブラックホールは宇宙の年齢より短い 時間で蒸発することはない。 -54- ブラックホールの観測方 法は? 降着円盤をX線や電波で観測し、力学 的に存在を力学的に推定する。重力レン ズで背景に対して影ができるのでそれを 観測する方法も考えられている。 降着円盤はブラックホールが恒星などを吸い込むときにできる 、回転ガス円盤のこと。(図)。この円盤は恒星程度のブラックホ ールではX線、銀河中心の巨大ブラックホールでは電波やX線 を出している。X線や電波の輝線のドップラー効果で、重力の強 さを推定し、また速度から質量を推定する。その質量が十分小 さな空間に詰まっていると判断されるときに、ブラックホールが 検出されたと考える。またブラックホールがあると、背景の光に 対して影になることが理論的に予測されている。この影が観測 されれば、ほぼ直接的な検出になるが、非常に小さい領域の撮 像をする必要があり、難しい観測である。現在ミリ波による高分 解干渉計観測によるブラックホール撮像プロジェクトも進んでい る。 -55- 地球からブラックホールを ? 観ることはできるの? ブラックホール自体を観ること はできないが、影を見ることが できる。 ブラックホール自体を観ることはできない。 ブラックホールは光をも引きつけるほどの 重力をもっている。光速で脱出を図っても 重力から逃れることができないため見えな い。しかし、周りの星などがブラックホール に引きつけられるので、力学的に存在を確 認することはできる。 またブラックホールがあると背景の光が曲 げられて影ができるので、ブラックホールの 影を見ることはできる。これを観測する試 みが行われている。 -56- 銀河 -57- 銀河系(天の川銀河)はど んな形? 円盤の形をしていて、 渦巻き腕をもっている 私たちの銀河系は典型的な渦巻き銀河で、円盤の 形をして回転していて、渦巻き腕をもっています。と なりの巨大銀河であるアンドロメダ銀河とは姉妹の 関係で、他の小さな銀河を従えて銀河群とよばれる グループを作っています。銀河系には銀河は数千 億の恒星と星間物質(ガス)、そして目に見えない ダークマターがあります。星間ガスからは今でも星 や惑星が作られています。 -58- 銀河系の重さは?星の数は? 太陽の重さにしておよそ2000億個分。その半分は恒 星、あとの半分はダークマターが占めています。星 は、個数にすると小さな星が圧倒的に多くて、全体 では1兆個以上 銀河系の重さ(質量)、銀河回転の遠心力と、重力の釣り 合いで求めることができます。全質量は、太陽の質量に しておよそ2000億個分、その半分を恒星や星間物質、あ との半分をダークマターが占めています(太陽質量= 2x10の30乗kg)。 恒星の数にすると、すべての星が太陽と同じだとすると 1000億個ですが、星の質量はまちまちです。太陽よりも 小さな星の数が圧倒的に多いので、銀河系全体では1兆 個以上の恒星が存在します。そして恒星と同じくらいの数 の惑星系が存在します。 -59- 銀河にはどんな種類があ るの? 渦巻き銀河や楕円銀河、不 規則銀河などがあります。 私たちの銀河系やアンドロメ銀河は渦巻き銀河とよ ばれる円盤型の銀河ですが、渦の巻き方や大きさ はいろいろです。腕をもたずに楕円形をした楕円銀 河もたくさんあります。ハッブルは銀河を図のように 分類しました。このほか不規則な形をした銀河や、 小さな矮小銀河とよばれるものなど、さまざまな銀 河があります。 -60- 暗黒物質(ダークマ ター)ってどんなもの? 私たちが知っている普通の物質 ではなく、重さ(質量)だけがあり、 光や電波で見えないもの。 目に見ることが出来ず、天体観測手段である電磁波で は暗黒物質は直接見ることはできない。新種の素粒子の 可能性もあり、電磁波を出さない未知の物質である。その 存在は、渦巻き銀河の回転速度分布(物質の量で速さが 決まる。)を観測し、銀河内の明るい星や星間ガスではな い、光では見えないが重力のもとになっている「質量」だけ が観測される事から分かった。このような質量だけをもっ ている物体をダークマター(暗黒物質)とよびます。 銀河団規模で非常に重い物質(すなわち大きな重力)が あると『光が曲げられる』という「重力レンズ効果」からもダ ークマターの存在を示す証拠が得られています。 -61- 宇宙人は存在するの? 人類も宇宙人ですから、少なく とも太陽系には存在します。 地球外生命はまだ検証されていません。ただ、可能性についてはいろい ろ考察されています。地球上の生物の細胞は「アミノ酸」「塩基」「糖」「リン 酸」「脂肪酸」などでつくられています。地球外から降ってくる隕石からアミ ノ酸が発見されが、隕石は太陽系形成当時の物質からできていると考え られので、原始太陽系内にアミノ酸が存在していたことを示すと考えられ ます。核酸はまだ検出されていませんが、生命を構成する要素のほとん どが宇宙空間に存在すると考えられています。 木星の衛星エウロパは、希薄な酸素の大気を持っており、表面は厚さ 数kmの氷に覆われています。この氷の下には海水(塩水)が広がってい ます。地球と同じように、木星の引力で潮の干満を起こします。水の変形 は海底や表面の氷との摩擦を引き起こし、熱が発生します。そのため、 表面温度は-110℃であるにもかかわらず、内部の海は比較的暖かく、 原始的な生命がいる可能性があるのです。2035年にNASAはエウロパに 探査機を着陸させる構想を発表しています。 -62- 宇宙 -63- 宇宙はどんなふうに産まれた の? ビックバンよりも前に『インフレ ーション』があってビックバンを 起こしたと考えられている。 ビックバンよりも前に『インフレーション』があってビッ クバンを起こしたと考えられている。 どうしてビックバンからではないのか?それは、あら ゆる方向からほとんど同じ温度の光(宇宙背景放射 )としてやってくるのが不自然だからである。地球で 考えてみてもあらゆる場所で温度が同じなどという ことはありえない。宇宙も同じである。では、どうす れば同じ温度にできるのか?そこでインフレーション が登場する。初期宇宙のごく小さな領域(これなら温 度が同じである)がインフレーションよって爆発的に 大きくなるという考えである。 -64- 宇宙の暗黒時代って? 宇宙に最初の星が生まれる 直前の時代 ビッグバン直後から38万年までは、原子の材料 である原子核と電子がバラバラに存在しており、そ れが雲の様に光が進むのを邪魔していたが、38万 年以後は電子と原子核が結合して、光が邪魔され ずに進めるようになった。これは「宇宙の晴れ上が り」と呼ばれる。 この宇宙の晴れ上がりから、宇宙で最初の星が 誕生して更に星の集団である銀河が誕生する7~ 8億年は、直接観測する事が出来ず「暗黒時代」と 呼ばれている。 -65- 宇宙の平均温度は何度? 約-270 ℃ (絶対温度で3K) 地球上の気温は、最高が中東のセ氏58.8℃、最低が南極の- 89.2℃そして、平均気温は15℃ですが、宇宙の平均温度は-270 ℃ と途方もなく低温です。これは絶対温度で約3Kです。物体が最も冷 えたときの温度を0度と決めて計った温度を絶対温度といい、ケルビ ン(K)で表します。絶対温度0Kは -273.15℃です。宇宙は初め高温高圧でしたが、ビッグバンで膨張 して冷えた結果3Kに下がったのです。これは宇宙のあらゆる方角 から電波が来ていることで分かり、宇宙背景放射と呼ばれています 。最近のWMAP(ウイルキンソン背景放射費等方探査機)などの観 測で、この温度にはわずかなゆらぎがあることも分かっています。 (WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ。) -66f ビッグバンの証拠は? 3K宇宙背景放射の発見 1964年,アメリカのベル研究所のペンジアスとウィルソンは,通 信衛星技術に用いられるアンテナを開発するため,宇宙からくる マイクロ波の試験観測を していた。しかし彼らは,どの方向にア ンテナを回してみてもほぼ一定の強さで存在する雑音があること に気づいた。この雑音こそ,宇宙が膨張していて,かつては高温 の火の玉(以下,ビッグバン宇宙)であったという一つの証拠なの である。 宇宙が膨張しているということは,昔にさかのぼるほどその体積 は小さく,密度も温度も高かったはずである。十分温度の 高い状 態では,物質は電離してプラズマという状態になる。この状態で は,輻射(光のこと)は電子に散乱されてまっすぐ進むことが でき ない。宇宙が現在の1000分の1程に膨張したときに,輻射と物 質の相互作用が切れて,輻射は初めてまっすぐ進むことができ るようになった(これを宇宙の晴れ上がりという)。このとき輻射は ,数千度という高温であったが,宇宙が膨張する間にその温度を 下げて, 現在のような3K(約-270℃)という低温になった。彼ら の発見した雑音は正にこの高温の輻射の名残(宇宙背景放射) であるとすれば説明できる。 -67- ハッブルの法則とは? 銀河は距離に比例した速度 で遠ざかっているという法則 宇宙には,銀河と呼ばれる巨大な星の集団がいくつも存在している 。銀河は我々から非常に遠いので,その距離を決めるのは至難の 業である。 しかし1922年,アメリカの天文学者ハッブルは,セファイドとよば れる 変光星の変光周期と真の明るさの間に一定の関係があること を利用して銀河の距離を観測から決定することに成功した。 銀河からくる光のスペクトルに現れるドップラー効果を使って、我々 に対する速度がわかる。 ハッブルは、銀河の距離と後退速度の関係を調べたところ、距離 の遠い銀河ほど,我々から速く遠ざかっていることを見出した(ハッ ブルの法則)。 このことは宇宙が一様に膨張しているためであると解釈するの が 最も自然である。ハッブルの発見は,膨張宇宙の確たる証拠として 迎えられた。 -68- 100億年後宇宙は、どうなっ ているでしょう? 膨張しつづけると考えられています。 宇宙はビッグバンのあと膨張を続け、ダークエネルギ ーという圧力に相当する力が働いて、膨張の速度が加 速しています。未来には膨張速度はさらに早くなり、永 遠に膨らみ続けると考えられています。その結果宇宙 の温度は現在の3K(約-270℃)よりもさらに冷えて超低 温の世界になります。 また、星については、たとえば太陽のような恒星は50 億年ほどで寿命の最期となり、赤色巨星となって地球 は太陽に飲み込まれ失われてしまいます。そのあと太 陽は白色矮星となってしばらくは光っていますが、やが て冷えて暗くなっていき、最後には見えなくなります。 -69- 制作: 明星大学2010年夏休み科学体験教室プロジェクトⅠ(天文宇宙)参 加者: ◆本冊子は、学生自主作成問答集を体験教室用に編集した教育用資料です。 ◆画像の出典:NASA、諸天文台、他、のホームページから引用しました。 内容についてのお問い合わせは担当教員まで。 -70- 明星大学 2010年夏休み科学体験教室 プロジェクトⅠ(天文宇宙)参加者制作
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