家計の金融活動 金融経済論(小川英治) 1 家計の貯蓄と資産選択 (1) (2) 家計は、2段階で貯蓄と資産選択を行う。 家計は、所得を消費と貯蓄(=将来の消 費)に配分する。 家計は、貯蓄をどのような資産に運用す るか、すなわち、資産選択を行う。 金融経済論(小川英治) 2 家計の消費・貯蓄の決定 家計の消費・貯蓄の決定は、時間選好率 と利子率との関係及び所得成長率に依存 する。 金融経済論(小川英治) 3 時間選好率と利子率との関係 (1) (2) (3) 所得成長率=0として、 時間選好率が利子率よりも低いと、現在 の消費が低く、貯蓄が高い。 時間選好率が利子率よりも高いと、現在 の消費が高く、現在において借金する。 時間選好率が利子率と等しいと、現在に おいて貯蓄も借金もしない。 金融経済論(小川英治) 4 r and Y1 Y2 C2 C2 Y2 C1 Y1 Y1 , C1 金融経済論(小川英治) C1 C1 5 r and Y1 Y2 C2 Y2 C2 Y1 C1 金融経済論(小川英治) Y1 , C1 C1 C1 6 r and Y1 Y2 C2 Y2 , C2 Y1 , C1 金融経済論(小川英治) Y1 , C1 C1 C1 7 所得成長率 (1) (2) (3) 時間選好率=利子率として、 所得成長率が高いと、現在において借金 する。 所得成長率がマイナスだと、現在におい て貯金する。 所得成長率がゼロだと、現在において貯 蓄も借金もしない。 金融経済論(小川英治) 8 r and Y1 Y2 C C2 2 Y2 C2 Y1 C1 金融経済論(小川英治) C C1 1 C1 9 r and Y1 Y2 C C2 2 C2 Y2 C1 Y1 金融経済論(小川英治) C C1 1 C1 10 r and Y1 Y2 C C2 2 Y2 C2 C1 Y1 金融経済論(小川英治) C C1 1 C1 11 ライフサイクルにおける金融活動 家計は、ライフサイクルの各ステージに得 られる所得の総額(生涯所得)を各ステー ジの支出にどのように割り振るかについて 支出計画を立てると想定すれば、家計は、 ライフサイクルの各ステージで計画的に貯 蓄し、借入を行う。 金融経済論(小川英治) 12 就業期間と退職期間 ライフサイクルを大きく2つのステージ(就 業期間と退職期間)に分ける。 家計は、退職期間には所得が減少するの で、就業期間に貯蓄する傾向がある。 金融経済論(小川英治) 13 仮定 さしあたり、就業期間と生存期間には不確実性 がない。 就業期間には勤労所得が得られるが、退職期間 には勤労所得が得られない。 愛他的遺産動機や戦略的遺産動機がない。 就業期間の期首には金融資産はゼロであり、退 職期間の期末に金融資産はゼロである。 利子率と時間選好率が等しい。消費水準を一定 に保とうとする。 金融経済論(小川英治) 14 ライフサイクルにおける貯蓄と金 融資産残高 金融資産残高 所得 貯蓄 消費 貯蓄の取崩し 年齢 就職 退職 金融経済論(小川英治) 死亡 15 寿命の不確実性と遺産 金融資産残高 所得 貯蓄 消費 遺産 貯蓄の取崩し 就職 年齢 退職 実際の死亡 予想死亡 金融経済論(小川英治) 16 平均寿命の不確実性と予備的 遺産動機 寿命の不確実性を導入すると、長生きの 経済的リスクに備えて、退職期間を長めに 予想して、その期間の消費を賄うことがで きるように、就業期間の貯蓄総額を増加さ せる効果をもつ。 しかし、平均寿命で死ぬこととなり、意図せ ず金融資産を遺産として残すこととなる。こ のような遺産を予備的遺産という。 金融経済論(小川英治) 17 寿命の不確実性と年金制度 寿命の不確実性によって、家計は過剰に 貯蓄することとなり、就業期間の消費水準 が減少する。 寿命の不確実性に対しては、寿命の確率 を利用した年金制度によって対応すべきで ある。年金制度によって寿命の不確実性 を保証できれば、家計は生涯所得を効率 的に消費でき、効用を高められる。 金融経済論(小川英治) 18
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