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EUにおける市場統合
EUにおける企業と市場(小川)2014
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小川担当分のreferences
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植田隆子・小川英治・柏倉康夫『新EU論』信山社、2014年
小川英治編著『EUスターディーズ2 経済統合』勁草書房、2007年
藤原秀夫・小川英治・地主敏樹『国際金融』有斐閣、2001年
橋本優子・小川英治・熊本方雄『国際金融論をつかむ』有斐閣、2007年
小川英治「ユーロの試練 必然だったバブル崩壊」日本経済新聞経済教室、2010年
6月14日(http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/ogawa/04.html)
小川英治「ユーロ安定へ「離脱ルール」」日本経済新聞経済教室、2011年8月26日
(http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/ogawa/05.html)
小川英治「欧州危機を封じ込めるか 財政再建支える安全網を」日本経済新聞経済
教室、2012年9月20日
(http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/ogawa/06.html)
小川英治「 ECBのマイナス金利 貸し渋り解消 効果は疑問」日本経済新聞経済教
室 、2014年6月18日
( http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/ogawa/08.html)
European Commission(http://ec.europa.eu/index_en.htm)
European Central Bank(http://www.ecb.int/home/html/index.en.html)
Eurostat(http://epp.eurostat.ec.europa.eu/portal/page/portal/eurostat/home/)
EUにおける企業と市場(小川)2014
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EUの経済通貨同盟(EMU)
EUにおける経済・通貨統合
(1)
深化と拡大の歴史
(2)
現在、経済・通貨同盟(Economic and Monetary
Union)に至っている。
(a) 経済統合(単一市場):EU28か国
(b) 通貨主権の統一(単一共通通貨ユーロ):EU18か
国(ユーロ圏)【2015年1月1日よりリトアニアが導入
し、EU19か国へ】
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EU28か国
出典:http://eumag.jp/eufacts/member_countries/
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EU28か国とユーロ圏18(19)か国
リトアニア
http://www.ecb.europa.eu/euro/html/index.en.html
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EUと日・米・中の比較主要データ
EU28カ国
日本
アメリカ合衆国
中国
面積(万km2)
429
36.5
915.9
932.7
人口(2012年、億人)
5.07
1.27
3.14
13.43
国内総生産
12兆9,450億 4兆6,398億
(GDP、2012年、ユーロ)
12兆2,080億 8兆2,270億
出典:http://eumag.jp/eufacts/data/
欧州委員会統計局(ユーロスタット)。中国GDPは欧州委員会通商総局(IMF推定値)。
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バラッサの経済統合の諸段階
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自由貿易協定:加盟国からの輸入品に対する関税
及び数量割当の撤廃
関税同盟:非加盟国に対する関税の均等化
共同市場:生産要素移動に対する制限を除去した
関税同盟
経済同盟:各国経済政策の調和化を伴った関税同
盟
完全な経済統合:金融政策、財政政策、社会政策
の統一
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EUにおける企業と市場(小川)2014
出所:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_eu/k_kankei/pdf/eu_j_0408.pdf#01
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EUにおける経済統合の深化
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1951年に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を創設するパリ条約が署名。
1952年に発効。
1957年に欧州経済共同体(EEC)を設立するローマ条約が署名。1958年
に発効。
1968年に関税同盟と共通農業政策が完成。
1970年に経済通貨同盟構想を提示したウェルナー報告が提出。
1979年に欧州通貨制度(EMS)が開始。
1985年に域内市場完成白書が発表。1987年に単一欧州議定書が発効
し、域内市場完成の目標期限が設定。1990年から経済通貨同盟(EMU)
の第1段階(市場統合)。1992年に域内市場統合が完成。
1992年にマーストリヒト条約が署名、1993年に発効。EMUのタイム・スケ
ジュールが設定。
1994年からEMUの第2段階(機構作り)。
1999年からEMUの第3段階(単一通貨ユーロ導入)。
EUにおける企業と市場(小川)2014
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EUの拡大
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1952年7月(ECSC)、 1958年1月(EEC)、 1967年7月(EC) :
フランス、ドイツ、イタリア、ベネルクス3国【6か国】
1973年1月:英国、デンマーク、アイルランド加盟【9か国】
1981年1月:ギリシャ加盟【10か国】
1986年1月:スペイン、ポルトガル加盟【12か国】
1995年1月:オーストリア、スウェデーン、フィンランド加盟
【15か国】
2004年5月:ポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、ラト
ビア、リトアニア、マルタ、キプロス、スロバキア、スロベニア
加盟【25か国】
2007年1月:ブルガリア、ルーマニア加盟【27か国】
2013年7月:クロアチア加盟【28か国】
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自由貿易協定とスパゲティボウ
ル現象
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自由貿易協定(FTA):関税撤廃
関税撤廃対象品は、当該国の生産物に限定(原産地原則)。
その原産地原則のために、原産地であることを証明する書類
が必要。
多数の自由貿易協定を締結すると、この原産地原則のため
に手続きが煩雑となる(スパゲティボウル現象)。
A国
FTA
B国
A国
関税=5%
関税=5% 関税=5%
C国
2014/5/9
B国
関税=0%
域外共通関税
関税=0%
関税=10%
関税同盟
C国
EU入門
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関税同盟から単一市場へ
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(1)
(2)
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(1)
(2)
関税同盟(Custom Union)
EU域内における関税を撤廃し、EU諸国間の経済障壁を
取り除く。(=自由貿易協定(FTA:Free Trade
Agreement))
域外諸国に対して対外共通関税(CET: common external
tariff)を設定する。(原産地原則(Rule of Origin)を簡素
化。)
単一市場(Single Market)(=共同市場)
非関税障壁の撤廃
「4つの移動」:①財、②サービス、③資本、④人が自由に
移動する、域内に国境のない地域
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「単一欧州議定書」における除去す
べき障壁
ヒト
・ 旅行者チェックの廃止
・ 道路交通による国境通過チェックの廃止
・ 欧州パスポートの整備
物理的障壁の除去
(94 項目)
モノ
・ 通関書類の統一等、国境でのチェックの簡素化
運輸
・ 割当制(旅程の日数制限等)の廃止(及び共通運輸政
策の策定)
技術的障壁の除去
ヒト
・ 資格の相互承認等の実施
モノ
・ 企画の統一化と基準の相互承認の両分野で効率的な法
(160 項目)
制の整備を実施
資本
・ 金融サービスの域内自由化、資本移動の自由化
税制上の障壁の除去
付加価値税、物品税等の税率の一定の範囲内にまとめるこ
(25 項目)
とで、税率の低い国での購入が促進されること等を防止す
る。
出所:『平成元年 通商白書』
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共通政策
共通政策として、(1)共通農業政策と(2)共通通商政策がEUにおける経済
統合の特徴である。
(1) 共通農業政策(CAP:Common Agricultural Policy)
・価格制度
①介入価格:域内の農家の再生産を維持するため、市場価格がこの価
格水準を下回らないようにEUが買い支える価格。介入価格は例年前年
の12月頃に欧州委員会が提案を行い、欧州議会の意見を聞いた上で、
当該年の6月頃に農相理事会で決定。介入は供給が需要を上回った場
合に、介入価格を維持するために行われる。
②輸入価格:関税賦課後の価格が介入価格の155%を上回らない範囲で
設定される。
③輸出補助金:EUが国際市場での輸出機会を得るため、国際市場価格
と比べて高い域内価格と国際市場価格との差を補償するもの。
④輸出税:国際価格がEUの域内価格を上回り、緊急性が強い場合、域
内への供給確保を図るため課せられる。
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共通農業政策の価格制度
EUにおける企業と市場(小川)2014
出所:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_eu/k_kankei/pdf/eu_j_0408.pdf#01
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共通政策
(2) 共通通商政策
・ 第3国に対する共通通商政策を設定
・ 共通通商政策は、関税率の修正、他国との関税協定や
通商協定の締結、自由化措置、輸出政策、ダンピング、
補助金などに課にて、一律の原則に基づく。
・ EUが域外の国・地域と自由貿易協定や関税同盟を締結
している。
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EUにおける企業と市場(小川)2014
出所:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_eu/k_kankei/pdf/eu_j_0408.pdf#01
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構造政策
経済統合を推進する上で、加盟国間・地域間の経済力・社会面における格
差の是正を1つの重点分野として位置付け、構造政策(財政的支援)を実施。
EUの地域格差を是正するために構造基金や結束基金が、設立された。
(1) 構造基金(Structural Fund)
目的1:1人当たりGDPがEU平均の75%を下回る後進地域の開発と構造調整
目的2:経済・社会的転換(構造的困難に直面する全ての地域対象)
目的3:教育、訓練及び雇用の改善・近代化
(2) 結束基金(Cohesion Fund):マーストリヒト条約により創設、1993年より実施
1人当たりGDPがEU平均の90%未満の加盟国(ギリシャ、アイルランド、ポルト
ガル、スペイン)を対象。交通ネットワークと環境保全に使途限定。
(3) 欧州投資銀行(European Investment Bank)による投資
融資を通じて域内格差是正
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1人当たりGDP(購買力標準)比較
(2012年、指数(EU28 = 100))
Data: Eurostat
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構造政策(構造基金・結束基金)内訳
出所:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_eu/k_kankei/pdf/eu_j_0408.pdf#01
EUにおける企業と市場(小川)2014
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財政移転禁止から財政安定同
盟へ
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2014/5/9
現在のリスボン条約では、モラルハザードや財
政規律の喪失を防止するため、財政移転が禁止
されている。
しかし、2010年以降の欧州財政危機に対処する
ために欧州安定メカニズムESMを創設する。そ
れに従って、リスボン条約(財政移転禁止条項を
廃止)を2012年6月に改正。
さらに、2011年12月のEU首脳会議で、財政規律
を確立するために「財政安定同盟」。これは、財
政主権を統合する「財政同盟」とは異なる。
EU入門
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価格の収斂
貿易取引上の障壁(関税及び非関税障壁)が除去されること
によって、あるいは、通貨同盟において通貨交換費用や外
国為替リスクが削減されると、商品裁定取引が自由に行わ
れ、一物一価の法則が成立するはず。
 価格収斂の妨げ
①非貿易財
②不完全競争状態
③不完全競争状態の下での市場別の価格形成(Pricing To
Market: PTM)
④国によって流通構造が異なるために流通構造の非対称性
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EU加盟国間の物価水準(家計最終
消費)(EU28=100)の比較
Data: Eurostat
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EU加盟国間及びユーロ圏諸国間の物
価水準(家計最終消費)の変動係数
Data: Eurostat
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賃金の収斂
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「単一欧州議定書」の下で、財・サービスや資本のみ
ならず労働の自由な移動が保障される域内の国境
がない地域として単一市場が形成 。
雇用や雇用条件などについて、構成国の労働者間で
の国籍に基づく差別を廃止することによって労働者
の自由移動を達成しようとした。これは、外国人労働
者が当該国における雇用や雇用条件などについて
「内国民待遇」を受けることを意味する。
この「内国民待遇」は、国籍に基づく内外労働者間の
差別を廃止するものではあっても、必ずしも共同体内
における労働者の自由移動を保証するものではない。
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EU諸国間の時間当たり労働費用
の比較
Data: Eurostat
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