火山噴火 ー予知と減災を考える 鎌田浩毅

火山噴火
―予知と減災を考える
鎌田浩毅
第1章 火山噴火とはどんな現象か
総合科学専攻 2年
3071-6018 杉山あかね
目次
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4
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溶岩流―地表に出たマグマ
軽石―泡立つマグマの破片
火山灰―マグマの小さな粒々
火砕流とカルデラ湖
成層火山の山体崩壊
火山ガスに注意を
1
溶岩流―地表に出たマグマ
溶岩:真っ赤に溶けた岩石が地上に出たもの
マグマ:岩石が高温でドロドロに溶融して液体状になったもの
溶岩流:地上に出てきた溶岩が低いところに向けて流れる状態
溶岩の性質によって流れ方が異なる
例:ハワイ島のキラウエア火山
→溶岩がサラサラと流れるタイプの噴火
パホイホイ溶岩:表面が平滑で丸みをもつ溶岩
アア溶岩:ゴツゴツとした表面にトゲの突き出た溶岩
粘性
パホイホイ溶岩
アア溶岩
◆テュムラス:流れている溶岩に圧力が加わって、表面が静かに持ち上げら
れた小さな丘
→断面を見ると、空気に触れた表面は赤く酸化、中はまっ黒の固
い溶岩からできていることが分かる
◆溶岩チューブ :溶岩流の断面に見られる空隙
(溶岩トンネル)
→溶岩がまだ熱かったときに、この中をマグマが流れて
いった
◆ブロック溶岩:緩やかな曲面からなる多角形の溶岩。表面に2メートルを超え
るような溶岩の塊を乗せている。表面はザラザラしている。
◆枕状溶岩:海底で噴出した溶岩
→かつてその土地が海の底にあったことを証明する
例:北極のグリーンランドで40億年前の枕状岩石が発見された
地球上で40億年前にはすでに海があった!!
2
軽石―泡立つマグマの破片
軽石:ガスの抜け殻の岩石
◆軽石を降らせるような爆発的な噴火のメカニズム
噴煙柱
(D)泡が破壊し、マグマが爆発的に引きちぎられる
マグマの密度が下がり、さらに浮力がかかる
(C)マグマが泡で飽和
浮力が働き、上方へ→さらに圧力が下がる
(B)溶けていた水が水蒸気になる
何らかの力が加わり、地上へ向けて上昇→圧力が下がる
(A)水はマグマの中に溶けている
※溶岩流が噴出する噴火では、脱ガスが起こる
◆軽石の穴からわかること
軽石の穴→水蒸気がたくさん抜けた跡
マグマからエネルギーが短時間に解放された
激しい噴火
3
火山灰―マグマの小さな粒々
火山灰:岩石が細かく砕かれたもの
いろいろな起源のものが含まれている
◇粒の直径によって呼び方が違う。
2mm
火山灰
64mm
火山レキ
火山岩塊
◆降下火山灰
降下火山灰:空たかく巻き上げられた火山灰が地上に降ってくること
噴煙柱:最も高い場合、上空50kmまで上昇
地球の大気の対流圏を突き抜けて成層圏にまで達する
強い風が一定方向
に吹いている
強い風に乗って、火山灰は何百km遠方まで降り積もる
降り積もった火山灰→地層になる
火山の近くでは厚く、遠くなるにつれて薄く
過去の噴火の火口を突き止められる!
4
火砕流とカルデラ湖
カルデラ:噴火によって地面が広範囲に陥没した地形
例:摩周湖(北海道)
どのようにしてできたのか?
地下にあったマグマがカルデラ噴火
により短時間で、大量に地表へ噴き
出した
火砕流
◆火砕流
火砕流:軽石・火山灰・岩片が火山ガスの中に浮いた状態で、火口から地表を
高速で流れる現象
◆摂氏600~800度を超す高温の流れ
◆時速100kmを超えるような速度
◆途中にあるすべてのものを、なぎ倒しかつ焼き尽くす
火砕流台地:カルデラから噴出した火砕流が低地を埋め立てて
つくるような大噴火に特有の地形
5
成層火山の山体崩壊
成層火山:溶岩、軽石、火山灰が積もってできた円錐形の火山
例:富士山
噴出物を累積して固めただけのもの→山全体が崩れやすい
①地下を上昇するマグマの力
②よそで起きた大地震
◆成層火山の山体崩壊
岩なだれ:莫大な量の岩石が、一体となって高速で流れ下る現象
例:磐梯山の岩なだれ
◆岩なだれの発生にともなう、もうひとつの大変危険な現象
ブラスト:岩なだれよりもさらに広範囲に災害をもたらす爆風
火砕流よりも低温、岩なだれよりも高速
6
火山ガスに注意を
代表的な火山ガス:二酸化炭素・二酸化硫黄・硫化水素
事例①1996年 青森県八甲田山
火山活動が何も確認されていなかった日に、山麓のなだらかな丘陵地
の深さ4mくらいの窪地に入った陸上自衛隊員が死亡した。
◆窪地に高濃度の二酸化炭素が溜まっていた
◆二酸化炭素は火口から直接出ているだけではなく、地表のあちこちから
浸みだしていた
事例②1986年 アフリカ西海岸のカメルーンにあるニオス湖
山頂にできた火口湖であるニオス湖から二酸化炭素が噴き出して、
1700人以上の犠牲者を出した。
◆二酸化炭素が長い間に火口湖の水に溶け込み、それが小規模の噴火
によって大量に火口からあふれ出した。
事例③2000年~ 三宅島
噴火によってできた大きな火口から2000年8月中旬、二酸化硫黄が噴
出し始めた。9月には全島民が島外へ避難。2005年2月に避難勧告が
解除された。しかしまだ終息はしていない。
火山ガス→異常気象を引き起こすことがある
噴煙柱
火山灰、火山ガスが地球の広範囲に広がる
強風
硫酸ミスト:二酸化硫黄が大気中の水と反応してできる、直径1ミクロン以下の
硫酸のしずく
エアロゾル:火山灰の微粒子と硫酸ミスト
太陽光エネルギーを吸収
対流圏や地表の温度低下
異常気象