海外の火山ハザードマップの内容と表現方法に 関する

海外の火山ハザードマップの
内容と表現方法に関する事例分析
©2007 National Geographic
総合科学専攻
小山研究室
30716020
髙木 さやか
研究目的
日本における火山ハザードマップはどれも類似したスタイ
ルや表現で作成されているが、それらの内容や表現方法が
本当に住民の防災に直結するかの検証はほとんどなされて
いない。また、日本のハザードマップ全体について分析した
研究が進められているが(小山 2001,坂本 2003)海外に関す
るものはほとんどない。
本研究は、世界の火山ハザードマップに目を転じて、
ネット上に公開されたものをできる限り多く調査し、そ
の内容・表現方法・検証研究などの実態を正しく把握
するとともに、日本との比較によって、現行の日本の
火山ハザードマップがもつ問題点を明らかにすること
を目的とする。
研究方法
• インターネットを利用して、公開されている世
界のハザードマップを検索し、できる限り多く
のマップを入手する。
• 地区・種類・内容・表現方法・検証研究などの
項目を設定し、それぞれのハザードマップに
ついて詳しく分析する。
• 分析した内容を基にデータベースを作成する。
• 日本との比較によって、現行の日本と海外の
ハザードマップの持つ特徴・問題点を明らか
にする。
火山ハザードマップとは
• 火山ハザードマップとは、将来起こりうる火
山災害の規模・様相や影響範囲・対策などを
あらかじめ予測・図示した資料である。
• 火山災害の対策までも含めた総合防災マッ
プとしての役割を果たす。
• いずれ発生する噴火を事前に仮想的
に「体験」し、その体験にもとづいた
対策に取り組むことができる。
(小山,2004)
富士市富士山火山防災マップ
(富士市,2004)
現時点の結果
●USGS(米国地質研究所)の各観測所が作成した火山ハ
ザードマップを入手し、読解し内容を把握した。
• アメリカ合衆国(本土)
9枚
• エルサルバドル
3枚
USGSカスケード火山
観測所(CVO)
• グアテマラ共和国
5枚
• ニカラグア共和国
2枚
• アメリカ合衆国ハワイ州 5枚
USGSハワイ火山観
測所(HVO)
• アメリカ合衆国アラスカ州 1枚
USGSアラスカ火山観
測所(AVO)
計25枚(23火山)
マップの例1
火山ハザード
ゾーンの説明
アメリカ合衆国アダムス州
Adams火山(アダムス火山)
VOLCANO-HAZARD-ZONATION- MAP OF
MOUNT ADAMS, WASHINGTON
(ワシントン州アダムス火山ハザードマップ)
岩屑なだれと火山泥流
が及ぶ可能性と範囲
岩屑なだれと火山泥流
のハザードゾーン構造
溶岩流と降下火砕物
が及ぶ可能性と範囲
(USGSカスケード火山
観測所,1995)
10km
マップの例2
アメリカ合衆国ハワイ州
Kilauea火山(キラウエア火山)
Map of Hazard zones for lava flows on Kilauea
キラウエア火山 溶岩流ハザードゾーンマップ
Zone1
Zone1
最も危険。頂上の領域と
リフトゾーンから成る。
Zone3
Zone3
東リフトゾーンの北面、南
西リフトゾーンから成る。
過去750年の間に、7
5%が溶岩で覆われた。
Zone5
Zone5
頂上のカルデラと北に傾
斜した絶壁によって実際
に溶岩流から守られてい
る。歴史上、溶岩流の影
響を受けたことがない。
Zone2
Zone2
東リフトゾーンに
隣接している地域。
溶岩流が最も流
れ込みやすい。
(USGSハワイ火山観測所,1997)
マップの例3
アメリカアラスカ州 Okmok火山(オクモク火山)
PRELIMINARY VOLCANO-HAZARD ASSESSMENT FOR OKMOK
VOLCANO, UMNAK ISLAND, ALASKA
アラスカ州ウムナク島オクモク火山ハザード予備評価
5miles
過去の噴火の
様子
地震ステーション
堆積した火山灰
による地層の様子
(USGSアラスカ火山観測所,2005)
降下火山灰
小規模の火砕流
大規模の火砕流
洪水
岩屑なだれ
が及ぶ範囲
マップの内容1 アメリカ本土
火山名
Mount Adams
アダムズ山
Mount Baker
ベーカー山
主な内容
岩屑なだれ、火山泥流の及ぶ可能性と範囲
溶岩流、降下火砕物の及ぶ可能性と範囲
規模、頻度毎の岩屑なだれの及ぶ範囲
火砕流の及ぶ範囲
Glacier Peak
グレーシャー・ピーク
火砕流、火砕サージ、爆風、岩屑なだれ、火山泥流の及
ぶ範囲
Mount Rainier
レーニア山
規模、頻度毎の岩屑なだれの及ぶ範囲
火砕流の及ぶ範囲
カスケード地域全体での降下火砕物の及ぶ範囲
Mount St. Helens
セント・ヘレンズ山
火砕流、溶岩流、火山泥流の通過域
火砕サージの通過域・火山泥流の及ぶ範囲
Crater Lake
クレーターレイク
火砕サージが及ぶ範囲
過去の噴火口の位置
Mount Hood
フッド山
火山泥流、岩屑なだれが及ぶ範囲
可能性毎の火山泥流が及ぶ範囲
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マップの内容2 アメリカ本土・アラスカ・中米
火山名
Mount Jefferson
ジェファーソン山
Newberry Volcano
ニューベリー火山
主な内容
火砕流、火砕サージ、溶岩流の及ぶ範囲
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
火山灰、火砕流、火砕サージ、火山弾が及ぶ範囲
火山泥流、洪水が及ぶ範囲・火山ガスが及ぶ範囲
溶岩流が及ぶ可能性毎の範囲
Okmok
オクモク火山
San Vicente Volcano
サンビセンテ火山
降下火山灰、小規模の火砕流、大規模の火砕流、洪水、
岩屑なだれの及ぶ範囲
San Salvador Region
サンサルバドル地域
火砕流、火砕サージ、溶岩流、火山弾が及ぶ範囲・
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
Fuego Volcano (1)
フエゴ火山
山体崩壊、岩屑なだれ、火山泥流が及ぶ範囲
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
Fuego Volcano (2)
フエゴ火山
火砕流、火砕サージ、溶岩流が及ぶ範囲
火砕流による高温の火山灰が及ぶ範囲
火砕流、火砕サージ、溶岩流、火山弾が及ぶ範囲・
爆風の及ぶ範囲・体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
マップの内容3 中米の続き
火山名
主な内容
San Miguel Volcano
サンミゲル火山
Agua Volcano
アグア火山
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
Acatenango Volcano (1)
アカテナンゴ火山
山体崩壊、岩屑なだれ、火山泥流の及ぶ範囲
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
Acatenango Volcano (2)
アカテナンゴ火山
火砕流、火砕サージ、溶岩流の及ぶ範囲
火砕流による高温の降下火山灰の及ぶ範囲
Concepcion Volcano
コンセプション火山
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
Mombacho Volcano
モンバッチョ火山
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
岩屑なだれの及ぶ範囲
山体崩壊、岩屑なだれ、火山泥流が及ぶ範囲
体積毎の火山泥流の及ぶ範囲
マップの内容4 ハワイ州
火山名
Island of Hawaii
ハワイ島全体
Kirauea
キラウェア火山
Mauna Kea and Kohala
マウナ・ケア火山
コハラ火山
Huakakai
フアラライ山
Mauna Loa
マウナ・ロア山
主な内容
1800年以降、溶岩流に覆われた確率毎の範囲
過去750年間に溶岩流に覆われた確率毎の範囲
1800年以降、溶岩流に覆われた確率毎の範囲
過去750年間に溶岩流に覆われた確率毎の範囲
各ハザードゾーンの構造
各ハザードゾーンの過去の火山災害
まとめと課題
まとめ
• USGS(米国地質研究所)の各観測所が作成した火山ハ
ザードマップを25枚入手し、読解し内容を把握した。
• マップの表示方法や内容は観測所によってある程度統一
されていることが分かった。
• マップの内容として最も多かったものは、体積毎の火山泥
流の及ぶ範囲であった。
課題
• さらに多くのマップを入手し、ハザードマップの内容、特徴
を把握する。
• 分析する項目を決定し、項目ごとに分析する。
• 日本と海外のハザードマップの持つ特徴・問題点を明らか
にする。