火山モデリング研究室 (小屋口・鈴木研究室) 桜島火山の爆発的噴火 2011年 本研究室では火山噴火現象のダイナミックス研究を行っています. ・火山はなぜ噴火するのか? ・噴火様式(噴煙、火砕流、溶岩流)を決定しているのは何か? ・噴煙や火砕流はどこまで広がるのか? 用いる研究手法は,主に数学的な解析や数値シミュレーションです. 複雑な火山現象の中から重要な物理過程を見つけ出してモデル化し, その現象を理解しようとすることが本研究室の目標です. 特に最近では,マグマ溜まりから噴煙までを記述できる統一的なモ デルの構築にチャレンジしています.また,高い精度で取得される ようになった火山観測データから火口やマグマ溜まりの情報を推定 することを試みています. 小屋口剛博 直通03-5841-2499 内線22499 地震研究所 2号館 4F 420号室 Email:[email protected] (メールでお問い合わせのほうが確実に連絡がとれます.) 鈴木雄治郎 直通03-5841-5680 内線25680 地震研究所 2号館 4F 416号室 Email:[email protected] 具体的な課題等は,http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/TAK-LAB/ をご覧ください. メンバーの研究内容 10 Wind direction Z [km] 鈴木 雄治郎(共同研究者,地震研究所・助教) 8 爆発的火山噴火では,表紙の写真のような噴煙が観測 6 4 されます.この様な噴煙の観測データ(噴煙高度・半径・ 2 降灰分布)と,噴火の強さなどのマグマが火口から噴出す 0 るときの条件を調べるために,火山噴煙の3次元数値シ 16 18 12 14 Y -2 0 8 10 [k 2 6 m 4 2 X [km] ] 4 0 ミュレーションをスーパーコンピュータを用いて行なっ ています. 火山噴煙の3次元シミュレーション結果 清杉 孝司(共同研究者,地震研究所・特任研究員) 爆発的火山噴火では,上空に運ばれた火山灰が拡 散し,地表に降灰します.どの高度に火山灰が濃集 し,どの領域まで降灰するかを明らかにするために 粒子の移流拡散モデルの開発を行なっています. 噴煙上昇に伴う火山灰移流の3次元シミュレーション結果 志水 宏行(博士1年) 火砕流の流動機構の理解を目指し,浅水波理論を用いた 数値シミュレーション研究を行っています. t=2 t=4 t=6 t=8 t = 10 t = 12 t = 14 t = 16 t = 18 t = 20 t = 30 0.4 h( x,t ) 右図:火砕流を模したダム・ブレイク問題を1次元モデルで 再現した計算例.時間と共に火砕流の高さが減少しながら 進展している様子を示しています. ρc / ρa = 10 0.5 0.3 0.2 0.1 0 0 5 10 15 20 x 25 30 35 40 松尾 直弥(修士2年) 火山噴火の推移を予測するには,マグマ溜りの大きさなど地下の情報を正しく推定す る必要があります.火道内の流れを計算する火道流モデルを使い,地殻変動やマグマの 噴出量などの観測データから地下の情報を逆推定する手法の開発を行っています. 稲垣 湧斗(修士1年) マグマ中の気泡の膨張収縮は火山噴火ダイナミックスを支配する重要な要素と考えら れます.火道浅部において,気泡内の揮発性成分がマグマの中へ再吸収される過程が噴 火に与える影響について,岩石学とモデル計算の両面から解析を行っています. 小園 誠史(共同研究者,東北大学・助教) 火山噴火のタイプには,溶岩ドームや溶岩流をもたらす非爆発的なものから,巨大な 噴煙をもたらす爆発的なものまで,非常に幅広い多様性があります.このような多様性 が生じるメカニズムや条件を明らかにするために,火道内のマグマ混相流の複雑な上昇 爆発的噴火 過程を再現する火道流数値モ 非爆発的噴火 非爆発的噴火→爆発的噴火への遷移過程 溶岩ドーム における火道内マグマ発泡度の増加 デルを構築し,その解析を行 火山噴煙 溶岩流 なっています. 0 Heights (m) -1000 -2000 -3000 -4000 0 12100 12200 12214 12218 12220 12222 0.6 0.8 12226 Time (x103 s) 0 マグマ発泡度: 0.2 0.4 1 火道内マグマ上昇流の1次元シミュレーション結果
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