経済学入門

国際経済の基礎
マクロ経済と貿易黒字
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2006年11月9日
1
日本経済と貿易
日本の貿易相手の地域としてアジアが一番
 それでは国別ではどうでしょうか?
 日本が一番貿易をしている国は?
 その国とは輸出が多いか,輸入が多いか?

2
相手国別輸出入額(2004年,10億円)
輸出
輸入
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
合衆国
中国
韓国
台湾
香港
タイ
ドイツ シンガポール イギリス
3
貿易赤字と黒字
日本と外国の輸出入
 日本のアメリカへの輸出は日本のアメリカか
らの輸入を上回っている
 これを輸出超過あるいは貿易黒字といいます
 反対に中国からの輸入は輸出を上回ってい
る.貿易赤字という
 日本の貿易黒字の決定を知るにはマクロ経
済学的な見方が必要

4
マクロ経済活動の測定
1.
2.
3.
日本経済全体をどのように診断するか
失業,産出量,経済成長,インフレーションは
どのように測定されるだろうか?
外国との取引きの結果経済全体にどのよう
な結果をもたらすか
5
分かり易く言うと
1.
2.
3.
たくさん消費したい=高い経済成長
プーにはなりたくない=低い失業率
安く買いたい=低いインフレ率
6
ミクロとマクロ
1.
2.


ミクロ経済学 (microeconomics)-企業や消
費者に焦点を当てる,経済の小さい単位で
考える
マクロ経済学(macroeconomics)-経済全体
の動きを分析する,日本経済等
経済全体の動きをどう捕らえるか?
マクロ経済政策とは
7
日本の人口
人が多くなると経済活動が活発になる
 少子高齢化
 2006年に初めて人口が減少
 2050年には1億60万人まで減少
 晩婚化
 子供を生まなくなった

8
140,000
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
14)
15)
20)
22)
25)
30)
35)
40)
45)
50)
55)
60)
1940(
1945(
1947(
1950(
1955(
1960(
1965(
1970(
1975(
1980(
1985(
7)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
1995(
2000(
2001(
2002(
2003(
2004(
2005(
1990(平成 2)
10)
1935(
1930(昭和 5)
1925(
1920(大正 9)
1900(明治33)
1872(明治 5)
日本の人口(1000人)
9
経済成長
普通,国の人口は僅かでも増えていく
 経済全体の産出量よりもその増加率が重要
な指標 ,成長率=増加率
 1人当たりの平均的に利用可能な財とサービ
スに注目
 毎年2%の増加率だと2倍になるまで35年
 毎年1%だと70年かかる
 結構違いが大きい

10
国内総生産
景気が良いというのはどんどん物が売れてい
る生産物の売り上げが前年を上回っているこ
とです.
 そのような経済全体の産出量をどうはかるの
でしょうか?
 それは,国内総生産 Gross Domestic
Product 略して GDP で測ります

11
国内総生産
様々な財(今川焼,クルマ),産出量?
 最終的な財の金額を合計すればよい
 国内総生産 GDP
Gross domestic product


ある国内での一定期間に市場向けに生産さ
れたすべての最終財とサービスの総貨幣価
値
12
13
最終財アプローチ
財の最終的な行き先でGDPを測る
1. 消費(consumption)
C
2. 投資(investment)
I
3. 政府購入(government) G
4. 輸出(export)
X
5. 輸入(import)
M
GDP=C+I+G+X-M
14
最終財アプローチ/2




「供給=需要」の関係
国内と国外からの供給=消費者,企業,政
府,外国の需要
GDP+M=C+I+G+X
純輸出=X-M
15
政府購入,
87,403
投資,
119,505
日本のGDP
純輸出,
6,197
消費,
284,543
16
三面等価




1.
2.
3.
イチローが今川焼きを生産
それをナカタが購入→代金の支払い
イチローの所得
GDPは三つの側面が常に等しくなる
最終支出
付加価値
所得
17
付加価値アプローチ
生産された物は多くの段階を経て最終的な購
入主体へ到達する
 流通段階が増えれば企業全体の金額は増加
する
 そうした重複は生産を正しく測れない

18
中間にヨドバシカメラ


松下は20000円の費用で作ったデジカメをヨドバシ
カメラに25000円で販売
それをヨドバシカメラは消費者に30000円で売る
経済主体
松下電器産業
ヨドバシカメラ
消費者
金額
20,000
25,000
30,000
19
中間にヨドバシカメラ/2
35,000
30,000
25,000
20,000
系列1
15,000
10,000
5,000
0
松下電器産業
ヨドバシカメラ
消費者
20
松下が消費者に直販

松下は20000円の費用で作ったデジカメを消費者
に30000円で直接販売する
経済主体
金額
松下電器産業
20,000
消費者
30,000
21
松下が消費者に直販/2
35,000
30,000
25,000
20,000
系列1
15,000
10,000
5,000
0
松下電器産業
消費者
22
付加価値で測る


1.
2.

どちらも消費者は30000円を支払っている
重複を避けるために付加価値で計算する
松下=5000円,ヨドバシ=5000円
松下=10000円
これに最初の費用20000円を加える
23
付加価値アプローチ
付加価値=企業収入
ー中間財の費用
GDP=全企業の付加価値の合計
24
所得アプローチ
生産された物の売上は誰かの所得になる
企業収入=賃金+利子支払い+中間財の費
用+間接税+減価償却+利潤

企業の付加価値=賃金+利子支払い+間接
税+減価償却+利潤
25
経済成長率
経済は毎年僅かに変動する
 絶対額よりもその成長率を見る
=(今年のGDP-前の年のGDP)/前の年の
GDP ×100 (単位は%)
 年の成長率がプラスならばGDPは増加

26
経済成長率
4
3
2.8
2.8
2.3
2
1.7
1.1
1
0
-1
0.6
1996年度
-0.1
1998年度
2000年度
2002年度
2004年度
-0.8
-1.3
-2
27
失業
失業-就業する意思と能力がある人が生産
活動に従事していない状態
 経済的困窮,生活水準の低下,自尊心を傷
つける
 若者の失業:人的資源の喪失,将来の労働
生産性の低下
 中高年の失業:病気や怪我をしやすい,家族
への影響

28
失業統計
失業率(unemployment rate)とは就業しておら
ず求職活動をしている人数の総労働力人口
に対する比率
 総労働力人口=就業者数+失業者数
 2002年の日本,就業者数が6330万人
 失業者数が360万人

29
2002年日本の失業率
失業率=失業者数/労働力人口
=失業者数/(就業者数+失業者数)
=360万人/(6630万人+360万人)
=0.054=5.4%
30
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
00
6)
(2
00
5)
(2
00
4)
(2
00
3)
(2
00
2)
(2
00
1)
(2
00
0)
(2
99
9)
(1
(1
99
6)
(1
99
7)
(1
99
8)
成
8 平
%
日本の失業率
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
31