医学に活かす確率・統計

EBMのための
確率・統計
EBM
• エビデンスの活用
– エビデンスを応用するために自分の対象の条件
を把握
• エビデンスの収集
– 情報の判断
• エビデンスの発信
– 意義のあるエビデンスを
– 利用可能な形で
プレゼンテーション
エビデンスを活用するために
目の前の対象を正確に捉えて
正確な情報を共有しよう
記述統計
• 自分の収集した情報をかいつまんで伝える
• 伝える内容には「主張」がある
• 過不足なく
• 順序よく
プレゼンテーション
記述統計
• よくできたプレゼンテーション(臨床症例提示・
論文発表)は美しい
– 情報を相手と共有することに成功している
– 共有した情報に基づいて、「同士」として理性的・
科学的・論理的に考えると、おのずと結論(確率
的な結論)は同じになる
データのすべてを伝える
• データの伝え方
– 全部を、伝える
– かいつまんで、伝える
• つまみ食いでなく、「全体」を伝えるために「かいつま
む」
• わかるように伝える
– 自分がわかる
– 相手がわかる
– 自分と相手が「同じようにわかる」
複数の値の伝え方
• 分布がわかるように
• 分布を見ないうちは、かいつまめない
複数の値の伝え方
と
複雑な情報の伝え方
• 分布がわかるように
• 分布を見ないうちは、かいつまめない
• 全体がわかるように
• 全体を見ないうちは、かいつまめない
意味のあるデータ
意味のないデータ
• 多すぎるデータはかえって邪魔
• 意味のあるなしの判断は
– 基礎研究データの場合
• 検定による統計的有意差
– 臨床研究データの場合
• 検定による統計的有意差
仮説の○の大小コントラストを
大きく変える情報が有用な情報
A
疫学
問診・身体所見
検査
さらなる検査は疾患別
B
事前確率と事後確率を大きく変
える情報が有用な情報
C
D
さらなる検査は疾患別
スタート
A,B,C,Dのうちの
どれから先に、詰める?
どう、詰める?
それが戦略
A
B
C
D
やることはいっぱい
やれることもいっぱい
やり忘れはだめ
1度に1つのことしか出来ない
分岐木を完全にたどる
順序がよければ、やらずに済むことも多い
順序を間違えると、重大なことになるかも
ヤミクモに情報を集めても判断に困るだけ
整理が必要な量の情報がたまったら一時、
中段して整理しよう
• 情報が集まった
• 整理して
– 鑑別診断リスト
– その軽重を決める
– 確定診断への戦略を決める
はじめは、しばしば立ち
止まってOK
「一人前」になるのは、
情報処理をしながら基
本検査の結果の判断ま
でを無意識のうちにで
きるようになったとき
意味のあるデータ
意味のないデータ
• 多すぎるデータはかえって邪魔
• 意味のあるなしの判断は
– 基礎研究データの場合
• 検定による統計的有意差
– 臨床研究データの場合
• 検定による統計的有意差
– 臨床情報の場合
• 判断に使えるデータか
• 仮説の事前確率・事後確率を「十分に」変えるデータか
– 「十分に」
» 収集の手間
» 費用
» プレゼンテーションの手間(話すヒトの時間・聞くヒトの時間)
(レベルはどうあれ)
プレゼンテーションの基礎
• 集めた情報を(自分のために)整理する
• 1度に1つのことしか言えない
• 順序を考える
• 軽重を考える
• 心がけ
– けちけちすること
– 思いやりがあること
ちゃんとした情報
• 情報は、「条件」と「確率」を教えてくれる
– 「条件」は研究で言えば、「方法」
– 「確率」は研究で言えば、「結果」
– 収集しているエビデンスには、「方法」と「結果」があるは
ず
– その内容が理解できて
– 目の前のケースとの整合性について判断できたら
– そのエビデンスを使います
1-p
p 感度
病気X
1-p
p
PPV
non 病気X
q
1-q
NPV
1-q 特異度
q
事前確率の違い
病気X
p 感度
PPV
NPV
non 病気X
1-q 特異度
ちゃんとした情報は
• 情報は、「条件」と「確率」を教えてくれる
– 「条件」は研究で言えば、「方法」
– 「確率」は研究で言えば、「結果」
が、しっかりしていて、
• 統計学的に有意
– 帰無(独立)仮説を棄却
– 検定で有意
関連をみつける
•
•
•
•
データ
関連のありなし
手法はたくさん
手法は「関連のありなしについての数値情報
」を得る手段
大腸・直腸に癌があるとき
便に血が混じる確率
精密検査をすることで、大腸・
直腸癌を検出する確率
• 効果
• 治癒
• 延命
• Quality of Life(QOL)
大腸・直腸に癌がないとき
便に血が混じる確率
治療をすることで効果のある確
率
治療をすることで副作用のある
確率
• 医療政策
• 患者・家族の価値観
• 集団としての価
値観
•
•
•
臨床医=医療アドバイザ
大腸・直腸に癌があるとき
• 大腸・直腸に癌がないとき
計算可能な情報を
便に血が混じる確率
• 便に血が混じる確率
「かいつまんで」
• 精密検査をすることで、大
腸・直腸癌を検出する確率
提示して、
• 治療をすることで効果のあ
る確率
個人と集団に価値判断させる
効果
• 治療をすることで副作用の
『科学』『提示力』
• 治癒
• 延命
• Quality of Life(QOL)
ある確率
• 医療政策
個人・集団
• 患者・家族の価値観
提示情報を元に価値判断する
• 集団としての価
『科学の向こう』 値観
診断する
•
•
•
•
鑑別診断 :仮説リスト(空間)を確認する
除外診断 :ありえない仮説をリストから外す
診断的治療 :情報をひとつ加えてから判断する
診断基準 :あいまいな状態に「定義」を与えて扱い
やすくする
• 確定診断 :1つの診断の尤度が圧倒的に高くなる
わからないときにも決断する
• 事前確率を与えないと始まらない
• 事前確率は完璧でなくてもよい・バイアスが
あってもよい
– 完璧ではないから事前確率
• 「ありえない」と決めつけない
• 事前確率を事後確率に変えるとき(情報を活
用するとき)にはバイアスを入れない