別冊日経サイエンス 地球大異変 変質する欧州最大の火山 エトナ山の危険な未来 3041-6004 総合科学 四年 岩井 仁美 目次 1.炎の山 エトナ山 2.複雑なプレート構造 3.エトナ山の全貌 4.エトナ山のマグマ 5.エトナ山と富士山 6.変質するエトナ山 1.炎の山 エトナ山 エトナ・・・「焼けた」 「焼けている」 山裾 1200k㎡ 標高 3340m 欧州最大の火山 2001、2002年と連続噴火 いずれ激しい噴火が頻発? その時噴出した溶岩が、1万5000年前に噴出したものと 似たものだった。 破壊的な大噴火・・・古い山体が崩壊 2.複雑なプレート構造 活火山の3つのタイプ 1・2つの離れるプレートの割れ目に沿って位置する 大量の鉄やマグネシウムを含む玄武岩を生成 危険! 2・プレートが互いにぶつかり合い沈み込んでいる場所にある 二酸化ケイ素や揮発性物質の含有量が多くマグマも粘性が高い 3・マントルプルームによって生じるホットスポットで見られる火山 プレートの動きとは無関係。流動性の高いマグマ 2のタイプは何故危険? 揮発性成分を多く含むマグマは、容易に地表に到達しない。 圧力を蓄積した挙句、爆発的に溶岩を噴出する。 マントルプルーム マントル深部から湧き上がる高温物質の上昇流 マントルプルームにかかる圧力は地表に近づくにつれ減少 プルームが融解→マグマが生じる 地殻を突き破ってホットスポット火山の連なりを作る (ハワイのマウナロアなど) エトナ山は3つのどのタイプにも分類できない不思議な火山 1・シチリアの地殻に働く力は、プレートの割れ目に働く力に似ている 割れ目に出来るマグマと同様の組成を持つのは20%のみ 2・沈み込み型火山のように、マグマに大量の硫黄を含む 沈み込み型火山のマグマより流動性が極めて高い 3・エトナ山は活発なマントルプルームの上に形成された プルームの証拠を示す直接的な証拠は見つかっていない エトナ山の特徴をすべて説明するのは不可能 3.エトナ山の全貌 ユーラシア、アフリカ、アドリア 各プレートの境界付近に そびえる。 山腹で最近起き た噴火は、中心 火道系統とは まったく繋がりの ない亀裂から発生 した。火山には もう一つ別の火道 が存在する。 異なるマグマ溜り を持つが、マグマ 源は共通。 4.エトナ山のマグマ 沈み込み型のマグマに比べ、地表面に流出しやすい ・・・・が、噴火は極めて爆発的! 頂上付近の割れ目 低い地点の割れ目 大量のガス 通常に比べマグマの化学組成 がかなり変化していた 本体とは別のマグマだまりに長時間いたため まったく異なる2つの噴火が同時進行していた! 低い亀裂・・・第二の火道 この火道から最後に大量にマグマが出たのは 1万5000年前 古い山体のエッリッティコ火山が崩壊 同じタイプのマグマが現れたのは 爆発的噴火が起こる前兆? マグマはどこから生じたのか? 10万年以上前に噴出したマグマ ・シチリア島南部のイブレイ山脈にある古い火山に似た組成 ・微量元素の組成はハワイや大西洋のアゾレス諸島の ホットスポット火山のマグマに近い 10万年以内に噴出したマグマ ・シチリア島の北に浮かぶエオリア諸島の火山に近い マグマの類似性は偶然ではない エトナ山は2つのマグマ源を持つ 火山誕生の元となったマントルプルーム と エオリア諸島の火山と同じ源を持つマグマ ↑新しいマグマに大量に含まれている どのようにして混合マグマを生み出したのか? ・異なる場所で生まれたマグマが エトナ山の火道で混ざりあった エオリア諸島のマグマが100km以上断層に沿って移動した? そのようなマグマの通路が地下に存在するとは考えられない ・2つのマグマ源が混ざり合っている。 有力! 沈み込みを起こしたイオニアプレートの一部が南に移動し、 エトナ山の下にあるプルーム近くにまで到達。 上昇するプルームが沈み込むスラブの縁を通過するとき マグマの混合物が作られる。 スラブ・・・深く沈みこんだプレートの断片 5.エトナ山と富士山 共通点 ・玄武岩質のマグマが主体 ・複雑なプレートの上にある ・3つのタイプにあてはめにくい 866年の貞観噴火は、エトナ山の 2001,2002年の 噴火によく 似ていた。 富士山とエトナ山は世界でも調査の行き届いた火山 (小山、2001) 6.変質するエトナ山 1970年以来、エトナ山の活動は著しく増加 地殻応力の変化によるのか、マグマだまりにマントルから新たなマグマが供給されたためか 不明 爆発的な噴火を起こす沈み込み帯の火山へと変貌しつつある ゆっくり エトナ山がすぐに壊滅的な噴火を起こすとは考えにくい 人々が対応するにはたっぷり時間がある
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