自然災害に対する 土地の危険度と 不動産価格の比較

小山研究室
総合科学2年
30116015 中村圭佑
自然災害に
対する危険度
その土地の地形や地盤
などの自然特性に左右
される。
不動産価格などの人間が決める土地の価値は、
こうした自然特性やそれを反映した災害履歴など
の影響を受けるはず
しかし
現実はそうなっていないよう
に見える

静岡県から公開された不動産の
公示価格のデータにもとづき、そ
の分布特性や自然条件・災害履
歴との関係を分析
それらの相互関係を明らかにする
ことを目的とする。
静岡県公式ホームページの「平成24年度地価公示結果」
の「地点別公示価格及び変動率一覧」の公示価格を抜き
出し、GoogleMap上にマッピングし、地価分布図を作成。
H24
標準地番号
葵
*葵
葵
葵
葵
-
前年
番号
1
2
3
4
5
所在・地番
音羽町214番3
西草深町19番7
安東2丁目150番
桜町1丁目922番202
羽鳥6丁目1180番25外
H24
公示価格
(円/㎡)
202,000
238,000
197,000
106,000
89,800
H23
変動率
住居表示
公示価格
(%)
(仮換地番号)
(円/㎡)
203,000
-0.5 音羽町5-6
239,000
-0.4 西草深町19-16
200,000
-1.5 安東2-12-18
107,000
-0.9 桜町1-17-23
90,900
-1.2 羽鳥6-5-37
地点別公示価
格及び変動率
一覧の抜粋
「地点別公示価格及び変動率一覧」に掲載されて
いる不動産価格は全部で670件。
今回はそのうち静岡市の134件を研究対象とした。
防災科学技術研究所の地震ハザードス
テーション→表層地盤地震動増幅率
国土地理院の『標高がわかる地図』→標高
静岡県地震防災センター静岡県防災GIS
情報閲覧ページ→推定液状化危険度(東
海地震)&延焼危険度
Excelに入力し
データベース化
それぞれの関わり合いを分
析
地震ハザードステーショ
ン
独立行政法人防災科学技術研究所
が公開している、「地震防災に資する
ことを目的に、日本全国の『地震ハ
ザードの共通情報基盤』として活用さ
れることを目指して作られたサービス」
表
層
地
盤
増
幅
率
地表から深さ30mまでの平均S波速
度(AVS30)から算出される地震動増
幅率。工学的基盤(Vs=400m/s)から
地表に至る地震動の増幅率を表し、
地震に対する地盤の弱さを表す。
(地震ハザードステーションより抜粋)
↑ 地震ハザードステーションの
表層地盤の地震動増幅率
数値が大きいほど
地盤は弱く、揺れ
は大きくなる。
防災科学技術研究
所によると1.6以上
で地盤が弱いこと
を示すとされている。
JR静岡駅と清水駅を中心に高い不動
産があり、それに付随して静岡駅から
清水駅の線路沿いに比較的高い不動
産が並んでいる。
20000円/㎡ずつのヒストグラム
を作成し、頻度を確認。
25
価格のヒストグラム
20
頻度
15
10
5
0
データ区間(円/平方メートル)
8万~14万円/㎡が
全体の約60%を占める
価格(円/㎡) 地盤増幅率 標高(m)
202000
238000
197000
106000
89800
192000
118000
91100
108000
162000
103000
128000
138000
154000
86800
110000
107000
123000
76000
80300
180000
1390000
160000
640000
167000
799000
250000
165000
193000
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
2.25
1.3
1.1
1.3
1.1
2.25
2.25
2.25
1.3
2.25
2.25
1.3
1.1
1.1
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
1.3
16.4
25.1
18.3
39.8
33.1
14.7
30.3
56.3
15.1
15.6
8.5
11.2
8.6
11.2
15
10.8
8.8
41
21.6
46.5
16.9
19.4
17.1
18.2
18.3
19.8
18.3
17.9
15
液状化危 延焼危険
険度
度
2
5
1
5
2
5
1
3
2
2
3
5
3
2
2
3
1
2
2
5
0
1
3
4
3
5
3
4
3
2
3
5
3
4
1
5
3
2
2
2
2
5
1
3
1
5
2
4
1
5
1
3
2
4
1
5
3
5
↑ Excelにまとめたものの一部
不動産価格の高い
順にA・B・C・Dグ
ループに分け、地
震動増幅率との相
関を求めた。
Aグループの平
均が小さくなっ
た。上位は静岡
駅周辺が多く、
比較的強い地
盤であったため
と考えられる。
Aグループは地
盤増幅率が1.3に
集中している。
強い地盤に建っ
ている不動産は
最も安価なDグ
ループに集中し
ている。
標高の高い土地に
ある不動産は比較
的安価であること
がわかる。
考察
・標高が高い不動産
が比較的安価なの
は、交通の便が良くな
標高15m~25mに高価な不動産
い土地に建っている
が集中していることがわかる。
からだと考えられる。
・標高15m~25mに高価な不動産が集中しているのは、標
高が高すぎず低すぎない、交通の便の良い高台に立地し
ているからと考えられる。
東海地震で液状化の危
険性があると推定される
場所に建てられた不動産
の件数は、
全部で122件で全体の
約91%にも及ぶ。
液状化危険度別不動産数
岩盤で
砂層なし
5か所
なし
7か所
小
33か所
大
35か所
中
54ヶ所
危険度小が最も高く19万
1430円/㎡。
液状化の心配がないは
ずの『岩盤』『危険性なし』
の平均価格が安価という
結果になった。
液状化が起こる危険性は
不動産価格とは無関係し!
静岡県防災
GIS情報閲覧
ページでは、
延焼火災が
起こる危険度
をランク1~ラ
ンク5の5段階
に分けてい
る。
ランク5が最も多く全体の37%を占める。
ランク1・2と比
ランク1…延焼拡大する危険性はほとんどない
較して、ランク
ランク2…延焼拡大する危険性は低い
3・4・5のほう
ランク3…延焼拡大しても早期に焼け止まる
が平均価格が
ランク4…延焼拡大しても地域内で焼け止まりやすい 高いということ
ランク5…地域のほぼ全域が焼失する危険性がある がわかる。
ランク3・4・5は件数も多い。
危険度の高い土地に価格
の高い不動産が密集してい
ると考えられる。




静岡市の不動産価格は8万~14万が60%を占めてお
り、値段が高いのは静岡駅周辺と清水駅への線路沿
い。
交通の便が良くない標高の高い不動産は安価で、静
岡駅周辺の高台に高価な不動産が立地している。
液状化危険度と不動産価格は関連が見つからない。
延焼危険度と不動産価格には相関がない。
危険だからといって不動産の価格が安かったり、
安全だからといって不動産価格が高かったりといった相関は
ほぼ見つからない。