旧版地形図を用いた静岡市内の 溜め池マップの作成と 地盤リスクの可視化 静岡大学教育学部総合科学専攻 小山研究室 30216015 寺本 洋次郎 写真:小鹿二ツ池 研究背景・目的 国土地理院の旧版地形図には、すでに埋めたてられ て市街地の一部となった多数の溜め池が掲載されて いる。一般に溜め池とは灌漑・防火などの用水をた めておく人工的池のことである。埋め立てられた溜 め池の場所は軟弱な地盤が予想されるため、地震動 の増幅や液状化が懸念されるが、地盤の問題の認 知・対策は立ち遅れている。 本研究は、旧版地形図に載せられた静岡市内の平野 部(とくに市街地となっている場所)の溜め池に注 目し、それらの分布を描いたマップを作成するとと もに、分布特性や現状の土地利用と比較し、地盤災 害リスクを明確にすることを目的とする。 研究方法 ①静岡県統合基盤地理情報システムの旧版地 形図(1918年:大正7年)から、静岡県 の平野部の溜め池を目視によって抽出 ②それらをGoogleMap上にポリゴンとして 描くとともに、中心位置にマーカーを置いて、 その属性として溜め池の面積(㎡)、地名 (市町名+字名)、現在の土地利用(宅地、 学校、公民館、公園などのキーワード)を入 力し分析対象とする。 抽出された静岡市内の溜め池分布 完全埋め立て 一部埋め立て 現存 危険度ランク1(12個) 人的・地理的被害の可能性あり 児童数457人の小学校である。 完全埋め立てなうえに、ほぼ学校全体の地盤が 過去に溜め池であった。緊急時には避難所に指 定されており、多くの人が集まるため危険。 まとめ 完全埋め立て10個、一部埋め立て9個、現存 6個の合計25個の溜め池を抽出できた。 25個の溜め池の面積の平均値としては約91 61㎡で大きいもので10000㎡を超えるも のも見られた。 危険度では高い順に12個・7個・6個と仕分 けした。 抽出したものの中には緊急時の避難所である学 校、公園、さらには神社などが建てられている 場所に位置するものも見受けられた。 今後の課題として静岡市以外の市街地の溜め池マップ の作成を試みる。
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