2006年度「資源と環境」第2回 4月28日 先週のコメント・ペーパーから 環境問題と経済学的視点 ダグラス・ノースの制度概念と環境問題 「資源と環境」で学ぶこと 経済発展・人口成長と資源・環境制約 先週のコメント・ペーパーから(1) パワー・ポイントについて 見やすい画面でした 非常に見にくい/画面がかなり見づらい スライドのテンポが早く、・・・グラフが小さ い パワー・ポイントのコピーを配布してほしい パソコンでダウンロードできるようにできな いか? 先週のコメント・ペーパーから(2) ばら売りのタバコの話 タバコがばら売りされていることは結果 ノルウェーでは禁止的な課税で価格が高 い→タバコに対する需要が抑制される フィリピンでは低所得ゆえ予算の制約が厳 しい→20本まとめて買える人は少ない 価格や所得が人々の行動(消費行動)にど のような影響を与えるか考えてみる→経済 学的な思考法の一つの側面 先週のコメント・ペーパーから(3) 原油価格の高騰 なぜ探鉱・開発投資が伸び悩んでいるの か? 石油に代わる資源や燃料はどのようなも の? 東シナ海で原油が見つかったら原油価格 高騰に歯止めはかかる? オール電化住宅の普及で原油の値上がり は抑えられる? 先週のコメント・ペーパーから(4) ルールの欠如 VS 執行の欠如 執行の欠如はなぜ、どの時点で起きる? 執行の欠如は環境問題に限ったことなの か? 「法の執行」とはどのようなもの? マレーシアはシンガポールよりも環境への 取り組みに熱心? 途上国では環境問題に関する知識が希 薄? 先週のコメント・ペーパーから(5) その他のコメント 資源・環境問題が身近な問題と知った アメリカと中国の今後に注目したい 南と北の立場の違いが理解できた 環境問題概念の整理に納得した 環境問題と経済(経済学)は別々の問題と 思っていたが、密接に関係していると知っ て、驚いた 環境問題と経済学的視点(1) 環境問題は人間の手によって引き起こさ れている問題である。 原因は人間の行動であり、観察される破 壊や汚染といった現象はあくまでその結果 である。 問われるべきは人間行動そのものであり、 それを促しているその社会の有するインセ ンティブ構造である。 環境問題と経済学的視点(2) 当該社会の有するインセンティブ構造 ①所得水準 ②相対価格構造 ③ノース流の制度(社会におけるゲームの ルール)→1)フォーマルなルール、2)イン フォーマルなルール、3)執行 ダグラス・ノースの制度概念 制度は社会におけるゲームのルールであ る。あるいはより正式な言い方をするなら ば、それは人々相互間のやり取りを方向 付ける人々によって考案された制約である。 したがって、制度は、政治的、社会的、あ るいは経済的、いずれであれ、人々のやり 取りにおけるインセンティブを形作る。制度 の変化は社会が時間の経過と共に発展す る経路を決定する。したがって、歴史的変 化というものを理解する鍵である。 環境問題への対応:南北間の相違 ノースにおける制度制約(ルール)の3類型 ①フォーマルな成文のルール(憲法、法律) ②インフォーマルな不文の行為コード(習慣や伝 統を含む) ③執行(enforcement)のあり方(処罰のあり方) →先進国では「法の不在(ルールの欠如)」の下で 深刻な公害被害が発生。途上国ではむしろ「執 行の欠如」が問題。 「資源と環境」で学ぶこと 経済発展・人口成長と資源・環境制約 人口変動の仕組み 市場と価格のメカニズム 市場の失敗と外部性 外部性と政府の介入 外部性とコースの定理 地球温暖化問題と京都議定書 経済発展・人口成長と資源環境制約 (1)近代経済成長 19世紀初頭(西暦1800年頃)の世界人口は1 0億だったといわれている。産業革命が始まった のは18世紀後半の英国であるが、産業化の波 が押し寄せた地域、欧米、日本では一人当たり 所得の持続的な上昇が観察された。しかも、これ ら地域では同時に顕著な人口の増加も見られた。 このような事態は世界の歴史において特異であ り、これを近代経済成長と呼ぶ人もいる。 経済発展・人口成長と資源環境制約 (2)近代経済成長の特質 (1)人口と一人当たり生産が共に急成長するこ と (2)産業構造が急速に変化し、人口の都市化が 生じること (3)以上の変化が一時的ではなく、長期間にわ たって持続すること(自己維持的な成長) 今日では近代成長の波はアジアを巻き込む大き なうねりとなっている。 経済発展・人口成長と資源・環境制約 (3)近代経済成長の環境へのインパクト 環境負荷の要因分解 I=P×K/P×R/K×E/R×I/E ここで 環境へのインパクト=I 人口=P 資本ストック=K 原料必要量=R エネルギー必要量=E とする。 経済発展・人口成長と資源・環境制約 (4)経済成長における資本の役割-1 一般に、一人当たりの平均所得の増加は 広い意味での資本が一人当たりで増加す ることによってもたらされる。 生産関数 Y=F(K,L) ・・・・(1) ここで、Y=産出 K=資本ストック L=労働 経済発展・人口成長と資源・環境制約 (5)経済成長における資本の役割-2 (1)はある仮定の下で次のように書き換え得る。 y=f(k) ・・・・・・(2) ここで、y=Y/L k=K/L 短期を想定し、技術進歩を無視すれば、一人当 たりの平均所得の増加は広い意味での資本が 一人当たりで増加することによってもたらされる。
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