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21世紀経済産業政策の課題と展望(概要)
平成11年12月16日
通 商 産 業 省
目次:
• (論点16)「多参画社会」を目指す背景如何
• (論点17)「多参画社会」のイメージとその実現に向けた政策如何
• (論点18)情報化がもたらす可能性とそこから生じる課題如何
• (論点19)国際経済の将来をどう展望するか
• (論点20)我が国は国際経済面で如何なる方向を目指すべきか
• (付属資料)APEC貿易・投資自由化の効果試算について
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(論点16)「多参画社会」を目指す背景如何。
少子高齢化の進展、多様な価値観の実現要求の高まり、情報化の中で、高齢者を含む個々人が、自らの希
望・能力を活かせる多様な就業・社会参画機会が幅広く創出された社会、すなわち「多参画社会」の形成が必
要。
「多参画社会」における多様な形態での就業・社会参画機会を通じた活動、充足感、将来への希望が、様々
な層の厚い需要を生み出し、供給サイドの競争力と相まって、経済社会全体の好循環を実現。 (「需要面と供
給面の好循環」)
社会変化
1.少子高齢化の進展
・出生率の低下に伴い約1千万人程度の
人口減(2025年)
・労働力人口は5~6百万人の減少(202
5年)
・65歳以上人口は13百万人増加(2025
年)、全人口に占める比率約30%
・社会保障費の急増(230兆円)
2.多様な価値観の実現欲求
の高まり
・物質的豊かさは充足され、国民は、心の
豊かさを重視。個々人の価値観が多様化
。
3.情報化
・年齢・時間・距離ハンディーが補完され、
在宅勤務、NPO等、多様な形態での就
業・社会参画の可能性が拡大。
必要性
「多参画社会」の姿
1.高齢者・女性の一層の
社会参画
○高齢者を含め就業率の
高い我が国の特質にも合っ
た、満足感の高い、安心で
きる日本らしい社会
・高齢者の比率が著しく高まる中、高齢
者自身の自己実現と高齢者の知識・経
験の有効活用が重要化。
・国際的に見て十分とはいえない育児
年齢期の女性の一層の社会参画拡大
が必要。
・少子化との関係でも重要。
2.効率的で小さな政府
○少数の勝者と多数の敗
者の社会ではなく、公平な
格差を許容しつつ皆が勝
者となり得る社会
・増加する社会保障費の圧縮等、効率
的で小さな政府が必要。
・質の高い社会サービスを競争的環境
下で提供。
3.個々人の能力の最大発
揮
・労働力人口減少の中で、個々人が持
てる能力を最大限に発揮できることが
より重要。
競争力ある
供給基盤
需要面と供給面の
好循環
○過度にセイフティ・ネット
に依存しなくて済むという意
味で、国民負担のより少な
い効率的社会
生涯にわたる自己実現
多参画社会での
厚みのある需要
(論点17)「多参画社会」のイメージとその実現に向けた政策如何。
「多参画社会」の具体的イメージ
●官が中心的に担っていた社会的サービス、公共財提供分野への参画
…地域コミュニティ、ボランタリー組織等のNPO、企業への積極的業
務委託・開放(アウトソーシング)
●適正なる評価、本人の意向を前提とした定年者の再雇用機会の積極
的創出
●子育ての負担を社会全体で分担等、女性の就業環境の整備
政策の方向性
1.多様な就業・社会参画機会の幅広い提供
・高齢者の知見・経験を活用した雇用・社会参画機会の拡大
(柔軟な賃金・就労体系に基づく再雇用制度の積極導入、シニアODAの拡充、
基準・認証,教育現場への個々人の知見・経験を生かした参画等)
・個々人の希望・能力に応じて柔軟・多様に社会参画できる環境の整備
(裁量労働制の拡大、NPO活動の環境整備)
2.創造性・専門性・国際性を高める人材育成
企業
NPO
再雇用制度・
カムバック
就労制
社会参画
個人
(高齢者・
女性等)
アウトソーシング
(PFI、基準・認証等)
知見・経験 を活かした
経済協力 、教育等
公的業務 への参画
・創造性豊かな人材を育てる初等教育の改革
(多様な人材の学校関与等)
・多様な専門能力の生涯を通じて養成する体制の整備
(質の高い専門的職業人の大量養成等)
・国際性ある人材の育成
(英語教育の拡充、外国人子女受入れ支援等)
3.魅力ある地域コミュニティの形成
アウトソーシング
(福祉等地域行政
サービス)
・外部資源に依存しない自立的発展への環境整備
(大胆な市町村合併等)
・NPOへの地域行政事務の積極的アウトソーシング
・高齢化で崩壊が懸念されるコミュニティの問題への対応
(公共事業依存型から高齢福祉対応型への経済構造の転換)
4.少子化対応の環境整備
・子供を持つ女性の就業への支援策
(保育所の拡充、カムバック就労制導入等)
政府
(国及び地方)
5.確かなセイフティ・ネットの充実と再挑戦の支援
・持続可能な社会福祉制度の早急なる確立
・エンプロイアビリティの向上、労働市場のマッチング機能向上、起業支援
・消費者保護の充実
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(論点18) 「情報化」がもたらす可能性とそこから生じる課題如何。
情報化の時代的位置付け
国家・政府
●情報通信革命は農業革命、産業革
命に次ぐ第三の波。
A・トフラー「第三の波」
● 今日の情報革命は、 文字の発明、
書物の発明、活版印刷の発明に次ぐ、
人類史上四度目のもの。
P・ドラッ
カー「明日を支配するもの」
●デジタル革命それ自体は、何の革
命も起こさない。コミュニケーションが
容易になったとしても、それだけでは
意味がない。重要なのは、コミュニケ
ーションの内容、そして人類がコミュニ
ケーションによって何をするかである。
G・セレンティ「文明の未来」
経済・企業
●情報受発信コストの著しい低減により、企業
活動の効率性、創造性、多様性を最大化すべく
既存の企業組織、企業経営システムが根底か
ら変革され、 新たなビジネス・モデルを構築した
ものが創造的レントを獲得。
-企業間、企業・消費者間の電子商取引の普及によるコス
ト削減
-コア・コンピタンスへの集中を可能とするアウトソーシ
情報化をもたらした要因
<国際環境>
冷戦の終焉により、ボーダレス化が一
層進展。
<経済社会の要請>
経済社会活動効率化の要請と多様な
価値観の芽生え。
<技術の革新>
デジタル化技術が情報の処理・加工・
伝達・蓄積の容易化。
ネットワーク化技術が時空を超越した
双方向コミュニケーションを可能に。
予想される変化
●政策決定への国民の参画機会が拡大する反面、既存のガバナン
スのメカニズムが変質する。
●ビット化されるものについては実態上国境が稀薄化し、サイバー
空間の上に自由な市場や社会が形成される反面、徴税権や知的財
産保護、個人のプライバシー保護等の分野で既存の法体系ではカ
バーできない真空地帯が発生する恐れあり(主権国家の相対化)。
-サイバー空間における立法・行政・司法権の帰属の問題
-デジタル化された知的財産の保護の問題
-インターネット上を流通する個人情報の保護の問題
-電子商取引における個人の特定性の問題
ング・ビジネスの拡大
-個人の創造性を最大限に引き出し、迅速な意思決定を可
生活・社会
能とするフラット型組織
●また、情報を媒介として産業の融合・変態が
進展するとともに、これまで情報化に馴染まな
いと思われていた既存産業にも革新の機会が
到来。
-産業の融合化…流通・金融業、製造・サービス業 等
-農業…情報バイオ技術の応用、工場農業 等
-製造業…設計、製作、金型作成、量産時の生
産プロセス、流通・販売プロセス 等
●電子商取引の普及等により、余暇・消費活動の利便性が飛躍的に向
上するとともに、NPO等の社会組織の活動が容易化し、多参画社会形
成の基礎的条件が整備される。
-財・サービスの情報収集・購入コストの低下と選択肢の多様化
-NPO活動への参入障壁の低減(情報収集、意思表明の容易化)
●他方、情報流通量の爆発的増加によって、個々人に情報選択の自
主性と行為の自己責任が強く要求されるようになるとともに、本格的な
デジタル・ネットワーク社会への移行の過程で、教育・文化等社会の既
存の共通基盤の変質や情報リテラシー弱者の発生が懸念される。
取り組むべき課題と対応の方向性
●経済・社会活動を律する国内外のルール整備[競争秩序(独禁法)、知的財産保護(著作権法、特許法、商標法、不正競争防止法等)、社会規範の維持・個人のプライバシー保護(刑法)、 電子商取引
(民法、刑法、商法)]
●情報処理・情報通信技術の更なる高度化と他領域技術との融合による新たな技術フロンティアの創成、情報機器のユーザーフレンドリー化、ネットワーク等「情報」利用環境の整備
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(論点19) 国際経済の将来をどう展望するか。
国際経済システムの多極化
冷戦直後の米国一極集中的な体制から、地域統合の拡大・深化、経済力の相対的変化等によって、分野ごとに世界的優位性を
持つ複数の国々が分担し合いながら国際秩序を形成・運営していく多極的なシステムの時代へ。(超大国による一方的措置の可
能性は減少するが、地域紛争多発の危険性は増大。)
●地域統合の拡大・深化
-域内統合を深化させつつ域内統合の先行的経験も活かして、世界の第二極として存在感を増すEU
-多様な形態の地域統合が世界的に拡大し、地域統合が国際経済の主たるユニットへ。
-他方で、国際統合の強化(WTOの発足、国際的枠組みへの参画が旧社会主義諸国等に拡大)も進行。
●一部途上国の発言力上昇(人口 中15億人・印14億人(2025年 国連統計);GDP 日4.2 米7.7 中 0.8 印0.4兆US$(1997年
世銀統計))
東西冷戦の終焉
情報化
アジアの経済発展
途上国の人口爆発
地球環境問題の
深刻化の懸念
市場のグローバルな一体化
市場経済圏の世界的拡大の中で、「モノ」「カネ」「情報」の一層自由な移動により「国境」の経済的意味が更に希薄化。このため、
国際企業競争サバイバルの要請が高まる一方で、グローバルな課題への対処やグローバリゼーションを律する秩序が強く求めら
れる時代へ。(なお、冷戦後にあっても多様なシステムが併存するアジアにおいて、市場の一体化によって、経済の危機や量的拡
大が国内経済システムの質的変化を招来する可能性が増大。)
●国際競争の激化
-絶えざる主役の交代、大規模合併による世界的寡占化、国境を越えた企業立地競争
●情報ネットワークの世界的広がり
-国際資本移動の加速による効率化と不安定化
-多様な主体の世界的活躍機会の拡大(多国籍企業、NGO、地域コミュニティ)と、国際関係の錯綜
-情報アクセスの飛躍的改善と、サイバー空間無秩序化の危険性増大
各
国
の
利
害
の
輻
輳
(論点20) 我が国は国際経済面で如何なる方向を目指すべきか。
アジア経済統合の深化
国際分業の深化をふまえたアジア経済統合への取り組みや、経済統合とリンクした経済産業政策の展開等により、グローバル化する
国際経済関係の一層の緊密化と我が国経済の発展を図る。
[アジアの重要性] アジアでは一体化が進行。アジア各国は、フルセット産業構造をもはや自前で国内には完備し得ない。
日本とアジアの補完性(市場、技術、人材、資本、情報)
今後対応すべき課題(環境・エネルギー、情報化等)と急速な近代化の経験を共有するパートナー
[政策]域内貿易・投資自由化(APEC域内自由化(2010/2020年)、AFTA、二国間での自由化取組等)、 域内制度の整合化(標準、基準・認証制度等 )
域内経済統合を支える経済発展基盤の整備(人材派遣・養成、知的基盤・知的財産権制度等を域内経済活動高度化を支えられるレベルに整備)
環境エネルギー協力(省エネ、原子力安全技術協力、天然ガス・パイプライン等のインフラ整備等)
日韓等の包括的経済関係の深化、域内経済システム整備や国際秩序形成へのAPECやASEAN、二国間での取組等の活用等
経済規模(APEC 57.1% 、NAFTA30.8%、EU28.7%(対世界1997年 世銀統計))
域内輸出比率(APEC 71.9%、 NAFTA49.1% 、 EU 55.4% (1997年 世銀統計))
域内における「貿易・投資自由化」がAPECのGDPに与える効果=+約4%(計量モデルによる試算[付属資料参照])
石油輸入の中東依存度(日 78.8% 中45.4% ASEAN4 82.8%(1995年 各国貿易統計)→今後更に上昇)
草の根レベ
ルにも広がっ
て深まる経済
圏生成の確
実化
特にアジアにおける人的交
流の拡大・深化
アジアにおけるマルチ
交渉の補完・先取り
人的側面からの参画を通じた国際秩序形成への関与の深化により、
「かね」「もの」に加え「ひと」による価値創造・発信機会の拡大を実現。
「多参画社会」のグローバルな展開
[自立的発展に向けた顔の見える協力]
多面的な人的交流ネットワークの拡大
-研究人材の引き付け、留学生受入れ拡大(在留資格要件の緩和等)
-高齢者含め幅広い国際参画の支援(シニアODAの拡充等)
国際性を備えた人材の育成強化
国際経済秩序の構築・運
営への能動的な参画
貿易自由化と新たな国際規律の導入
日米同盟に加え日欧連携の強化
経済安全保障の確保
(付属資料) APEC貿易・投資自由化の効果試算について
1.APECにおける財・サービス貿易、直接投
資の自由化の定量的効果について、一般均
衡計量モデルを用いて試算。
GDP押上げ効果[%]
2.APEC「域内自由化」(関税撤廃、サービ
ス自由化、直接投資・技術移転)がAPECの
GDPに与える効果=+約4%
APEC加盟国
PEC参加国
世界計
APEC参加先進国
3.しかも、発展途上国でより効果大
(+約13%)。
うち 日本
4.加えて、域内だけでなく、世界全体にもプ
ラス効果(約2%)。
APEC参加途上国
5.ただし、「空洞化」によるマイナス効果を
避けるためには、先進国で一層の創造的レ
ント創出の取組は必要。
米国
うち NIEs
ASEAN 関税
0.25
0.49
0.27
0.78
0.01
1.51
0.74
1.64
サービス
投資
0.73 1.29
1.36 2.33
1.33 0.55
1.62 0.58
1.01 0.53
1.51 10.45
2.06 1.58
1.38 8.66
(注)
1.GTAP(Global Trade Analysis Project)モデルを用いた試算。3ケースでは前提が異なるため、総和の解釈や各ケースの比較には特に注意を要する。詳細につい
ては、参考資料集参照。「NIES」は、韓国、台湾、香港、シンガポールの計。「ASEAN」はタイ、マレイシア、インドネシア、フィリピンの計。
2.「関税」は、全品目(鉱工業品・農産物)の関税率ゼロのケース(資本蓄積を通じた動学効果は含まず。)。
3.「サービス」は、サービスに関する貿易障壁が完全に撤廃された場合に生じる価格低下を生産性上昇により実現させたケース。
4.「投資」は、域内途上国各国において90年代の海外直接投資増加と同率の投資が先進国からのシフトにより実現するケース。併せて、先進国から途上国への投
資に、完全な技術移転(労働生産性の均等化)が伴うと仮定。
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