6章 仮説検定の基礎 6.2 平均値の検定 (分散は未知、小標本法) [例2] 本好きな A 君 自分では「月平均 2 万円の出費」 よく金を貸す友人の B 君が調査 4 ヶ月の本代 x = 23182 円/月 標本平均 標本標準偏差 s = 2000 円/月 検定問題: A君の本代平均 μ は、 μo = 月 2 万円(Ho : μ = μo)か? それとも、月 2 万円を超えている (H1 : μo < μ)か? 使用する性質 A 君の月々の本代 ~ 正規分布 と仮定 X T S/ n ~ 自由度 n – 1 の Student の t 分布 (定理4.7) t (自由度 3) 10%→ 2.5%→ 5%→ 1%→ -1 0 1 2 3 =t 4 4.541 -2 3.182 -3 2.353 1.638 -4 5 6 T 7 仮説の下での標本値 x o 23182 20000 t 3.182 s/ n 2000/ 4 求める確率(有意水準、P値) X o P T ≧ t 3.182 2.5% S/ n 自由度 n – 1 = 4 – 1 = 3 Student の t 分布 (統計的)結論 仮説(Ho : μ = μo)が正しいとすれば、 標本のように大きな t 値が出現する確率は 2.5 %(40回に1回)。 (偶然変動として)やや稀な事象 ⇒ この結果は有意(偶然変動ではない)。 よってA君の平均本代は月2万円を超えて いると考えた方が良いだろう。 6.3平均値の差の検定 [例3] ある企業:電球銘柄 A 使用。 セールスマン:電球銘柄 B を薦める。 A, B 各々 100 個の電球の寿命を計測。 銘柄 A: x A = 1180 時間, sA = 90 時間 銘柄 B: x B = 1140 時間, sB = 120 時間 検定問題: 銘柄 A, B の寿命は同じ(Ho : μA = μB)? それとも、異なる(H1:μA ≠ μB)か。 使用する性質 定理: 正規分布の再生性 (講義用資料2より) X ~正規分布(平均 μX 、分散σX2 ) Y ~正規分布(平均 μY 、分散 σY2 ) かつ X, Y が独立 Z = X + Y ~正規分布(平均 μZ = μX + μY、 分散 σZ2 = σX2 + σY2 ) 系 Z = X – Y = X + (-Y) ~正規分布(平均 μZ = μX - μY、 分散 σZ2 = σX2 + σY2 ) 仮説 Ho : μA – μB = 0 対立仮説 H1 : μA – μB ≠ 0 検定統計量: X A X B 標本サイズ 100 の標本平均値の分布 ⇒ 中心極限定理 ⇒ 近似的に「正規分布」 XA XB ~ 正規分布(平均 μA – μB 、 σ σ 分散 n A nB 2 A 2 B ) Z X A X B A B 2 A / nA / nB 2 B 仮説 Ho : μA – μB = 0 の下で Z XA XB 2 A / nA / nB 2 B ~ 標準正規分布 その標本値(大標本法) z 1180 1140 8 2.66 2 2 90 / 100 120 / 100 3 n(0, 1) ←1% ←5% ←2.5% -1 0 1 2 2.67 2.33 -2 1.96 1.64 -1.64 -1.96 -3 -2.33 -4 5%→ 1%→ 2.5%→ Z 3 4 =z P Z ≧ z 2.66 ≒ 0.0038 2 0.0076 (統計的)結論 仮説(Ho : μA = μB )が正しいとすれば、 標本のように大きな差が出現する確率は 0.76 %(132回に1回)。 (偶然変動として)稀な事象 ⇒ この結果は有意(偶然変動ではない)。 よって今使っている銘柄Aの方が平均寿命が 長いと考えた方が良いだろう。
© Copyright 2024 ExpyDoc