第10回講義資料

確率・統計
第 10 回講義概略
正規分布
正規分布の分布関数と確率密度関数
! !
同じ分布に従う 個の独立な確率変数 ) ) ,) のサンプル平均 ) は を大きくすると正規分
布 ガウス分布 に従う.このとき,たとえ確率変数 ) ) ,) が離散型確率変数であっても, が
十分に大きい場合を考えているので, ) を連続型確率変数と見なすことができる.連続型確率変数がとる
値を とするとき,) が をもつ確率を議論するのではなく,必ず などのように ) が有限の
範囲に入る確率を考える.今後は正規分布する確率変数を連続型変数と見なして改めて ) を表す.
正規分布の確率密度関数 は
! !
. ´ µ¾
¾ ¾
で与えられる.ここで,+ は ) の平均,. は分散であり,この正規分布を + . と表す.もちろん,
である.このことを確かめるためには,公式
¾
- である
式 を証明するのは比較的容易である. ) の平均が + であることは + + + と書き換えて,右辺の第1項の被積分関数が + について反対称関数,すな
わち + + + + であることから明らかである.また,分散が . であることは,
式 の両辺を で微分して得られる
を用いる.不定積分 を解析的に求めるのは難しいが,
¾
¾
を用いれば確かめることができる.
* 図 正規分布 .確率密度関数 .* は分布関数.+ ,. .
) +
により,1 の確率密度関数は
変換 1 .
となる.この変換を標準化といい,このときの確率分布を標準正規分布と呼んで, で表す.
½ ¾
¾
図 正規分布 の分布関数.+ ,. .
* 正規分布もまた2項分布の における極限として得られるが,ポワソン分布とは異なり, を仮定する必要はない.
多くの場合に,同じ分布に従う 個の独立な確率変数のサンプル平均が正規分布となることが証明され
る.これを中心極限定理という.また,同じ独立な試行を 回繰り返したときに,事象 が起こる回数 の相対頻度 は の起こる先験的確率 に近づく.これを大数の法則という.
標準正規分布の分布関数 * は * となる.このとき,標
準正規分布の に対する対称性より * であることに注意しておく.実用上では,関数
" * を定義して," の関数表 標準正規分布表 を参照することが多い.
例えば,平均 ,分散 の正規分布に従う確率変数 ) の確率 を求めるには のように標準化して,表 を参照すると, と求められる.
表 標準正規分布表
" 正規分布の分布関数と標準正規分布表
½ ¾
¾
½ ¾
¾
問題1 正規分布:変数の1次式 ) が平均 +,分散 . の正規分布をする確率変数であるとき,0
) の平均と分散を求めよ.
問題2 正規分布:ある範囲の確率 ) が標準正規分布をもつとき, ) が # ) を求めよ.
の値をとる確率
の確率分布をもつとき,表 の値を内挿すること
問題3 正規分布:分布の内挿 確率変数 ) が により,# ) を求めよ.
問題4 正規分布:偏差値 試験などの偏差値は点数を正規分布であると仮定し,平均を
,標準偏差を
として計算する.ある試験で 名が受験した.この試験で偏差値 以上の受験生の人数を求めよ.
3
3
るネジが合格品である. 個の内不良品の数を求めよ.
問題5 正規分布:不良品 ある工場では1日にネジを
個生産している.作られたネジの長さ は
正規分布をしており,平均は ,分散は である.それらの内 の範囲にあ