(1) Relative Performance and R&D Competition (2) Relative Performance and Stability of Collusive Behavior Joint work with Noriaki Matsushima 2008/4/16 Oligopoly Theory 1 Plan of the Presentation (1) Relative Performance (2) Stability of Collusion (3) Relative Performance and Stability of Collusion (4) Strategic R&D Competition (5) R&D Competition and Competitiveness in the Product Market (6) R&D Cooperation and Relative Performance 2008/4/16 Oligopoly Theory 2 Relative Performanceの重要性 2008/4/16 Oligopoly Theory 3 相対利潤 各企業が自社の利潤ではなくライバルとの相対利潤 を最大化したら?(利潤の差を最大化) →よりaggressiveに生産する 2008/4/16 Oligopoly Theory 4 均衡 最大化の一階条件 P+P'Y1-C1' -P'Y2=0 →symmetricな均衡(Y1=Y2)では価格=限界費用となる (完全競争の世界) ⇒数量競争の文脈で、寡占市場でも激しい競争になる 典型例 この状態がevolutionary stable (Vega-Redondo, 1997) 2008/4/16 Oligopoly Theory 5 相対利潤 U1=π1-απ2 α=1 完全競争 α=0 Cournot α=-1 Collusion 完全競争からカルテルまで競争度を連続的に表現で きる 応用例 カルテルの安定性はαに関して単調減少 R&Dの水準はαに関して非単調ーU字型 製品差別化の程度はαに関して単調減少 自由参入市場の企業数と価格はαに関して単調減少 2008/4/16 Oligopoly Theory 6 相対利潤・相対評価の正当化 (1)CEOの市場での評価 (2)evolutionary approach (3)ねたみ、利他主義(実験経済学・経済心理学 の成果) (4)Fershtman and Judd (1987)の応用 (5)政治学の分野への応用 (6)ステータスの議論 2008/4/16 Oligopoly Theory 7 Conjectural Variation conjectural variation(推測変動) 自社が1単位生産量を増やすとrだけ市場全体の全体の 生産量が増えると仮定して各企業が行動する。 Cournotならr=1。 Conjectural Variation Model~Cournotを特殊ケースとし て含む一般的モデル(?) でもr=1以外のケースは意味あるのか? 2008/4/16 Oligopoly Theory 8 Conjectural Variation Modelの解 Duopoly, 同質財市場、限界費用一定で両企業の限界費 用は同じ(c) 企業1の一階条件 P+P'rY1 =c 2階条件は満たされているものとする 均衡の導出 P+P'rY1 =c、P+P'rY2 =cの連立方程式を解く 2008/4/16 Oligopoly Theory 9 Conjectural Variation Model r≠1とする 企業1の生産量の変化は企業2の生産量も変化させる →企業1の生産量を見てから企業2が生産量を決めるの でないとおかしい 企業2の生産量の変化は企業1の生産量も変化させる →企業2の生産量を見てから企業1が生産量を決めるの でないとおかしい ⇒静学的なモデルとしては論理的に破綻している 2008/4/16 Oligopoly Theory 10 論理的に破綻しているのになぜ Conjectural Variation Modelが使わ れるのか? (1)an unmodeled dynamic model ~動学的なinteractionを考えている →もしそうなら動学モデルを作るのが筋 (2)市場の競争度を表現 2008/4/16 Oligopoly Theory 11 Conjectural Variation Modelの解 CV Modelでの企業1の一階条件 P+P'rY1 =c Cournot Model での企業1の一階条件 P+P'Y1 =c r=1に対応 Bertrand Model~完全競争モデルでの一階条件 P =c r=0に対応 Joint Profit Maximization(カルテル)での一階条件 P+P'(Y1+Y2) =c r=2に対応 それぞれ競争度の違うモデルに対応。rが小さいほど競争 が激しい。競争度を特定化しないでモデル化できる。 ~実証系の論文で特にadvantageがある。 2008/4/16 Oligopoly Theory 12 相対利潤アプローチのadvantage (1) 静学的モデルとして破綻していない(コンシステ ントなモデル)。 (2) Cournot, Bertrand, Collusionの3つの間の競争状 態に対してもちゃんとしたfoundationがある。 (3) 静学的な文脈ではより現実的(おそらく賛否両論 ある) 2008/4/16 Oligopoly Theory 13 Stability of Collusion 2008/4/16 Oligopoly Theory 14 囚人のジレンマ 2 C 1 D C (3,3) (0,4) D (4,0) (1,1) ナッシュ均衡:(D、D) 2008/4/16 Oligopoly Theory 15 囚人のジレンマと協調 現実には囚人のジレンマの状況でも協調行動がしばし ば見られる。なぜか? (1)人間は合理的でない 。 (2)Playerの利得が第3者に分かる金銭的な(経済的 な)利益のみに依存していない。→囚人のジレンマ の状況になっていない。 (3)短期的な利益を犠牲にしても長期的な利益のため に協調する。→繰り返しゲーム 2008/4/16 Oligopoly Theory 16 (2)の発想: 囚人のジレンマ修正版 2 C 1 D C (3,3) (0,2) D (2,0) (1,1) ある種の利他主義 ナッシュ均衡:(C、C) (D、D) 2008/4/16 Oligopoly Theory 17 (3)の発想:繰り返しゲーム 同じゲームが将来にわたって長期的に繰り返される。 →将来の利益のために短期的な利益を犠牲にする可 能性がある 2008/4/16 Oligopoly Theory 18 無限繰り返しゲーム 同じゲームを無限回繰り返す。 各回ごとに利得が発生。 その割引現在価値を最大化する 今期の利得+δ次期の利得+δ2 次々期の利得+ δ3 次々々期の利得+... δ∈(0,1):割引因子 2008/4/16 Oligopoly Theory 19 割引因子の意味 (1)利子率を反映 δ=1/(1+r) r:利子率 (2)主観的割引率を反映:将来をどれぐらい軽視するか の指標、その主体がどれぐらい忍耐強いかを表す指 標(忍耐強いほどδは大きい) (3)ゲームが次の期まで続く確率 ⇒実際には無限にゲームが続く確率はほぼゼロでもか まわない~見かけほど非現実的な状況ではない 2008/4/16 Oligopoly Theory 20 部分ゲーム完全均衡 以下の戦略はδ≧ 1/3である限り、部分ゲーム完全 均衡となる。 各playerはそれ以前に2人とも一度もDを取っていな いときCを取り、これ以外の場合にはDを取る。 2008/4/16 Oligopoly Theory 21 協調の難しさ(不安定性)の指標 δ が十分大きければ協調は部分ゲーム完全均衡として 実現できる → δ が小さくなったときにどこまで協調が可能か? 協調可能な最小のδ( δ* )が大きいほど 協調は困難 (協調は不安定) 2008/4/16 Oligopoly Theory 22 Infinite Nash Reversion infinite Nash reversion (grim trigger strategy) 誰かがカルテルを破る →その後はずっと競争状態になる cf Optimal Penal Code 2008/4/16 Oligopoly Theory 23 知られている結果 (1)企業数が多いほどカルテルは不安定 (2)企業間の非対称性が大きいほどカルテルは不安定 (3)製品差別化が小さいほどカルテルは不安定 (Hotelling, mill pricing) (4)企業間の距離が大きいほどカルテルは不安定 (delivered pricing) (5)cross licensingがあるとカルテルが安定(Bertrand, Cournotだと逆) 2008/4/16 Oligopoly Theory 24 この論文でやったこと 相対評価の指標とカルテルの安定性の関係をみる ~どんな市場構造でカルテルが安定的になるかをみ る カルテルがないと仮定すればより競争的な市場 →でもこれがよりカルテルを安定的にしているとす れば、競争政策当局の監視が必要 2008/4/16 Oligopoly Theory 25 トレードオフ αが大きいほど競争が激しい →punishmentがよりきつくなる ⇒カルテルはより安定的に αが大きいほど相手を出し抜く誘因が強くなる ⇒カルテルはより不安定的に どっちが強いか先験的にはわからない α=0から出発してαが少しあがる(より競争的にな る)とカルテルはより安定的になるのか? 2008/4/16 Oligopoly Theory 26 命題 αが大きいほどカルテルは不安定に 単調性が出ると思ったのに。ちょっと残念。 2008/4/16 Oligopoly Theory 27 R&D and competition 2008/4/16 Oligopoly Theory 28 R&D投資と競争 ・独占的な利益があるから投資できる。 ・研究開発のスピルオーバー効果を考えると、ライバルを 利することのない独占市場の方が投資が進む。 ・規模の経済性があるので、独占の方が投資の誘因は強 い。 ・製品市場での競争圧力があるから生き残りのために投 資する。 ・製品市場でのリプレースメントお恐れない新規参入者の 方がより投資する。 2008/4/16 Oligopoly Theory 29 戦略的R&D投資 Brander and Spencer Model 競争市場における費用削減投資 Cournot競争 スピルオーバーなし 2008/4/16 Oligopoly Theory 30 Cournot Model Y2 企業1の反応曲線 企業2の反応曲線 Y2 C 0 Y1 2008/4/16 Oligopoly Theory C Y1 31 反応曲線のシフト Y2 企業1の新しい反応曲線 企業2の反応曲線 ライバルの生産量を減らす Y2 C 0 →自社の利潤を増やす Y1C 2008/4/16 Oligopoly Theory Y1 32 Cost-Reducing Investments Model Duopoly, homogeneous goods market First stage: Each firm i independently chooses Ii (R&D investment level), which affect its production costs. Second stage: After observing firms' production costs, firms face Cournot competition. Payoff: Π1=P(Y1+Y2)-C1(I1)Y1-I1 2008/4/16 Oligopoly Theory 33 backward induction 第2段階 Cournot競争 Y1 C (I1,I2), Y2C(I2,I1) 自社の生産量は自社の投資の増加関数でライバルの 投資の減少関数 第1段階 1階条件 P'Y1 (∂Y1C/∂I1 + ∂Y2C/∂I1)+P ∂Y1C/∂I1 -C1'(I1)Y1- C1 ∂Y1C/∂I1 -1=0 2008/4/16 Oligopoly Theory 34 First stage 第1段階 1階条件 P'Y1 (∂Y1C/∂I1 + ∂Y2C/∂I1)+P∂Y1C/∂I1 -C1'(I1)Y1- C1 ∂Y1C/∂I1 -1=0 P'Y1∂Y2C/∂I1 -C1'(I1)Y1-1=0 (envelope theorem) Cost-Minimizing Level -C1'(I1)Y1-1=0 Investment level exceeds cost minimizing level under strategic substitutes~ strategic effect 自社の限界費用が下がる→ライバルの生産量が減る →価格が上昇→additionalなgain 2008/4/16 Oligopoly Theory 35 反応曲線のシフト 企業1の新しい反応曲線 Y2 企業2の新しい反応曲線 両企業の利潤が 減ってしまう Y2 C 0 Y1C 2008/4/16 Oligopoly Theory Y1 36 この論文でやったこと 相対評価の指標とR&D投資の大きさの関係を みる~どんな市場構造でR&D投資が盛んにな るのかをみる 2008/4/16 Oligopoly Theory 37 トレードオフ αが大きいほど競争が激しい →均衡生産量が多くなる ⇒より多く投資する誘因 αが大きいほど反応曲線の傾きが緩やかになる →投資を増やしてもよりライバルの生産量が減りに くくなる(戦略的効果が弱まる) ⇒より少なく投資する誘因 どっちが強いか先験的にはわからない 2008/4/16 Oligopoly Theory 38 命題1 αとR&D投資の関係はU字型。最小値はα=1/3のと き。 ・独占時と完全競争時に投資は極大。Cournot競争か ら少し競争が激しくなると投資量は減る。 ・Cournot競争から出発して競争度が少し増すと投資が減 る。 ・Cournot競争から出発して「ねたみ?」が入ると投資量が 減るが、その程度が激しくなると投資は増え出す。 2008/4/16 Oligopoly Theory 39 命題1の意味 ・競争度と研究開発投資の関係はU字型。 →競争的な環境でも独占的な状況でもそれぞれ投資水準 はピークになる。 ⇒競争派も独占派もどちらも正しい ・Aghion et al (2005)とは逆の結果 2008/4/16 Oligopoly Theory 40 Joint Implementation 共同でR&D投資。 Second Stageでは競争。 命題2 投資量はαの減少関数 →共同で研究開発する場合には、製品市場が competitiveだとinnovationが停滞する 競争が激しいほど、費用の増減が価格に転嫁されや すい→共通の費用を下げる誘因がなくなる 2008/4/16 Oligopoly Theory 41 メッセージ Relative Performanceという発想でIOのあらゆる世界 を書き換えたい。 ~こんな単純な発想で全く違った世界が現れるはず ⇒関心持った人是非一緒に論文書きましょう!! 2008/4/16 Oligopoly Theory 42
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