Endogenous Access Charge and Leadership by Vertically Integrated Firm Joint work with Noriaki Matsushima Oligopoly Theory 1 Plan of the presentation (1) Essential Facilities and Competition (2) Access Charge (3) Cost Allocation (4) The Model Formulation (5) Results and Implications Oligopoly Theory 2 不可欠設備(essential facilities) 不可欠設備~ボトルネック設備 それがないと市場に参入できないが、参入企業が自力で それを作ることが(技術的・経済的に)難しい設備 一般的には大きな規模の経済性を持つ施設 (例)通信市場における市内回線、光ファイバー網 電力市場における送配電網 都市ガス市場におけるパイプライン網 インターネットにおけるOS、課金・認証システム ポータルサイト、電信柱、電柱、洞道・管路 基地局のスペース、電波、位置情報 Oligopoly Theory 3 接続規制 不可欠設備~ボトルネック設備 それがないと市場に参入できないが、参入企業が自力で それを作ることが(技術的・経済的に)難しい設備 これを開放しないと競争にならない →使用料を払うことを条件にこの施設を新規参入者にも 使わせるようにする →何の規制もなければ独占力を行使されてしまう ⇒(ボトルネック性の大きさに応じて)規制がされる Oligopoly Theory 4 接続料金に関する様々な規制 (1)紛争処理システム整備~使用料は当事者の交渉に よって決まり、不調時のみ調停する (2)対外無差別規制~自社以外の者が使用する料金は 使用条件が同じなら同じにする (3)内外無差別規制~自社の使用条件と他社の使用条 件を同じにする←ある種の会計分離 (4)約款規制~自社以外の者が使用する場合にはあら かじめその料金を公示させる (5)料金水準そのものを一定のルールで決める。その ルールは事業者が自主的に決めて公表する。 (6)料金水準を決めるルールを公的に決める。 Oligopoly Theory 5 原価ベースの接続料金 (1)報酬率上限規制:資本に対する利益率を計算し、そ の利益率が上限を超えないようにする →報酬率>真の資本費用⇒過大投資 →報酬率<真の資本費用⇒過小投資 アバーチ・ジョンソン効果~この効果は接続料金規制だ けでなくあらゆる局面で起こりえる。 (2)総括原価主義:実際にかかった費用(含む資本費 用)を回収できるような料金。自己資本については(他 事業者のデータを使うなどして)一定のルールで算定。 ⇒費用削減の誘因が無くなる⇒プライスキャップ規制 Oligopoly Theory 6 増分費用ルール 他社がボトルネック施設を使うことに伴って余分にかかる 費用を接続料とする ~費用の太宗を占める埋没費用(固定費用)部分が回収 できない →投資の誘因を著しく損なう Oligopoly Theory 7 長期増分費用ルール 長期増分費用ルール(LRIC) 長期の観点から、新たにボトルネック施設を作り直すと仮 想的に考えて、そこで発生する費用を回収できるような 接続料金を設定 (特徴) (1)固定費用分も回収できる⇔増分費用ルール (2)実際にかかった費用(歴史的原価)ではなく、今作る としてかかる費用~forward looking Oligopoly Theory 8 Forward looking vs Backward looking Forward Looking: 現在の最新の技術を使って仮想的に費用を算定 →シミュレーションに基づく算定 Backward Looking=Historical Costs 実際にかかった費用をもとに算定 ~総括原価主義に近い ・実際にかかった費用の回収をより確実に回収 ・費用に無駄が入っている可能性を排除できない Oligopoly Theory 9 既得権益保護ルール 販売価格ー(新規参入者が供給したとしたら節約できる) 可変費用=接続料金 新規参入者の利益=可変費用のadvantage分だけ 問題 ・既存企業の利益の確保→競争が消費者の利益につな がりにくい~ここまで既存事業者を保護する必要があ るのか? Oligopoly Theory 10 共通費用の配分 独占部門を複数持つ and/or 独占部門と競争部門を同時 に持つ。 (例) ・部分自由化市場(電力、都市ガス) ・不可欠施設の部門と競争部門の兼営(電気通信、電力、 都市ガス) ・リーザーブドエリアを持つ事業(各国の郵便事業) ・ユニバーサルサービス部門と競争部門の兼営(電気通 信、電力、都市ガス、郵便) Oligopoly Theory 11 共通費用の配分 独占部門を複数持つ and/or 独占部門と競争部門を同時 に持つ。~共通にかかる費用が存在 (例)・両部門の事務管理をする従業員の人件費 ・会計、税務費用 ・アンシラリーサービスにも発電にも使う発電所 ・アンシラリーサービスにもガス供給にも使う設備 ・規制分野にも自由化分野にも使う送電線・ガスパイプラ イン これをどう部門間に配布するか? Oligopoly Theory 12 接続費用 一応ルールは決まっていて、建前としてはmanipulation の余地はない →現実には色んなやり方でmanipulation可能 ・費用計上の範囲 ・共通経費の配布方法 ・費用の水増し? ・適正報酬率の操作 ・償却年数の設定 ・技術的な操作 Oligopoly Theory 13 この論文でやったこと どんな市場構造で操作の誘因が大きくなるか?(接続料 が実際に低くなるか?) Duopoly Model 企業0が不可欠施設を保有 企業1と企業2が市場で競争(Cournot, two Stackelberg) 企業1と企業0が統合(垂直統合のケース) 企業1と企業0が分離(垂直分離のケース) だれが操作するか Oligopoly Theory 14 モデル1、2 垂直統合企業と新規参入者の競争 Duopoly Model 企業1~不可欠施設を保有 企業2~企業1に生産量1単位あたりr払って不可 欠施設を借りる 需要関数線形、限界費用一定 企業2の限界費用はr、企業1の限界費用はc。 Oligopoly Theory 15 モデル1 First stage 企業1がrを決定 manipulationの費用L(r) 努力しないと低い水準に設定されてしまう。 Second stage 企業1と企業2が数量競争 (1)Cournot(均衡outcomeを上付添字Cで表す) (2)企業2がleader(均衡outcomeを上付添字Iで表す) (3)企業1がleader(均衡outcomeを上付添字Dで表す) 利得 Π1=(p-c)Y1+rY2-L(r) Π2=(p-r)Y2 Oligopoly Theory 16 例~ガスの託送費用 都市ガス事業者のパイプライン網に新規参入者が接続し て都市ガスを供給 都市ガス供給の流れ ガス田→液化施設→LNG船→陸揚げ施設→LNGタンク →液のくみ出し→気化→熱量調整・付臭→計量→パイプ ライン網 託送費用に入るもの 気化圧送:LNGタンク付属のポンプ、気化器 パイプライン網:パイプライン、ガバナーステーション、ホル ダー Oligopoly Theory 17 気化圧送費用 これは生産ないし小売りの費用なのか、不可欠施設の費 用なのか? ガス事業者:ネットワーク運営に不可欠な機器であり、託 送費用に含めるべき 新規参入者:新規参入者も同様の費用を自分たちで負担 している~これを託送費用に入れると新規参入者は2 重に費用を負担することになる。 現在はポンプ・気化器の費用は託送料に含められている。 Oligopoly Theory 18 例~電力 自営線:発電所からネットワーク網までの送電線の費用 ~これをどこまで託送料金に含めるか? 潮流:潮流をどこまで託送料金の体系に組み込むか インバランス:発電所のどこまでがインバランス供給用な のか? Oligopoly Theory 19 Model 1 First stage 企業1がrを決定。manipulationの費用L(r) 努力しないと低い水準に設定されてしまう。 Second stage 企業1と企業2が数量競争 (1)Cournot(均衡outcomeを上付添字Cで表す) (2)企業2がleader(均衡outcomeを上付添字Iで表す) (3)企業1がleader(均衡outcomeを上付添字Dで表す) 利得 Π1=(p-c)Y1+rY2-L(r) Π2=(p-r)Y2 Oligopoly Theory 20 Proposition 1 Proposition 1 rDはcと無関係、 rI、 rCはcの減少関数 Cournotないし企業2がleaderの場合、企業2の生産量を 所与として企業1は生産量を決める。でも企業1は新規 参入者の生産量に戦略的に影響を与えたい。 →rを引き揚げれば企業2の生産量を小さくできる。 ⇒この戦略的な誘因はcが大きいほど小さくなる。 ⇒rI、 rCはcの減少関数 企業1がleaderの場合、直接自社の生産量を変えること によって企業2の生産量をコントロールできるので、こ の戦略的な誘因が存在しない。 ⇒ rDはcと無関係 Oligopoly Theory 21 Proposition 2 Proposition 2 c≦0なら rD< rI、 rC cが十分大きければrD> rI、 rC 命題2←命題1からたやすく予想できる。 cが十分に大きいと、企業1は自社生産よりも他社 のアクセスチャージ収入がより重要になる。 →rを引き上げてライバルの生産量を減らそうという 誘因が小さくなる(Cournotないし企業2がleader の場合) Oligopoly Theory 22 Proposition 3 Proposition 3 c≦0なら WD> WI、WC cが十分大きければWD< WI、WC cが小さいとき(企業1のleadershipが望ましい) (a) 企業1の生産は望ましく、実際生産量が多いい (b) アクセスチャージも低い cが大きいとき(企業1のleadershipが望ましくない) (a) 企業2の生産が望ましい (b) アクセスチャージも高い Oligopoly Theory 23 Model 2 First stage 企業2がrを決定 Second stage 企業1と企業2が数量競争 (1)Cournot(均衡outcomeを上付添字Cで表す) (2)企業2がleader(均衡outcomeを上付添字Iで表す) (3)企業1がleader(均衡outcomeを上付添字Dで表す) 利得 Π1=(p-c)Y1+rY2 Π2=(p-r)Y2-L2 (r ) Oligopoly Theory 24 Proposition 4 Proposition 4 rD> rC>rI 企業2の生産量が多いほど積極的にrを下げる誘因。 Oligopoly Theory 25 Model 3 垂直分離 企業0~不可欠施設を保有 企業1、企業2~企業2に生産量1単位あたりrを 払って不可欠施設を借りる 需要関数線形、限界費用一定 企業2の限界費用はr、企業1の限界費用はc+r。 (1)Cournot(均衡outcomeを上付添字SCで表す) (2)企業2がleader(均衡outcomeを上付添字SIで表す) (3)企業1がleader(均衡outcomeを上付添字SDで表す) Oligopoly Theory 26 Model 3 Payoff Π0=r(Y1+Y2)-L(r) Π1=(p-c-r)Y1 Π2=(p-r)Y2 Oligopoly Theory 27 Proposition 5 命題5 (i) rSD、 rSI、 rSCともcの減少関数 (ii) rSI= rI (iii) c≦0なら rSC> rC 、 rSD> rD (iv) cが十分大きければrSC< rC 、 rSD< rD 企業1からもaccess chargeが得られる→input marketが 拡大(market enhancing effect)→r上昇 strategic 効果が無くなる→rを引き下げる Oligopoly Theory 28 Proposition 6 Proposition 6 c≦0ならvertical separationは総余剰を減 らす (a) double marginalization→総生産量が減る (b) double marginalization→企業1の生産量が減る (c) access chargeが上昇する→総生産量が減る Oligopoly Theory 29 Remarks (a) 参入の可能性 vertical integration →rをより引き上げる誘因 vertical separation →rをより引き下げる誘因 (b) 会計の透明性 vertical separation→よりrを引き上げにくくなる 全体としてこの論文はvertical separationがもたらすrの 引き下げ効果を過小評価 Oligopoly Theory 30 Summary 既存企業が十分効率的なら、垂直分離せず、既存企業 が大きなマーケットシェアを得る市場構造でアクセス チャージが低くなり、経済厚生も大きくなる。 新規参入者が十分効率的なら、新規参入者が大きなマー ケットシェアをとる市場構造でアクセスチャージが下が り、経済厚生も改善する。垂直分離もアクセスチャージ を下げる。 Oligopoly Theory 31
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